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『31歳ガン漂流』という本を読んで思ったこと

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たまたま通りかかったブックオフで、たまたま自分と同年齢前後でガン?ということで気になった本。

数行ほど立ち読みしてその場では買わなかったものの、全治10日間の痔を患い、せめて自宅療養中に有意義な時間を過ごそうと思い、近所の図書館で3作全部が借りられたので感想を記述する。

痔の闘病中に考えさせられたこと

不幸中の幸いというか、痔は歩行や寝返りを打つこともできないくらい過酷な痛みを伴う(自分の場合)病気ではあるが、薬局で効き目の高い薬を簡単に買うことができる。

病院に行って手術しないと治らない痔は少数派で、多くは数日~1ヶ月で治る。

痔の闘病中に思ったのは、人間の幸せについてだ。とかく幸せを感じづらい時代などと言われるが、人間の幸せというのは「健康」だ。

生薬などという、半信半疑な市販飲み薬を飲み出して数時間後くらいから、それまでに酷い痛みが和らいできた時に思った。こうも痔だと、ベッドから出るのも一苦労で、向かいにあるコンビニに行くことすらできなかった。

痔になる前は思いもしなかったが、健康であること自体がすで「幸せ」なのである。

31歳ガン漂流で共感したこと、しなかったこと

まず著者はプロのライターであって、文章の素人ではない。

そして、日本人の死因トップはガンだが、肺ガンはガンの中でも最も治療が困難。一説には日本だけで1日100人くらい肺ガンが原因で亡くなっている。

1冊目の前半で著者自身が「よくある感動させる闘病記ではない」と述べているが、プロのライターが書いている割には「ガン」という病気について深く調べてるわけではなさそう。知らないことについて書くというのは困難だと思うが、音楽や映画関係が専門ということだけども、肝心な自分の病気のことはそれほど語られないで死んでいく。私はこういったあたりには違和感を感じた。

アマゾンで中古1円で売られているのは、違和感を感じない。

その他、思ったこと。

・著者は喫煙者で肺ガンが原因で死んでいく。作中には「煙草の吸い過ぎ程度でこの年齢で肺がんになるわけがない」というような記述があり、原因は「遺伝的なもの」と説明されている。30代や40代で煙草の吸い過ぎで死んでる人は世界にゴマンといると思うが、どうなんだろうかと思う。作中で喫煙している場面はないし、煙草の煙を吸う場所を避けている描写がある。

・人が誰しも31歳とかで「遺伝的なもの」で急に肺ガンになり水が溜まり出して、2年後にあっさり死んでしまう可能性があるのだとしたら、今生きている人達は生きた心地がしないのではないか。

・著者自身が「ガン闘病は金持ち(ボンボン)の道楽」というけども、大学入学まで2年も浪人させて貰えて、頻繁に山形から東京まで新幹線で親族が行き来している描写からするに、個人的な感覚としては、程度問題だが著者はボンボンであるという印象を持った。フリーライターの収入はよくわからないが、お金のかかる大型バイク所有、それなりに家賃の高い場所に住んでいるなど。

・ガンで闘病しているというと、個人的な想像だとおかゆとか病院食くらいしか口にできないのかと思っていたが、そういうものなのかはわからないか、余命1年以内とかになっても外食(激辛ラーメンやハンバーガーとか)やコンビニ弁当中心の食生活というのが、どことなく違和感を感じた。

・激辛ラーメンは普段でも体に悪い食べ物なので、遺伝的なものだけが原因なのかなぁ、と素人感覚では思ってしまった。体調その他のコンディションが悪いときに、激辛ラーメンなんか食べたらガンにならなくとも、個人差はあるだろうが痔になってしまう確率が非常に高い。

・著者は闘病中に自伝とされる小説を完成させるのだが、これはアマゾンの書評によると(本当に自伝だとしたら)内容が法律、道徳的によろしくないという。

・作中で沢山の「友人」が登場するが、後半で夜通し看病してくれる1~2人くらいを除いては、どいつもこいつも、余命宣告されている人間に対する言動とは思えない振る舞い。まさに他人ごと。例「闘病記が面白くない」とか。今で言う「Facebookの友達」レベルの人達を「友達」と呼んでいるのだろうか。

・こういう大きい病気は、病気自体以外にも、入院生活というのが恐ろしく嫌だと思った。病室の人間関係、看護師、医者などの医療関係者など。

・仕事上の恩師みたいな人も何人か登場するが、「お前はライターなんだから(闘病記を)書きまくれ」などと助言する。31年の人生に対して、ほんの数年程度しかライターという仕事をしていないのに、余命2年なのによくそんなこと言えるなと思った。結果、本人がその気になってしまった。

・3冊も読んでしまってあれだけども、少なからず出版社側の商売とかも絡んでいるし、どこまでが商売で、どこまでは通常の人間としての考え方なのか、3冊読み終えても全くわからななかった。肺ガンで死んでいく人は上述のように沢山いるが、せっかくプロのライターが書いた闘病記なのだから、「ラーメン食った」「寿司食った」の描写ばかりじゃなくて、どうせならもっと深い内容であって欲しかった。

・同年代だから手にとってしまったけど、社会や人間、家族、友人、仕事というものに対する「他人(著者)」の考え方について、色々な意味で考えさせられた本ではある。

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