
若干じゃまな気がする新津駅のオコジロウ&オコミのオブジェ
この新潟駅から始まる日帰りの旅は、計画的に組み立てたものではなかった。
読み方も知らないまま向かった「瓢湖」という湖。同じく「水原」という読み方がわからない最寄り駅。そして、水原駅で目に入った越後桜の酒蔵見学へと誘う看板。
さらに、瓢湖で繰り返し耳にした「福島潟」という言葉が、次の行き先を自然に決めていった。
目次
読み方も知らない瓢湖へと向かう
読めるけど書けない漢字というのは沢山あるが、今回は読むことすらできない瓢湖へと向かう。
瓢湖は冬になると大量の白鳥がやってきて、エサやりの名物おじさんの写真を新潟では見かけることが多い。世界で初めて野生の白鳥の餌付けに成功したのが、そのおじさんなのだという。
瓢湖に行ってみたいと思ったのは、ただそれだけの理由だった。だが、季節は桜がほぼ咲き終わった少し暑い4月下旬。名物の大量の白鳥たちはいるのだろうか・・・。
最寄り駅は水原という駅
水原は「すいばら」と読むらしい。だが、受験生が英単語を覚える時のように、3回ほど口に出してもすんなりとは読み方が覚えられなかった。
羽越本線の駅である。新潟駅からはそんなに遠くはないが、信越本線の長岡方面行きの列車に乗って、新津駅で乗り換える。正直、少し面倒くさい。しかも、羽越本線の新津~新発田の列車は1~2時間の一本くらいと少なく、新津で時間調整をした。新津は鉄道の街であり鉄道博物館という施設もあるが、駅からはだいぶ遠く、そこ行くまでの時間と気力はなかった。
新潟駅から新津で乗り換えるルートは、決して複雑ではないのに、少し不便に感じる。だが、実際に水原駅に着いてみると、そのひと手間が逆に旅らしさを強くしていた。
白鳥ではなく「白鳥蔵」へと吸い寄せられた

水原駅で改札を出てすぐだった。越後桜酒造の見学を案内する看板が目に入った。
越後桜酒造は「白鳥蔵」という、新潟では誰もが知るレベルで有名な神(紙)パック酒のメーカーである。
スーパーで普通に100円弱で売られている本格的な新潟酒なので、新潟に来たら毎日買うレベルで頻繁に買って飲んでいた。その紙パック酒を造る酒造所が駅から徒歩15分のところにあるらしい。これは行くしかない。
俺は湖の白鳥を見に来たはずだが、特に意識していたわけでもないのに、なぜか「白鳥蔵」の方に自然と引き寄せられていった。
図々しくも全種類を試飲だけしてきた

白鳥がいるという瓢湖とは反対側に、踏切を渡って徒歩15分くらいの所に酒造所があった。建物は機能性を重視したシンプルな造り。観光地的な酒造所と違って、大型観光バスが寄ることもなく、見学者は自分一人だった。

見慣れた顔ぶれの白鳥蔵3姉妹たち
建物に入ると係の人が1人だけいた。
見学は事前予約が必要で不可だったが、試飲ができるという。せっかくだから試飲させて貰うことにした。

左から右に向かって高級品になるそうで、左から順番に飲むように勧められた。財布と鞄に余裕がないので買うつもりは全くないが、飲みなれた紙パックの白鳥蔵と共通した風味が確かにある。
そんでもって、ここに並ぶのは地球上でここでしか買えない門外不出の酒たちであるらしい。マンツーマンなのでわかったようなわからないような一言コメントをしつつ、試飲だけさせて貰ったが、旭川の男山のように国内展開よりも海外展開に力を入れているように思えるメーカーもある一方、県内限定や酒造所限定とするメーカーがあったりと、メーカーによって様々なものだ。
なにげに湖のことを聞くと瓢湖(ひょうこ)と読むらしく、そもそも紙パックの酒にも「水原瓢湖」と書いてあることに今さら気づいた。
時期的に今はカモの季節で、白鳥はほとんどいないというようなことを聞き、ほろ酔い気分で越後酒造を後にした。
本来の白鳥を見に瓢湖へと向かう
ほろ酔い気分で駅に戻り、瓢湖に向かって歩いた。
水原は今さらだけど「すいばら」と読むのだが、ここ阿賀野市の街並みは、日本海側によくあるような街と同じような景色だった。派手さはなくて、雪景色が似合うような、どこかしんみりした街並みである。

瓢湖の向かい側にある土産物屋っぽい施設
水原駅から瓢湖はそれなりに歩く距離で、のんびり30分くらいは歩いた気がする。

瓢湖は東京23区が全部収まりそうな北海道の網走湖やサロマ湖、屈斜路湖、阿寒湖などのイメージからすると、だいぶ小さな湖である。のんびり歩いて20分くらいで一周できるようなタイプの湖で、よくある住宅街の公園にある湖というイメージに近い。
前評判の通り、2羽ほど目に入るが白鳥はほとんどいなくて、カモにエサやりしている人がいて、今の時期はカモが主役のようだった。
瓢湖の近くには土産物屋のような施設はあるが、飲食物は渋い感じなので、酒やツマミを求めるには付近のマツモトキヨシが使える。

阿寒湖などに比べるとかなり小さな瓢湖を一周すると、シベリアに帰るタイミングを失った白鳥たちが集まる一角があった。全部で10羽ほどだろうか。
近くで見ると、やっぱり白鳥は可愛い。
後で調べると無料の白鳥資料館である白鳥の里という施設が園内にあるらしくて、行かなかったからそんなもんあったかな~と残念に思ったところ、もっと調べると財政難等で閉鎖していたらしい。
瓢湖は冬に来ると、本当に白鳥に埋め尽くされるくらいらしいから、わざわざ来るんだった冬なのかもしれない。
瓢湖で頻繁に耳にした福島潟に向かう
瓢湖を散策していると、目当てだった白鳥よりも「福島潟」という言葉がやけに耳に残った。行き交う人の会話の中で何度も出てくる「福島潟」という名前が耳に残る。
新潟自体が「潟」だし、潟に何かしら関わる人間なら、福島潟は押さえておくのがマストということだろう。
ちなみに、潟とは英語で言うところのラグーン(笑)だ。
元は海だった場所が砂などの陸地で遮られた場所のことで、世界中に沢山存在していて、新潟における代表的なラグーンが鳥屋野潟であり、福島潟である。
俺の感覚からすると釧路湿原もラグーンのような気がするが、釧路湿原は湿地であってラグーンではないとされているようだ。
その明確な違いとして、これも俺の感覚的なものだが、ラグーンは水深が浅くて周囲の地面が固まっているものの、釧路湿原は地面があるように思えても、すっぽり地面が抜け落ちて2mくらい水没することがあるから、不用意に周囲を歩けないというのがある。
羽越本線の月岡駅から福島潟へ向かう

羽越本線を走る2両編成のキハ110系気動車
瓢湖から福島潟へ向かうには、車社会の新潟では一般的に車で向かうだけだと思うが、鉄道の場合はいったん水原駅に戻って、1~2時間に一本程度の羽越本線で2つ先の月岡駅で降りる。
そうすると、福島潟の南東からアプローチして福島潟を堪能し、帰りは本数が多いような気がする白新線に乗車して、豊栄駅から新潟駅に快適に戻ることができるという、パーフェクトプランな旅ができる。

そして月岡駅に到着。電車も走る路線だから電化はされているものの、感覚的には北海道の田舎の方を旅しているイメージがデジャヴ(?)する。少し厚岸とか根室との花咲線とかの感じ。雪がある季節だったら、ほぼ北海道ではないだろうか。あと、月岡ってくらいだから、月が綺麗なんじゃないだろうか。

30分か1時間くらい歩けば憧れの福島潟に着くイメージだけど、周囲はとんでもない田舎の風景で、歩いて来たらマズイ場所のような気もするものの、実際には駅や街からそんなに遠いわけではない。普通の人は車でしか行かない場所に歩いて行くというだけの話だ。

福島潟というワードは夢に出るほど何度も聞いた
しばらくすると、憧れの福島潟が見えてきた。
瓢湖は水原駅にあった説明版によると、寛永年間、つまり1624年から1644年に作られた用水池で合ったのに対して、福島潟は自然が作り出した本物の自然。こっちの方が断然、自然の風景なのである。

拠点となる施設もあって、鳥屋野潟の中心市街地から見て反対側にある空間にちょっと似ている。土日は普通に観光客の家族連れが多くて、新参者の地ビール施設とか、宿泊施設とかもある。マニアには溜まらない潟カードも配布している。
特筆すべきは1泊200円弱のキャンプ場もあるということ。実際に少し寒い季節だが、キャンパーも何組かいた。
ただ、普通は車前提の地域だから、周りにスーパーやコンビニがなく、日帰り入浴施設やシャワーがあるのかは不明。トイレは24時間使えるらしいが、徒歩でここに来るのと北海道にキャンプに行くなら北海道の方が上かな。
帰りは予定通り、今度は豊栄(とよさか)という、このあたりの中心になるような駅から新潟駅に戻って、この日帰り旅行の話は終わり。
ちなみに、このあたりの地域は新潟市北区で実は新潟市内。瓢湖は阿賀野市という別の自治体になる。新潟市はとんでもなく広いなとびっくりしたが、新潟市は約726km²なのに対して、北見市は約1,427km²の方が2倍くらい広かった。そりゃ、広すぎて財政破綻寸前になるわな。








