Extra Stage2 軽井沢編

Extra Stage2 軽井沢編

自転車旅行記 軽井沢編 その3

碓氷峠鉄道文化むら

もうすぐ旧道とバイパスに分岐するという所まで来た。標識に「Usuitoge kyudo」と英字で書いてあるが、外人にKyudoと言って分かるんだろうか?

ここには碓氷峠鉄道文化むらという、鉄道系の博物館がある。有料。埼玉の鉄道博物館と違って、場外からでも展示車両が丸見え。

1997年10月に北陸新幹線が開通するまでは、この地には群馬から軽井沢方面に向かう在来鉄道路線があった。廃線してからは横川-軽井沢間に路線バスが運行しているが、青春18きっぷや北海道&東日本パスでは乗れないので、長野方面への旅行を躊躇った末に辞める人も多いのではないかと思う。軽井沢や長野は、新幹線客は得たものの、18きっぷの旅人は失ったであろう。

ちなみに長野と言えば、新幹線開通でホテル業界が衰退した街としても知られる。なにしろ、東京から余裕で日帰りできるようになったから、特に忙しいビジネスマンは日帰りが当たり前になった。

日帰りできるんだったら、経費削減で宿泊費を出したがらない会社も多いと思う。私なんかは出張の多い会社でサラリーマンをしていた頃、北海道とか横浜とか好きな土地に出張命令が出た時は、スケジュールに問題がなければ自腹でホテルに泊まったりもしていたのだけど。

新幹線が開通すれば、無条件でその地域が発展すると誤解されがち。

しかし、長野のホテル業界のように衰退する場合もある。ストロー効果と言って、東京などの大きい街側はより発展するものの、結ばれた小さい側の都市が衰退する場合も多いのだ。夢の新幹線・・・などと言って浮かれてはいけない。岩手とか青森みたいに、在来線が第3セクターになって不便になったりするし、そこに住んでない人でも青春18きっぷ等のJR用のフリー切符での通行に制限が出たりする。

Extra Stage2 軽井沢編

自転車旅行記 軽井沢編 その4

碓氷峠へ

いよいよ峠道へ入る。カーブには番号が振られていて頂上まで184個ある。たぶん、工事とか事故の時に場所を把握するためにあるのだと思う。しかし、走り屋が「72番のコーナーのラインが・・・」などという会話をしているのが容易に想像できる。

自動車学校では「カーブの手前で減速しろ」と教えられるが、コーナーの最中でグングン加速する走り屋の車が通っていく。ツーリング系のライダーや、走り屋風の地元ライダーが通る。ランドナー系の旅行サイクリストが1人、地元付近と思われるロードバイクが1人、オソロイのサイクルウェアを来た若い自転車サークルみたいな人達が数名、通っていく。

峠道に入ってからも、なんとドライブインや自販機まである。北海道の峠だと、水や食料を買い込まないと遭難間違いなしだけど、さすが内地!と言わざるを得ない・・・。

ここは走り屋の車も多いが、めがね橋といった鉄道遺産系の観光スポットが数多くあるため、一般観光客の車も多い。ハイキングコースがあるので、歩きの人もいる。湖などデートスポットもあるため、デート中もカップルもいる。ベストポジションに三脚を立て、一般観光客やカップルが構図から居なくなるのをイライラしながらじっと待っている鉄道マニアもいる。賑やかだ。色々な人種がいる。この峠道は人種のルツボだ。人っ子一人いない北見峠とは事情が違う。

はっきり言おう。北海道の峠と比べると、碓氷峠は超初心者レベルOKの峠だと思う。

なぜなら、これだけ人や車が通れば、万一、なにかトラブルがあっても救済を求めることが可能だからだ。1,000m近い峠で、数字だけ見れば北見峠より高い。しかし、50kmくらい店も民家も何にもなくて、ヒグマが出たら命を懸けて戦わなければならず、人っ子一人通らない北見峠より100倍くらいは安心して登れる峠道だ。まずもって命の危険を感じない。

このトンネルも鉄道系観光スポット。路肩は狭いが交通量は少ない。ライダーや走り屋の車に気をつけていれば安全と言える。

100個目のカーブで記念撮影。北見峠や美幌峠では半分トホダー状態だったが、碓氷峠はそれらの峠より緩やかな登りなので、足を着くことなく、割とすらすら登れた。

しかし、150くらいのカーブを過ぎたくらいだったか、瞬間的にだが少し登りがきつくなる所があった。北海道の峠だとツーリング系のライダーが多いが、ここは日帰り等の地元ライダーが多い。荷物が少ない彼らは、わざと蛇行運転する。この峠道では、彼らが多分一番危ない。

標高960m、碓氷峠に到着。小さな石碑と古い観光案内図があるだけで、眺望を眺められるわけでもなくて、割と寂しい。

よし、あとはひたすら軽井沢に向かって下っていくだけだ!!

Extra Stage2 軽井沢編

自転車旅行記 軽井沢編 その5

軽井沢と碓氷峠は同じもの

私は知らなかった。

私は、自分の無知さ加減を思い知った。

私が今まで越えたことのある峠全てや、一般的な峠は普通こうだ。峠という字の通りで、峠を登りきると、今度は下りがある。

おわかり頂けるだろうか。碓氷峠はこうなのだ。峠を登り切ると、そこに軽井沢の街がある。

北海道の感覚で言えば、美幌峠とかでは峠のてっぺんに土産物屋や小さいレストランがあるが、あれを街レベルにでっかくしたのが軽井沢だ。

軽井沢に来たのは初めてではないが、新幹線で来るとこのことがわからなかった。しかし、自転車で来るとこの事実がわかってしまう。厳密には数メートルレベルの下りはあるが、峠の下りと言えたレベルではない。

この峠のてっぺんにある地の利を生かして、軽井沢は東京の別荘地として開発された。なにしろ、こんな高所にあることで、軽井沢の年間平均気温は北海道の石狩平野よりも若干低いという。

東京の別荘地としては、新潟県の越後湯沢も有名。だが、あちらは温泉街があるにも関わらず、350m程度の標高なので、夏は東京都心と同じ程度に暑い。さらに冬は豪雪地帯。そのためか、バブル期には東京都湯沢町として別荘用のリゾートマンションが沢山建てられたものの、今では廃墟同然。中古の元豪華リゾートマンションが20万円くらいで売られている始末である。

峠のてっぺんに広がる、東京都軽井沢町。新幹線で東京から到着した観光客らがキャリーケースを引っ張って歩く。群馬のそれとは違い、渋谷や新宿など東京23区で見かけるようなファッションの人が多い。

中高年団体旅行者を乗せた星野リゾートのバス。今や北海道でもリゾートホテルを展開する星野リゾートは、ここ軽井沢が本拠地だ。

軽井沢では『新幹線で来てレンタサイクルを借りてサイクリング』という需要が多いらしく、レンタサイクル屋が駅近辺に多かった。クロスバイクやロードバイクをレンタルしている所もある。私は埼玉から自転車で来たが、新幹線で来たキャリーケースを引っ張る渋谷っぽい女性達とすれ違ったとき、「私達も自転車で周ろうか?」などと話しているのが聞こえた。

こういう道路を見るだけで、軽井沢が人工的に感発された街だという感じが伝わる。関東と北海道、どっちに近いかというと北海道の雰囲気だ。

軽井沢では新幹線や高速道路で来た人が行くようなレストランは多いものの、別荘地だけに庶民的な店がなかなか見つけられなかった。セーブオンに行くと、セイコーマートよりは少し高いが、セイコーマートと提携しているので、あの100円惣菜を扱っている。128円のパスタと豆腐でランチをする。この豆腐は手で簡単に開けられるのが良い。

軽井沢の話はここまでで終わり。あとは帰りに通った碓氷バイパスの話だけ。