2024年現在の格安スマホ界の定番エントリーモデルと言えばOPPO A79 5Gという機種である。
この機種の純正カメラアプリで、地球上のどこにでもありそうな景色を撮影するのは大変に難しいという難題にぶち当たったのでござる。
実売1万5千円台で手に入る最新スマホではあるが
Y!mobileをSIMフリー化したモデルなら未使用品が実売1万5千円台で手に入る。
かつてはキャリアが販売する携帯端末は自社のSIMしか使えないように小細工がされていたものの、現在は法律でそのような姑息な手を使うことが禁じられているため、SIMフリー化した端末が売られているのであろう。
1万5千円台で最新バージョンのAndroidが動いて、128GBの本体メモリと5千万画素のカメラが付いているんだから、とりあえずオモチャとして買ってみたわけである。
ちなみに、6年前にあたる2018年頃だとHUAWEIのP20 liteあたりが定番として売られていたので、筆者はバッテリー交換しながら6年ほど使ってきた。
iPhoneと遜色ないくらいに洗練されたハードとソフトで素晴らしかったが、ご存じのように、素晴らし過ぎたためかHUAWEIはアメリカに圧力を掛けられて日本の格安スマホ界からは存在感を薄めてしまっているのが現状。
できればHUAWEIの新機種を手に入れてみたかったが、HUAWEIのスマホにしろ、ミラーレス一眼のEOS Mシリーズにしろ、なぜ良いものが悉く世の中から淘汰されてしまうのかが未だにわからない。
そもそも問題、EOS Mシリーズが終了したのが原因
このOPPOだかいう中華メーカーの格安スマホを買う羽目になったのは、そもそも問題としてはEOS Mシリーズというミラーレスカメラが深く関わっている。
今年の2月に沖縄旅行の最終日の1日前に愛用だったEOS M2がご臨終したあと、未だに代わりになる旅行用カメラが手に入れられずにもがき苦しんでいるのだ。
なにしろ、EOS Mシリーズはキヤノンがひっそりとシリーズを闇に葬って、新しいレンズマウントを持つ新型ミラーレスシリーズを展開しだしたことが大きい。
EOS M用のレンズ資産(と言ってもロクなレンズが発売されなかったので標準ズーム1本しか持っていないが)とかどうしてくれんねん! としか言いようがない。
そりゃレンズマウントごと新しくした方が儲かるのはわかるけれど、おかげで世の中にはEOS M難民がそれなりにいるようで、なぜだか4年前よりもEOS Mシリーズの中古価格が高騰しているのだ。
俺は4年前にEOS M2のレンズやアクセサリー付きの中古良品を6か月保証付きで2万5千円ほどで買ったが、今ではボディだけの並品でも3万円前後もする。レンズ付きだと4万円くらいで売られている場合もある。
メーカー修理も終わって、新しいEOS M用のレンズやアクセサリーも出るわけがないのに、高騰した値段で買うのはリスクが高すぎる。
経験上、EOS Mのシャッターは壊れる10ショット前までは何ともなくて急に壊れるから、良品と言われても信用するに足りなり。
「最近なんとなく調子悪いなぁ~」なんて感傷に浸る期間もなく、元気だったのに急にご臨終してしまうのだ。そのため、今から中古で買うのは精神的によくないのである。
スマホのせいでコンパクトデジカメどころか低価格ミラーレス市場も淘汰
スマホで簡単にそこそこ高画質で写真が撮れるから、コンパクトデジカメの市場が食われてしまったのはわかるのだけど、エントリークラスのミラーレス一眼も食われてしまったようである。
そう、EOS Mとかのカテゴリーである。
比較的安くて小さいのはいいけど、上級ユーザーが使うには機能や画質が物足りないから、イメージチェンジを図って上級ユーザーを取り込むべくEOS Rが誕生したことは想像に難くない。
コンパクトデジカメは今ではまともなカメラメーカーの製品を店頭で見かけることも少なくなってしまって悲しすぎる。
結論 OPPO A79 5Gのカメラは画質が不安定すぎる
話が脱線してしまったけれど、こうしたカメラに対するバックグラウンドがある立場から言わせて貰うと、結論的にはOPPO A79 5Gのカメラは画質が不安定過ぎたのである。
カメラ性能について語っているいくつかのレビューサイトは事前に拝見していたが、業界関係者が運営しているようなサイトだとクソだと思ってもクソだとは書けないだろうから、どこのレビューサイトも断定的にクソだとは書いていなかった。
むしろベタ褒めしているような業界の会社が運営するサイトでのレビューも見かけた。
1サイトだけ、クソだと思いつつもオブラートに包んだ表現で「あまり良いとは言えない」というムズ痒い表現をしている所はあったが、クソだと断言している所はなかったように思う。
だから、あえて個人の感想として一言で言うとOPPO A79 5Gのカメラ性能はクソである(2回目だけど個人の感想)。
オブラートに包んだ言い方をすると不安定なのである。
カメラには標準とAI強化という2つのモードがある
6年前に買ったHUAWEIの格安スマホだと、何にも考えなくても安定的に少し派手目だけど、そのままブログやSNSに使えるような画質で撮影できる。
ところが、OPPO A79 5Gは被写体によって得意、不得意のバラつきが激しい。
プリインストールのカメラアプリには標準的に撮影するモードと、メーカー公式サイトで謳い文句にしているAI強化というモードがある。
標準の方が無難だけど、日中の昼間でそんなに難しい被写体ではないはずだけど、半分くらいは色味が狂ったように写る。特殊な被写体でなく、空の色とか草木の色がおかしいとか、地球上のどこにでもあるような被写体ですらおかしくなる。
AI強化をオンにして撮影すると空は空だと認識して、自然な青色にしてくれるのだけど、こんなのAIなんていう流行り言葉を使わなくても、フィルムの時代から青空は青空らしい色で映るように設計されているし、キヤノンのカメラであれば20年も前から搭載されている映像エンジンのDIGICが同様の処理をしていると思うけれど、AIがどうのっていう次元の話ではないように思う。
肉眼で見える自然な色味で撮影するのが困難
肉眼での見た目に近いように再現するのは、カラーフィルムが開発された当初からやっていくることだし、デジカメにおいてはカメラの基本機能でしかない。
それをAIがどうのと言われも困ってしまうし、この出来損ないAIのせいで日中の何でもない景色を撮った時に、なぜかいかにもHDR合成しましたっていう背筋が凍るような写真が撮れてしまうことも多いので、常時オンにするのは狂気の沙汰でしかない。
Adobe Lightroomのカメラ機能を使うと少し安定する
プリインストールの純正カメラアプリは個人的には使い物にならないが、サードパーティーのカメラアプリだと少し改善される。
AdobeのLightroomはカメラ好きの間では同名のデスクトップアプリがよく使われているが、スマホ版はプランに加入しなくても基本機能は無料で使うことができる。
中でもカメラ機能は優秀。
プリインストールのカメラアプリとは関係なく動作するので、独自に色味の処理などができるからだ。
記録形式もJpegとDNG(RAWみたいなもの)を選べるのも利点。
色々検証した結果から思うに、OPPO A79 5Gはカメラのセンサー自体はすごく地味な色味で信号を出力するようで、純正のカメラアプリはソフトウェアの処理で盛大に色付けしているようである。
ただ、その色付けがキヤノンなどのまともなカメラメーカーの基準からすると、標準でもAI強化でもイマイチ過ぎるのである。
サードパーティーのカメラアプリを使うと一応は回避できる。
唯一の美点は夜景撮影能力は6年前より進歩していること
日中の撮影はクソという感想だが、唯一、6年前のHUAWEIに勝っているのは夜景撮影能力だ。
夜景というか、夜の街並みスナップ的な被写体の場合、6年前のHUAWEIだとノイズも多いし、ブレしまうことが多いのが悩みの種だった。
そこに関しては6年の時間的猶予があるからか、比較にならないほどノイズが少なく、手振れも少なく撮影することができる。ミラーレス一眼のEOS M2に匹敵するくらいの画質なのは驚きであった。
夜の街並みスナップ専用カメラとしては使い物になる。
やっぱりちゃんとした写真はちゃんとしたカメラで撮らないとダメってことだとは思うけれど、学んだのはエントリークラスのスマホのカメラは6年間ちっとも進歩していなかったということだろう。
全部、個人の感想でしかないし、カメラ機能にこだわってこの機種を買う人がどれだけいるのか知らないけれど参考にする人は自己責任で。