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【栃木ぶらり旅】鬼怒川温泉に行って来たぞ

以前、2015年2月に同じような地域にある川治温泉の旅行記を発表した。

その記事では3大格安温泉ホテルチエーンとして知られる伊東園ホテルの送迎バス利用であったが、その際に通り過ぎた鬼怒川温泉があまりにも巨大で華やかに映ったのである。

豪雨による生々しい被害

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なんと言っても鬼怒川温泉はJR新宿駅から直通の特急があったり、東武鉄道があるので首都圏からのアクセスが良い。そのうえ、多くのホテルが送迎バスも用意している。

 
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だが、ちょうど1年前の2015年10月に起きた豪雨の傷跡は生々しい。鬼怒川というだけあって、川沿いに栄えた温泉街だけに、水害を直に受ける地理環境にある。

巨大な廃墟と言えなくもない

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バブル期に栄えたであろうことは明白なこの地域は、その豪雨があってもなくても、駅に近いホテルや伊東園などに買収されたホテルは別にして、駅から離れた地域には廃墟のような大きなホテルが並ぶ。

以前バスで通りかかった時の印象と違って、川治温泉よりもホテルの大きさと数は数倍なものの、全体の印象としては廃墟感がより強い。

川治温泉の方がこじんまりとしているものの、廃墟的な建物はあまり目にしなかったのだ。

温泉街の雰囲気

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伊香保温泉とか越後湯沢などに比べると、ザ・温泉街と言った雰囲気が極端すぎるくらいにない。駅前を除くと、土産の専門的が少ない。ホテルの中には売店がある。

阿寒湖温泉のマリモのような象徴と言えるものは、あるとすれば『鬼』と言ったところで、階段に鬼の絵が描いてあったり、鬼の像が時々ある。

東京ドーム何個分か知らないが、東京で言えば東京駅から新橋駅くらいのかなり広大な範囲に(廃墟も含めて)温泉ホテルが乱立する。

駅前からずっと温泉街というわけでもなくて、何を持って温泉街かという基準にもよるが、徒歩で移動できるくらいの距離だがいくつかのゾーンに分けられている雰囲気がある。

伊東園ホテル ニューさくら

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1泊2食バイキング、夕食はアルコールの見放題付きで7,800円~という格安チェーンのホテル。

伊東園、おおるり、大江戸温泉物語は関東を中心とした3大格安温泉ホテルチェーンだと言う。これらの業者の特徴はバブル期などに立てられて廃業したホテルを買い取って経営していること。

以前泊まった一柳閣も伊東園だったが、今は同じチェーンでも立てられた時は別々の業者だった可能性があるので、建物の造りや雰囲気は違う。それでも、共通して言えることは、バブル期の建物なので、今のシンプルで統一的な現代的建築ではなく、ロビーや客室が無駄に豪華であること。

街中のビジネスホテルと違って、チェックイン開始の15時~16時くらいに客が殺到するのでカウンターが混み合う。

ニューさくらの夕食

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食事に関しては伊東園の場合、ホテルが違っても大体同じ。この日は利用者が多かったので、2部制になっていた。90分で交代。

基本的に日本人の特性で開始時間に殺到する。

夕食バイキングは「味と質」より、「数と量」である。一部、料理したばかりの肉やカニなどもあって、量は沢山あるがカニには殺到する。一柳閣ではビールや熱燗を入れる業務用の機械をスタッフが操作していたが、人手不足かでセルフだった。使い方がよくわからんかった。ぶちまけている人もいた。

日本酒やウイスキーはスーパーで買うと一番安い銘柄より、1~2段階上の銘柄なものの安物。ビールだけは、中身が違わなければ普通にビール。

夕食バイキングだけにしたら、2,000円台くらいだと思うが利益の感じはよくわからん。

ニューさくらの朝食

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夕食に比べたら平和。

前の一柳閣の時より品目多く、バラエティに富んでいた気がする。利益の感じわからんが、1,500円くらいの感じだと思う。

客層

高齢者のリピーター的客層である。平均年齢50~60代以上。

たまに30代くらいの家族連れもいる。いくら安いと言っても若者のグループとかは、面白いくらいに全くいない。伊藤園の広告には若い女性が出てたりするが、前回も今回も若い女性のグループなど1組も見なかった。

交通は・・・

前は送迎バスを利用したが、休日前後で予約が取れなかった(補助席ならあると言われた)ので、東武の普通列車で行った。

乗り継ぎ良ければ埼玉南部から2時間半程度。東武は長距離乗るとJRの普通運賃より安い感じがある。

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【栃木県ぶらり旅】川治温泉に行ってきたぞ

寂れた場末の温泉街に行きたくて(失礼)、たまたま1泊2食アルコール飲み放題付き+埼玉からの送迎バス無料で約6,000円という破格に惹かれて、栃木県日光市の川治温泉に行ってきたぞ。人間、寂れた温泉街に惹かれることもあるよね。

なぜか『鬼怒川・川治温泉』と表記されがち

オマケじゃないんだぞ、川治温泉は!

だけど、大抵そういう表記なので、オマケというか付属品みたいで、自分が川治温泉だったら心外だわ。私は川治温泉じゃないからいいけど。

温泉通の人にはお馴染みの温泉かもしれないけれど、栃木に縁もゆかりもない私は川治温泉を知ったのは、この時が始めてだった。行くのも当然初めて。日光なら行ったことがあるので、なんとなく想像が付く。日光は宇都宮市の北西にある山がちなエリアだ。

鬼怒川温泉は、新宿などから直通する東武鉄道の『スペーシアきぬがわ』を埼玉の線路でたまに目にするので、そこそこ親近感がある。しかし、川治温泉も鬼怒川温泉の近隣にあるものの、スペーシアきぬがわでは乗換えが必要。ホテルの数なども鬼怒川温泉より少ないので、さぞ、ひっそりとした「これぞ場末の温泉街!」という雰囲気が味わえるのでは?という期待感があった。

ちなみに、その後に訪れた鬼怒川温泉の記事はこちら。

期間限定の無料送迎バス

首都圏から電車で2~3時間でアクセスできる鬼怒川・川治温泉エリア。しかし、今回は無料送迎バスに惹かれたので、当然バスを利用。関東近郊の温泉地などにホテルを展開する伊東園ホテルグループの一柳閣本館に向けて、さいたま新都心から出発だ。他に池袋からの発着もある。

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さいたま新都心は埼玉では、高速バスや送迎バスの発着場として代表的な場所。東京で言うと、品川インターシティくらいの高層ビル街で、品川が大したことないのか、さいたまが凄いのかで悩む。

巷では、埼玉県民は地元に愛着が無いとか、埼玉はダサいなどと言われがちだが、さいたま新都心は別格。国内外の一流アーティストがコンサートをやったり、映画やTVドラマの撮影が頻繁に行われている。映画やTV業界の人なら誰でも知っているが『東京の高層ビル街』のシーンとして流れている映像の多くが、実は埼玉での撮影だったりする。

よく知らない人には、埼玉と東京の区別なんて付かないのだ。細かい違いはあるにせよ、埼玉と東京は大体同じものと言ってよい。

さいたま新都心は東京スカイツリーの建設地の候補としても挙げられていたが、都内に作った方が当然、電波的に有利ということで残念ながら実現しなかった。それでも、今後は埼玉への首都移転に期待したいところである。

私の勝手な指標だけど、ビックカメラとヨドバシカメラが両方ともある街は、日本を代表する大都会。2015年の夏、さいたま新都心にヨドバシカメラができて、さいたま市の大宮地区は大都会の仲間入りした。

バスの雰囲気

一般道と高速道路を通って、日光市内の蕎麦屋みたいな所で休憩中のバス。

温泉街行きのバスなので、車内は高齢者が多い。平均年齢は60歳くらいだと思う。土日は家族連れなどもいるのもかもしれないが、子供は皆無。

ちなみに・・・このバス、道路網に詳しいわけじゃないけど、高速代をケチるためか、妙にセコいインターから一般道に下りた気がする。帰りなんか、帰宅渋滞にモロはまって、歩いた方が速い気がしたぞ。栃木県→埼玉県(お隣)の移動に5時間もかかりおった。ええー。

電車なら2時間で帰れたよ・・・。

鬼怒川・川治温泉街に到着

鬼怒川温泉の伊東園ホテルグループのいくつかのホテルに乗客を降ろし、最終目的地の川治温泉に向かう。

伊東園は1泊2食アルコール飲み放題が基本で、基本的にいつでも料金が同じという、単純明快なシステム。都心部から送迎バスもあるので、予約さえすれば、とにかく頭を使う必要がない。頭使いたくない場合にはありがたい。

 

鬼怒川温泉街を走るバス内から撮影。

鬼怒川温泉は特急が停車している大きな駅があるし、土産物屋や飲食店、コンビニやスーパーがあり、地方の観光地によくあるトリックアート美術館などの施設が色々とある。

今回、料金を調べた範囲では、鬼怒川温泉の方が人気があるからか、川治温泉より3割くらい高い。

川治温泉 一柳閣本館

13時。鬼怒川温泉から15分ほど走ると、川治温泉の一柳閣に到着。一柳閣はこの界隈では最も大きい建物のようで、よく目立つ。

7,800円という表記は一例なので、もっと安いプランもあれば、もっと高いのもある。

川治温泉の散策

このあたりは山岳地帯なので、冬場はうっすらと雪があったりする。

 

付近を流れる男鹿川。散策路が整備されていて、川沿いに約10軒のホテルや温泉宿がある。日帰り温泉施設などもある。

川治温泉は290年もの歴史がある。まっとうなビジネスのほとんどがリピーターや固定客で成り立っていることを考えると、鬼怒川より少しアクセスが悪いというだけで、寂れた温泉というほどではないのかもしれない。

ここの付近を散歩していたら、40代くらいの女性が一人で歩いてきた。通り過ぎる時にしゃべりかけられて「向こうにある温泉、営業してるかしら?」と言われた。

あの混浴風呂のことか、と思ったがあいにく営業はしていない。こういう田舎でもナスティ(下品)な温泉街は東北地方はじめ各地に存在するが、ここは至って普通の田舎。あの混浴風呂が唯一のアバンチュール的存在であった。

シンボルの野岩鉄道

山岳地帯で平地が少ない場所だが、ちょうど温泉街の上を通るような形で、よくぞ作ったなと思うくらいの見事な鉄道橋がある。

 

2両編成の電車が1時間に上下線とも1本くらい走る。ほとんど、温泉関係者くらいしか住んでいないように思う駅だし、栃木の田舎(失礼)から福島の田舎(失礼)に向けて1時間に1本も運行してて儲けが出ているというのは、意外といえば意外。北海道で鉄道と言えば赤字当たり前のJR北海道だけで、私鉄なんぞは存在しないから、私鉄が儲かる世界についてはよくわからん。

 

鉄道でアクセスする場合は、温泉街の北と南にそれぞれ駅があって、どちらも徒歩15分くらい。

星野リゾートの温泉宿もあるので、マイクロバスが停まっていた。伊藤園みたく首都圏からガチで送迎するバスもあれば、この川治湯元駅からプチ送迎するバスもある。

 

温泉街の中心部。コンビニはなく、酒屋などの個人商店、少数だが飲食店がある。もっとも、この地域のホテルは夕食付きが基本のように思うので、宿泊客の利用は少ないのではないか。

あと、なぜか多かったのは理髪店。温泉に来たついでに散髪する人向けなのだろうか。

温泉の感想

私は温泉マニアではないから正確な分析はできないけど、無色透明、無味無臭な温泉だった。

 

一柳閣には露天風呂と通常の大浴場、貸切風呂などがある。昭和の時代に建てられたであろうホテルなので、平成時代のスタイリッシュさはないが、バブルや高度成長期的な豪華な雰囲気がある。

 

部屋は和室がメインだと思うが、私が泊まったのは寝るだけ派向けのビジネスタイプ。普段から予算の都合で眺望なしの部屋に泊まる機会が多いが、窓の外は隣の建物で、上にも屋根がある。昼間でもモヤシが栽培できるじゃないかというくらい、真っ暗だった。色々な眺望なしの部屋に泊まった私でも、これだけ真っ暗な部屋に泊まれることはあまりない。

 

お待ちかねの夕食

日本人の特徴として、ホテル等での食事は開始時間になると一斉に人が集まることが挙げられる。早い者勝ちでも何でもないのに、せーので、みんな一斉に行きたがる民族なんだ。

言わんこっちゃない、18時の宴会開始時間には会場に人が大勢集まっていた。風呂場などではあまり人がいなかったので、意外に人がたくさんいるように思った。

 

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会場はいかにも昭和時代の温泉ホテルという感じで、とても広い。イベントホールとか体育館みたいな感じ。都会のビジネスホテルみたいな、細々した食事会場とはわけが違う。

食事の内容は、タラバガニとエビとマグロとサーモンの回転寿司レベル以下の寿司は比較的豪華だが、それ以外は冷凍食品風のタコ焼きや唐揚げが記憶に残っている程度で、まぁ庶民的な感じ。

アルコールに関しては、「ヒゲのウイスキー」の愛称で親しまれている 「ブラックニッカ」、デカいペットボトルの焼酎、3L紙パック入りの日本酒、ビールはアサヒスーパードライ(たぶん)だった。

ビール以外は酔えれば何でもいいという時に飲む、いわゆる安酒だったが、こんな安酒でも大変おいしく、楽しく食事ができた。

宿泊客は地方の温泉ホテルという感じで、年金暮らしの高齢者や、中高年の夫婦と、付近で工事関係の仕事をしている人達が主だった。若いカップルが1組だけいたが、そういう人は珍しい。カニが食べれて、酔えれば何でもいいという人が集まる宴会会場なので、子供は一人も見かけなかった。

一つ一つの料理はカニとエビと寿司以外は、ほんとに庶民的だけど、アルコールが入ると料理の質が気にならなくなる。私はビールの違いが全くわからない男なので、アサヒスーパードライとイオンの88円の第3のビールだったら、後者の方が美味しいように思う。

近隣の席に座っていた工事関係の人が、ハムスターを飼おうと思ってペッショップに行ったら店員に「2匹なら安くする」と言われて、言われるがままに2匹買ったものの、すぐに共食いされたみたいな話を一生懸命話していた。

現実に戻される朝食

翌朝、朝食バイキングに行った。

 

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朝食も昨夜と同じ宴会会場だが、アルコールがないせいもあって、納豆、海苔、焼き魚など、妙に現実感のある食事に思えた。

それでも、とても美味しく頂いた。

常に料金のことばかり考えていたが、送迎バス付きでこの値段はお得だと思う。

送迎バスは通常は3,000円なのが無料。夕食の価値は1,700円といったところか。朝食は800円。宿泊代は3.000円。日帰り入浴として、到着日と翌朝で1,500円といったところか。確実にお得だと思う。

たぶん、私1人としては赤字だろうが、大量に泊めて大量に飲み食いさせることによって、全体として利益が出るのだろう。

川治は首都圏から遠すぎず、近すぎずというのもアピールポイントだ。

なんらかの事情で少し姿をくらましたいという人にもお勧めできるので、予定が合う人は行ってみてはいかがだろうか。

おわり

Extra Stage 札幌近郊編

自転車旅行記 札幌近郊編 その2 ~定山渓温泉~

古くから札幌の奥座敷として知られる定山渓温泉。札幌市街から25Kmくらいと、自転車で行くにも、ちょうどいい距離の温泉街である。

札幌市街地からの道順としては「石山通」という名で知られる国道230号線を南に進む。かつての自分がそうだったが、地下鉄しか乗らないような地方から出てきた若い人を除けば、札幌市民なら誰に聞いても「石山通」くらいはわかる。それなりの態度で頼めば、石山通への道順はすぐ教えて貰えるだろう。

国内5番目の人口190万人を誇る大都市・札幌も、市街地から南に10Kmも離れれば、こんな感じの広々とした道路になる。ここまで来れば走りやすいが、市街地をパスしたい人は豊平川の河川敷にサイクリングロードがある。頃合いを見て、国道に移ってきたら良い。

というよりも、実は豊平川は定山渓のあたりから流れてきている。このへんに沢山ある小さな河川は豊平川に合流する。札幌市街に流れ着くころには、あれだけの勢いのある大河川となるのだ。

定山渓温泉の入り口を示す標識。しかし、写真には写っていないが、このすぐ手間にも分岐があって、直進すべきか曲がるべきか、迷ってしまう。

「温泉街なら、あっちですよ」

標識を前にして戸惑っている私に、バス停でバスを待っていた女性が助け舟を出してくれた。

ああなるほど、北海道の人が「優しい」なんて言われるのは、こういうことなのかと思った。北海道外だったら、ただ迷っている風に見えるだけの人に、そのへんの民間人が「どちらに行くんですか? 大丈夫ですかぁ?」なんていちいち声を掛けたりしない。風貌とか、声を掛けやすいor掛けにくいというのはあるけども、同じ私という人間であっても、北海道以外ではこんな経験をしたことは旅人生活10余年の間で、沖縄本島の山奥で迷っていた時の1度だけだ。

定山渓の温泉街を流れる豊平川。札幌市街地の豊平川しか見たことがなかったら、結構、感動的な光景ではないだろうか。私は感動した。

定山渓温泉は多くのホテルで日帰り入浴もやっている。温泉街の入り口付近にあるホテル山水が600円と安くてお勧めだ。自転車以外でアクセスする場合は、日帰り温泉とバスの往復を組み合わせたお得な切符もある。