無料シャトルバス

旅モノ

那覇から無料シャトルバスで南城市(知念とか奥武島とかがある場所)に行って来たぞ

那覇空港から期間限定で出ている無料シャトルバスで南城市(知念とか奥武島とかある場所)に行って来たぞ。

無料シャトルバスの存在は偶然知った

半額とか無料に弱いタイプの人は一定数いる。定価だったら絶対買わないけど、半額だったら絶対に買うものとかあるよね。弁当とか。

この無料シャトルバスは期間限定で2021年10月~2022年2月頃の土日祝などに運行しているが、あまりPRが目立たないので直前まで知らなかった。

知った経緯は1~2日前に那覇から中部に路線バスで移動していて、話すと長くなるが色々あって「やっぱ沖縄のバスは乗りこなすのは日本一難しいなぁ」と半日くらいウダウダ思ってた時だった。

そんな時にある沖縄のバス路線を細かくガイドしているサイトで偶然見つけたのだった。実は那覇空港内でも案内はあるものの、あまりにもピンポイントなので偶然見つけた人が乗っているのではないかと思う。飛行機から降りて空港を出るまでの間とかに絶対に目にする場所とかにはないのだ。

乗る時は那覇空港の水槽前に集合

集合場所のBゲート水槽

那覇側の乗り場というか集合所はBゲート水槽前。水槽は2か所あるので間違わないようにしよう。

バスは運行日には1日3便あり、集合時間に近くなると運転手の小柄なオジサンがボードを持って現れる。コロナでそんなに乗る人はいないが、オジサンが現れたら乗りたいという意思表示をしておこう。

バスは那覇空港の駐車場(?)に停められていた

無料シャトルバスだし、南城市が所有しているようなマイクロバスとかワゴン車とかかな? と思ったら、そのへんを走っている路線バスよりも豪華なちゃんとした観光バスだったのは驚き。期間ごとに沖縄バス、琉球バス、東陽バスという沖縄のバス会社が担当していて、この時は東陽バスが担当していた。

バスは自分含めて3人の乗客を乗せて定刻の分後くらいに出発。集合場所が那覇空港なのは空港に着いたばかりの本土からの観光客をターゲットにしているのか、駐車場とか利権絡みの都合なのかはよくわからない。

自分以外の参加者はそれぞれ単独の中年女性で、1人は沖縄の人っぽくて、もう一人も80%くらいの確率で沖縄の人っぽく感じた。本土からの3泊4日くらいの忙しい観光客にしたら、南城ってそんなに優先度高い行先じゃないもんね。

バスは乗務員は運転者一人だし、特に観光案内もアナウンスもなくて、フツーに南城に向かった。バスの車内では地元のラジオ番組が流されていて、離婚率が全国で一番高い沖縄らしく、3回も離婚しながら逞しく生きている女子力が高いという女性リスナーの投稿が読まれていた。離婚を肯定する感覚もなんだかなー。

降車地は南城市役所かユインチホテル

バスは冷房を切っていたからか異様に暑かったという以外は何事もなく進んだ。

降りる場所はバスターミナルが併設された南城市役所か、ユインチホテルという南城市にある高級リゾートのどっちかを選ばないとならない。

降り場の一つ、南城市役所。旅行者には用事はないはず

市役所の目の前にあるユインチホテル

と言っても、この2つは道路を挟んで目と鼻の先。どっちで降りても大した変わらないし、このあとに乗り継ぐ南城市内周遊バスもどっちにも停まる。周遊バスの乗り継ぎに30分くらい時間があるので、ユインチホテルの方が時間潰しはしやすい。

南城市は合併してできた街なので、市役所とかバスターミナルと言っても都心部とは感じられないほど何にもないといか、少なくとも、アテのない旅行者が時間を潰せるようなものは見当たらなかった。

ユインチホテルの散策

南城と言えばユインチホテルというくらいの存在感を感じてしまうが、今は売却か委託かされて沖縄の民間企業が運営しているものの、元は厚生年金系の保養施設だったらしい。

与那国馬が飼われている

無料シャトルバスが運行されるくらいだし、素人目に見ても街の規模や雰囲気から不釣り合いなくらいに豪華すぎる。中庭があったり、与那国馬の乗馬体験があったり、温泉施設もあったり、北海道なら無料レベルの設備しかないけど1泊2500円もするキャンプ場があったりと、とにかくブルジョワな施設だ。

ブルジョワな人だったら2000円以上する高級ランチを食べたりするのもよいだろうけど、無料シャトルバス乞食の自分には手が出せないので、この日の昼食は断食することにした。ブルジョワホテルに土産物屋はあったけど、この付近にコンビニとかスーパーは見当たらなかった。吉野家やサイゼリヤも当然ない。ちなみにサイゼリヤは沖縄にはない。

南城市内周遊バスで奥武島に向かう

無料シャトルバスと周遊バスの案内ポスター

本当に旅っぽくなるのはここから。同じく無料の周遊バスに乗り換えて奥武島に向かう。

昼発のバスで来たので、帰りの那覇空港行きのシャトルバスの時間を考えると2時間くらいしか余裕がない。周遊バスだけど1ヵ所だけ選ぶのが賢明かなと見積もった。

17年前に初めて沖縄に来た時に、当時は知念村だった知念にバスで来た記憶があるのと、8年ほど前(もうそんなになるのか)に自転車で来た時の印象もあるので知念にも行ってみたかったけど、離島っぽさを求めて奥武島に向かうことにした。

ちなみに、南城市は2006年に周辺の町と村が合併して出来たが、沖縄県内の市では一番が人口が少ないらしく、なんと警察署もなければ高校もないのだという。確かに高校生くらいの子供を全く見なかった。

あと、奥武島は基本的に「おうじま」と読むが、手元のPCでは本土読みで「おくたけ」と入れないと変換できない。バス停は「おくたけ」と読んだり、豊見城(とみぐすく、とみしろ問題)とか、沖縄読みと本土読みが混在しているので少しややこしい。地名は地元の読み方でいいと思うけど、地元以外の人が読めないというのがある。アイヌ語ルーツの北海道の地名にも多いけど。

周遊バスも観光バス仕様だけど、乗っているのは日曜日なものの2~3人くらい。

ユインチホテルに泊っている人や、レンタカーは使いたくない人が多いのだろうけど、属性はよくわからなくて正体不明の観光客風の日本人が多かった。と言っても、その2~3人の極めて少ないサンプルだけど。

那覇空港から南城に向かう時に思ったが、このあたりは那覇から割と近いものの、緑豊かというかサトウキビ畑が多くて、道路の脇にカフェとかレストランとかが点在している。那覇から歩いてくるにも遠いし、レンタカーとか足がないと観光しづらい場所だ。

車窓風景と税金の匂いがするニライカナイ橋

安座間ビーチ(?)かどっかの南城市内のビーチ

周遊バスはユインチホテルから南城市役所を経由して、安座間公や知念を通り、時計回りで走っている。舗装路だが山道でアップダウンが激しい。窓ガラス越しに撮ったが、意外と綺麗にビーチが撮れていた。冬だからかコロナだからか、人はあまりいない。

こういう寂れた東海岸のビーチでも、コロナ前は韓国人や中国人のグループがレンタカーで押し寄せていたのだから時代は変わったのだ。時代はコロナフォーエバーである。

そして、中部の「海中道路」と並んで、南部の絶景スポットとして挙げられる「ニライカナイ橋」をバスは通過する。

ニライカナイとは沖縄に伝わる海の向こうにある理想郷みたいな概念。ヘアピン形状の橋で、ヘアピンを境にニライ橋とカナイ橋に分かれているらしい。

素人一般人の意見だけど、この橋の両端近辺に沢山人が住んでいるようには思えないし、絶対スポットとして挙げられることが多いけど、観光用に税金が大量に使われた税金橋のようにも思ってしまう。

自分も最近まで知らなかったので全国的にあまり知られていないと思うけど、沖縄は橋を道路を作る時に全国的にはありえないくらい(9割くらいだとか)、国が補助金つまり血税を出してくれるのだと本で知った。

撮影スポットもあるらしいが時間がないので車内から

沖縄は建設業に関わる人が8%くらいもいるらしいが、補助金がデロデロ出るものだから、何ともないアスファルトをひっぺ剥がして敷き直す工事もあったりするのだという。道路や橋を作るのに補助金は出ても、鉄道を作るお金は出ないのも沖縄のクルマ社会に拍車をかける要因となっていそうだ。

北海道の赤字JRを1~2路線くらい廃止したり、テレワークやリモート会議の時代にリニアなんて作らなければ、沖縄本島に鉄道の1路線くらいは余裕で作れそうだけど。

奥武島で天ぷらと野良猫に出会う

周遊バスは途中で1人2人、降ろしたり乗せたりしながら奥武島に向かった。

途中に斎場御嶽(せーふぁうたき)とか、なんとか御嶽という場所をいくつか通ったけど、そこは意外と観光客が多いようであった。この手の場所は神聖な場所なので信仰心みたいのがないと行っても良さがわからない気がするので行こうと思ったことがない。

バスはアップダウンを繰り返して、橋で繋がった離島の奥武島に到着。

奥武島のバス発着場。さしみ屋みたいな建物の前

奥武島は昔、自転車で訪れた気がするが、天ぷらが名物の島で猫が多かった記憶がある。旅行者がわんさか訪れるというよりは、那覇など本島に住んでいる沖縄県民が休日にドライブで出かけたりする場所らしい。

島の入り口あたり

確かに休日ドライブで来たらしい沖縄の人で島が溢れていた。市役所付近なんかとは比較にならないくらい賑わいがある。

名物の天ぷら屋。入口付近と少し奥まった場所にある

そして、名物の天ぷら店。天ぷらの島と言われることもあるけど、天ぷらが大量にあるわけでなくて、島を一回りしたが天ぷら屋っぽい店は3店舗しかなかった。うち1店舗は時間外なのか閉店していたので、天ぷらを求めてきた人たちで行列が出来ている。

ノープランで来たので名物の天ぷらでも買おうかなと軽く思っていたけど、ああ、沖縄の人にとって天ぷらはソウルフード、魂の食べ物なんだよなぁ、と無くなることのない行列を見て天ぷらを諦めようと思った。

沖縄の天ぷらと本土の天ぷらは正反対

正反対と言っても衣を具で包んでいるとかではないのだが、目指すところやソウルが正反対。

沖縄の天ぷらというのは本土の天ぷらみたいに具に衣を付けて油で揚げたものだけど、衣が分厚くてモチモチしている。アメリカンドッグの衣の半分くらいあるのが沖縄の天ぷら。

本土の天ぷらはサクサクしていないとダメ、ド素人、失敗作、人間やり直して来い! と言われるが、衣がモチモチしているような本土の大失敗が沖縄では大正解と評価されるのだ。

具は白身魚やチキン、イカだったり、エビだったり、野菜もあるけど魚や肉っぽいものが好まれる印象。

帰りのバスの都合もあり、天ぷらにそこまでソウルを感じない自分としては、うちなんちゅーの率に並んで買うモチベーションが湧かなかったので、天ぷらを買うのは諦めた。

だが、天ぷらは沖縄のソウルフードなので近年は沖縄のファミリーマートでホットスナックの一種として、カウンターで沖縄の人にファンの多い上間という天ぷら屋(たぶん)の天ぷらを買うことができる。そのファミマの上間天ぷらの食べかけ写真を載せるので、雰囲気を感じ取ってほしい。

スナック感覚で食べるのが沖縄天ぷらのソウル

ウスターソースを付ける派の人もいるけど、特に上間の天ぷらは衣自体に割と味が付いている気がするので、このままかぶりつくのが正解な気がする。そして重要なのは、ご飯のおかずや酒のつまみにならない気がするということ。味や食感がジャンクフード的なスナック感覚なのだ。

本土では天ぷらというと、ちゃんとした店で食べる料理だったり、下手したら料亭や懐石料理で食べるような上品な料理だろう。江戸時代では屋台で食べられていたり庶民的なものだったらしいが、沖縄の天ぷらは庶民感たっぷりのソウルフードだ。

奥武島の捨て猫たち

人が多いところに猫が多い

天ぷら目当ての観光客からおこぼれが貰えるのか、天ぷら屋とかから海産物を貰ったりできるのか、奥武島には野良猫が多い。ここも沖縄本島の人が捨てに来るのかもしれない。

駐車場にも猫が多い

天ぷら客の駐車場にも猫が多くて、ぺったんこの猫がいるんじゃないかと心配になったが、滞在中には見かけなかった。

元飼い猫のきれいな猫が多い

猫たちは普段、人からおこぼれを貰っているからか人慣れしていて、下手な猫カフェより猫と戯れることが出来る。

そんなこんなしていたら、周遊バスの時間になってユインチホテルに戻り、バスで那覇空港に戻った。

那覇のバスターミナルとか国際通りとかに行ってくれた方が格段に便利だけど、無料乞食だから文句は言えない。普通だったら南城までの往復と、奥武島乗り換えで1500円くらいはかかりそうな旅が楽しめたのでよかったということにしよう。

南城は那覇から近いけど、歩いてくるには遠いので陸の孤島感があって、まぁまぁ旅行感があって楽しかった気はする。