求職者支援訓練

コネタ

ハロートレーニング(職業訓練、求職者支援訓練)で出会った少し変わった人々

画像は職業訓練のイメージ

ハローワークの入り口付近に置かれている「無料で訓練が受けられます」や「お金を貰いながら通える」を謳い文句にしている職業訓練の類。

職業訓練や求職者支援訓練などいくつかの種類があるが、ひっくるめてハロートレーニングなどと言われている。

フレンドリーだか何だかわからない造語が好きだよね、役所は。

ってことで、職業訓練に通っている人たちはどんな人たちなの? という世間の声(?)にお応えして、知られざる経験者がら職業訓練の“学校モドキ”で出会った変わった人たちを紹介してみようと思う。

色々ある職業訓練の中でも3~6か月程度の通学期間である求職者支援訓練が最も一般的には受講ハードルが低いと思われるので、主に求職者支援訓練の“学校モドキ”についての記述である。

テキストの全部に蛍光ペンを引くスーツのオジサン

60代くらいのオジサン。

私服でいいよという訓練校でみんな私服なのに、着る服がないのか、サラリーマン時代のクセなのか知らないがも毎日スーツで通学していた。

席順の関係で隣の席だったが、勉強熱心か何か知らないが、テキストのほぼ全部の箇所に蛍光ペンで線を引いている。

健康ペンってなつかしー。小学校とか中学校時代を思い出す。先生が「ここ大事」って言ったところに引くやつだね。

だけど、そのオジサンはとりあえず全部引いてしまうので、どこが大事だか後で見た時にわからなくなってしまうのではと心配だった。

学習効率がいいのかどうか不明だけど、そのオジサンは訓練校の目標の一つであるITパスポート試験には受からなかった。一生懸命、線引くまくった意味ないじゃん。

自己紹介で喧嘩自慢する若いお兄さん

職業訓練校の類は世の中の本当に色々なタイプの人間が集まってくる。

普通の会社だったら、それなりに業種や職種ごとに似通ったタイプの人間が多いのが一般的。

ステレオタイプだけど、IT系の会社だったら、色白で視力の悪いひょろっとしたタイプの人間が多いものである。

ところが、職業訓練だとそれがIT系の訓練だとしても前職は様々。

ガテン系と呼ばれる体力仕事のような職場の出身者であったり、事務系の仕事で海外に赴任していたという、それだけ聞くとエリートなのに何で職業訓練なんかに来たのにゃ?
と思わせる人々が一堂に会するのである。

職業訓練とは不思議な場所だ。

ある人の自己紹介に耳を澄ませると、親方と合わずにゴニョニョしてしまい、ぶん殴ってしまって退職した・・・と何やら喧嘩が原因で訓練校に通うことになったという。

本人は気付かないが、このようにさりげなく周囲に威圧感を与える訓練生も少なくはない。

元気を貰うために訓練校に通う学歴自慢のオバサン

求職者支援訓練は民間企業に委託されているものの、もちろん財源は税金である。

自己紹介を聞くに前職は管理栄養士としての仕事をしていたそうで、口を開けば資格と学歴自慢ばかりのオバサンがいた。

「元気を貰いたくて通うことにしました!」

ハローワークとの面談で通う必要性がないと受講できないはずだが、立派な資格や学歴があるというのに、元気を貰うために通うのが認められるのだろうかと考えさせられるものである。

連絡先を交換したら金をせびるオジサン

職業訓練の類の学校に通うのは失業者である。

私の知る限り、訓練校を修了しても一部の人を除けば大半の元訓練生は失業者である。

なぜなら、給付金目的で通う大半の訓練生は見せかけはともかく、まともに就職する気などないから。

訓練校で知り合った比較的、ウマも合うし今後の仕事で繋がりがありそうな人と連絡先を交換したことがある。

しかし、訓練校を修了して数か月たった頃だった。

「〇〇訓練校で一緒だった××です」と連絡があり、金を貸してくれというような用件だった。しかも、シツコイ。

訓練校で連絡気を交換するのはリスキーだと心得よう。

やたら挨拶がでかい隣人

先にも紹介したように職業訓練校には世の中の様々なタイプの人間が一堂に会するのである。

自分の業界や職種では絶対にいないタイプとの人間とも付き合わないとならない。

大抵の場合、IT系企業みたいにフリーアドレスなんてものは導入されていなくて、小学校みたいに50音順の出席番号(笑)で席順が決まっていることが多い。

そのため、前後左右のメンツによっては、近所付き合いが面倒なことになる。

IT系企業などではチャットでしか誰とも話さないことも珍しくないが、ガテン系の職場などの経験者はやたらデカい挨拶じゃないと気が済まないらしく、朝から耳が痛くて仕方なかったことがある。

半面、蚊の鳴くような声でしか喋らない業界の出身者もいるし、何事もバランスが大事ではないかと考えさせられてしまった。

「おどるポンポコリン」の動画を再生し出すオジサン

訓練もスケジュールの中盤に差し掛かり、だいぶ中弛みしてきた頃だった。

特に取り上げて特長のないオジサン(といっても30前後)がいたが、ある日突然のことであった。

授業では使わないが、自慢のデカいノートパソコンを訓練校に持ち込んで、ちびまる子ちゃんの曲「おどるポンポコリン」の動画を唐突に再生し出したのである。

席が遠かったのでどういう流れでそうなったのかわからないが、気でも狂ったのだろうか。

とにかく職業訓練の類には、わけのわからない人が多くいるというのが個人的な印象だ。

ハローワークで紹介されることもあるだろうが、なるべく近寄らない方が無難だ。

コネタ

【体験談】なぜ人は職業訓練に刑務所っぽさを感じてしまうのか

国の大体の職業訓練というのは、どことなく刑務所チックに感じられるのはなぜなのかという疑問を綴ってみるコーナー。

あくまで個人の体験と感じ方になるので、万人の感覚というわけではない・・・はず。

職業訓練にも色々あるが・・・

国が行っている職業訓練というのは何種類かあるが、がっつり年単位で“公立学校のような場所”に通うものもあれば、民間企業に委託している3か月~6か月程度(もっと短いのもあるかもしれない)の求職者支援訓練というものもある。

後者は民間企業が実際の授業を行っているのだが、筆者が経験したことがあるのは後者。10年くらい前は基金訓練という名で同じようなものが行われていたように思う。

内容的にはエクセルなどのOfficeソフトの基本操作を習うPCの事務系訓練を筆頭に、Webデザイナー養成、プログラマ養成、ホームヘルパーなどの介護系、建築とかのCAD、ネイリストなんかのコースもあった気がする。年単位で通う公共職業訓練は電気関係やビル管理、工事作業などを想定した訓練なので、数か月程度の求職者支援訓練は一見するとカジュアルに感じられる。

しかし、その民間が行っていて比較的カジュアルに感じられる求職者支援訓練ですら、筆者には刑務所チックに感じらてしまうことが多々あった。

いや、世の中には明るく楽しい求職者支援訓練もあるはずだか、筆者が通ったことがある求職者支援訓練はかなり刑務所チックだったのである。

刑務所にも職業訓練がある

刑務所体験を綴った書籍やWebサイトによると、実際の刑務所にも職業訓練があるという。

出所が近い受刑者などが社会に出てから仕事に就きやすいように資格や免許取得を目指したり、実務に役立つスキルを身に着けるために行われているのだろう。

内容的には工場勤務などを想定した作業系のものもあれば、理容師や美容師を目指すもの、エクセルなどのOfficeソフト系、プログラミングなどのIT系の訓練もあるという。

刑務所の職業訓練と、一般の失業者が通う職業訓練は、塀の中か塀の外かという違いはあるものの、内容的にも国が行っているという点からも、どことなく似ていなくもない気がする。

刑務所チックに感じられた理由

筆者は10年以上前と比較的最近に求職者支援訓練を受けたことがあるが、時代や訓練校、担当するハローワークによっても若干の違いはあるものの、一旦、申し込んで受講生となったら、割と刑務所チックな雰囲気を体験することになる。

その理由を断片的にだが挙げてみよう。

失業者やニートを労働者として矯正する施設

職業訓練を全く知らない人からすると、社会人として仕事のスキルを伸ばすためのもののように感じるかもしれないが、実際は派遣切りやリストラなど、何らかの理由で失業状態にある人が新たに0→1を目指して職業に就くためのスキルを学ぶところである。

たまたま偶発的に失業している人もいれば、生活保護を長年受けている人や、学校を卒業した時からほぼ働いたことがないニートと呼ばれる若者も通っていたりする。ちなみに「ニート」という言葉は、国が作っている職業訓練の募集資料にも「対象者:ニート」などと書かれていたりする。

国としては失業者や働いていない人を減らしたいから、彼ら彼女らを「労働者」として矯正する意味合いで職業訓練は行われていると捉えることもできなくもない。いや、そうなんだと個人的には思っている。

雰囲気が半強制的で簡単には休めない

民間の資格学校などと違って、一旦、受講生の身分になると退校するまで半強制的な訓練奴隷となる。

フツーの会社員などと違って有給休暇なんてものはもちろんないし、私用で休むことも認められない。体調不良でさえ病院の領収書が必要だったり、並みの会社員より休むことが異常に困難なのだ。

訓練校によって多少の温度差はあると思うが、筆者が通っていた訓練校では「持病で通院している人は訓練のない日に通院してください」などという張り紙があったくらい。身内が死んだくらいの事態じゃないと休むことは認められないのだ。

ほぼ唯一、正当な欠席理由として認められるのは求人の面接くらい。休みたい時は無理やりにでも面接や派遣会社の面談をセッティングしたくらいである。

ちなみに、面接で休めるのは仕事に就くための訓練だから当たり前のように思うかもしれないが、面接ですらもしっかりと「欠席」としてカウントされる。月に休めるのは3~4日が限度であり、それ以上休むと給付金が停止されたり、退校処分になってしまう場合がある。

やっぱり、気軽に休むことは認められないのだ。

設備がショボくて刑務所チック

これも訓練校によって差があると思うが、筆者が通ったことのある訓練校は設備がショボかった。

一応、国の基準で受講生一人あたりのスペースとか確保すべき環境面は決められているようだが、座席の間隔は狭く、机も狭く、椅子はパイプ椅子レベルで長時間座るのが困難であった。飛行機のエコノミークラスの方が快適なくらい。

同じような不満を持つ人はクラスにもいたので、不満に感じていた人は多かったと思う。

民間の資格学校やセミナールームなどを使っている場合でも、有料の講座はPCのスペックが職業訓練よりもマトモだったり、空間が快適だったりするのに、職業訓練の受講生にあてがわれるのはショボい環境・・・と差を付けている訓練校もあった。

喧嘩やトラブルが起こりがちな職業訓練校もある

これは訓練校の秩序次第であったり、集まってきているメンツによるとしか言えない。

だが、職業訓練はそれなりにクセのある人が多い場合もあるので、喧嘩っ早い人や、陰湿な嫌がらせなどで受講生同士のトラブルが起こることもある。

「誰とも付き合わなければいいのでは?」と思うかもしれないが、そもそも失業者の集まりでピリピリしがちという状況の中で、コミュニケーション重視でグループ学習のようなものが行われることもあるため、クセのある人間とも付き合わないとならない場合もある。

訓練校の事務担当が偉そうでムカつく

これも訓練校次第。

講師が事務担当者も兼ねている場合は経験上はマトモなことが多い。だが、事務局は運営に徹していて外部から講師を派遣しているような場合は要注意。

事務局の人間など、ただの零細企業の社員でしかないのだが、まるで国家権力を持っている刑務官のごとく接してくる場合もある。

IT系の授業なのに受講生に教室の掃除をさせたり、事務局の手伝いをさせたりするのも当たり前の訓練校もあるので注意しよう(笑)

簡単には辞められないのが職業訓練

「仕事も決まらないし、積極的に働く気もないから、とりあえず職業訓練でも行っとくか」という甘い考えの人は注意。

入ってからよくよく見ると設備もショボいし、事務担当者は上から目線で矯正施設チックだし、講師も市販の参考書の棒読みでやっつけ仕事だし、なんだか思ったのと違う! と思っても簡単には辞められないのが職業訓練である。

休むこともままならないけど、辞めるのはもっとままならない。

基本的に最終日まで通い続けるか、就職決定(バイトや派遣など何でもいい)で中途退行するかの2択である。

自分や周辺で中途退行する人は以前の経験職種などで無理やりでも就職を決めた上で去っていく人が多かった。

就職決定だと支給単位ごとの出席日数が8割を超えていれば、とりあえず通った分の給付金は日割りで支給されるのである。しかし、自己都合で辞めると給付金が支給されないという違いがある。

教科書代の1万5千円とかも使ってない教科書があったとしても、買い取りなんてやってないから気を付けよう。というか、無職に1万5千円越えの教科書を平然と買わせるなよと。

余談 職業訓練の受講生や修了生に偏見を持つ人もいる

かくいう筆者もそうなのだが(苦笑)、世の中には職業訓練の修了生などに悪いイメージを持っている人もいないわけではない。

企業側からすると「職業訓練の修了生を採用したけど使い物にならなかった」というマトモな理由の場合もあれば、税金を貰って勉強しやがってという僻みみたい理由の場合もある。

実際、パイプ椅子と空調もマトモに効いていないような狭い部屋に集められて、旧式のオンボロPCで半強制学習を強いられるのが職業訓練の相場なのだけど、経験がない人からすると僻みの対象になってしまうのだろう。