3分割でお届けする『【2025年春季】新幹線とフェリーで旅する北海道7泊8日の周遊夢日記』の2つ目にあたる前篇。
1日目 地獄の東京脱出→新青森→青函フェリーの旅
午前6時台の首都圏某駅の東北新幹線のホーム。キュンパスは今シーズン2回目なので、切符の予約や買い方もスムーズだった。
私は問題ないけど、スマホとかネット環境と、それなりのITリテラシーがないと買えないという、えきねっと限定の切符にしているのはどんな理由なのだろうと思う。日本なんて都市部以外はホントに老人しかいないし、えきねっとが使えないガラケーユーザーだって普通にいるんだけど、公共交通機関をやってる会社がばっさり切り捨てていいものなのかと思わなくもない。
ホームには見るからにキュンパスユーザーっぽい人もいるにはいるが、東北新幹線で長距離移動する人は指定席もセットで取るのが基本だと思うので、かつての北東パスでの「急行はまなす」の自由席狙いみたいな、頭がおかしいほどの行列が出来たりはしなくて平和に見える。まぁ、ド平日の朝だしね。
定刻の9時50分頃に新青森駅に到着。東海道新幹線とか西方面の新幹線はよく知らないが、東北新幹線は積雪地帯を走ったりすることもあって、10分~15分程度の遅れはよくあるし、最近も連結器トラブルで半日くらいも運休したり、定刻通りに到着するのはラッキーなことだ。キュンパスユーザーは長時間運休したとしても返金や補償がないから、帰れなくなって自腹で宿泊したり、翌日に普通に切符を買って帰る羽目になっても、それはJR東日本の狙い通りだから、泣くに泣けないのである。
新青森駅に来るのは1年4か月ぶりくらいだが、青森駅には在来線で1駅移動しないとならないものの、定刻通り新幹線が着いたとしても乗り換え時間がシビアなことが多い。
特にキュンパスの時期は新青森で乗り換えするキュンパスユーザーが多いため通路が混雑する。この時もトイレに行きたかったけど、在来線のホームには若干の距離があるためトイレに行っていたら間に合わなくなってしまうからトイレを省略せざるを得なかったのである。乗り換えする人は新幹線で済ませたようが安心だ。
青森駅の通路から青い森鉄道の車両を撮影。この場所からは鉄道ファンじゃなさそうな一般のキュンパスユーザーが10人くらいも写真を撮っていた。駅構内や駅近辺は見るからにキュンパスユーザーっぽい人たちだらけ。青森はキュンパスユーザーの人気旅行先なのであった。ほとんど日帰りだろうから、熱気の割には青森が潤うことはないのだろうけど。キュンパスは儚い。
駅の様子を少しだけ観察したら、私はキュンパスは勿体ないけどもう使わずに、青森駅から約2Kmの場所にあるフェリーターミナルに急ぐ。
フェリーは2~3時間に1便くらいなので11:35分に出る便に乗りたいため、余裕を持って30分くらい前には着いていたいと思った。
しかし、青森は雪が積もっても市街地以外の歩道は除雪されない方式であった。フェリーターミナル近辺は駅から近いものの、全く除雪されていないので歩道を歩けるようになっていない。車道は幹線道路で車が危ないので、どうやってアプローチすればよいか少し困った。
途中で同じような境遇の人がいたので、皆で渡れば怖くない方式で、車に突っ込まれないことを祈りながら肚を括って車道を歩いた。だって、そうしないとフェリーターミナルに行けないんだもん・・・。こんなに歩いていく人が少ないのかしらん。
少し前にキュンパスで青森に初めて行くという東京人に青森は雪があるのか、寒いのか? と聞かれたが、北海道と大体同じだと答えた。北海道より少し気温は高いものの、青森や秋田はそいこらの北海道よりも雪が多い場合が多い。
青森と函館を結ぶフェリーは、よく知らない人からするとニッチな航路ように思えるかもしれないけれど、旅客というよりはトラックドライバーの需要が多いからか現在も2社が競合している。
旅客料金には2社間で差があって、津軽海峡フェリーが一番安い等級で2860円なのに対して、青函フェリーは公式サイトの割引を使うと1880円と1千円程度もの違いがある。
この値段の差は何なのかというと設備の違い。津軽海峡フェリーの方が旅客向けの設備が充実していて、青函フェリーは値段が安ければいいという人向けのシンプルな設備となっているのだ。
津軽海峡フェリーは(乗ったことはないが)、一般的な旅客フェリーみたいに等級が分かれていて、船の設備も充実している。ショップや軽食コーナー、シャワー室、ゲームコーナーなどがあって、佐渡汽船とか全国の2~3時間くらいの航路を走るフェリーと同じようなものなんじゃないかしらん。
ただ、青森側も函館側もフェリーターミナルが青函フェリーの方が若干近いため、バス代すらも浮かすような歩いていくユーザーからすると青函フェリーの方が人気が高い。
文字通り、死にそうになりながら辿り着いた青函フェリーのターミナル。旅客の乗船開始は30分前からだけど、そんなに混んでいるとは思えないものの、乗船表に記載して窓口での手続きが必要だし、乗り場も少し離れているから時間には余裕を持った方がいい。
ちなみに、乗船券に書いた字が汚すぎたせいで、窓口の人に名前が読み取れなくて端末に打ち込めないらしくて、なんて書いてあるのか口頭で聞かれた。文字の役割が果たせないほどに字が汚かったとは自覚していなかったのでショックだったのと、もう少し丁寧に書くべきだったと思った。
青函フェリーに乗り込むぞい
青函フェリーには徒歩客専用の入り口というのがないので、車両の出入りが落ち着いたタイミングで合間を縫って車両甲板から乗船する。人間だけの場合でも自転車持参で乗り込む時と同じ感じ。
私は10年ぶりくらいに乗ったけれど、ほぼ初見みたいなものなので、どこをどう進んだら客室に辿り着けるかよくわからんくて、たまたまちゃんと辿り着けた感じ。ストイックだなぁ。
なんとか無事に乗り込めればエントランスはこんな感じ。インフォメーションカウンター的なものはなくて、無人? っぽい。人間だけの乗客は私入れて10人くらいなのかな。男女比は8対2くらいで女性はカップルと夫婦のみ。
カフェとかレストランみたいなのはもちろんないけれど、自販機で飲食物やお菓子などが買える。カップヌードルなどの自販機もあったし、お湯も入れられるから温かいものを食べることもできる。カップヌードルは230円とかで高いけれど、飲食物とお菓子は地上のコンビニ程度の値段で、帰りに乗ったボッタくり価格全開の新日本海フェリーより良心的。
乗船時間も3時間半くらいと結構長いので、余裕のある人は事前に食事してから乗るか、何か持ち込んだ方が楽しいかも。船内には電子レンジもあるからコンビニ弁当とか冷凍食品的なものを持参しても楽しいかも。
通常料金で入れる部屋としては、雑魚寝系のカーペット部屋と、食事したりする感じの部屋と、上の写真みたいなオーシャンビュー席ありの椅子タイプの部屋があった。今回は3つ目の部屋を利用した。一番多い時でも乗客は4人しかいなかったので、のびのび出来た。
そのへんのフェリーと同じく、航海中もデッキに出ることはできるし、デッキに出ている人もいたけれど、私は寒いのが大の苦手なのでクソ寒いデッキには一度も出なかった。
オーシャンビューと言っても冬の津軽海峡は落ちたら一瞬で死ぬ自信があるようなドス黒い海なので、長時間眺め続けるのもしんどいからと、オーシャンビュー席で持参した文庫本を読み出してパリピ感を満喫していたのだけど、これが今年ワースト2位の大失敗。
1時間くらいしたら船酔いして頭痛と吐き気、めまいが襲ってきた。比較的よく乗る佐渡汽船に比べたら、青函フェリーは2~3倍くらいは揺れるし、本を読むというのもよくなかったのかもしれないけど、船酔いしやすいかどうかよくわからない人は横になったり、楽な恰好ができる席にした方がよいだろう。
オーシャンビュー席は一人に長居させないためなのか、固いオシャレカフェの椅子なので、リクライニングとかもできなくて、目に入る景色も揺れるものだから、特に酔いやすいという罠があるのだ。
最初、このストイックな船旅で北海道に渡る若いカップルが隣のオーシャンビュー席にいたのだけど、私より先に船酔いしたみたいで別の席に移動していた。
沖縄でも結構揺れる船で船旅は経験しているのだけど、石垣島~波照間島みたいな転覆するのでは・・・という怖い思いはしたことはあったとしても船酔いしたことはなかったので、船酔いは私にとっては珍しい経験だった。
話ついでに、2025年においては青森から函館に渡る手段はフェリーの他には北海道新幹線がある。高い割に青森側も函館側も在来線乗り換えが必要で、それほど便利ではない北海道新幹線。正規料金だったら片道8千円くらいしやがる。もはや成田から新千歳までLCCの飛行機で行けちゃいそうな値段。
2023年にオプション券があった時は北東パスと組み合わせて乗ったけど、まともに乗ったら貧乏人には高すぎるわい。札幌延伸、札幌延伸と最近うるさいくらい言うけど、海峡渡るだけで、こんなにクソ高い料金を知ってて言ってるんだろうかと思う。2040年くらいの延伸時には、その頃の物価とか色々な社会情勢で青森から札幌まで片道は2万はすることだろう。
函館に着いたどー
北海道に渡ることを渡道という言い方をする(多分)というのを最近初めて知ったのだけど、なんとか函館に着いた。うう、船酔いで気持ち悪い・・・。外の寒さが気持ちいいくらい。
右奥に見える白っぽい建物が函館側のフェリーターミナル。設備的には青森側と大差ないけれど、ターミナル近辺の歩道が雪だらけじゃないので市街地へのアクセスは良好。
でも、10人くらいいた乗客のうち8人くらいはバスで市街地まで移動していた。それが普通の人の感覚なのかもしれないけれど、トボトボ歩いても1時間くらいで函館駅まで移動できるはず。青森と違って函館は冬でも歩道を普通に歩けるのもポイント高し。
函館駅前。もう青森が何だったのかと思うくらいに雪がない。夜や翌朝にかけては雪が結構降ったのだけど、青森は函館より雪がだいぶ多い所とインプットしておこう。
にしても、北海道新幹線の函館側の位置は、函館駅乗り入れは逆立ちしても無理だとして、せめてJR五稜郭駅あたりにできなかったのかと思う。函館からしたら素通りされるよりマシだからと妥協したのだろうけど、一般観光客にしてもビジネス客にしても新函館北斗駅と函館駅の移動がダル過ぎる。
どれだけラッキーカツ丼が好きなのかという件
1時間くらい歩いたことで船酔いもだいぶマシになってきたため、函館駅近くの3800円で予約済みの安ビジネスホテル「シャロームイン2」を素通りして、函館唯一の行き付けの飲食店であるベイエリアにあるラッキーピエロに行った。
ラッキーピエロなんてミーハーじゃねえかと思われそうだけど、今の私には函館で行き付けと言えるような店は他に一つもなく、リーズナブルで味が保証されたものを食べられるのもラッキーピエロしか思いつかないのだから仕方がない。
小金を持て余している中流階級の観光客向けの飲食店はこのへんには沢山あるのだけど、個人的には北海道の中では小樽の次に函館の観光客向けの店は怖くて入れないシロモノなので、やはりラッキーピエロしか選択肢がなかったのである。
ラッキーピエロと言えばチャンニーズチキンバーガーがダントツ人気ナンバー1とされるけど、人生で3回ほどラッキーピエロで食事をした経験から言うと、実はラッキーピエロで一番旨いのはラッキーカツ丼なのである。
初見での見た目はそうでもなさそうだけど、カツが隙間なく結構ぎっしり入っているし、出汁の利いた汁が多めで、若い時からよく食べてきたような「ザ・北海道のカツ丼」というようものを、この令和の終末時代に食べられるというのが素晴らしい。しかも630円くらいだったと思うんだけど、値段もこのご時世に相当安い。
まじで過去5年間に食べてきたもの全ての中で一番旨かったのがラッキーピエロのラッキーカツ丼であった。念のため、店から宣伝頼まれてるわけじゃないよ、心からマジでだよ。食べ物を食べて涙が出るのも10何年ぶりなんだけど、涙が出るくらいに美味しかったのである
ラッキーカツ丼を食べ終わったら、さすがに観光して回る気力も体力も残っていないので、何も見なかったことにしてシャロームイン2にチェックインした。
2日目 函館~長万部~小樽~札幌のリゾート(?)旅
翌朝。この日からは北海道&東日本パス(北東パス)で普通列車の旅になる。
正直、函館~札幌間は道内屈指の特急パラダイスなので、計画段階においては、この区間は大した見たいものもないし面倒臭いだけだから全額別料金で特急移動してしまおうかと思ったのたけど、特急で札幌まで移動したところで、結局は函館か札幌かで1泊しないとどうにもならないダイヤのために、特急利用を辞めたのであった。なぜ特急オプション券を廃止したんだよぉ・・・。1日で函館から釧路まで移動できて超よかったんだけど。
特急だったら何も考えないで3時間ちょっとで函館から札幌まで移動できるのだけど、札幌~遠軽~北見方面に匹敵するくらい、函館~札幌を普通列車で移動するのは列車が限定的であった。まだ更新時期じゃないからか、DECMOじゃなくて従来型の気動車が走っていたのも意外。
始発が8:18函館発のやつ終電が10時くらいに函館を出るやつ。余裕を持ちたいから、もちろん始発で函館を出るのだけど長万部の待ち時間が2時間もある。沿線人口はオホーツク方面よりだいぶ多いはずだけど、これはオホーツク方面より乗り継ぎが悪いのは意外であった。
誰も知らない長万部の真実
長万部駅。この駅に降り立ったのは10年ぶりくらいだと思う。全然記憶にないくらい久しぶり過ぎるけど、ホームから改札までの無駄に長い通路の感じとかはよく覚えている。
長万部は以前、東京の人間に「東京で言えば赤羽みたいな交通の要衝」と説明したことがあるけど、特急が走る海沿いのルートと、今や謎の大金が舞い散る世界的リゾートに発展した「ニセコ」経由で札幌に向かう通称「山線」というルールに分かれる駅である。
北海道新幹線が開通すると長万部は様変わりするはず。札幌と函館の中間地点にあることから、将来的に旭川や帯広などが滅亡した後には、北海道で3番目に大きい街になる可能性もゼロではない街だ。
長万部駅から真っ直ぐ徒歩10分くらいで行ける海岸。ちょうど雪の感じとかがキレイだよね~。行ったことないけどハワイとかオーストラリアとかのビーチよりキレイだと思う。
この手前に1mくらいの堤防があるのだけど、頑張れば乗り越えてもっと海の近くまで行けるのだけど、荷物が重いし、しくじって痛い思いしたくないので堤防の向こうから撮影した。堤防を乗り越えるためのの手作りのハシゴみたいのもあったけど、ちょっと心細いし。
列車待ちの2時間を雪のビーチで過ごすのも悪くないと思ったけど、長万部の街は小さな街だけど都会的な印象があった。
それは雰囲気のある個人経営のカフェが多いこと。事前に調べていたが、ランチ処として有名な店もいくつかあったので、せっかくだから適当に行ってみることにした。
なんせ北海道新幹線が開通したら北東パスでのんびり長万部に来れるかどうかわからないし、次に長万部に来るのが何年後なのか、もしくは一生来ることがないかもしれないのだから・・・。
おしゃれカフェでランチをしたことなど、世界中のどこであろうと人生で一度もないけれど、長万部で人生初をやってみようと思った次第である。
向かったのは駅から程近い場所にあるGRASSという長万部ランチで3本の指に入るのではないかというオシャレ~カフェレストランっぽい有名店。
ただ、この日は夜に団体の宴会があるらしくて、入り口に準備のためにランチは限定メニューというような張り紙がされていた。気にせず店の中に入っていくと、地元の男性客が1人、奥の方の席に座って食事をしていた。
頼んだのは900円の一見するとチキンカレーだとはわからない人気定番メニューのチキンカレー。9割の客がこのチキンカレーを注文するという。
手羽先3本分のチキンを砕いた、キーマカレーのチキン版みたいなやつで、食べたことがありそうでないタイプのカレーであった。スパイスが効いている大人の辛さのアジアっぽい感じのカレーで、知られざる長万部の秘密を知ってしまった気がした。
長万部~倶知安は日本のローカル線とは思えぬ空間
山線と呼ばれるこのルートを乗ったのは10年以上前なのは確かで、その当時の記憶は何もない。10年一昔とはよく言ったもので、私は10年ごとに記憶がリセットされるのだ。
この区間は北海道や日本とは切り離された空間で、世界的リゾートのニセコが存在しているのが特徴だろう。そして、函館~長万部と違ってDECMOが走っていた。
どういうルートで移動しているのかはよくわからないが、函館~長万部間はゼロだった外人が急激に増える。中国語っぽい言語で喋る中国系の人や、英語を喋る見た目アメリカ人っぽいカップルなどが乗っていた。
中国人っぽい人たちは、ぼそぼそと体から出る得体のしれないものを当たり前のように周囲に散らかして付近にいる日本人を不快にさせたり、ごく当たり前のマナー感覚がないので閉口する。しかし、付近に座ってくれるのがアメリカ人の若いカップルとかだと、肌の色や外見が日本人とは全然違うというのに、日本人とマナーや感性の部分が共通しているから不快なことが起こらないために嬉しく思う。
若いアメリカ人カップルの英語は、聞き耳立ててるわけじゃないけど、初心者の英会話のリスニングの勉強になるからだ。ビジネスレベルの英語と違って、若いカップルが喋ってる英語はTOEIC0点(0点というものがあるのか知らないが)の私でも聞き取れる英語が意外と多い。例えば、スマホを相手に見せて「Watch!(見て)」とか言っているのがわかるし、喋るスビートもビジネス英会話とかに比べてすごくゆっくり。使っている単語も簡単なものが多いというのもあるのかもしれない。
このあたりのルートは2030年か2040年、または2050年頃に開通する北海道新幹線の札幌延伸の影響で並行在来線が廃止されてバス転換されることが決まっているという。だから北東パスで乗れるのはあと5年か15年か25年だ。
ルート上にでかい岩が発見されたそうで2030年は無理で大幅に遅れるというけど、いくらなんでも敗北宣言出すの早すぎ。紋別とかもそうだけど、バス転換されたらJRフリー切符の貧乏観光客はまず行かなくなるゾ。それに札幌延伸と日本が滅亡するのと、どっちが早いのかというデスゲームが展開される予感しかしない。
信じられないほどの中国人が溢れ出す小樽を散策
小樽まで移動すれば完全に札幌圏なので怖いものはなくなるかというと、実は逆。むしろ、小樽や札幌方面の方が大量に中国人が溢れ出している。
小樽運河のあたりは、意味不明の遊覧船が行き来している以外は、パッと見だと20年前とほとんど景色は変わっていないと思う。
だが、クソ寒い中を歩いている人達は6割くらいが中国人だと思う。歩いていても中国語が飛び交うし、少数派の日本人観光客は明らかに嫌がっている雰囲気が感じられるから気が気ではない。SNS映えを狙ってか、氷点下のクソ寒い中を夏の花火大会で着るような浴衣姿で自撮りしている若いカップルとかもいて、オジサン世代には理解不能。とっとと帰りたくなった。小樽運河ってこんなところだっけ?
小樽のアーケード街を少し散策したが、それほど遅い時間ではないけれど、ほぼシャッター通りだった。
体力と気力が着きかけていたので、中国人をかき分けて快速エアポートで札幌に移動、ホテルが中国人団体のせいで平日で大きいイベントなどもないのにホテルが高いが無駄に高いから、個人情報流出でお詫びクーポンが届いていた快活クラブで夜を明かした。
快活クラブはシャワー無料の所が多いけれど、めっきり店舗が減って壊滅状態の自遊空間はシャワー自体がないことが多かったから、それが原因なんじゃないかと思った。
3日目 安定の札幌6時始発の普通列車で旭川へ
札幌から北東パスでオホーツク方面に行くには、札幌駅を6時に出発する普通列車に乗るのが基本。
札幌駅は5時40分に改札が始まるから始発で普通列車や特急の自由席に乗る人達が我先にと雪崩れ込むのだけど、この旭川行きについては乗る人間が通常はそんなにいないのので、5時38分に札幌駅の改札付近にいれば何の問題もないはず。この区間は特急だらけだし、価格競争する高速バスもあるルートだから、遠しで普通列車に乗るのは北東パスか18きっぷ持ちの人間くらいじゃないかと。
岩見沢~滝川らへんの稲作地帯の冬景色は、私の幼少期に脳裏に焼き付けられた原風景と一致するから、とっても落ち着くのである。よくよく考えると、人の心をとうの昔になくした労働るちーんマシーンと化しているような東京人などの都会人が持つ原風景はどんなものなのだろうか。少なくとも雪景色ではないと思うのだけど、私には想像もできやしない。
旭川で上川行きに乗り換える時間はトイレ休憩と外の空気を吸うのにちょうどいい30分程度なのが嬉しい。長万部の2時間待ちとかは、列車運用の都合なのか知らんけど、冷静に考えると頭おかしいのでは思う。
2年くらい前まで老朽化したキハ40だらけだった石北本線は、新幹線が走る函館近辺よりも先に最新型のDECMOだらけになった。
冬にDECMOに乗ったのは今回が始めてだが、夏場はエアコンが付いてて日差しが眩しい以外は比較的快適だったDECMOだけど、冬はちょっと寒くないですかね? 北海道仕様のキハ40は暖房が強力すぎて暑いくらいだったけど、もうちょい暖房を強力にしてほしいのと、日よけを付けてほしい。
上川での遠軽行きとの乗り換え待ち時間は、ちょっと街に出て飲食物を買うことができる程度の時間設定なのが人間的で嬉しい。石北本線だと駅に売店があるのは今や北見駅くらいだからね。あと網走駅に食事処があるというくらい。
律儀に駅でピタッと待っている人もいるけど、私には信じられないので、特に旅の人は上川の街に出てみるといいと思う。大通り出て少し右にセイコーマートがあるし、その迎え付近には上の写真のDa・marcheという名前のスーパーがある。
以前はセイコーマートのとなりに全日食チェーンのスーパーがあったが閉店してしまった。そのため、このあたり一帯がスーパー難民で溢れているからかDa・marcheはいつもレジが長打の列になっていたりする。列車に乗り遅れたら大ごとだから、余裕がない時はセイコーマートの方がオススメかもしれない。
札幌で6時始発から乗り続けてきたものの、12:38には遠軽に到着することができる。朝早いから過酷だけど、昨日の中国人の大群がなんだったのかと思うほどに中国人は一人もいないので、のんびり旅をしたい人には大変オススメできるルールだったりする。
このへんは超が付くほどの原風景なんだけど、遠軽は駅から歩いて行ける所に大きいスーパーやディスカウントストアー、コンビニなどかいくつもあって、旅人が訪れるのに凄くよい所だと思う。鉄道で旅している風の都会人っぽい人が「遠軽が一番よかった」という風に話しているのが耳に入ってきたこともあるし。
3月上旬だと年によってはもっと雪が解けていることもあるけど、地球温暖化は夏が暑くなっただけで冬の寒さは特に変わらないらしい。河原や太陽の丘は雪だらけで、全然入っていけない感じだった。
旅人にとってネックなのは遠軽はホテルが少ないのと宿泊料が高いことだろう。鉄道利用者向けの補助金が使える時はいいけど、最近は冬まで予算が残らないので、北見まで行った方が安く泊まれる。そもそも値段以前に空き室がないことも多いと思うけど、遠軽の旅館はネットの宿泊サイトに掲載されていないことが多いから、どうしても遠軽に宿泊したい場合は電話したり現地で当たれば泊まれる場合もあるかと。
この日に泊まったのは北見第一ホテル。食料は主に遠軽のDZマートで購入。写真のあらびきウインナーは私の好物で、遠軽のシティ遠軽店で扱っている。値段は高いがこの世のウインナーで一番旨いので食べたことがない人は一度は食べてみてほしい。
前日がネットカフェ仮眠なので疲れは2日分溜まっている。ぜんぶ中国とかの外人観光客のせいとは言わんけど、コロナ前の冬の北海道なんて、札幌でも地方でも1泊2500~3000円くらいで泊まれるビジネスホテルばっかりだったんだけどなぁ。戻れるなら、その頃に戻らせて。
4日目 北見~網走~釧路、流氷というミステリーアイス
オホーツク地方(ロシア語だけどロシアじゃないよ、北海道のオホーツク海らへんの地域だよ、たまに日本の地名だと知らない人がいることに本気で驚く)で生まれ育った私にとっては、この地方特有の観光資源である流氷をこれまでの人生で全く意識したことがなかった。空気のように、いや空気以上に当たり前に存在しているものだから特に意識するようなシロモノではないと思っていたからである。
ところが、最近知ったのだが驚くべきことに、この世には空気よりも当たり前すぎるものを見るためにわざわざ遠く訪れる酔狂な観光客が大勢いるのだという。
なにか上から目線で書いているように思われる心外だから補足すると、オホーツク地方に住む人が全員同じ感覚かはわからないが、流氷が接岸すると気温がグッと下がるから「流氷=ウザい存在、来ないで欲しいもの、いらんもの」という認識なのである。だから、流氷をこの目でじっくり見たことなんて一度もないのだ。
東京に住んでいる人が週末ごとに東京の観光地に隅々まで訪れているかというと、絶対にそんなことは有り得ないと思うけれど、自分が住んでいる場合に当たり前に存在するものに興味関心なんて湧かないのが普通なのではないだろうか。少なくとも、私は流氷なんかに興味関心を持ったことがない。
そんな私だが、地元の人が興味関心を全く持たない流氷を、なぜ本州や街区などの遠方から見に来る人が大勢いるのかという、「人間の不思議」について関心を抱くようになった。
人間そのものについて考察して答えを出すのは難しいことはわかっている。世の中には研究すべき対象は沢山あるけれど、今すぐに答えを出すべきものは限られているし、答えを出そうにも、答えを出すことが不可能なものも多いから、そういったものは初めから研究対象から除外すべきだというのもわかっている。
だから、とりあえず流氷を一度見てみないと何も解決できないと思った。
調べると、観光客は流氷を観察するための専用の船に乗車するらしく、その船は紋別や網走など、私の地元近辺の街から出ているという。ただ、バリバリ観光客をカモにしているような料金がかかるから、地元の研究者(?)である私が乗るのは、研究資金がちと足りないから難しかった。
じゃあ、流氷の季節にオホーツク海の近くを走る釧網本線に乗れば一発解決なんじゃね。
とりあえず、北見から網走行きの始発の普通列車に乗ってオホーツク海の海岸に行ってみたら、流氷らしきものがあった。上に鳥とか乗ってて可愛い。
今までの人生で流氷を気にしたことがなかったので、これが流氷なのか確信は持てないけれど、「落ちたら死ぬから流氷の上に絶対に乗るな」という警告看板があったから、きっと流氷なのだと思う。
いや、でもさすがにこんなものを見るために十万円くらいかけて道外や外国から流氷ツアーとかに来るやつがいるのか? 4~5千円くらい払って流氷観光船に乗るやつなんているのかよ? というシンプルな疑問は拭い切れなかった。
釧網本線の車窓からだとこんな感じで、確かに流氷っぽいものが手前に少し浮いているのと、遠くの方に白っぽい何かがある。時期とかもあるだろうし、この流氷の大群を近くで見るために流氷ツアーとかに高い金出して行く人がいるのね、と思った。
しかし、釧網本欄は冬の時期に今まで何度も乗っているけど流氷に気づかなかったのは、意識の問題なのか、乗る時期が3月中旬~4月くらいのことが多くて時期を外していたからだったのだろうか。
釧路に着いたら流氷のことは忘れてグルメタイム。釧路は北海道のどの地域よりもグルメ王国だけど、釧路滞在で食事できるのが2回なら、1食目はインデアンでインデアンカツの辛口を食べる。インデアンを食べなかったら釧路に行ったことにならないから、これはマスト。
次にマストなのは釧路町のイオンにある「この豚丼」の豚丼。
気力に余裕があったら和商市場の勝手丼(但し500円以内)も食べるけど、勝手丼を注文するのにそれなりに気力がいるから、インデアン、この豚丼を優先して、勝手丼は省略する場合も最近は多い。一応、生モノだから食中毒の危険があるし、胃酸を抑える薬を飲んでいる私にとって余計に避けた方がいいからというのもある。旅先で食中毒になったら目も当てられないし。
釧路もコロナ前の冬は1泊2500~3000円くらいで駅前の某ビジネスホテルに泊まれたりしたのだけど、最近は冬でも4~5千円当たり前で、夏だと1万円近いのが信じられないので快活クラブ行きになってしまっている。
外人観光客のせいなのか、値上げして味をしめたから元の値段に戻さないというだけなのかは不明。空き室がないってわけじゃないから、後者の気がしている。