恩納村と言えば沖縄県を代表するような高級ビーチリゾートだと個人的には認識している。世間的にも大体そんなイメージだと思う。
ハイアットだのインターコンチネンタルだの外資系っぽい名前の高級リゾートホテルがビーチ沿いに立ち並び、ビーチリゾート目的で沖縄を訪れた観光客が訪れる。3泊4日とかのパックツアーで恩納村のホテルに滞在する人もいるだろうけど、個人で予約したら1泊3万くらいするようなホテルが多い。
意外と安ホテルや民宿とかもある
ビーチ沿いの高級ホテルばかり目に付く恩納村。
日頃、1泊3千円くらいのホテルに泊まることが多い筆者からしたら目の飛び出るような価格のホテルが多いから、沖縄に何度も行ったことがあっても恩納村にだけは泊ることがなかった。
しかし、楽天トラベルで検索すると1泊3千円くらいで泊まれるホテルもあるではないか。これなら那覇に連泊するのと変わらない値段なので、自炊可能なキッチンもある「クリスタルイン恩納」という施設を5泊予約して恩納村に滞在することにしたのである。
北谷から25Km歩いて向かった
季節は真夏。めちゃくちゃ暑い。関東など本州の夏も暑いけど、沖縄はもっと暑い。
天気予報では32度とか関東とそんなに変わらない気温だったりするけど、人間の体感温度というのは「気温」「湿度」「風速」と地面などからの反射熱などで決まる。だから単純に気温だけで人間の感じ方がわかるわけではないけど、沖縄の場合は気温が32度くらいでも湿度が80%以上あったりするので、この場合の体感温度は42度くらいにもなる。
おまけに紫外線は東京の何十倍だかと聞いたことがあるので、うちなーんちゅ(沖縄の人)は出来る限り日中は屋外に出歩かないようにしている・・・はず。関東当たりは夜になれば大体は涼しくなるけど、沖縄は夜でも30度くらいあったりすることが多い。気温があまり下がらないのだ。
そんな中、ウォーキング趣味とバス代節約を兼ねて前日まで滞在していた北谷町から国道58号線を北上、恩納村に向かった。天気が悪くなったりギブアップしそうになったらバスに乗ればいいしね、という気楽な遠足である。
とりあえずホテルにチェックインした
距離というよりは暑さと荷物の重さでダウンしながらも、18時くらいの日が暮れだした頃に宿泊先近くに到着した。
ここはマンションをリフォームしたようなコンドミニアムタイプの施設だけど、手間の建物1Fがフロントになっていた。地元風のお兄さんが1人で受付していたが、自分がこの日最後のチェックイン客だったようで、チェックインし終わったらフロントを閉めていた。予定事項より早めに着いたけど、無事に辿り着けてよかった。
部屋は畳の和室にベッドというハイブリッドタイプでかなり広い。都市部の低価格帯のビジネスホテルじゃ、ここまで広いのはまず泊まれない。
大きい窓を開ければベランダもあって、ダイレクトにやんばるの森っていう感じになっている。蝶々が舞っていたり、ちょっとした自然観察ができる。
街に繰り出して噂の共同売店に向かった
事前情報では近くに共同売店という、沖縄に古くからある食品や雑貨などを扱っているミニスーパーのような店があるはずなので、そこで今後5泊分の食料などを買い込もうと思った。
確かに近くに共同売店があるにはあったけど、この日は閉店済みだった(悲)
あれ~、Googleマップの情報だと20時までだったからまだ営業中かと思ったけど、臨時休業とかだったのかわからないけど、Googleマップの営業時間とかは基本的に信用しない方がいいと思う。
何かしら食料を確保しないとならないが、他に徒歩圏内にある店はローソンだけだった。居酒屋とか観光客向けのオシャレ飲食店はいくつかあるけど、とりあえずパスした。
共同売店から少し進んだところに確かにローソンがあった。何の変哲もないローソンだけど、とにかく食料をここで買わないとならない。
このあたりは恩納村の古くからの行政の中心で、今でも役場があったりするけど、付近にスーパーとか普通に食品を買えるところが共同売店以外にない。だから、裕淑の時間帯なんかは付近の住民と観光客風の人で結構混み合う。
北海道の田舎だったら値段とか品ぞろえがミニスーパー的なコンビニのセイコーマートがあったりするけど、ここには残念ながら普通のコンビニしかないので普通にカップ麺と冷凍食品のお好み焼きと、この地域の泡盛「萬座」を買って店を出た。
せっかく恩納村に滞在するのだからと買った。大体は恩納村内で消費されているとネット情報で聞いたけど、よく考えるとイオン那覇店で買った記憶もあるし、本州の某沖縄物産店でも見かけた。最近は恩納村以外でも結構流通しているのかもしれない。
味は好みの問題もあるけど、全国販売(?)されている「久米島の久米仙」とか「まさひろ」とかに比べたら、香りはクセがあって好みが分かれると思う。泡盛らしいというかクセのある風味が好きな人には溜まらないとは思う。
車とかで移動できる人だったら他の地域のスーパーに行ったりできるけど、徒歩だと半日くらい歩かないと他の地域のスーパーには行き来できない。
台風が来襲するので翌朝に買い出し再挑戦!!
天気予報を見ると沖縄本島に台風が明日来襲することになっている。
昨日、チェックインできたのは都合がよくて、台風接近に伴って雨風が強くなっていた。あとでホテルのフロン付近に貸出用のビニール傘があるのを発見するのだが、手持ちの傘が壊れかけの折り畳み傘しかなく、完全に壊れるのではないかと不安を感じながら共同売店に向かった。
恩納村の共同売店は沖縄県内最大規模、つまり世界最大の共同売店である。全日食チェーンと提携しているという。1Fは食品や事務用品などを扱っていて、2Fはちょっとしたホームセンターのようになっていた。
野菜はゴーヤーなど地元産のものはあるが、普通のスーパーに比べると品ぞろえが豊富とは言えない。肉や魚は冷凍食品が中心で、加工食品やレトルト、ドリンクなどはそれなりに充実していた。
値段はコンビニより安いと思っていたが、よくよく調べるとモノによってはローソンの方が安いものもあった。一人用の醤油とか、調味料とかはコンビニの方が安い場合があった。
とりあえず、上の写真のような感じで食料品を買い揃えた。納豆、ふりかけ、お茶漬け、レトルトカレーなどで普段の生活(?)と同じ。写真に写っていないけど、ゴーヤーと島豆腐も買った。
モヤシは沖縄では高級食材で1袋100円くらいすることもザラだけど、半額だったので買って入れてみた。
那覇とか都市部では沖縄県内のモヤシ工場で作られたものが58円とかで買えるが、九州から輸送されてくるモヤシは100円くらいする。本土みたいに10円とか20円で売られているのは見たことがない。モヤシが節約レシピの定番なのは本土の話であろう。
値段は基本的にコンビニ価格。車で移動できる人は正直、名護とか石川とか読谷のスーパーに買い出しに行った方が色々買えるし確実に安いはず。手に入る食品が限られているので自炊して作れるメニューが限られていた。
米は完全に自炊にしようと思って食べきれるか不安だったが、米派だし頑張れば食べ切れるはずと思い5Kgを買った。これが後に地獄を見る原因になるのだけど。米地獄という地獄である。
台風去って近所のナビービーチに向かった
この近所には村営の無料ビーチであるナビービーチというのがある。
そもそも問題、日本のビーチというか沖縄のビーチというのは無料が基本であって、誰でも自由に利用できるというのが沖縄の条例で決められているし、法律で企業や個人などが占有できないことになっているらしい。
意外と知られていないというか、自分もよく知らなかった。ビーチ沿いのリゾートホテルの口コミを見たりすると「プライベートビーチがどうの~」という書き込みがよくあるけど、厳密な意味でのプライベートビーチというのは日本に存在しないはずなのだ。そのホテルの利用者以外も出入りできる通路を確保しないとならないのである。それでも、料金を払わないと入れないビーチも一部あるようだけど、そのあたりの詳しいことは調査不足でわからない。
上の写真と反対側から撮ったのがこの写真で、ANAインターコンチネンタルというリゾートホテルのプライベートビーチ風のビーチだ。もちろん、上記の条例や法律もあるので誰でも自由に出入れできるようになっている。ナビービーチと隣接していて、インターコンチネンタルの利用者は断然こっちを使っているようだった。
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約10年ぶりに万座毛を訪れてみた
恩納村には万座毛という特徴的な形をした崖みたいな景勝地がある。
確か10年くらい前に訪れたことがある気がするが、記憶が曖昧なので訪れてみることにした。
しかしである。以前は徒歩とか自転車で自由に鑑賞できたはずだけど、2年くらい前に万座毛周辺活性化施設という、実質的な有料入場ゲートができていたのだ。
この施設自体は飲食店やカフェ、土産物屋が入居していて、一種の道の駅的な観光施設でもあるのだけど、万座毛を鑑賞するには100円払って奥の扉を開けなければならない。ちょっとした遊歩道が整備されていて、100円払わない限りはまともな方法では万座毛の影すら見ることができなくなっていたのだ。
恩納村自体が筆者のような貧乏旅行者からしたらハイソな高級リゾートなので、100円くらい皆払ってくれるだろうという思惑なのかはわからないけど、正直、沖縄の他の場所にも同じではないにしても似たような特徴的な崖の景色はあるので有料化したのは残念に思った。
それでも続々と入場料を払って鑑賞している人がいたのは100円という価格設定が絶妙だからかもしれない。300円や500円なら自然の景観を見るのに高い感じがするけど、100円なら環境整備とかの寄付だと思って払うのに躊躇しない観光客が多いのだと思う。
そんなふうにグダグダ言う筆者も10年ぶりだからと100円払って鑑賞してきたけれど。
恩納村は集落巡りも楽しい
おそらくビーチリゾート目的で恩納村を訪れる観光客はまずやらないと思うけれど、恩納村は実は集落巡りが楽しい。
ビーチリゾート目的の観光客がまずやらないと思う根拠は、集落巡りをしている時に他の観光客に誰一人会わなかったから。
集落を巡る時はガイドブックとかにも載ってるのか知らないけど、筆者は共同売店に掲示してあった「おんな区ウキウキマップ」というのを写真に撮って、それを見ながら散策した。集落内にも別の観光マップがあったけど、ウキウキマップの方がウキウキする要素があったのである。
ここは万座毛を訪れた人でちゃんと解説とかを読んだ人なら記憶にあるはずの恩納ナビー生誕の地だという。
恩納ナビーは観光客誘致のために創造された架空の人物・・・ではなくて、実在した昔の恩納村にいた琉歌という歌を歌っていた女性だという。若者の出会いの場であった毛遊び(もうあしび)を禁じられたことを歌にしたり、イベントで歌を披露したという記録はあるものの、その後の人生などについての記録はないという。
恩納村では恩納ナビーをモチーフにした「ゆるキャラ」を多く目にするし、どれだけ恩納ナビーに近づけるかを競うコンテストのようなものも行われている。
ウキウキマップで集落内を散策するのはゲーム感覚で楽しかった。ただ、地図がわかりづらかったり、個人の家なのか観光施設なのかわかりづらかったり、私道なのか公道なのかわからなかったこともあった。犬に執拗に吠えられることもあった。
恩納ナビー関係の歌碑の一部は万座毛周辺活性化施設の建設に伴って移転したものもあるので注意。ネットの情報やガイドブックでも古いものは移転が反映されていなかったりするはず。
5日間で5Kgの米を食べきるのは無理だった
恩納村に滞在していた間は5Kgの米を消費すべく、朝、昼、晩、2杯以上は米を食べるようにしていた。出かける時もおにぎりにして米を食べるようにしていた。
しかし、残りの滞在があと2日になった時点でも5Kgの米が半分にもなっていなかったのである。これではこの先の徒歩旅行で重たい米を持ち歩くハメになってしまう。
結論を言うと、普通の人は5Kgの米をどう頑張っても5日で食べきることはできない。
昔の恩納村の人はイモが日常食であり、米は贅沢をする時だけ食べるものだったが、人は米ばっかり食べられないのである。2Kgくらい食べ切れなかった米は次の滞在先にも持っていき(重たかった)、米購入から実に10日後に食べきることができた。
5日程度滞在するなら、せいぜい2Kgの米を買うのが正しい。2Kgの米はローソンでも売っているのを見た。
恩納村の無料の博物館も楽しい
最後に紹介するのは観光客にスルーされがちな恩納村の博物館、その名も「恩納村博物館」だ。
那覇方面から見ると恩納村の一口あたりにある。おんなの道の駅に併設している施設だ。
内容は立体物と写真や解説ボード、ファイルされた書類などで、無料なのにかなりボリュームがある。展示物の一字一句を読むならば半日以上はかかりそうなボリュームだ。
筆者は2時間半くらいいたが、他の観光客は3人しか見かけなかった。恩納村の集落の歴史や、恩納ナビーについて学びたい場合は必須で訪れるべき場所である。