何事も実際にやってみないとわからないということで、株の信用取引をやってみた。
本や証券会社の説明書きでは『わかるようでわからない』というのが正直で、信用取引って実際どうなの?と思って手が出せないでいる初心者の役に立てば・・・と実際の使用感をメモに残す。
信用取引を行うには
信用取引を行うには証券会社に信用取引できるように事前申し込みが必要。いつの間にか作られている人もいれば、よくわからないから放置してて作っていない人など様々だろう。
信用取引は名前の通り、それなりに信用のある人でないと審査に落ちて開設できない可能性もある。審査基準は1年以上の投資経験であったり、資金量(100万円くらい?)であったりする。
メリット1 資金の3倍以上で取引できる
いわゆるレバレッジ効果というやつがある。
一般的には、株の取引きは投資金額が上がれば上がるほど儲けるチャンスが増える。一つの銘柄あたりの購入株数を増やしたり、値幅変動が大きい傾向のある株価の高い銘柄を購入しやすくなるからだ。
証券会社によって異なるかもしれないが、例として楽天証券の場合は現金以外にも代用有価証券と言って塩漬けになっている株などを証拠金として差し出すことができる。但し、株を差し出す場合は時価評価額の80%として計算される。楽天証券の場合、最低でも30万円は現金や株を差し出していないと信用取引をすることができない。
30万円を差し出しているなら30万円の範囲内で取引をするなど、倍率がかからないようにすれば実質的なレバレッジはないので、空売りだけしたい場合などは使い方次第とも言える。
メリット2 売りポジションを持てる
いわゆる空売り。
現物では買いポジションしか持てないので株価が上がった時しか儲けるチャンスがないが、売りポジションでは逆に株価が下がった時に儲けられる。信用取引では下落トレンドの時も含めて、二刀流の投資ができるのだ。
『持っていない株をどうやって売るの?』という疑問が湧くかもしれないが、証券会社から借りて、利益が出るタイミングで買い戻すようなイメージ。買いも売りも出来るFXなど経験があるとイメージが湧きやすいだろう。
デメリット1 借金している気分になる
FXなどレバレッジのかかる他の投資もそうだが、実際の資金量より多く使えるのは借金しているからとも言える。
マイカーローンや住宅ローン、奨学金の類も明らかな借金なのだが、ちょっとした借金も気持ち悪いという人や、楽しむ範囲でやってるエンジョイ勢には向かない。
信用取引の手数料は細かく見ないとわかりにくいが、楽天証券の場合は買いポジションだと、基本的に年間2.8%金利がかかる。サラ金やクレジットカードのキャッシングは年利18%とかなので、それに比べたらずっと安いものの、お金を借りている以上は金利がかかるのだ。
買いポジションと売りポジションでそのあたりの扱いは異なるが、現物株みたいに塩漬けにしたり年単位で長期保有する用途には向かない。
デメリット2 株主優待が受けられない
信用取引で持ったポジションは、自分のものではなくて、あくまで他人様から一時的に借りた物。そのため、現物株と違って株主優待などの「The株主」のような特典は基本的に受けられない。配当金は配当金自体ではないが、それに相当するものが受け取れる場合がある。売りポジションの場合は逆に支払わないとならない。
持っている期間だけ金利もかかるし、あくまでも短期トレードで売買益を出していく用途に向くだろう。
デメリット3 細かい手数料が色々かかる
信用取引では現物株ではかからない細かい手数料が色々とかかったりする。
楽天証券の場合、料金体系は定額プランにしておけば現物株と同じ手数料体系なものの、細かく見ていくと事務手数料だの名義書き換え手数料だの、一回ごとの取引きや、保有している間は毎月かかるような手数料がある。
楽天証券もそうだが、松井証券やSBI証券なんかにもデイトレードプランみたいなのもあるが、自分でその日のうちにポジションを処分しなかった場合は高額な手数料がかかったりもする。手数料を含めたリスク管理や運用をガチでできる人向けだろう。
デメリット4 基本的に短期取引向け
デイトレードのつもりだったけど、ロスカットするタイミングを逃して塩漬けになってしまうパターンが多い人には向かない。
現物株なら資金効率が悪くなるだけの話だが、信用取引は基本的に6カ月で清算しないとならない。証券会社が独自でやっている期限がもっと長い一般信用というのもあるが、取引できる銘柄が限られていたり、金利が高めになっていたりする。
デメリット5 空売りの損失はどこまでも
基本的に買いポジションの場合は、その銘柄が倒産するという最悪の場合でも、その銘柄への投資金額がゼロになるだけ。
ところが、売りポジション(空売り)の場合の損失は果てしない。株価はどこまでも上がるからだ。ITバブルの頃の会社は株価が10倍や20倍に成長して今に至っているのも多いし、空売りの最大損失額は青天井なのだ。FXとかだとあまりにも円高や円安になると政府が介入するかもしれないけど、個別銘柄に国が介入することはないだろう。
ロスカットするスキルを身に付けていない人は絶対やるべきじゃない。
まとめ 信用取引のメリット・デメリット
今回は初心者向けに信用取引の実際がどうなのかを初心者目線で解説してみた。
一言で言うと、現物株でリスク管理しながら安定的に利益を出せる中級者向けだ。本も出しているようなバリバリの人でも信用取引は一切しないという人もいるし、少なくとも株をやり始めて数カ月とか、ビギナーズラックでちょっと儲けたレベルという人には、軽い気持ちで薦めることはできない。
個人的にはFXで散々経験したが、『買えば下がる』『売れば上がる』という現象は信用取引でも起こるので、信用取引を使うのは現物株でバリバリ稼げるようになってからでも遅くはないだろう。現物株でバリバリ稼げるなら、そもそも信用取引を使う必要もないと思うが。