PS4「英雄伝説 閃の軌跡III (3) 」のゲームレビュー。個人の感想、ネタバレあり。
シリーズ物のガッツリしたストーリー重視のRPGだけど、シリーズは一切やったことがない。
なぜ買ったかというと、先日レビューした「BLUE REFLECTION TIE/帝」を某通販サイトで買った際の送料無料になる金額に少しばかし足りなかったので、金額合わせのために400円くらいでちょうどよかったので購入。
こんな不純な動機で買ったのは発売日に定価で買ったりするシリーズファンには申し訳ないと思いつつも、パッケージ的にも今風のイラストだし、長く続いているシリーズだから世間的に評価もそれなりに高いはずだからと思うし、どんなものなのかとプレイしてみた。
英雄伝説はドラクエやFFに並ぶ超古参RPG
それなりの年代のゲーマーなら名前くらいは聞いたことあると思うのがドラゴンスレイヤーとか英雄伝説というタイトル。
日本ファルコムという、東京の立川市にある古参ゲーム会社が手掛けているシリーズで、代表作であるドラゴンスレイヤーの最初の作品は1984年にPC-88用としてリリース。
ファミコンのドラゴンクエストは1986年発売だし、ファイナルファンタジーは1987年発売だから、むしろドラクエやFFよりも歴史が古い。
そのドラクエスレイヤーの6作目として世に君臨したのがPC-88などにリリースされた「ドラゴンスレイヤー英雄伝説」なのである。
タイトルやシリーズの括りなどが変わりながら現代にまで続いているのだ。
物語の途中だけど今作だけで80時間かかる
閃の軌跡は全4部作の分割商法で、全くプレイしたことはないが前作や前々作が存在している。
ドラクエとかFFみたいにマーケティングのためにタイトルだけ看板的に共有しているのではなくて、閃の軌跡に関しては完全に世界観やキャラクター、ストーリーも続きものである。(もっと言えば他の軌跡シリーズも関連するというけど、俺は忙しいからそこまでは知らん!)
だから、急に3だけをプレイするというのは、連続ドラマの途中から見るようなものだけど、転職続きの自分からしたら、前後関係がよくわからなくても部署に放り込まれて引継ぎもロクにないなか、無責任な中間管理職から「明日から一人でやってね」なんて展開は何度も経験しているから、まぁ何とかなるでしょうという期待と不安でゲームスタートする。
どうせ400円くらいで買ったゲームだし、つまらんかったらすぐやめようという気持ちでいたが、序盤はよくわからんが学園的なところで、いきなり戦闘みたいな展開。
グラフィックは若干カチカチな感じもするけど、普通にPS4世代のゲームって感じ。
操作性とかも悪くないし、戦闘の切り替えとかローディングは爆速。というかローディングがないくらいに感じるあたりに、技術力の高さを感じた。
さすがに初見プレイだとキャラクターとか世界観はよくわからんけど、まぁ、そのうちわかるっしょ。
物語は序章と4章と終章の計6部構成
BLUE REFLECTIONとかだったら1章が2時間くらいで終わったりする場合もあるけど、閃の軌跡3は1章あたり20時間くらいかかる。
ストーリーRPGを謳っているだけあって、キャラクターのセリフは膨大。スキップ機能など便利機能は搭載されているが、ムービー的に長いイベントが頻繁に入る。
主人公のリィンというイケメン風キャラは士官学校の若き教官という設定。
前作とかプレイしていないからよくわからないが、このリィン君は英雄的存在の若きイケメンのため、モテモテのハーレム状態らしい。
学園生活的な場面があり、ペルソナ5のコープのような「絆イベント」というものがある。
これを定期的にある自由時間に各キャラでイベントを進めていくことで、戦闘が有利になったり、個別のイベントが行われていく仕組みのようだ。
普通に男性キャラもいるけれど、女性キャラの場合は恋愛ゲーム的な雰囲気になりがち。
街やモブキャラの作り込みがそのへんのRPGの比較にならない
このシリーズは本当に初めてなんだけど、街とかもそうだし、そのへんのモブキャラの作り込みが凄い。
普通のRPGだったらショップの店員は買い物するためだけの存在だけど、買い物とは別に会話したり、クエストなどのイベントが設定されていることが多い。
モブキャラも名前があるのも驚ぎだが、そのモブキャラの赤ちゃんやペットにまで名前があるのはさらに驚く。
ゼノギアス的にロボットでの戦闘がある
戦闘は生身の人間で戦う以外に、ゼノギアスみたいに騎神や機甲兵という、人型のロボットに乗って戦う場面がある。
ストーリー的にかなり重要だと思うロボットだが、イベント戦闘的に全編通して10回あるかどうかくらいしか、ロボットで戦う場面がないのはむずがゆかった。
人間の数倍くらいある巨大な中ボスのモンスターと戦う時も、ロボットを呼ばずに悪戦苦闘しながら生身の人間でチマチマ戦う場面が多い。
「最初からロボット使っとけや」と思いつつ、この世界では今にも世界が崩壊しそうな時であってもロボットが相手の時しかロボットでは戦ってはいけないというような「お約束」でもあるのかしらん、と思った。紳士協定みたいな。
ラスボスの恐竜みたいな敵では結局、生身では歯が立たなくて途中からロボットを呼び出したものの、今度は思った以上に訳ありだった主人公が暴走して制御不能に陥った。
普通のゲームだったらバッドエンド展開に追い込まれ、「続きは続編で」と言わんばかりに80時間プレイしてきたのに、あっさりとブツ切りで終わってしまう。
続編を買わすためとは言え、色々な社会的事情や個人的事情で今作だけをプレイしたい人への配慮は一切感じなかったのは、うーん・・・と思わなくもない。
バトル難易度はベリーイージーまで選べる
このゲームのよい所は戦闘で詰まることが比較的少ないということ。
コマンドRPGだからレベル上げしたり戦略を考えれば誰でもクリアできるし、難易度設定も豊富でベリーイージーまで用意されている。
キャラの育成や強化のカスタマイズのパターンは豊富。
戦闘ではHPとEP(魔法的なものに使う)の他に、CP(クラフトポイントと言って必殺技的なものに使う)、BP(ブレイブポイントと言う特殊効果で最初は使ってなかったが超重要)という独自の数値がある。
正直、難易度を下げればラスダンまで戦闘では何も考える必要がないが、ラスダンのボスだけは急に強くなるので、上記の数値や戦略を考える必要が出てくる。
シリーズに慣れている人だとすぐにわかるのもかもしれないが、初見だと有効な戦い方に気づくのに時間がかかるかもしれない。
答えを言うと、このゲームの戦闘はいかに効率よくCPを溜めて必殺技を連発するかが全て。CPを効率よく貯めるにはBPを使ブレイブオーダーを使うのが重要。
FFXのユウナがやってた召喚ボンバーみたいに、ザコ戦でCPを事前に貯めてボス戦で開幕から必殺技をぶっ放すという、昔懐かしい戦法も使える。
戦闘が長引くとロクなことがないのでCPは重要。キャラのカスタマイズもCPが溜まりやすいような構成にするのが重要になる。
ラスボス付近になると、直前まで1千とか2千くらいのダメージで戦っていたのに、急に一撃で3万くらいダメージ与えられるようになったりして、ピーキーなバランスにはビビった。
伝統的にどこでもセーブできるのは利点
このメーカーというか、このシリーズは伝統的に戦闘中以外はどこでもセーブできるらしい。
ドラクエとかFFとか一般的なRPGだと教会でセーブしたり、特定の場所でないとセーブできないのがお約束となっているが、ヨソのお約束には従わないのが伝統だという。
ゼノギアスなんかはセーブポイントによって、黒幕側が主人公らの状況を監視しているというストーリー上の設定があったりするけれど、このゲームにおいてはセーブは単なるプレイヤー側に提供する機能でしかない。
いつでもセーブできたら、ボス戦の前とか変な所でセーブしちゃって引き返せなくなって詰むんじゃないの? っていう気もするけれど、難易度も自由にいじれるし、ザコ敵が何度でも沸くのでレベル上げで困ることはないだろう。
嘘みたいなワンパターン展開が多い
ここまでは比較よかった部分の感想だけど、序盤から終盤まで、つまり1章~4章の途中くらいまでは嘘みたいなワンパターン展開にウンザリしそうだった。
毎回、章が始まると、
学園での劣化ときメモ
↓
小要塞という名のクソダンジョン攻略
↓
専用列車で各地方の演習地に移動(列車内で劣化ときメモ)
↓
演習地に着いたら着いたで劣化ときメモ
↓
訪れる街はパーティの誰かしらの地元で実家とかに訪れる
↓
主人公たちより段違いに強い強キャラ加入
↓
クソダンジョン攻略
↓
ぽっと出の謎の中ボス撃破
↓
最初に戻る
この流れ作業を都合60~70時間くらいやるのだから、人によっては結構な忍耐力がいることだろう。
逆に言えば、章が進んでも同じ展開だから身構える必要がないともいけるけれど、このシリーズのお約束なのかどうか知らないが、疑問に思わないようにしないと、このゲームは楽しくクリアまでプレイできないであろう。
まるでサラリーマンの会社と家を往復して、クソ上司の犬になるだけのような生活である。実際、主人公も組織に雇われているサラリーマンなのだけど。
劣化ときメモと小要塞がなければプレイ時間が40~50時間くらいに収まった気がするから、無駄に長くなっているだけの気がする。クソすぎる小要塞はチュートリアルとして1回だけあるのかと思ったけど、クリアまでに4回も行くことになるのは正気ではないと思った。
ちなみに「ぽっと出」はゲーム界隈とか、現代的には急に出てきた人とかの意味で使われていると思っていたけれど、本来の日本語的には田舎から都会に出てきたことを意味するらしい。ぽっと出の若者とか。辞書が追い付いていないのかな。
主人公や味方パーティーが「やれやれ系」
こういうラノベの主人公みたいなのが流行っているのか知らないけれど、主人公や味方メンバーたちが「やれやれ」というセリフを吐いているのを何度見たことか。
プレイヤーは主人公ら以上に「やれやれ」と思っているのだから、もうちょっとプレイヤーが見ていることを意識した方がいいと思う。
このゲームのレビューでよく言われるけれど、学生メンバーを雛鳥と呼んだりと、このゲーム独特の言い回しとか、特定のフレーズがキャラ問わずよく使われたりする。
ラスダンの中ボスやラスボス戦メンバーは固定
80時間もかけてプレイしてきたなら好きなメンバーで戦う権利くらいありそうなものだけど、ラスダンでの中ボスやラスボス戦はメンバーが固定されている。
特にラスボスは主人公のリィンとユウナとクルトの初期メンバーに、途中から入ったヤバい感じの女キャラで戦うのが納得いかなかった。
クルトは序盤から使っている技がラスボス付近でも現役だし、ユウナは意外と有能な強キャラなので、主人公補正バリバリのリィンは別としても、クルトとユウナは序盤から意識してカスタマイズした方がいいと思う。
というか、このゲームは終盤になるとパーティーが名前も素性もよくわからない人たちでいっぱいになるけれど、ラスボス戦のメンバーくらい選ばせて欲しかった。
まぁ、続き物で続編があるから本当のラスボスでもないんだろうけど。
キャラのモーションがカッチカチ
途中から全く気にならなくなったけれど、キャラの動作にモーションキャプチャーを使っていないためか、当たり前のようにモーションキャプチャーを使っている大手メーカーなどのゲームに慣れていると違和感を覚えた。
見た目は大手メーカーのゲームと遜色ない3Dグラフィックだけど、腕だけや上半身だけの動きで剣を捌いたり、モーションまでは大手と同じレベルにするのは技術や予算的にハードルが高いのだろう。
大手メーカーのゲームならFFXとかだとPS2の時代からモーションキャプチャーが使われているが、あのアローンのずっしりした大剣を振り下す格好いい動作はモーションキャプチャーならではということでもあろう。
まとめ 閃の軌跡3はシリーズ初見でも楽しめるか?
キャラクターや世界観は前作や前々作、また関連作品をプレイしていないと、正直、誰コイツ? 何の話? っていう置いてけぼりにはなる。
70~80時間くらいクリアにかかるくらい長いゲームなので、どうせスキップしながらプレイするし、世界が終わるかもしれないのにアルツハイマーのお婆さんの落とし物を探すクエストとかやってる場合じゃないと思うから、メインストーリー重視なら初見でも一応プレイには支障ないんじゃないかしらん。
全然やらなかったけど、釣りとか料理とかカードゲームとか、やりこみとか含めたら無限レベルに長く遊べるし、送料無料の金額合わせで買うゲームとしては、かなり良いと思う。
さすがにエンディングが盛り上げるだけ盛り上げておいて「続きは続編で」とぶった切りなのはどうかと思ったけどね。