PS2「風雨来記2」のゲームレビュー。個人の感想、ネタバレあり。
2005年に発売された知る人ぞ知る「旅ゲー」というマイノリティなジャンルに存する「風雨来記」というシリーズの2作目。このシリーズは開発元は変わったが最近でも最新作がPS4やSwitchで「風雨来記4」として岐阜県を舞台にしたものが発売されている。マイノリティなジャンルながら長寿なのだ。
1作目は北海道の道東地域を舞台にしたバイクツーリングと恋愛がテーマだったが、本ページで取り上げる2作目は1作目と同じ主人公で舞台が沖縄となる。
沖縄旅行を100回くらいと、沖縄での自転車ツーリングの経験者として、ネタバレありで辛口にレビューしてみようと思う。
風雨来記はどんなゲームなのかざっくりと紹介
旅ゲーと言っても多くの人にはピンと来ないと思うが、個人的には旅とゲームというのは、一般人の趣味としては対極にあると思う。
旅、特に野宿を伴う長期ツーリングはアウトドア趣味の中でもアウトドア度(?)が高いものだし、最近の空き時間にやるようなライトなスマホゲームとかを除けば、据え置き機でやるゲームというのはインドア趣味の極みのようなものである。
そんな対極にあるものを融合させたものが旅ゲーだ。
1作目は北海道の中でも特に自然豊かな道東や道北が舞台ということで、都会人には斬新に映るかもしれないが、実写の代わり映えしない風景を見ながら、どちらに曲がるか選択して移動するというシステムが賛否の分かれるものであった。
実際に北海道でツーリングをやるとわかるが、似たような道ばかりで曲がる場所を間違えると迷子になることはあるのだけど、移動がかったるいゲームであった。
2作目は北海道に比べると「どんぶり」と「梅干し」くらいのサイズ違いがある沖縄に舞台が移ったこともあるが、移動シーンが自動化された。
1作目と違って各地でキャンプするわけではなく、那覇の出版社に滞在する設定となり、連日やんばるの奥地まで数時間かけてバイクで往復する狂気を見せつけてくる。
ヒロインは3人、前半と後半でゲーム性が変わる
ヒロインは正統派ヒロイン風「芹沢暦(22)」、不思議ちゃん風「上原海琴(17)」、ロリ担当「真鶴・天継・テイラー(12)」の計3人。
基本的にはどこかに取材したり、主人公はライターという設定なので自分の記事の評価が上がったりすると、恋愛対象となるヒロインのイベントが解放されていく仕組みだと思う。
誰とも仲良くならずにストイックに旅を続けようとすると、ある程度の期間を過ぎると行ける場所がなくなってしまう。
取材場所によってはヒロインの誰かと同伴でないと「ここは一人でいってもつまらないな」とか主人公が言い出して職務放棄しやがるのだ。
沖縄に滞在する期間は長くて、イベントの進め方にもよるが50日近くにも及ぶ。初日から30日目くらいまでは沖縄本島メインで進めるが、その後に好感度(?)の高いヒロインの個別ルートに入り、石垣島と無人島に行く流れになり、その後が意外と長い・・・。
このゲーム、PS2のギャルゲーとしては珍しく、ヒロインも要所要所でしか喋らないパートボイスである。主人公の一人語りは長く、スキップせずまともに読んでいたら小説一冊分くらいは読まされることになる。
また、一般的なギャルゲーや恋愛ゲームだと、主人公=プレイヤーなのが主人公の姿が描写されないことが多いが、このゲームは後半になるとイベントでバンバン主人公の絵柄が映し出される。ヒロインと泳いだりキスシーンも当たり前に描写される。
沖縄の描写は2005年前後の時代を感じさせる
実写の背景と2Dイラストキャラという構成だが、奇しくも2005年と言えば筆者が初めて沖縄に行った年と同じ。
沖縄は他県では考えられないくらい国から補助金が出ることもあって各地で再開発が盛んだが、北谷の当たりなんかは今と風景がかなり違うのが歴史を感じさせる。
1作目は北海道ツーリングに熟知したスタッフが制作しているというが、沖縄は北海道ほどは熟知していないためか、「北谷町」が「北谷市」になっていたり、ところどころに間違いが散見されるのは気になった。
主人公の一人語りするシーンは多いが、歴史や事実を学ぶ教材としてはあまり適していないと思う。主人公(制作者)の想像なのか事実の説明なのかがはっきり箇所もある。
30日目以降の無人島行きなどの怒涛の展開
攻略情報なしでプレイしたが、記事の作成が作業的でめんどうくさいため、30日目くらいまではヒロインの攻略が進まず、取材場所も広がらなくて行き詰っていたが、31日目くらいになって急に22歳のヒロインがなついてくるようになった。
このゲームは誰かしらのヒロインのルールに入らないと後半になるにつれて取材ができなくなってしまうようだが、急に那覇から400Km離れた石垣島にヒロインと取材に行くことになる。
ちなみに、同じ沖縄県内でも沖縄本島と石垣島は関東~関西くらいの距離があり、海上部分を含めると沖縄は北海道と同じくらい広い。
石垣島についても2005年当時の描写。今は市街地から遠いところに空港が移転されたが、空港移転問題に揺れている描写がある。
石垣島旅行の後は、なぜだか唐突に無人島に行く流れに。
前半の沖縄本島でもリアリティある取材や観光情報はなんだったのかと思うが、現実には一般人が沖縄の無人島でキャンプをすることは許されないが、5日間もの日程でヒロインと二人きりで無人島キャンプをすることになる。
この無人島の話はどこまでがフィクションでどこまでが現実的なとなのか判断が難しいが、ファンタジー世界が半分くらいは混じっている気がする。
今作は1作目と違ってキャンプ描写がなかったから、その反動でヒロインと無人島キャンプをさせたかったのだろうという制作者の想いはヒシヒシと伝わっては来た。
風雨来記2の感想まとめ
テキスト長すぎるし、記事作成が面倒すぎるし、旅とゲームはそれぞれは面白いものだけど、融合させると「混ぜるな危険」になってしまうことを感じさせる迷作。
タイトルだけだと何のゲームなのかわかりづらいからか、それほど一般ゲーマーには知られていない作品だと思うし、後半の22歳ヒロインの展開についてはギャルゲー風味が強すぎるから、沖縄観光情報をウリにしたとしても万人向けとは言えないのは残念。
それほど出荷数が多くなかったからかパッケージ版はリアルショップでも見かけないし、ネットでもプレミア価格が付いているマニアックなゲームな気がする。アーカイブスなどで買える方法もあるようなので、風雨来記4でこのシリーズを知った人はやってみるのも悪くないのではないだろうか。
沖縄観光部分はリアリティがあるとは自分は思えないけどね。やんばるや離島なんかは各地にキャンプ場があるし、沖縄は味のある民宿が多いから、各地に滞在して旅して欲しかったと思う。