Third Stage 北海道内陸一周編

Third Stage 北海道内陸一周編

6日目 停滞

2日連続で150Km以上走ったせいもあって、これ以上走りたくなかった。正確には釧路にいたかった。釧路市内でぶらぶらして、インデアンのカレーを食べ て、天気がよかったので河川敷でお昼寝する。釧路は治安が良い感じがするので、落ち着いて休める。夜は某天然温泉で過ごす。急ぐだけが旅じゃない。

街外れのフクハラ(スーパー)で釧路ザンギを買って食べる。柳月(お菓子屋)のシュークリームは美味しい。

気づいたのは、釧路は街中の広告放送がすごい。埼玉の商店街でもあるけど、北海道の商店街も広告放送が凄まじいが、それは街の中心部の商店街という限られた地域だけ。釧路は駅から5Kmくらい離れた場所でも放送がある。自転車だからこそ、わかったことだ。

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7日目 路面のゴースト

再び内陸部へ戻る。釧路は良い所なので、できればずっと居たかったが、一生いるわけにもいかないので帯広へ進む。帯広は道東だと思っていたが、ある北海道 情報を扱った雑誌では『十勝地方』に分類されていた。最近は道東のことを『ひがし北海道』などとも言うし、北見は『オホーツク』などと言うし、やはり個人 主義でみんなバラバラなのが北海道の気質なのだろう。

ちなみに、いつのまにか北見名物になった『オホーツク塩焼きそば』は旅行雑誌か何かの企画で、企業ベースで名物に仕立てあげられたものだと思っている。北 見周辺で生まれ育ったが、塩焼きそばなんてもの聞いたことなかったし、伝統的な料理ではない。北見産の玉ねぎを使ったり、紋別の塩を使ったりして焼きそば を作るのは良いことだと思うから、それで観光客を少しでも呼べるのなら、それに越したことはないと思う。ただ、北見市内をさらっと見ているだけでは、どこに行ったら食べられるのか、いまいちよくわからない。地元でも入りづらい店が多いし。

さて、あまり気が進まないが帯広へと向かおうか。釧路にいると、自分が港町の方が向く男だというのがすごくわかる。再び内陸に戻るのが嫌だ。

だが、内陸に戻るというのが今日の行程。

帯広も遠いなぁ。街と街が離れているのが北海道の特徴だから仕方がない。

帯広と釧路は内陸都市と沿岸都市ということもあって、かなり街の雰囲気は違う。しかし、交通網としては札幌からの特急が『札幌→帯広→釧路』という運行形 態なので、帯広と釧路の人の流れは比較的あるものだと思う。それこそ、道東(多分)の2大都市である北見と釧路のように、直通列車がない都市間とは、比べ ようもないくらい交流があると思われる。

北海道第2の都市である旭川との交流はどうだろうか。旭川と帯広は比較的近いので、車等で日帰りで行き来できるような気がする。だが、釧路となると距離が あるし、釧路から旭川に直通する列車もない。だから、やはり北海道は札幌とその他大勢・・・という構図が基本となっている。

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帯広まで77Km。距離の標識を見るたびにゲンナリする。なるべく見ないようにするが、目立つので見てしまう。永遠に続く直線と微妙なアップダウンの道路はつらい。

写真では写っていないが、さっきから蜃気楼のようなものが見える。風のない暑い日に発生する「逃げ水」という現象だ。雨は降っていないが、遠くのアスファルトが濡れているように見える。

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振り返ってみてもこんな感じ。人類の気配はない。

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おっ、久しぶりに人類の気配だ。北海道の鉄道界のエース、キハ40だ。白昼夢かも? 夢と現実の区別がつかなくなっている。

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おっぱいの神社『乳神神社』を涼しい顔で通過。

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そこらじゅうにあるジャガイモ畑が十勝平野に入ったことを伝えるかのよう。

しかし、帯広はまだまだ遠い。こんな道が延々と続く。首都圏の下手なサイクリングロードよりずっと走りやすいのは確かだから、日曜日にちょっと走るとかそういう感じでなら、また走りたいかもしれなくもない。が、今は走りたくない。断固拒否する! けど、走るしかないよな。

ウダウダ言いながら走っていると、帯広の手前の街、札内へ。札内のコープでザンギ弁当を食べて、近所のインデアンで野菜カレーも食べてから、帯広へとラストスパート。自転車旅行中は1回で2食くらい食べるから、自転車=エコな乗り物だとは私は言い切れない気がする。

気づけば気温が30度以上。昨日までいた国内屈指のパラダイス、釧路では10度くらいだったのだから、帯広はものすごく暑く感じる・・・。

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暑さと疲労で朦朧とする意識の中、遠くに人影のようなものが数十体ほど見える。十勝の大都会、帯広だ。

もう地球上に自分以外の人間はいないだろうと諦めていたが、まだ人類は滅んでいなかった。自転車で北海道を旅していると、自分が人類最後の生き残りではないか? と真剣に思うことがある。

帯広市観光ガイド

帯広は主要都市の一つではあるが、十勝平野という北海道の中でも広大な場所にあり、初めての人には掴みどころがわかりにくい街だと思う。十勝で作られた農産物や乳製品が日本の食卓を担っている。

インデアン

カレー屋。帯広と言ったらインデアン、カレーと言ったらインデアン、というくらいお勧めのカレー屋。インデアンカレー390円くらいと、ファーストフード感覚で食べられる。客は地元の人がほとんど。市街地や駅近くの長崎屋などにある。

豚丼

帯広名物とされているが、地元の人はあまり食べないらしい(?)。割高感があるので、迷ったらインデアンをお勧めする。

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8日目 吾輩は人間である

帯広まで来たはいいが、ここから先のルートを考えていなかった。帯広に来てわかったことだが、意外にも人類はまだ滅んでいなかった。人類がまだ健在なら、札幌方面に戻って生き残った人たちと合流したいと思った。

帯広から札幌に戻るルートはいくつかある。

A、最短ルートとなる日勝峠経由
ここはJR石勝線や道東自動車道が通る場所で、札幌方面には一番近い。だが、地図をちょっと見ただけでもトンネル多いし、きつそうな峠だ。それはそうだ。ここは開拓時代からずっと鉄道などの建設でも避けられてきた場所だ。札幌から釧路や根室などの昔から栄えていた場所に行くための最短ルートであるにも関わらず、土木技術が発達した比較的最近までは鉄道はずっと遠回りをしていたのである。そんなわけで、とんでもない難所なのだ。もっと楽なルートはないか?

B、狩勝峠を抜けて富良野方面に出る
こっちのほうが遠回りだが楽そうだ。JR石勝線ができるまでは、札幌から釧路や根室へと至るメインルートで、今でも日本最長距離を走る普通列車は、このルートを走っている。富良野のラベンダーも見ごろだろうし、富良野に滞在するのも良いだろう。破格でリゾートホテル風の宿が予約できたので、富良野に行くことにする。

しかし、楽そうだという理由で選んだルートではあったが、目論見は外れ、狩勝峠も相当立派な峠であった。

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看板で何合目か教えてくれる。動物のイラスト付き。

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4合目。

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9合目。

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頂上。美幌峠ほどではないが、観光地と化している。

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眺め。

車やバイクで峠を登ったことがないが、車やバイクの人でも降りて景色を眺めたり休憩している人が多かった。自転車だとそりゃ休憩するが、車やバイクでも休憩したくなるものなのだろうか。

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気温が30度前後あるので、下りも寒くはない。やがて富良野市内に入る。市街地は遠い。

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毎日走ってるとそうでもないが、たまーにこういうところを走ると、すごくいいんだろうなぁ、などと思いながら走る。

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今日のホテルは、この旅始まって初のリゾートホテル。というか、富良野にはそういうホテルしか見つからなかった。団体客のキャンセルかなんかで、値段はビジネスホテル並み。列車で富良野に来たことはあるが、こんな別荘地帯みたいな場所があったとは。おしゃれっぽいペンションとか別荘みたいな建物が沢山ある地域だ。

予約した某リゾートホテルへ行く。夏だからそのメリットはないが、すぐ裏がスキー場になっている。冬だとホテルを出たらすぐにゲレンデという環境だ。

北海道の義務教育ではスキー授業がワンシーズンに5回くらいはあるが、見事に大人になってからスキーをやったことが1度もない。税金でスキーを9年も習ったが、その成果を社会で生かしたことが1度もない。生かしたことがないものを考え出したら平方根とかもそうだし、全く切りがない。

北海道に生まれて北海道を出るまでは、東京で1年に1回くらい雪が降るのを別にすれば、日本中で雪が降るのは北海道だけだと思っていた。実際にはそんなことはなくて、東京の人は上越新幹線に乗って越後湯沢のスキー場に行く。スキーなんて、ド田舎に住んでいる人が山奥でひっそりやるイベントだと思っていたので、東京の都会人までがスキーなんてやるのは意外だと思ったものである。

洋館のような佇まいのフロントにて。

自分「予約した者です。・・・自転車があるのですが、どうしたらよいでしょう?」
フロントマン「少し、いいやつですか?」
自分「少し、いいやつです」
フロントマン「中にいれましょう」

福島県郡山市の某ビジネスホテルでは、何度交渉しても屋外駐輪しか認めて貰えなかった。それがどうか? 今は向こうから屋内駐輪を提案してくれている。サイクリング王国とされる北海道ならではだと思った。きっと、いい自転車で訪れるサイクリストが多いのだろう。