バス

旅モノ

【複雑すぎる】沖縄のバスは乗るのが難しいと思う理由を列挙してみた

よく見ると「すみません回送中です」などとユニークな表示w

沖縄で街中の公共交通機関と言うと、那覇空港から那覇市内(と浦添市の一部)を連絡する「ゆいレール」を除けばバスのみ。ある意味、沖縄のバスは恐怖の対象だ。

東京の電車網より遥かに複雑な路線網を持つ沖縄のバスを乗りこなすのは、たまにしか沖縄を訪れない旅行者にとって相当難しい。沖縄に年数回のペースで訪れている筆者にしても、乗ったことのない路線にサクッと乗ることは不可能。初めて沖縄に行く人や、数年に一回しか行かない人にはもっと難しいはずだ。

自分の目的地に行くっぽいバスを見つけて「このバスだ!」と思って乗りこんでも、運転手から「ここが終点ですよ!」「乗れないよ!」「そこには行かないよ!」と一瞬でダメ出しされることもしばしば。

この程度で凹んでいたら沖縄でバスに乗るのは永久に不可能なのだけど、今回はどうして沖縄のバスはこんなにも乗るのが難しいのか科学的に考察してみた。

1人でも2人でもいい、沖縄のバスで滅多打ちにされてしまった人や、これから滅多打ちにされる人の救いになればと思う。

一つのバス停に20以上もの行先、経由がある

国道58号線沿いの平均的なバス停

沖縄のバス停と言っても色々あるが、沖縄本島の主要幹線である国道58号線の平均的なバス停だとこんな感じ。

時刻表部分の拡大図。なるほどわからんw

このバス停の場合、行先や経由別に分けると何と22種類もの系統のバスが停まるのだ。平日と土日祝日など曜日によって違ったりもするし、停まるバス停が限られている急行バスというのも混じって走っている。

東京の電車も埼京線のホームに行先が違う湘南新宿ラインが停まったり、各駅停車、快速、通勤快速など停車駅が違うタイプがあったはするけど、ホームで案内もされるし、旅行者などで東京の電車に慣れていない場合以外は、路線図を見ればどこで乗り換えればよいかなどの情報がもう少しわかりやすい。乗り換え検索アプリなんかもあるし、沖縄のバスに比べればそれほど難しくない。

渋滞に混ざってバスが連続的にやってくることも多いけど

沖縄のバス停の場合、東京の駅と違って無人なうえに「次のバスはどこどこ経由、どこどこ行きです。途中の停車バス停は・・・」なんて案内放送が流れることもない。

つまり、バスがやってきたら自分で瞬時に判断しないとならない。バスがやってくると緊張感はピークに達するのだ。

時刻表が荒れ放題で読めない

頼みの綱「時刻表」もバス停によっては荒れ放題

那覇の都心部にある幹線道路沿いの利用者が多いバス停だと、さすがにこんなことは滅多にないと思いたいが、那覇市内でも郊外の方だったり、利用者の少ないバス停だと時刻表が雨風で破れていたり、荒れ放題になっていて内容が読めないことが多い。

那覇市内の観光名所に近いバス停もこんな感じ

心無い誰かがいたずらしている場合もあるだろうが、ラミネートなどせずに印刷した紙をそのまま貼っているだけのことも多いので、沖縄の激しい雨風で剥がれたり破れたり、その上さらに灼熱の太陽で干からびたりするために、全く読み取ることができないのだ。

沖縄本島の半分くらいのバス停はこんな感じの気がする

スマホの時刻表アプリなどを駆使すれば乗れないこともないが、一番重要なのは目の前にあるリアルなバス停から読み取れる情報である。時刻表が荒れ放題のバス停と対峙しないとならないのは、沖縄でバスに乗る難易度を大きく上げる要因となっている。

沖縄のバス会社は過去に民事再生したりと経営状態は全体的によくないので、時刻表をラミネートしたり、管理をしっかりする予算が取れないという事情があるとは思うが、さらにバス離れが進んでしまう悪循環に陥ってしまうのではないだろうか。

地元民に聞いても普段乗る路線以外はよくわからない

基本事項として子供や高齢者を除けば、沖縄の人の多くはマイカー生活をしていることが多いので、そもそも普段バスに乗らないという人が多い。

90~100歳くらいの高齢者でもマイカーをブンブン飛ばしている人もたまに見かけるが、基本的にはバス停で居合わせた地元の人に聞こうにも、普段から利用している路線以外はわからない場合が多いと思っておくのが無難。

自分に照らし合わせてみればわかるが、東京などの電車でも普段利用する路線やその周辺以外は停車駅や乗り換えなどの詳細がわからないことが普通だと思う。

そのへんを通りかかっただけの普段バスに乗らないマイカー生活の沖縄の人に聞いても、答えを貰えないのはごく当たり前の話なのである。

沖縄はアメリカ仕込みのクルマ社会の島だ。沖縄でバスのことを地元の人に聞いたところで解決する可能性は低い。何かの用事で久しぶりにバスに乗るっぽい地元の人たちのグループが時刻表を睨めっこして乗るべきバスを議論している光景はよく見かける。

「勢理客」「銘苅」などバス停に難読地名が多い

勢理客(じっちゃく)はまだ読みやすい方だけど、読めんのは本当に読めん!

沖縄は本土とは違う独特な読み方をする難読地名が多い。

那覇市内のメジャーな場所でさえ、安謝(あじゃ)、天久(あめく)、銘苅(めかる)など、沖縄県外からの旅行者だとまず読めない地名が多い。行先や経由地の読み方がわからず、心理的なハードルが高くなってしまう場合がある。

車内の案内などで「次はじっちゃくです」と言われても、読み方がわからないために地図に書かれている地名と頭の中で一致しない場合があったりする。

実際の地名とバス停の位置がかなり違う場合がある

「沖縄あるある」だが実際の地名とバス停の位置がかなり違ったりすることも多い。

バス停の名前が時代の流れで変更になることがあるのだ。

北谷(ちゃたん)町のアメリカンビレッジの最寄りバス停は、以前は長い間「軍病院前」というバス停名だったが、近年になって観光客などにわかりやすいように「美浜アメリカンビレッジ入口」という名称に変更されたりするケースがある。

何十回も沖縄に訪れているヘビーリピーターでさえ、久しぶりに沖縄を訪れると降りるべきバス停を通過してしまう場合がある。歴史を重視して昔のままのバス停名のものもあれば、時代に合わせて名称が変化する場合がある。

わかりやすいスマホアプリがなかなかない

沖縄本島の中南部の場合、沖縄バス、琉球バス、那覇バス、東陽バスという4つのバス会社が走っているため、それぞれのバス会社の公式サイトの時刻表を見るだけではとてもじゃないが自在にバスを乗りこなすことはできない。

沖縄のバス移動の行先をスマホのGoogle窓などで検索すると、NAVITIMEやジョルダンなどの東京の会社が運営している乗り換えサイトが出てくることが多いが、これがわかりやすい場合もあれば、不十分だったり、不親切な場合もある。

本土の電車だとそれらのサイトやアプリは優秀でも、複雑怪奇な沖縄のバス路線網には対応しきれていない感じがあるのだ。

バス停の上り下りを間違えると酷いことになるし、バス停を探すのがまず大変。幹線道路なら上り下りはわかりやすくても、郊外だと単純に北、南で判断することができないから、出発する前にホテルなどでじっくり研究した方が後悔しないで済む。

沖縄の複雑なバス網を学ぶ上で一番わかりやすいのは下記の「バスマップ沖縄」というサイトさん。東京で言う「京浜東北線」とか「丸の内線」とかいうのは「〇〇番」みたいな系統番号に置き換えて理解するとよい。番号で覚えるのは大変だけどね・・・。

道路工事でバス停の位置が大きく変わる

那覇北部~浦添あたりの58号線

沖縄は主要幹線を含めて、年がら年中大きな道路工事をやっていることがあるが、道路工事の事情に合わせてバス停の位置が大きく変わる場合がある。

執筆時だと那覇北部~浦添あたりの58号線の北向けは米軍基地の絡みもあって絶賛拡幅工事中のため、バス停が臨時だったりして乗るのがとっても大変。

このあたりを歩いている時、雨風が強くて歩くのも大変だったけど、乗り場がわからなくて困っている地元のおばぁにバスの乗り場を聞かれたりしたけど、俺も正直わからん!

ICカードはOKICAしか使えない(執筆時現在)

OKICAは沖縄でのバス専用カードでしかないのが悲しい

ゆいレールはSuicaなど本土のICカードで乗車できるようになったけど、バスについてはOKICAという沖縄独自のICカードしか使えない。

筆者はバスで両替したり小銭を財布から探して払ったりするのが死ぬほど嫌いなのでOKICAを作ったが、Suicaが使えないのは「沖縄のバス路線が複雑過ぎてSuicaなどの全国的なシステムに統合できない」からだと聞いた。

「県外の観光客≒レンタカー」という図式もあるが、OKICAを持っていない観光客がバスに乗る場合、キャッシュレスのご時世に小銭での現金払いが強いられる不便がある。

ちなみに、OKICAは逆もしかりで、東京の電車では使うことができない。電子マネーとして支払いに使える店は沖縄県内でさえほとんどない。ほぼバスとゆいレール専用のICカードである。

運転手の判断で行先が変わることさえある(?)

沖縄のバスは時刻表や路線図よりも、最終的には運転手の判断に委ねられていることもある気がする。

那覇市内である路線に乗ろうとした時、路線図的には次のバス停が終点にも関わらず、終点の一つ手前で運転が打ち切られてしまい、乗車させて貰えなかったことがあった。

実際には筆者が乗る方向(上り、下り)を間違えていたのだけど、一般的に歩ける距離の区間を乗ろうとしても乗車させて貰えないケースもあると、あとから沖縄の人に教えられて理解、納得した。「〇〇方面だったら乗り場は逆ですよ」くらい教えてくれればよかったけど、終点とだけ告げられて思考停止になってしまった。

昔は沖縄のバスの運転手はタクシーの運転手みたいに喋りかけてきたり親切な人が多かったけど、最近は親しみをあまり感じない運転手が多い気がする。

まとめ 不慣れな場合は面倒でも那覇バスターミナルから乗ろう

再開発で上等になった那覇バスターミナル

筆者みたいにペーパードライバーで、とてもじゃないが迷路みたいな道が多い沖縄でレンタカーなんか運転できるわけがない! という人が確実に路線バスに乗ろうとする場合、面倒でも那覇のバスターミナルから乗ると確実性が高い。

ここはちゃんとした電子案内版があるし、時間帯にもよるが建物内にインフォメーションみたいな人がいたりする。観光案内所も近くにあるし、確実に路線バスに乗るならバスターミナルから乗るのがよい。

本土みたいに大きなターミナル駅が存在しない沖縄本島においては、那覇バスターミナルは東京で言えば東京駅であったり、新宿駅であったりするわけである。

帰りはバスターミナル行きのやつに乗ればよいし、確信がある場合を除けば、県外の人など、普段沖縄のバスに乗らない人がバスターミナル以外のところから乗り降りするのは難易度が高いだろう。

まぁ、仕事の用事で乗ったりする場合はそんなわけにも行かないだろうけど、沖縄文化というか、一種のエンターテインメントとして楽しめれば、沖縄旅行者として一人前である。