Fourth Stage 沖縄本島編

2日目 その2 やんばる(本島北部)へと旅は続く

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頭痛薬を飲み、右膝の痛みに不安を覚えながらも、ゆっくりペースで国道58号線を北上する。このあたりは米軍の嘉手納基地の間を国道が通っていく。元々は米軍用の道路として作られたそうだ。頭上に戦闘機が爆音と共に飛び交う。

沖縄に何度も来ているので、最近はあまり気にならなくなったが、沖縄を走っている車の多くは中古車だ。本土で酷使された車が沖縄で売られている。北海道だと転勤とかで「品川」とか道外ナンバーをたまに見かける。彼らは内地風(※)を吹かしたいらしく、いつまでも「品川」ナンバーなのだが、沖縄だと県外ナンバーは滅多に見ない。沖縄ナンバーの方が車検が安くなるからだそうだ。

※北海道では本州のことを内地と言う。沖縄では北海道、本州、四国、九州のことを内地や本土と言う。

嘉手納町を抜けて読谷村に入る。天下の58号線沿いも、グッと島の落ち着いた雰囲気になる。夏だと歩道に国の天然記念物であるオカヤドカリがいて感動することがある。オカヤドカリは本土のペットショップなどで売られていることもあるが、天然記念物なので観光客が無許可で捕獲してはいけない。

恩納村に近づくにつれて「わ」ナンバーのレンタカーが増える。リゾート色が強くなる。沖縄の桜は1月~2月頃に咲く。冬の日中の気温は20度前後と初夏の北海道並に走りやすいが、それほどサイクリストは多くない。ここまで2人くらいしか見かけなかった。

沖縄は車道の路側帯が狭いのと、大型トラックや観光バスが多いので歩道を走行した方が安全だと思う。歩いている人は滅多にいないし、沖縄の歩道は大抵広い。広いせいで、駐車場として使われている場合も結構あるのだけど。

海が見えてくると恩納村だ。恩納村は1975年の沖縄海洋博の頃に開発されたリゾート地帯だ。リゾートホテルや別荘のような建物が多い。このあたりから北の沖縄本島は「やんばる」と呼ばれていて、自然などが多く残されている。中心都市は名護市で、やんばる全体の人口は約12万人。沖縄本島自体は、那覇市を中心とした南部に人が集中している。

恩納の道の駅付近。道幅も広く、走りやすい。リゾートホテルの多い区間で、那覇からの路線バスも多い。基本的に、那覇から北に向かう時は登り坂となる。以前より自転車の写真が増えたのは、北から南まで一緒だったせいで、物に愛情を抱かない私でも少し愛着が湧いたから。沖縄県内で累計走行距離が8,000キロを超えた。日本一周はコースによるが、多分7,000~8,000キロくらい。

明るいうちに名護まで着いているのが本日の理想。というか希望。恩納のリゾート地帯を抜けて、さらに北へと進んでいく。

木の実が路上に沢山落ちていている。この木の実は、沖縄の色々な所にある。避けながら進んでいく。「毒があるので食べてはいけません!」という張り紙をたまに見る・・・。いい年した大人だったら、美味しい木の実がそのへんに転がってる可能性が低いことは、常識的にわかると思うが。国道沿いの小さな公園でトイレ+小休止を挟む。

休んでいると、50代後半くらいの自転車旅のオジさんが話しかけてきた。私は自転車旅で他の自転車旅の人と話すことは滅多にない。同類嫌悪というわけじゃないが、民宿やライダーハウスの類をまず絶対利用しないので、まとまった時間、彼らと接する場がないからである。輪行は飛行機か新幹線だし、八戸から北海道までフェリーに乗った時(2nd Stage 埼玉~東北~北海道編参照)は、周りは全員、定年退職の年金生活者だった。

オジさんは今朝、北海道の新千歳空港から福岡経由で那覇に来たらしい。福岡出身でサラブレッドに惹かれて、現在は北海道の日高地方に住んでいるという。日高は牧場だらけの場所で、JR日高本線の車窓は馬だらけだ。馬が好きな人には堪らないだろう。

オジさんは去年の8月に北海道を自転車で走ったという。夏場の北海道は自転車旅行をするために、夏休みの学生や正体不明のオジさんなど、色々な人達が全国から集まってくる。今日は夏みたいに暑いのに全然サイクリストがいないね、という当たり障りない話をしてオジさんと別れた。平日だから当たり前だろう、と内心思った。日が沈むまで話が終わりそうになかったので、早く切り上げねば、とも思った。オジさんは3日間で沖縄本島を一周して、石垣島に向かうという。

オジさんはそういうタイプではなかったが、どうも50代後半や60歳前後くらいの人には警戒心を持ってしまう。ちょうど親子くらい歳が離れているので、その年代の人は自分の子供に説教をしているつもりで、他人にまで説教をする傾向があるように思ってしまうからだ。

遠くに見えるのが名護の街。全然興味がないが、名護には北海道の某プロ野球チームが冬期間キャンプに来る。というか、日本のプロ野球チームの大半が沖縄でキャンプするらしい。キャンプって、バーベキューとかやるアレかなと思うと楽しそうだけど、実際どんなことをしているかまでは全くわからない。多分、野球の練習だろう。

夕暮れ時の名護湾。日中は暖かい冬の沖縄も、日が沈むと気温が下がり、寒暖の差が激しい。単純に景色だけで言うと、北海道より沖縄の方が山あり、海あり、街ありでエキサイティング。北海道も島ではあるが、沖縄の方が18倍くらいは島って感じがする。

北海道は大陸的で、自転車だと同じ景色が最低6時間は続く。

それに比べたら、沖縄自転車旅は走馬灯のようだ。走馬灯って死ぬ時に見るアレで、どんどん景色が変わっていく。刹那的でさえある。

北海道と沖縄は戦ってきた歴史がある。というか、一方的に北海道が「海しかない(失礼)沖縄に負けるはずがない」と観光客誘致に熱くなっている。自分の知る限りでは、沖縄が北海道を観光でライバル視している話は、あまり聞いたことがないが・・・。

沖縄自動車道の名護側の許田インター付近。沖縄自動車道は那覇と名護を結んでいる高速道路。名護側が起点。

国道58号線も実際は鹿児島県が起点で、種子島、奄美大島を海上で経由して、北から南へ沖縄本島を那覇まで縦断している。海上部分を含めると日本最長の国道だ。ゴッパチとかゴーヤとも言う。

名護湾に沈んでいく夕日。

日が沈んでしまったので、なにはともあれ、かねひでで買って海岸で夕食。寒くて手が凍える。ミートスパゲッティー238円はボリューム満点。かねひでに限らないが、沖縄のスーパーの惣菜は、お得感あるものと、そうでないように思えるものの差が激しい。

騙し騙しここまで漕いできたが、右膝が結構痛い。100が最大なら、70超えだ。名護中心部までは5Kmくらいだから、しばらくは寒いし自転車を押して歩こうか。

名護まで来たのは多分、人生で3回目だと思う。初めて来たのが2005年で、2回目が2009年だった。那覇からバスで来ると片道1800円くらいかかったと思う。交通費のかかる北海道でさえ、札幌-旭川間(約120Km)の高速バスが片道2000円なので、沖縄のバス代は少々高いと言わざるを得ない。

でも、沖縄のバスは他県のバスより楽しい。客が少ないと運転手さんが世間話を振ってくるし、バス停がないところでも人を拾ったりする様はタクシー顔負け。タクシーもタクシーで、目が合うだけでも止まってくれるし、自転車押してても乗車を誘われる。レンタカーでしか沖縄を回ったことがない人は、バス旅も薦めます。

名護には全国チェーンのネットカフェが1軒だけある。那覇はホテルが過剰にあるので価格競争で激しく、特に冬は軒並み安いが、名護のホテルは高い。那覇は1泊3000円前後が相場だが、名護は6000円前後が相場だ。

この日、初めはネットカフェを利用しようと思っていたが、ローソンの無料Wifiを利用してスマホで調べたら3980円でホテルがあった。名護で3980円は相当安い。たまたまその宿泊サイトのポイントが溜まっていたので、さらに安く泊まれる。膝も心配だし、昨日からまともに眠っていないので、この日はホテルに宿泊することにした。

キャッスルという名のホテルだが、外観や設備は古城と言った感じだ。しかし、物は考えようで、本土のホテルと比較するとそう思えるだけで、アジアの安宿とかだと思えば、全く何ともない不思議。マックスバリューでポークなどのうちなー弁当を買って食べて寝る。

ちなみに、このホテルは地元では幽霊が出るという噂があるらしい。沖縄は死後の世界と密接に繋がっていて、地球で最もこの世とあの世がリンクしている場所であり、ユタがどうのこうの・・・という話を78回くらい沖縄本で読んだことがあるので、幽霊の噂なんて乙女チックなものが沖縄にもあるというのは意外だ。

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