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那覇から無料シャトルバスで南城市(知念とか奥武島とかがある場所)に行って来たぞ

那覇空港から期間限定で出ている無料シャトルバスで南城市(知念とか奥武島とかある場所)に行って来たぞ。

無料シャトルバスの存在は偶然知った

半額とか無料に弱いタイプの人は一定数いる。定価だったら絶対買わないけど、半額だったら絶対に買うものとかあるよね。弁当とか。

この無料シャトルバスは期間限定で2021年10月~2022年2月頃の土日祝などに運行しているが、あまりPRが目立たないので直前まで知らなかった。

知った経緯は1~2日前に那覇から中部に路線バスで移動していて、話すと長くなるが色々あって「やっぱ沖縄のバスは乗りこなすのは日本一難しいなぁ」と半日くらいウダウダ思ってた時だった。

そんな時にある沖縄のバス路線を細かくガイドしているサイトで偶然見つけたのだった。実は那覇空港内でも案内はあるものの、あまりにもピンポイントなので偶然見つけた人が乗っているのではないかと思う。飛行機から降りて空港を出るまでの間とかに絶対に目にする場所とかにはないのだ。

乗る時は那覇空港の水槽前に集合

集合場所のBゲート水槽

那覇側の乗り場というか集合所はBゲート水槽前。水槽は2か所あるので間違わないようにしよう。

バスは運行日には1日3便あり、集合時間に近くなると運転手の小柄なオジサンがボードを持って現れる。コロナでそんなに乗る人はいないが、オジサンが現れたら乗りたいという意思表示をしておこう。

バスは那覇空港の駐車場(?)に停められていた

無料シャトルバスだし、南城市が所有しているようなマイクロバスとかワゴン車とかかな? と思ったら、そのへんを走っている路線バスよりも豪華なちゃんとした観光バスだったのは驚き。期間ごとに沖縄バス、琉球バス、東陽バスという沖縄のバス会社が担当していて、この時は東陽バスが担当していた。

バスは自分含めて3人の乗客を乗せて定刻の分後くらいに出発。集合場所が那覇空港なのは空港に着いたばかりの本土からの観光客をターゲットにしているのか、駐車場とか利権絡みの都合なのかはよくわからない。

自分以外の参加者はそれぞれ単独の中年女性で、1人は沖縄の人っぽくて、もう一人も80%くらいの確率で沖縄の人っぽく感じた。本土からの3泊4日くらいの忙しい観光客にしたら、南城ってそんなに優先度高い行先じゃないもんね。

バスは乗務員は運転者一人だし、特に観光案内もアナウンスもなくて、フツーに南城に向かった。バスの車内では地元のラジオ番組が流されていて、離婚率が全国で一番高い沖縄らしく、3回も離婚しながら逞しく生きている女子力が高いという女性リスナーの投稿が読まれていた。離婚を肯定する感覚もなんだかなー。

降車地は南城市役所かユインチホテル

バスは冷房を切っていたからか異様に暑かったという以外は何事もなく進んだ。

降りる場所はバスターミナルが併設された南城市役所か、ユインチホテルという南城市にある高級リゾートのどっちかを選ばないとならない。

降り場の一つ、南城市役所。旅行者には用事はないはず

市役所の目の前にあるユインチホテル

と言っても、この2つは道路を挟んで目と鼻の先。どっちで降りても大した変わらないし、このあとに乗り継ぐ南城市内周遊バスもどっちにも停まる。周遊バスの乗り継ぎに30分くらい時間があるので、ユインチホテルの方が時間潰しはしやすい。

南城市は合併してできた街なので、市役所とかバスターミナルと言っても都心部とは感じられないほど何にもないといか、少なくとも、アテのない旅行者が時間を潰せるようなものは見当たらなかった。

ユインチホテルの散策

南城と言えばユインチホテルというくらいの存在感を感じてしまうが、今は売却か委託かされて沖縄の民間企業が運営しているものの、元は厚生年金系の保養施設だったらしい。

与那国馬が飼われている

無料シャトルバスが運行されるくらいだし、素人目に見ても街の規模や雰囲気から不釣り合いなくらいに豪華すぎる。中庭があったり、与那国馬の乗馬体験があったり、温泉施設もあったり、北海道なら無料レベルの設備しかないけど1泊2500円もするキャンプ場があったりと、とにかくブルジョワな施設だ。

ブルジョワな人だったら2000円以上する高級ランチを食べたりするのもよいだろうけど、無料シャトルバス乞食の自分には手が出せないので、この日の昼食は断食することにした。ブルジョワホテルに土産物屋はあったけど、この付近にコンビニとかスーパーは見当たらなかった。吉野家やサイゼリヤも当然ない。ちなみにサイゼリヤは沖縄にはない。

南城市内周遊バスで奥武島に向かう

無料シャトルバスと周遊バスの案内ポスター

本当に旅っぽくなるのはここから。同じく無料の周遊バスに乗り換えて奥武島に向かう。

昼発のバスで来たので、帰りの那覇空港行きのシャトルバスの時間を考えると2時間くらいしか余裕がない。周遊バスだけど1ヵ所だけ選ぶのが賢明かなと見積もった。

17年前に初めて沖縄に来た時に、当時は知念村だった知念にバスで来た記憶があるのと、8年ほど前(もうそんなになるのか)に自転車で来た時の印象もあるので知念にも行ってみたかったけど、離島っぽさを求めて奥武島に向かうことにした。

ちなみに、南城市は2006年に周辺の町と村が合併して出来たが、沖縄県内の市では一番が人口が少ないらしく、なんと警察署もなければ高校もないのだという。確かに高校生くらいの子供を全く見なかった。

あと、奥武島は基本的に「おうじま」と読むが、手元のPCでは本土読みで「おくたけ」と入れないと変換できない。バス停は「おくたけ」と読んだり、豊見城(とみぐすく、とみしろ問題)とか、沖縄読みと本土読みが混在しているので少しややこしい。地名は地元の読み方でいいと思うけど、地元以外の人が読めないというのがある。アイヌ語ルーツの北海道の地名にも多いけど。

周遊バスも観光バス仕様だけど、乗っているのは日曜日なものの2~3人くらい。

ユインチホテルに泊っている人や、レンタカーは使いたくない人が多いのだろうけど、属性はよくわからなくて正体不明の観光客風の日本人が多かった。と言っても、その2~3人の極めて少ないサンプルだけど。

那覇空港から南城に向かう時に思ったが、このあたりは那覇から割と近いものの、緑豊かというかサトウキビ畑が多くて、道路の脇にカフェとかレストランとかが点在している。那覇から歩いてくるにも遠いし、レンタカーとか足がないと観光しづらい場所だ。

車窓風景と税金の匂いがするニライカナイ橋

安座間ビーチ(?)かどっかの南城市内のビーチ

周遊バスはユインチホテルから南城市役所を経由して、安座間公や知念を通り、時計回りで走っている。舗装路だが山道でアップダウンが激しい。窓ガラス越しに撮ったが、意外と綺麗にビーチが撮れていた。冬だからかコロナだからか、人はあまりいない。

こういう寂れた東海岸のビーチでも、コロナ前は韓国人や中国人のグループがレンタカーで押し寄せていたのだから時代は変わったのだ。時代はコロナフォーエバーである。

そして、中部の「海中道路」と並んで、南部の絶景スポットとして挙げられる「ニライカナイ橋」をバスは通過する。

ニライカナイとは沖縄に伝わる海の向こうにある理想郷みたいな概念。ヘアピン形状の橋で、ヘアピンを境にニライ橋とカナイ橋に分かれているらしい。

素人一般人の意見だけど、この橋の両端近辺に沢山人が住んでいるようには思えないし、絶対スポットとして挙げられることが多いけど、観光用に税金が大量に使われた税金橋のようにも思ってしまう。

自分も最近まで知らなかったので全国的にあまり知られていないと思うけど、沖縄は橋を道路を作る時に全国的にはありえないくらい(9割くらいだとか)、国が補助金つまり血税を出してくれるのだと本で知った。

撮影スポットもあるらしいが時間がないので車内から

沖縄は建設業に関わる人が8%くらいもいるらしいが、補助金がデロデロ出るものだから、何ともないアスファルトをひっぺ剥がして敷き直す工事もあったりするのだという。道路や橋を作るのに補助金は出ても、鉄道を作るお金は出ないのも沖縄のクルマ社会に拍車をかける要因となっていそうだ。

北海道の赤字JRを1~2路線くらい廃止したり、テレワークやリモート会議の時代にリニアなんて作らなければ、沖縄本島に鉄道の1路線くらいは余裕で作れそうだけど。

奥武島で天ぷらと野良猫に出会う

周遊バスは途中で1人2人、降ろしたり乗せたりしながら奥武島に向かった。

途中に斎場御嶽(せーふぁうたき)とか、なんとか御嶽という場所をいくつか通ったけど、そこは意外と観光客が多いようであった。この手の場所は神聖な場所なので信仰心みたいのがないと行っても良さがわからない気がするので行こうと思ったことがない。

バスはアップダウンを繰り返して、橋で繋がった離島の奥武島に到着。

奥武島のバス発着場。さしみ屋みたいな建物の前

奥武島は昔、自転車で訪れた気がするが、天ぷらが名物の島で猫が多かった記憶がある。旅行者がわんさか訪れるというよりは、那覇など本島に住んでいる沖縄県民が休日にドライブで出かけたりする場所らしい。

島の入り口あたり

確かに休日ドライブで来たらしい沖縄の人で島が溢れていた。市役所付近なんかとは比較にならないくらい賑わいがある。

名物の天ぷら屋。入口付近と少し奥まった場所にある

そして、名物の天ぷら店。天ぷらの島と言われることもあるけど、天ぷらが大量にあるわけでなくて、島を一回りしたが天ぷら屋っぽい店は3店舗しかなかった。うち1店舗は時間外なのか閉店していたので、天ぷらを求めてきた人たちで行列が出来ている。

ノープランで来たので名物の天ぷらでも買おうかなと軽く思っていたけど、ああ、沖縄の人にとって天ぷらはソウルフード、魂の食べ物なんだよなぁ、と無くなることのない行列を見て天ぷらを諦めようと思った。

沖縄の天ぷらと本土の天ぷらは正反対

正反対と言っても衣を具で包んでいるとかではないのだが、目指すところやソウルが正反対。

沖縄の天ぷらというのは本土の天ぷらみたいに具に衣を付けて油で揚げたものだけど、衣が分厚くてモチモチしている。アメリカンドッグの衣の半分くらいあるのが沖縄の天ぷら。

本土の天ぷらはサクサクしていないとダメ、ド素人、失敗作、人間やり直して来い! と言われるが、衣がモチモチしているような本土の大失敗が沖縄では大正解と評価されるのだ。

具は白身魚やチキン、イカだったり、エビだったり、野菜もあるけど魚や肉っぽいものが好まれる印象。

帰りのバスの都合もあり、天ぷらにそこまでソウルを感じない自分としては、うちなんちゅーの率に並んで買うモチベーションが湧かなかったので、天ぷらを買うのは諦めた。

だが、天ぷらは沖縄のソウルフードなので近年は沖縄のファミリーマートでホットスナックの一種として、カウンターで沖縄の人にファンの多い上間という天ぷら屋(たぶん)の天ぷらを買うことができる。そのファミマの上間天ぷらの食べかけ写真を載せるので、雰囲気を感じ取ってほしい。

スナック感覚で食べるのが沖縄天ぷらのソウル

ウスターソースを付ける派の人もいるけど、特に上間の天ぷらは衣自体に割と味が付いている気がするので、このままかぶりつくのが正解な気がする。そして重要なのは、ご飯のおかずや酒のつまみにならない気がするということ。味や食感がジャンクフード的なスナック感覚なのだ。

本土では天ぷらというと、ちゃんとした店で食べる料理だったり、下手したら料亭や懐石料理で食べるような上品な料理だろう。江戸時代では屋台で食べられていたり庶民的なものだったらしいが、沖縄の天ぷらは庶民感たっぷりのソウルフードだ。

奥武島の捨て猫たち

人が多いところに猫が多い

天ぷら目当ての観光客からおこぼれが貰えるのか、天ぷら屋とかから海産物を貰ったりできるのか、奥武島には野良猫が多い。ここも沖縄本島の人が捨てに来るのかもしれない。

駐車場にも猫が多い

天ぷら客の駐車場にも猫が多くて、ぺったんこの猫がいるんじゃないかと心配になったが、滞在中には見かけなかった。

元飼い猫のきれいな猫が多い

猫たちは普段、人からおこぼれを貰っているからか人慣れしていて、下手な猫カフェより猫と戯れることが出来る。

そんなこんなしていたら、周遊バスの時間になってユインチホテルに戻り、バスで那覇空港に戻った。

那覇のバスターミナルとか国際通りとかに行ってくれた方が格段に便利だけど、無料乞食だから文句は言えない。普通だったら南城までの往復と、奥武島乗り換えで1500円くらいはかかりそうな旅が楽しめたのでよかったということにしよう。

南城は那覇から近いけど、歩いてくるには遠いので陸の孤島感があって、まぁまぁ旅行感があって楽しかった気はする。

旅モノ

沖縄で鉄道の旅!! おきなわ軽便鉄道プチ遺跡巡り ~壺川東公園・軽便与那原駅舎など~

全国で唯一JRなどの本格的な鉄道路線がなく、世界的には遊園地の乗り物とされるモノレールの「ゆいレール」しか鉄道らしきものがない沖縄で鉄道巡りの旅をしてみたのである。

沖縄にも戦前は鉄道路線が複数あった

まず、沖縄で鉄道の旅とは何ぞ? という話から。

沖縄は那覇周辺などの都市部は東京、大阪、名古屋に匹敵するくらいの人口過密と車の渋滞がある一方、本格的な鉄道が存在しない唯一の都道府県である。

戦前には那覇を起点に北は嘉手納、東は与那原、南は糸満まで、軽便鉄道と呼ばれる鉄道路線があった。軽便鉄道は沖縄では親しみを込めて「ケイビン」と呼ばれることが多い。ケイビンはJRより線路幅が狭く、一回り小さい列車が健気に走っていたのである。

しかし、ケイビンは第2次世界大戦の沖縄地上戦で線路も駅も列車も、原型を留めないほどに破壊された。

戦後、本土は新幹線が走ったり、地方都市にも地下鉄が出来たりしたが、沖縄は27年間にも渡って「クルマ社会」のアメリカに統治されていたために、ケイビンは復旧されることなく徹底した「クルマ社会」が貫かれて現在に至っているのだ。

意外と寂しい那覇中心部付近のゆいレール「美栄橋駅」

2000年代に入って那覇空港から首里(現在は浦添まで少し延伸)まで「ゆいレール」が開業したのは奇跡みたいなものだけど、美栄橋駅とか牧志駅とか中心部の駅でさえ、いまいち本土の街の駅前みたいな賑やかさはないのをみると、一度出来上がったクルマ社会の文化、行動様式をぶち壊すのは簡単ではないものと考えさせられる。

壺川東公園に展示されている軽便車両

と、ここまで本やネットで知ったかになった沖縄の軽便鉄道知識を書いてみたわけだが、実際のところ、軽便鉄道の車両もレールも見たことがなかった拙者である。

那覇のゆいレール壺川駅近くにある「壺川東公園」という、何でもない住宅街の小公園に車両が展示されていると聞いたので見に行ってみた。普通の3泊4日とかの沖縄旅行者はまず行かない場所である。本土の鉄道のマニアの人も、コアな人以外はあまり行ったことがないのではないだろうか。

那覇「壺川東公園」の軽便車両

団地的な住宅街にある付近住民のための公園といった何でもない公園だった。

確かに、そこにはケイビンの車両とレールがあった。だが、沖縄の眩しい直射日光や雨風に晒されて、結構、無残な姿になっている。本土にもSLの車両が展示されていたりする公園はよくあるれど、もうちょっと綺麗な状態を保たれているので、貴重な「歴史資料」なだけにもう少し管理や展示の仕方はなんとかならんのだろうかと思った。

狭い運転席にも自由に入れるけど、結構朽ち果ててる

ちなみに、この車両は沖縄本島で走っていたものではなくて、南大東島でサトウキビ運搬に使われていたディーゼル機関車なのだという。沖縄本島のものは戦争で破壊されて現存していないはず。

コンテナを載せるやつかと思ったら・・・

公園を訪れた時はよくわからなかったが、あとで説明書きをじっくり読むと、ディーゼル機関車の後ろ側にはSLの下部(台車?)らしきものも展示されている。

SLの煙突や運転席などは取り外されているので、貨物列車的にコンテナとかを載せるやつかと思ったが、これはSLの下部なのだと思う。

那覇から与那原に向かう

那覇バスターミナルから「沖縄バス [39]南城線 南城市役所行」に乗ると30分くらいで与那原に着く。片道440円で30分間隔くらいでバスが出ている。沖縄のバスは慣れていないと首都圏の電車より乗るのが難しいので、バスで行くならバスターミナルから乗るのが比較的わかりやすい。

だが、10Kmくらいだし個人的には歩いて行った。男なら、いや女でも、健康な脚があるなら歩いて向かってみよう。雨風が厳しい時や熱中症の危険がある時はオススメしないけど。

沖縄本島の東西の行き来は基本的に山越えがあるので大変だけど、昔の人は歩いて旅をしたのだし、風景や街並みをじっくり見るなら徒歩に勝る交通手段はない。長距離を歩いてばかりいると、靴底とインソールと靴下がすり減ってしまうのが難点だが。すり減らない方法があるなら知りたい。

那覇と行っても広いので、那覇のどこから与那原に向かうかで難易度はかなり違う。

牧志や安里付近のホテルに泊まっているなら、首里に向かうと見せかけて首里の少し南あたりの道を東に進んでいくとよい。

途中に石畳みの道を左手に、右手に金城ダムが見える道だ。その道をしばらくいくと大胆なカーブやアップダウンがある分かれ道が目の前に出てくる。スマホの地図を見ながら間違わないように与那原に向かおう。とりあえずイオン南風原を目印にするとよいし、イオンでいったん休憩するのもよい。

イオンからさらに東に進むとまもなく与那原に到着だ。

与那原の軽便与那原駅舎

与那原には人生で3回か4回くらいは行ったことがあるが、軽便与那原駅舎に行ったのは今回が初めてだった。

2014年に駅舎を復元する形で誕生した。ミニ博物館のような施設になっている。屋外部分は無料だが、内部の資料を見るのは旅行者の大人は100円かかる。

本土には鉄道系の博物館は多いが沖縄では珍しい

博物館と言っても内部はコンビニくらいの広さ。しかし、ここでしか見れないような当時の時刻表などもあって、沖縄の歴史に興味がある人や鉄道好きなら楽しい空想が広がっていく展示物がいっぱいある。

この博物館はあくまで復元したものだが、建物の奥には実際の駅舎で使われていた構造物の残骸がある。

戦争というものは何もかもぶっ壊してしまうものだと考えさせられることが多かった。戦争のせいで沖縄から鉄道が失われてしまい、沖縄で鉄道旅行することができなくなり、レンタカーを運転したくない人などは複雑怪奇な沖縄の路線バスを乗りこなすか、足と魂をすり減らして長距離を歩かないとならなくなってしまったのだ。

与那原は鉄道の街の面影が残る

与那原の旧「駅前通り」

前述のように沖縄は鉄道文化が戦争で破壊し尽されてしまったので、街並みから鉄道の面影を見れることは少ない。

だが、かつてはケイビンの始発着駅があり、駅舎を復元した博物館があるほどケイビンへの愛着が強い与那覇の街には、駅を中心に街が栄えた様子を今でも感じることができる。

ちょうど北海道の鉄道駅がある田舎町と似たような、駅を起点とした「駅前通り」のような街並みがあるのだ。北海道の田舎町はみんなこんな感じなので、北海道出身の拙者としてたは昔から知っているような街並みに感じてしまう。

駅から少し歩くと飲み屋街があって、川があって橋があって、少し郊外に行くと大きいショッピングセンターがあったりするのも、北海道の田舎町とすごく似ている。

那覇の与儀公園で「デゴイチ」蒸気機関車を見る

ヤシの木と桜が並ぶのは沖縄ならでは。観光客はゼロで、地元のオジサン中心の公園

初めて沖縄に行ってから20年近く気付かなかったけど、実は那覇中心部にも「デゴイチ」として知られるD51型蒸気機関車を見れる場所がある。沖縄には鉄道らしきものがないと思い込んでいるとスルーしてしまいがちだが、意外と存在しているのである。

本土のデゴイチ展示はフェンスで囲まれていない気がする

ゆいレールの駅で言うと「安里」あたりが近いと思うが、国際通りの東側あたりの壺屋近くにある与儀公園に展示されている。と言っても、これは沖縄で走っていたものではなく、九州の国鉄で走っていたものだ。沖縄の子供たちへのプレゼントという形で運ばれてきたのだという。

素晴らしいエピソードなのに説明版もフェンス越し

デゴイチはフェンスで囲まれていて、説明版までフェンスの中。読みにくいし写真も撮りにくい。ケイビンの車両を見てからだと大きさの違いを感じてしまうが、沖縄で鉄道観察をしたい人は寄ってみよう。

ケイビン的なことを言うと今は線路や駅の面影は全くないものの、与儀公園の近くを走る「ひめゆり通り」という大きい道路はケイビン嘉手納線の跡地である。ケイビン与儀駅の跡地ということで、ここにデゴイチが設置されたのだろう。

ケイビンに関する参考書籍など

今回は沖縄で「なんちゃって鉄道旅」をしてみた。

時間と体力とバイタリティーがある人は、他の駅の跡地巡りをしてみるのも楽しいと思うが、多くは跡形もなくなっていたり、米軍基地の中にあったりする跡地もあるので、十分に研究してから望んだ方がよいと思う。

参考書籍は下記など。

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【沖縄】座間味島にマリリン像を高速船で見に行って来たぞ

映画『マリリンに逢いたい』で有名なマリリン媛

座間味島にマリリン像を高速船で見に行って来たぞ。

半年前に阿嘉島にメス犬を求めて3kmの海峡を泳いで渡ったシロの像を見てきたが、苦節半年でマリリンを見てきた。

ちなみに阿嘉島の記事はこちら。

『マリリンに逢いたい』の映画を観てない人はこちら。

座間味島に日帰りするなら高速船がオススメ

那覇・泊港の高速乗り場の位置とか

座間味島や渡嘉敷島の高速船の話になると、お約束のように「乗り場が離れててダッシュした」とか「タクシーで移動した」という話を沖縄関係のブログや書籍で本当によく聞くけど、普通に歩いて5分くらいの距離だから、ダッシュはともかく、個人的にはタクシーで移動したって話は嘘臭く感じたりもする。だいたい、フェリーに乗るのにギリギリに港に行かない気がするけど。

乗り場近くの建物で高速船のチケットも買えるし、初めから外人墓地の目の前にある建物を目指すのがスマート。

慶良間諸島と呼ばれる那覇の泊港から近い島々のうち、一番気軽に日帰りできるのは渡嘉敷島。フェリーで往復大人3千円ちょいで日帰り観光ができる。

同じ慶良間諸島で目と鼻の先だけど、座間味島と阿嘉島は沖縄本島から見て渡嘉敷島の裏側あたりにある。

阿嘉島なら時刻表的に値段の安いフェリーでも2時間半くらいは観光時間があるのだけど、座間味島だと1時間45分程度しか観光時間がないので、何か所か島の雰囲気を見て回るなら高速船を使った方がよい。

高速船は往復6080円と距離を考えると高いのだけど、高速船なら6時間ちょっと滞在できる。高いけど、ゆとりある観光のためなので仕方がない。離島の宿は高いし、民宿みたいな所が苦手な人は那覇に泊って高速船で日帰りした方が安くつく。

行きか買えりかの片道をフェリーにすることでも滞在時間は少し延ばしつつ価格も抑えられるが、往復割引の関係もあって言うほど経済優位性はなかった。そのため、普通に高速船で往復した。楽しい旅になればいいなぁ。

ちなみに、往復6千円クラスともなると、なんと久米島のフェリー往復に匹敵する値段。久米島もいつか行きたいと思いつつ、あそこは宿泊とセットじゃないと現実的じゃないので行くタイミングが取れない。

高速船のクイーンざまみ3

高速船のクイーンざまみ3の船体

高速船と言えば、以前、石垣島から波照間島に行った時に揺れに揺れて死ぬ思いをした記憶が蘇る。

とは言っても、今回は天気予報を見計らって天気はもちろん、波が穏やかな上に、クイーンざまみ3は350人乗りの比較的でっかい船。ひっくり返りそうなほど揺れることはないだろうと予測した。

クイーンざまみ3からとまりん方面を見る図

大きいフェリーだったら甲板に出て海の男を気取りつつ島に向かうことも多いのだけど、クイーンざまみ3は高速船なので基本的に船内の客室で過ごす。水しぶきがかかったり、高速船だからね。一応、申し分程度に椅子はあるけど。

年末年始とは言え、コロナ3年目で外国人観光客は未だいないため、乗船率は2割ってところ。ユーチューバーっぽい人が実況中継していたくらいで、ノホホンとした正月ボケ気味の日本人観光客がほとんどで平和。

むしろ、客が減っているために、燃料代節約目的で通常より速度を落として運行しているくらい。

1時間せずに島に到着

高速船らしく、途中は速度を割と上げるけど、波も穏やかだし船体も大きいからか、石垣島周辺の小型高速船を経験済みだからというのもあって、気になるほどの揺れは3回くらいしかなかった。窓水しぶきがかかったのは3回くらい。

波照間島だと終始ザップーン!ってしてたからね・・・。

あくまでも波が穏やかだったからという気もするので、天気の悪い日とかだとそうでもないかもしれない。どうしても船が怖い人は座間味に宿をとってフェリーで向かうのもアリだと思う。揺れる船は本当に怖いからね。

座間味港ターミナルと集落の雰囲気

座間味港ターミナル

無事に座間味島に到着。クイーン座間味はそのまま阿嘉島に向かうので、阿嘉島で降りる人はそのまま乗っている形式。ちなみに、フェリーだと阿嘉島、座間味島の順番。

座間味のターミナル周辺は阿嘉島よりも都会って感じがする。阿嘉島も同じ座間味村だけど、阿嘉島は人口290人くらいで座間味島は600人近くいる。名前からもわかるけど、行政や経済の中心は座間味島ってことだね。

年末年始だからやっていなかったが、ターミナル周辺にはいくつか商店がある。ローソンとかファミマみたいなコンビニはないので、コンビニがないと死ぬって人はオヤツなどの飲食物は那覇から持って行った方がいい。

集落中心部には105ストアーという島一番のショップがある。なんでも商店みたいな感じだろう。石垣島周辺の島と違って、共同売店みたいのはなくて、みんな普通の民間の店っぽい。

離島価格だけど飲食店や民宿なども105ストアーのあたりに沢山ある。コロナ以前は外人とかもいっぱいいたんだろうけど、観光客は日本人だけなのでまばら。

でもってマリリンに逢いに行く

実際には港に着いたらマリリンに直行したんだけど、海沿いの道を歩いて行くと徒歩20分くらいで辿り着く。慶良間ブルーの海を見ながら、物思いにふける若い人も途中にいたりする。

『マリリンに逢いたい』も古い映画だし、最近だとあんまりマリリン目的で座間味島に来る人は少ないんじゃないかしらん。

まぁ、そういう自分も阿嘉島でシロの像を見た時は「なんだ、このクソ犬の銅像は?」とか思ったわけであり、リアルタイムに映画を観てた人以外は意外と知らない人が多いんじゃないかと思う。レンタルビデオ店とかでも滅多にないしね。

マリリン発見! シロと結構テイストが違う

記事の最初でネタバレしているけど、これが座間味島にあるマリリンの像。

先にシロの銅像を見ている自分から言わせると、シロと結構いろいろ違う・・・。

シロは行政主体という感じでターミナル前の一等地に鎮座しているけど、マリリンはターミナルからやや離れは場所に祀られている感じ。両サイドにソテツもあるし、首飾りとか、お供え物っぽいものまである。

ただ、シロは海越えしたエピソードの説明書きがあったのに対しして、マリリンは何も説明書きがない。ダイビングとかのマリンスポーツ目的や、海を見て佇んでいる系の若者とかだと、初見でマリリンを見ても何もわからないのではないかと思う。

阿嘉島でのシロと座間味島でのマリリンは、それぞれの地元での印象や扱いが異なっているのかもしれない。

その他の座間味島のワンポイント観察

高速船で6時間も滞在時間があるため、マリリンの像を見てまだ5時間くらい滞在時間が残っているので、行ける範囲で島を回ってみることにした。

失敗だったのは長ズボンだったこと。年末年始の沖縄としては真冬だけど、日が照り出すと夏のように暑い。一応、沖縄では冬ってことになってるけど、北海道出身の自分からしたら沖縄は1年中夏であり、常夏の島に認定した。

女瀬の崎(うなじのさち)展望台

女瀬の崎(うなじのさち)展望台

女瀬の崎と書いて「うなじのさち」と読む難読展望台。港から2~3kmくらいの歩いて行ける距離にいくか展望台的なものがある。飛び降りたくなるくらいの崖っぷちだけど、飛び降りてはまず助からないので飛び降りないように。

阿真ビーチの青少年旅行村キャンプ場


阿真ビーチっていう、ターミナルから歩いて行ける場所にあるウミガメが有名なところの近くにあるキャンプ場。マリリンの像を過ぎて少ししたあたり。

1泊500円くらいで木陰がいい感じ。夏とかだと賑わっているのかどうかわからないけど、沖縄のキャンプ場だからそんなに賑わっていない気もするし、ダイビング系の人とか、コロナ以前だったらヒッピー系の旅人とかが割といたりするのかもしれない。

阿真ビーチ

ターミナルから歩いて行けるビーチの一つが阿真ビーチ。ターミナルから東側には古座間味ビーチというのがあるけど、見るだけだったらそんなに変わらない。阿真ビーチの方がたぶん都会的。

景色は実際に行ってのお楽しみだけど、慶良間ブルーで冬でも泳いだり潜ったりしている人たちがいる。

慶良間諸島国立公園ビジターセンター「青のゆくる館」

フェリーターミナルの近くにある観光案内施設。島の解説とかの座学が中心で、お土産店やカフェなどがある。

もっとも、島に着いてから学ぶのはオススメできなくて、貴重な滞在時間なので事前に学習してからの方がよい。座間味村は沖縄戦で最初に米軍が上陸した島というくらいの予備知識は持っていたい。

フェリーターミナルにもお土産店が併設されているけど、道の駅とかみたいに、どこまでが公営の施設でどこからが民間なのかわかりにくい気もする。こういった離島だと官民一体となって運営する感じなのかも知れない。

座間味島は6時間あれば、かなりゆったり観光できる

6時間あればマリリン像はもちろん、ビーチ2か所とターミナル周辺の集落がゆっくり散策できる。

ダイビングとかアクティビティーする人は泊った方がいいけど、島の雰囲気を見て回るだけなら日帰りでも問題ない感じがした。

島の雰囲気の合う、合わないは人それぞれだけど、人口500人台だし、最近、フェリー代金の職員による横領とかもあったし、まぁまぁ人間模様が濃密だし、慶良間ブルーだけの明るいだけの観光島ではない島というイメージ。