PS4「BLUE REFLECTION(ブルーリフレクション) 幻に舞う少女の剣」のゲームレビュー。個人の感想、ネタバレあり。
名前とビジュアルは以前から知っていたが、サブタイトルの印象からリズムゲーム的なものを感じていて購入は避けていた。
公式のゲームジャンルはよくあるフレーバーな名称で「ヒロイックRPG 」と言うけれど、その実、ゲーム的には美少女しか出てこないペルソナみたいな世界観のコマンドRPGであった。ちなみにリズムゲーム的な要素は一切ない。
ペルソナ×プリキュアな雰囲気重視のRPG
全体的な雰囲気としてはプレイヤーが操作する主人公が女子高に通う女子高生で、女子高が舞台。
モブキャラも含めて性別がわからないような敵キャラは別にすると、人間の男性は一切出てこなくて、最初から最後まで女子高生しか出てこない。
女子校に通ったことはないが、女子校生活はおっさんがイメージするステレオタイプな女子校のイメージそのもの。
上履きを隠されるのは当たり前で、妬みや嫉妬、悪口、盗難をはじめて、ジメジメした陰湿な嫌がらせを繰り返される毎日。
なにしろ、普通の男は女子校に通ったことがないので、こんなことが女子校では当たり前なのか、それともゲーム的な演出というか、ステレオタイプ的な描写なのかがわかりにくいものも数多くある。
女子校では女の子同士のデートの誘いや恋愛は当たり前なのかわからないし、下着交換なんて今までの人生で一度も考えたことすらなかったけれど、これらが現実と同じなのかどうかよくわからないのが悲しいところ。
おそらくステレオタイプ的な演出だと思うけれど表現に引く人もいるのではないかと思う。
女子高生ライフはペルソナシリーズを彷彿とさせる
ゲームの大部分は女子校での女子高生ライフ。
思春期の女子高生たちはジメジメした悩みを抱えているので、主人公たちはプリキュアのように変身してコモンという精神世界に入り込んで解決していくことになる。
ただ、違うメーカーのゲームだから仕方ないが、ペルソナ5みたいにパレスみたいな、その人物の精神世界が表現された強烈なものはない。
コモンにはギミックらしいギミックもないし、どこのコモンも変わり映えしない。メメントスに近いような単純構造で、コモン探索や戦闘は単純作業というか、プレイ時間の水増しでしかないような感じた。
クリア条件はザコ的を何体倒すとか、そのへんにあるフラグメントというアイテム的なものをいくつか回収するだけとかの簡単だけど面倒な内容だけ。
序盤から終盤まで頻繁にコモンに行き来することになるけれど、やってることが本当にずっと同じなので、もう少し工夫が欲しかったところ。
アイテムの種類は色々あるけれど、アトリエシリーズみたいにアイテム集めは大した重要じゃないので作業感を感じさせる。
戦闘は序盤から終盤までイベント戦闘レベル
戦闘はストーリー進行に伴ってチュートリアル的に段々とやれることが増えていくものの、ラスボスの少し手前くらいまでずっとチュートリアルな感じ。
アトリエシリーズだと調合で強力な爆弾や武器を作ったりしないとザコ戦もボス戦も楽ではないことが多いけれど、ブルリフは戦闘はピジュアルと雰囲気を味わうレベルのものとなっている。意図的なものらしいけれど、面白いRPGは戦闘や育成が楽しいことが多いから、意図的につまらないRPGを作るのは間違いではないかと思う。
3段階で難易度を選択できるけれど、1戦ごとにHPとMPが全回復するので出し惜しみする必要はなく、ザコ戦はその時点で使える最強の全体攻撃魔法を1~2発使えば即終了する。
ボス戦はさすがに適切な戦い方が必要で、チュートリアルで学んだごちゃごちゃした必殺技の出し方の手順などを考えないとならないと全滅する場合もある。
ごちゃごちゃしたやつはクリアしても完全にはよくわからないままだったけれど、不幸中の幸いでラスボス含めてボスもそんなに強くはないので、MPがすぐなくなることに気を付けていれば全部楽勝レベル。
演出重視で戦闘がもっさりしていテンポが悪いのは一般的なRPGとして考えると残念。
ちなみに、わかりやすい本物のイベント戦闘は終盤に1回だけある。ボスはストーリー上の都合なのか納期の都合なのかわからないけれど、同じのと2回戦ったりする。
アトリエシリーズ越えのグラフィックだけど重い
キャラクターデザインがアーランドシリーズのアトリエと同じ岸田メル氏。キャラデザだけでなくゲーム制作部分にも関わっているというのが前面に押し出されていた気がする。
アトリエと同じくガストのゲームなので、グラフィックや戦闘の感じはアトリエっぽいが、アトリエと違って髪の光沢がテクスチャ貼り込みでなく、3Dでリアルタイム演算されている。半透明の衣服やグラフィックは凝った作り。
アトリエだと髪やスカートなどの衣服はバッサバッサのモデリングのことが多いけれど、凝ったグラフィックのせいでキャラが画面に3人も入るとフレームレートがカックカクになるのが残念(ノーマルPS4、720P出力)。
この技術力があるならアトリエにも導入して欲しかったけれど、低スペックなSwitchと並行開発ができなくなるからアトリエでは採用されないのかなぁ。
ペルソナ5のコープみたいのもあるけれど
全体的にペルソナとプリキュアのオマージュだと思うけれど、ペルソナ5で言うコープみたいなのもある。
女子校で出会う女子高生たちとデートをするなどして仲良くなると、戦闘が有利になるような仕組みがあるものの、前述のように戦闘自体がユルユルの低難易度なため、面倒なデートを繰り返す必要性が薄い。
エンディングが変化するような演出もないので余計にコープを進める気が起こらないし、デートシーンは背景が一枚絵でボイスもないのが残念。
音楽は良質だけど陰湿な雰囲気が増強される
音楽のレベルは高い方だと思うけれど、アトリエシリーズみたいな明るい曲は全然なくて、せっかく女子高生ライフを満喫しているはずなのに、しんみりした暗い曲を終始聴かされるのが辛かった。
ペルソナ5も自由行動中はアンニュイな曲がかかるけれど、要所要所で派手な曲が入るからそんなに暗いイメージはなかった。
戦闘の曲は異様に多いのに女子校内はチャプターが変わってもずっと暗い曲なのが残念。
ゲームの世界観を表現しているとも思うけれど、20~25時間ほどのプレイ時間をずっと暗い音楽を聴きながら、陰湿な嫌がらせをする女子高生たちと過ごすと、女子高生ライフへの憧れ(?)も揺らいでしまうというもの。
まぁ、女子校だからって美少女しかいないってことは現実にはないと思うけれど、女子高ライフを経験してみたい人にはいいんじゃないかしらん。RPGとして考えるとペルソナやアトリエの方が2倍以上は上だと思うけれどね。
まとめ どんなユーザー層をターゲットなのかは気になる
美少女がテーマだったり、ステレオタイプ的な描写から考えるに「女子校に通ってみたいオッサン」をターゲットにしている気がするけれど、リアル女子高生や中高生くらいの年代はターゲット外なのかなぁ。
パンツが見えそうで見えない描写や、見えなさそうでばっちり見える描写とか、前者をターゲットにしている雰囲気は感じる。
変身バンク(変身シーン)は近年のプリキュアなどの作品では、時流的に体のラインがあまり見えないような演出になっていると思うけども、このゲームにおいてはセーラームーンを彷彿とさせる昔ながらの演出なのも昭和世代へのサービスなのかもしれないと考えると、やはり昭和のおっさん向けに作られたゲームのように思えてくる。うう・・・・・。
ちなみに、このシリーズはその後に続編やアニメが展開された後に、ソシャゲ化もしたけれど男性キャラが主人公になったせいでかで不評の後に短命に終わって、シリーズ自体が今のところは終了している。
そりゃ、おっさんがイメージする華の女子校ライフという当初のコンセプトをぶち壊したらダメだと思うんだ。