Third Stage 北海道内陸一周編

Third Stage 北海道内陸一周編

4日目 その1 合理化の果て

3日目の日記にも書いたが、遠軽から先(北方向)の線路はすでに廃止となっている。鉄道マニアが青春18切符とか、北海道&東日本パスでこの地にやってきても、そこから先の線路はないのだ。バスマニアや廃線マニアだったら割高だけどバスに乗って湧別や紋別に行くという手もあるが、乗る専門の鉄道マニアだったら、バスを使ってまで遠軽の向こうには行かないのではないかと思う。

遠軽周辺は私が幼少期を過ごした場所なので、1日使って散策することにする。もちろん、湧別や紋別も遠軽とかかわりの強いエリアなので訪れる。このあたりも計画的に開拓されたエリアなので、定規で引っ張ったような真っ直ぐな道路が多い。

もはや鉄道では行けない遠軽の向こう側。遠軽の向こうには大都市の紋別があるから廃止されるわけない・・・と誰もが思っていた。

10年以上ぶりに自転車で走って懐かしい。一直線の国道。

やはり北海道は米どころだ。

完全に時期を外しているが、上湧別のチューリップ公園。

今日は紋別まで行って、遠軽まで戻って、さらに北見まで行くので、それなりに先を急ぐ。湧別を後にして紋別へ向かう。

紋別市を示す標識。市街地まで20Kmくらい。紋別は網走と並んで、オホーツク地方の代名詞みたいな街。カニや流氷、ホタテ、かまぼこなどが有名。線路があったら、もっと観光客で賑わっていたはずだが。

紋別市に来たのは実に12年ぶりくらいだろう。いつもは遠軽まで来ても紋別までは行かない。行きたくても、やはり鉄道がないのがネックなのだ。

オホーツク紋別空港。北海道の空港は「たんちょう釧路空港」とか、ちょっとしたフレーズが付いている場合が多い。東京からもアクセスできる。

紋別の街並み。

街の規模といい、街の作りといい、沖縄の宮古島市に似ている。海がある港町だから、似たように見えるのかもしれないが。

街中にあった市街地図の看板。もう20年以上経つが、普通に線路も紋別駅もある。

道の駅。ちょうど紋別駅があった場所のあたりで、鉄道がなくなった今は道の駅として旅の人間を受け入れている。

その2に続く

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4日目 その2 かまぼこ工場の記憶

紋別の散策は続く。

紋別は小学校の見学旅行で訪れたことがある。その時にかまぼこ工場の見学をした。記念にかまぼこを一切れずつ貰ったことしか覚えていないが、だからなのか、紋別はかまぼこの街というイメージが強い。

道の駅近くのかまぼこ屋で買ったカニ揚げ。店のおばあちゃんが「気を付けてね」と言ってくれた。娘さんも可愛いかった。

これはポテトちゃん。ポテトちゃんと言われても最初さっぱりわからなかったが、じゃがいもをかまぼこで包んで揚げている。何か付けないと味が物足りないが、薄味なのが良いというやつか。

かまぼこで食事を済ませ、紋別を後にする。

懐かしさで取り乱しそうになった心にブレーキをかける。

道端には、となりのトXロが。

湧別まで戻って五鹿山公園へ。ここは小学校の時にキャンプをしたことがある。入口だけ見て帰る。

せっかく湧別まで来たので、祖母の家があった場所に寄って、お墓参りをする。

遠軽町内はサイクリングロードを通る。札幌のサイクリングロードと違って、首都圏によくある河川敷のサイクリングロードと近い雰囲気。

街外れにある登代里ドライブインへ寄る。ここは幼少の時に家族と行ったことがあって、ものすごく美味しいイメージがあった。駅から歩くとかなり遠いので、自転車で来た際はぜひ行きたいと思っていた。

店の味が変わったのか、私の味覚が変わったのか、家庭の味のラーメンのようだった。味噌ラーメン+バター、750円くらい。

さて、ここで間違い探し。間違いというほどではないが、首都圏とかの電車の線路では蒸気機関車のマークだったりするが、気動車しか走らないここの線路では電車のマークが。

北見市は玉ねぎのマーク。全国で売られている玉ねぎのうち、北海道産の玉ねぎは北見産であることが多い。十勝はじゃがいも、北見は玉ねぎと、気候の関係なのか、主要作物が棲み分けされている。

北見で食事を取って、ネットカフェへ。このへんの地域でネットカフェみたいな都会的なものがあるのは北見だけ。

北見市観光ガイド

北見はオホーツク地方では最大、道内では8位の人口約12万人の街だが、ビジネス都市という印象が強く、観光という面で見ると、近隣の網走市や紋別市などの方が知名度が高い気がする。

焼肉店

北海道で焼肉と言えばジンギスカンを指すことが多いが、北見だけは牛肉の焼肉店が多い。ジンギスカン空白地帯である。

駅前の商店街

10年以上前は東急デパートや大きいショッピングビルなどがあったが・・・。

三輪(みわ)

駅で言えば西北見駅周辺。北見駅からも歩ける。郊外型の店などが多い。

ハッカ

北見は古くからハッカの街として知られる。北見ハッカ通商は代表的なハッカ製品のメーカー。道内各地の土産物店などで製品を扱っている。入浴剤と飴がお勧め。北見駅のキオスクでも買える。

Third Stage 北海道内陸一周編

5日目 走り屋ここに極まれり

今日は道東の旅だ。北見から釧網本線沿いに釧路へと南下していく。

北海道は道央、道北、道東、道南などといういくつかの地域に分かれている。厳密な区分けではないが、北見と釧路は同じ道東ではあっても、なにぶん距離が遠いし、峠もあるし、特急列車はないし、高速道路もないので、意外に行き来しにくい。そのため、普段の生活での北見地方と釧路地方のつながりはほとんどない。

自転車で旅してよくわかったが、北海道は街と街が離れているだけでなくて、大きな街と街の間には大抵は峠がある。険しい自然環境によって街と街が分断されているのだ。これは平面の地図を眺めているだけだったり、列車で旅しているだけでは意外にわからないことだと思う。私は北海道で生まれ育ったが、この自転車旅行をするまで、そのことがわからなかった。

北見からは石北本線のルートとは少し外れて、美幌へとショートカットする。しかし、このショートカットの道がどこなのか、国道上には案内がなくて、探すのに苦労する。5Kmくらい戻ってようやくショートカットの道を見つける。10Km、余分に走る。

もし同じルートを走る人がいたら、この道が正解。「がんことうふ ナイス食品」さんが目印。なんかこう、国道から分岐する似たような道が多くて、阿弥陀くじを引いている気分になる。

カレーに入れる定番の野菜と言えば、玉ねぎ、じゃがいも、人参だ。北見は北海道、いや日本を代表する玉ねぎの産地だ。玉ねぎ畑がそこじゅうにある。全国のスーパーで売られている玉ねぎの何割かは北見産だ。こういう所から出荷されている。

ショートカットの道は、峠のような山道だった。鉄道や国道が避けているので多分そうだろうと思った。急がば回れ、という程ではないが、自転車旅行では覚えておきたい言葉の一つ。

美幌に入ってすぐくらいだろうか、なんとなく小石や小さなゴミが転がっているような歩道を走行したあと、後輪がパンクしているのに気づく。

思えば、新潟に行ったときも、東北縦断の時も、一度もパンクしなかったのは奇跡に近いのだろう。4000Kmくらい走ってタイヤもだいぶ擦り減っている。というか、大抵の人だったらタイヤ交換する時期だろうなぁ。

なげいていても仕方ないので、公園でパンク修理をする。交換用のチューブがあるから、チューブごと交換して、パンクしたチューブはあとでホテルについてから直そう。パンク修理をしていたら、子供を連れたお母さん達に見慣れない人がいると、お湯が沸くくらいの時間、じっと見られる。

パンクが直って、いざ美幌峠へ。

噂には聞いていたが、美幌峠の景観は素晴らしい。荷物の都合があるから仕方がないが、きちんとしたカメラを持ってこなかったのが悔やまれる。絵葉書のような景色が360度広がっている。

この旅始まって以来の絶景。鉄道旅行だけでは一生見れない景色。

気づけば峠の走り屋。

美幌峠はそんなにきつい峠ではないが、ダウンヒル(下り)は異様に寒い。例によって4枚重ね着で寒さをしのぐ。雨合羽がウインドブレーカーの役目をしてくれる。雨合羽のあるなしで全然寒さが違う。

よくサイクリストとライダーの服装の違いが話題になるが、漕がなくても進むライダーってこんなに寒いから、あんな厚着して走っているのか・・・と身を持っ て理解する。こりゃ、寒くてたまらんわー。死ぬ。凍えそうだし、これ以上着るものもないので、少し速度を落として峠を降りていく。

美幌峠を出る。うーん、やっぱり道東だからか、峠を過ぎても街らしい街はない。だが、北見峠周辺よりはペンションや森のレストランといった施設がたまにあったりする。コンビニは滅多にないが、北見峠周辺と違って、人類の気配はある。

牧場が点在している。

こういう感じの微妙にアップダウンのある直線的な道路が延々と繰り返される。釧路までは80Kmくらいあって、かなり嫌になる。昨日も170Kmくらい走っているし、疲労が蓄積してきている。走る気力がどこまで持つだろうか。

滅多に街がないが、久しぶりの街でコンビニで食事休憩をする。ビールが飲みたくて仕方がないが、運転中なのでノンアルコールにする。しばし休憩してから釧路へ向けて再出発。

釧路に近づくと今度は晴れ。しかし、気温は低い。夏の内陸部の北海道は沖縄より暑いが、釧路は夏でも涼しくて良いところ。

釧路に近づくにつれて釧路湿原の雰囲気が漂ってくる。湖なども多いし、キャンプ場などもある。但し、国立公園なので、あまり好き勝手に入れないのが残念なところ。ちなみに鉄道は釧路湿原の中を走ることになる。

釧路市の隣にある釧路町。釧路も典型的なイオン進出により、街の郊外に人が集まるようになってしまった街。だが、駅に近い方の街も観光客中心に栄えていて棲み分けされている。地元の人は郊外で、観光客は駅側市街という感じだろうか。列車で釧路に来た観光客は徒歩だと遠くて、ここまで来ることはないだろう。

泉屋本店で食べる釧路名物スパカツ。半年前に一度食べて、もう食べないだろうなぁと思ったが、サイクリングで消耗した体がスパカツを求めていた。カロリーがどのくらいあるか、想像もつかない。

フィッシャーマンズワーフmoo。土産物とかバスターミナルとか。無線LAN(Freespot)も無料で使える。

北海道ではよくある(?)毛ガニのUFOキャッチャー。

疲れたのでおやすみなさい。釧路はいい所なのでしばらくいたいなぁ。

釧路市観光ガイド

釧路は広い北海道の中でも、他の地域とは雰囲気や空気感が大きく異なる。もし北海道を二つに分けるとしたら、釧路と釧路以外の北海道という分け方になるだろう。見どころが大変多い。

JR釧路駅

釧路の玄関口である。車社会の北海道でも札幌方面とのアクセスは鉄道の方が早いので、札幌~釧路間の特急は人気列車である。国鉄時代の民衆駅と呼ばれるタイプの駅で、北海道内では釧路駅のみ。喫茶店やパン屋、本屋などがある。水槽にマリモが展示されていて、都会での非人間的な暮らしで疲れ切ってしまった心を癒すことだろう。写真は釧路駅のまりも。(2022年現在、撤去済み。どこに行ったかは知らない)

幣舞橋

北海道三大名橋の一つで、夕日の名所。世界のリゾート地の大半はサンセットが見える西海岸にあるが、幣舞橋の後ろに夕日が沈むベストロケーション。河川敷は公園になっている。

フィッシャーマンズワーフMOO

本文でも登場したが、ショッピングや食事などが楽しめる商業施設。無料で観察できる植物園のような施設が併設されている。無料Wifi(フリースポット)あり。

泉屋

スパカツで有名。食事時は観光客より地元の人で混雑している。幣舞橋から徒歩3分くらいの繁華街に立地。

ビッグハウス

スーパーとカレー屋のインデアンが入居。釧路はスーパーであっても刺身や生寿司が非常に美味しい。釧路ザンギも扱っている。惣菜は夜に行くと半額になる。

ホテル パコの日帰り温泉

パコは道内主要都市にあるホテル。泉屋の近く。日帰り天然温泉が700円くらい。休憩室は午前3時まで利用できる。追加料金で朝まで利用可。

福司

釧路の地酒、日本酒。札幌の千歳鶴など足元にも及ばず、旭川の男山をも超える、北海道最高峰の日本酒。新潟の日本酒のようなキリっとした辛さの中に、釧路の雰囲気と同じような深い、マイルドな味わいがある。道内でも釧路じゃないと扱っている店が少ないので、釧路に訪れたら日本酒好きの人はぜひ飲んでほしいと思う。

ざっと書いたが、釧路の魅力はこんなものではない。あなた自身の目で釧路の魅力を感じて欲しい。