投資

【書評】株で大損した私の反省-損してわかった「損切り」の大切さ-

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投資におけるロスカットの重要さは別記事でも書いたが、同じテーマで書かれた良本を見つけたので紹介。

著者は家庭持ちの某新聞の記者で、20年ほど前にITバブルの頃に投資をしていたという。

「最近、株やFXを始めた」という夢見がちな初心者さんは、大損するのは全く他人事ではないので大損した人の経験談を読むことを薦める。ニッチもサッチも行かなくなる前に反面教師として学ぶ必要があるのだ。儲ける方法なんて、そのあと学んでも遅くはない。

ざっと書評を兼ねて学んだことを書いていく。

生活資金を投資に使わない

株でもFXでも生活に関わるお金を投入してはいけない。全部失っても問題ないくらいの余剰資金で行うべき。

株の信用取引は約3倍、FXは国内の業者でさえ25倍のレバレッジが掛けられるが、投資資金以上のレバレッジをかけると損失が出た時にあっという間に資金がなくなる。それどころかロスカットのタイミングが悪ければ投資資金以上の損失、つまり借金まで出来るシロモノ。

ネットで検索すれば投資で借金を作った人の話はゴマンと見つかるが、投資をやる以上は誰しも他人事ではない。投資はいわゆるギャンブルとは違うが、真面目で研究熱心でギャンブルなんかやらない人の方こそ、投資にのめり込んで失敗してしまう可能性もある。

他人が薦める銘柄を買わない

この本にも出てくるが経済評論家だろうと株のプロだろうと、他人が薦める銘柄を買ってはいけない。

損失が出た場合に責任を取ってくれる場合以外は、他人のオススメ銘柄は買っていけないのである。株にしても取引所が開いている時間は常に価格は上下しているし、エントリーするタイミングや手仕舞うタイミングで損益は大きく違っている。

ネット上でも退職金その他でコツコツ貯めた1千万以上の投資資金を溶かしてしまうのは、証券会社のセールスマンだとか他人に薦められるままに買ってしまった場合が多い。自分で銘柄を選んだり、エントリーや手仕舞うタイミング、損切りポイントを考えられないなら投資しない方がマシだ。

投資関係の仕事をしているプロですら判断を間違うのだから、ネット上の素人が言っているようなオススメ銘柄なんて絶対買ってはいけないことは言うまでもない。投資は自己責任・・・とよく言うけども、その意味するところは自分の判断で全てを決められるかどうかということだ。

損切りポイントを最初から決めておく

株にしろFXにしろ先物にしろ大体の投資というのは、上がるか下がるのどちらかを予測するということ。何も知らない子供だろうが猫だろうが、初めてやる素人だろうが、適当にやっても50%の確立で儲けられる。ビギナーズラックもそうだが、ド素人だろうと誰でも50%の確立で儲けられることを知らないといけない。

逆に言うと50%の確立で誰でも損をするわけだが、勝率が50%では手数料の分でマイナスになってしまう。50%の確立なら、投資はやらない方が良いということになる。

しかし、やらないと投資は覚えられないというジレンマがある。模擬取引やデモ取引では、実際の緊張感がないから実際とは別物。最初のうちは、ある程度の損失は覚悟の上で取り組まないとならない。

そこで重要なのが損切ポイントを先に決めておくということだ。何か月か株の取引きをやるとわかるが、話題性に富んだ有名大手企業以外は値上がりランキングなんかに登場したり、話題性のあるニュースがあったとしても、いったんトレンドを外すと、半永久的に上がってくることがない。

多くの初心者がやる失敗パターンだが、そんな時に高値掴みしてしまい、下がり切ったところで売却せざるを得なくなって損失が出るのだ。ITバブルはじめ、話題になっているテーマなんかが危ない。

分散投資で予防線を貼ろうが大事件などでは無意味

投資リスクを抑えるために「一つのかごにタマゴを盛るな」という格言がある。一つの銘柄や業界に投資するのではなくて、色々な業界の色々な銘柄に分散投資しろということだ。

一見すると理にかなっているようにも思うが、実は万能ではない。リーマンショック、コロナショックはじめ、なんとかショックと言われるような、経済における歴史的大事件や、東日本大震災のような大規模な自然災害などでは、分散投資は無意味だ。ほとんどの銘柄が暴落してしまうからだ。

暴落に備えて、半分は信用取引で空売り(売りポジション)にするという予防線の張り方もある。しかし、これはこれはで何も起こらなかった時にリスクのリスクが高い。その銘柄が何らかのきっかけで株価が高騰した時に損失が青天井だからだ。買いポジションと違って、売りポジションには理論的に損失の上限がない。空売りをするなら損切りは予め逆指値で絶対に仕込んでおかなければならない。

コロナバブルはいつまでも続かない

最後に書評とは離れるが、ついでにタイムリーな話題を一つ書くと、2021年4月現在は世界的に株高状態となっている。

日本経済においても、国の集計に現れないような隠れ失業者を含めて、失業者があふれ返っているいるというのに、実際の経済とは関係なしに日経平均が3万円を超えたりと話題になった。

株高は世界的な金融緩和が要因だと専門家の間では言われているが、2021年もコロナバブルが継続するという人と、ワクチン効果などで金融緩和が終了することで近々コロナバブルは終わるとする人がいる。

素人からすると、一体どっちなんだ? という気もするが、少なくとも今現在で株高になっているものをさらに高騰すると思って高値掴みしたり、少し下がって来てお買い得感があるからと言って、何も考えずに全財産を投資するのはハイリスクだと言える。

株式市場の歴史を学べばわかるが、過去の日本航空の株価が暴落した時なんかもそうだ。ちょっと下がってきた「お買い得ポイント」は買い時ではなくて、売り時、すなわち逃げポイントだったのである。

コロナバブルの中、お買い得感が出てきた銘柄についても、買いポイントなのか、逃げポイントなのかを十分見極めなくてはならないのだ。

儲ける方法を追求するのも大事だか。過去の事例や先人の失敗から学ぶべきことは無数にあると思えて仕方がない。