見学

Sixth Stage 沖縄やんばる Special Touring Style

12日目~最終日 オリオンビール&ネオパークオキナワ

沖縄本島一周という当初の目的を果たした私は、心に多少の余裕が生まれていた。

12日目は休息日。

13日目は再び名護へ。オリオンビールの工場見学に向かった。オリオンビールの工場見学は沖縄観光ではメジャーなものだと思っていたが、特に予約しなくても大丈夫なくらい、場末の感じだった。

9時30分頃に行くと、受付の人に「次の回は韓国人がいっぱいなので翻訳しながらになります。日本語の説明はシンプルになりますがどうしますか?」ということを言われる。時間に余裕のあった私は、20分待って次の見学会に参加することにした。

ところが、2階でツアー開始を待っているとボチボチと中国人が集まってくる。30代後半くらいのオリオンビールの説明のねぇねぇが来て、見学ツアーが始まる。

なんと見学に参加したのは中国人ばっかり。日本人は私一人のみ! 台湾人かもしれないけど、見分けが付かないので中国人と記載するけれど、まさか天下のオリオンビールにして、見学に来るのが韓国人と中国人ばっかりだとは思っていなかったので、ショックだった。

中国人7人くらいと私で、ビールが出来るまでの工程の説明を受ける。しかし、この中国人達は予約をしていないアポなし参加のため、ねぇねぇの説明は日本語のみ。日本人の私は言っていることが一部わからない所もあるが、大体わかる。しかし、中国人どもはチンプンカンプンだろう。英語で書かれたテロップをたまに出すけど『醸造』とか一言だけの説明なので、意味がわからなくて楽しくも何ともないと思うのだが。

せっかくの海外旅行で、こんな場末のビール会社に見学に来ているのに、ちんぷんかんぷんな説明しかできないオリオンビールのやり方を見て、私は中国人どもの待遇が気の毒になった。

製品の検査は最終的に人間の目でやるそうで、『女性の方が集中力があるから、今日は工場が動いていないけど、普段は15分交代で女性が目視検査している』と説明していた。沖縄に初めて来る男性はびっくりするかもしれないが、沖縄は昔から女尊男卑の社会なのだ。人間の全てにおいて、女性の方が優秀とされている。

見学中は質疑応答などは一切なく、ねぇねぇはエレベーターガールのごとく決められたセリフを喋っているだけのようだった。缶ビールの製造スピードを説明してる時、何本だったか忘れたが、1分間に沢山の本数が製造できるそうで『ビール好きの人が毎日10本飲んでも100年以上かかる』と誰も笑わない冗談を言っていた。

7人は日本語がわからないから何ともないが、たった一人のネイティブジャパニーズである私が一番困る。ローンサバイバー状態だった。

最後にビデオを少し見て、試飲へ。

ビール会社というのは、どこも最後に試飲があるらしい。何気なく受付の時に『どこから来たか?』『交通機関は?』みたいなアンケートを書かされたが、伊江島のハイビスカス園みたいに単にスペックを把握したいだけのものだと思ったら大間違い。

乗り物を運転して来た人は、自転車だろうとドライバーバッチを付けさせられる。

工場見学の締め括りとして、最後にビアホールに案内される。しかし、ドライバーバッチが付いていると、見学に参加した本当の目的が試飲ビールだったとしても、この先の人生で、一切ビールを口にすることができないのだ。

当たり前と言えば当たり前かもしれないが、お土産用に缶ビールを貰うとか、本当は歩いて来たんだけどアンケートは間違って書いちゃいました!・・・という苦し紛れの選択肢も用意して欲しいと思った。

私はドライバーなので、仕方なく、ノンアルコールビールで渡されたつまみのスナックを流し込む。詰めが甘いというか、何と言うか・・・やり直しのできない人生だ。

アドバイスじゃないが、ビール試飲目的で見学に参加する人は、歩いて来るがよろしい。ビールのためだから。はい。今日は大切なことを学んだ。

オリオンビールを後にして、今まで名護に何度か来たが、あまり評判が良くないのでずっと避けていたネオパークオキナワを訪問することにした。

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<p>名護市街から割りと近いところにある公営の動物園だ。行ってみると休日なのに、広い駐車場はガラ空き。お化け屋敷に入るつもりで、660円を払って入場する。</p>
<p>入り口付近はパイプ椅子など田舎の公民館みたいな雰囲気が漂っており、あまり楽しい動物園という感じはしない。薄い扉を開けると、いよいよ園内へ。そこには鳥が沢山いた。おばさんが『餌いかがですか?』と200円の餌を売ってくる。</p>
<p>この動物園は動物が放し飼いになっており、餌やりできることが目玉らしい。園内を進むと、動物の数は多いが、種類はどうも少ないように感じる。そして、ことあるごとに餌売りボックスがある。</p>
<p>ところどころ、有料の別施設が園内にいくつもあり、全部を見て回ろうとしたら3千~5千円くらいかかるのではないだろうか。餌やりも有料施設も行かなかったが、途中、アトラクションなのか、ジャングル風の何もない道を割と長い間歩かされたりもした。今まで色々な動物園に行ったけど、これはないな・・・と思った。</p>
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このクビワペッカリーは南米の方にいる動物で、食事シーンはあまり可愛いと思わなかった。宮崎駿監督の『もの○け姫』にも出ている。

ネオパークオキナワを後にして、最後に名護の町並みを見渡せるらしい、名護城跡に行ってみた。登り口がオリオンビールの真ん前にあるので、先に行っておけば良かったかもしれない。

頂上まで階段を登ると、特に何もなかった。広場みたいのがあったが、特に何もなかったと思う。見る人の感性に委ねられるのかもしれないが、私は何もないように思った。木が茂っていて、頂上まで登ってもあまり街は見渡せなかった。登ってる途中には多少、見渡せるところはあった。

ひんぷんがじゅまるを見てから、名護からキャンプ場に戻る。

キャンプ場に戻ると意外な光景が広がっていた。沖縄のファミリー数組がキャンプをしていた。沖縄の人達は週末キャンプをしないと思っていたが、普通にテントを建てて、バーベキューをしている。沖縄のキャンプ界の未来は閉ざされているわけではないと悟った。

休館日の関係でキャンプ場は最大で5連泊までしかできないので、その間はネットカフェで過ごした。

しばらくユルい日々が続いたわけだが、私の身にある重要な自体が起ころうとしていた。台風だ。私がノホホンとオリオンビールに行ったり、クソなネオパークに行っている間、台風が沖縄に向かってきているのだった。それで外か強風だったのか・・・。

出発する時の悪夢が蘇る。帰りの飛行機が飛ばなくなるのではないか・・・。不安になって一晩中、情報収集をした。一時は予定を切り上げて、追加料金を払って便を変更して帰ろうかと思ったが、予想進路の通りであれば、沖縄も関東も暴風域に入らないから、大丈夫かもしれないと思った。

次の日もその次の日も台風の進路ばかりが気になって、数時間置きに気象庁のサイトなどで確認した。南部の海辺でノホホンと過ごそうとしたが、台風の影響で風が強くて、せっかくだが、とても海辺にはいられなかった。

豊見城のトミトンで石垣島風をうたった沖縄そばを食べたが、あまり美味しくなかった。

豊見城の海辺にいると、上空を飛行機が那覇空港に向けて沢山飛んでいくので、あまり人がノホホンとしていられないような強風であっても、飛行機にとっては大丈夫なのだろうと思った。しかし、もう台風も沖縄そばも、沖縄も、しばらくはこりごりだ。

沖縄滞在の最終日の前日、北谷の北のほうにあるカレー屋まふぁぶに行ってみた。実に6年ぶりくらいの再訪で、6年前には失礼だが6年後にまだこの店があるとは思っていなかった。あやふやな記憶で、ぐめなびなどのマップを見たが、全然店が見つからず、閉店したのかと思ったが、実に2時間近く探してやっと見つけることができた。実は数日前にも探したけれど、そのときに見つからなくて結局ジミーに行ったのである。ふぁぶは海沿いの割りと北谷に近いの砂辺という住所にある。

800円台でインド風のカレーなど数種類が食べ放題。一番うまいのは個人的にはフライドポテトだが。このあたりはダイビングスポットが多く、平日の昼間でも沢山ウェットスーツに身を包んだ人達がいた。

帰る日の前日、あやかりの杜にもう一泊だけした。

前に泊まっていた時に生まれて初めて光っているホタルを見たと言うと、結構珍しいことらしくて、色々な職員にホタルの噂が広まって行った。まだ明るくて見えるわけないのに、キャンプ場にホタルを探しにきた人達などがいた。

ホタルの光は暗い星みたいなもので、暗くならないと見ることはできない。弱くて小さな光だった。自転車のライトで正体を調べてみると、幼虫のようだった。ホタルは北海道からオキナワまで日本中にいる。

最終日、風邪をひいたのか、疲れが溜まったのか、食べ物にあたったのか不明だが、体調が悪かったので、とりあうず風邪薬を飲んで、飛行機の時間まて空港近くのゆいレール博物館で過ごした。ここの1回はゆいレールの資料が中心だが、2階は北海道などを含む全国各地の鉄道コレクションが展示されていて、かなりチャンプルーな空間だ。渋谷パルコで展示したら、入場料700円くらいの内容だ。

風は強かったが、予定通り飛行機は沖縄を飛び立ち、この旅行の全行程は終了となった。

結び。

沖縄本島は自転車旅の人間にとって、魅力ある土地であることは間違いない。1周は約430Km程度だが、景観は実に様々。やんばると呼ばれる北部はハードな山道が想像以上に多い。各地を旅してきた中~上級者でも挑戦し甲斐のある土地だろう。

ただ、現状では安くて利便性の高いキャンプ地が各地にあるわけではないので、キャンプツーリングにはそれなりの準備、覚悟が必要だろう。観光を主要産業とする沖縄県だけあって、いかにそういった需要にどう応えるか、サイクリストとしては今後に期待したい所である。

END