那覇

旅モノ

沖縄で鉄道の旅!! おきなわ軽便鉄道プチ遺跡巡り ~壺川東公園・軽便与那原駅舎など~

全国で唯一JRなどの本格的な鉄道路線がなく、世界的には遊園地の乗り物とされるモノレールの「ゆいレール」しか鉄道らしきものがない沖縄で鉄道巡りの旅をしてみたのである。

沖縄にも戦前は鉄道路線が複数あった

まず、沖縄で鉄道の旅とは何ぞ? という話から。

沖縄は那覇周辺などの都市部は東京、大阪、名古屋に匹敵するくらいの人口過密と車の渋滞がある一方、本格的な鉄道が存在しない唯一の都道府県である。

戦前には那覇を起点に北は嘉手納、東は与那原、南は糸満まで、軽便鉄道と呼ばれる鉄道路線があった。軽便鉄道は沖縄では親しみを込めて「ケイビン」と呼ばれることが多い。ケイビンはJRより線路幅が狭く、一回り小さい列車が健気に走っていたのである。

しかし、ケイビンは第2次世界大戦の沖縄地上戦で線路も駅も列車も、原型を留めないほどに破壊された。

戦後、本土は新幹線が走ったり、地方都市にも地下鉄が出来たりしたが、沖縄は27年間にも渡って「クルマ社会」のアメリカに統治されていたために、ケイビンは復旧されることなく徹底した「クルマ社会」が貫かれて現在に至っているのだ。

意外と寂しい那覇中心部付近のゆいレール「美栄橋駅」

2000年代に入って那覇空港から首里(現在は浦添まで少し延伸)まで「ゆいレール」が開業したのは奇跡みたいなものだけど、美栄橋駅とか牧志駅とか中心部の駅でさえ、いまいち本土の街の駅前みたいな賑やかさはないのをみると、一度出来上がったクルマ社会の文化、行動様式をぶち壊すのは簡単ではないものと考えさせられる。

壺川東公園に展示されている軽便車両

と、ここまで本やネットで知ったかになった沖縄の軽便鉄道知識を書いてみたわけだが、実際のところ、軽便鉄道の車両もレールも見たことがなかった拙者である。

那覇のゆいレール壺川駅近くにある「壺川東公園」という、何でもない住宅街の小公園に車両が展示されていると聞いたので見に行ってみた。普通の3泊4日とかの沖縄旅行者はまず行かない場所である。本土の鉄道のマニアの人も、コアな人以外はあまり行ったことがないのではないだろうか。

那覇「壺川東公園」の軽便車両

団地的な住宅街にある付近住民のための公園といった何でもない公園だった。

確かに、そこにはケイビンの車両とレールがあった。だが、沖縄の眩しい直射日光や雨風に晒されて、結構、無残な姿になっている。本土にもSLの車両が展示されていたりする公園はよくあるれど、もうちょっと綺麗な状態を保たれているので、貴重な「歴史資料」なだけにもう少し管理や展示の仕方はなんとかならんのだろうかと思った。

狭い運転席にも自由に入れるけど、結構朽ち果ててる

ちなみに、この車両は沖縄本島で走っていたものではなくて、南大東島でサトウキビ運搬に使われていたディーゼル機関車なのだという。沖縄本島のものは戦争で破壊されて現存していないはず。

コンテナを載せるやつかと思ったら・・・

公園を訪れた時はよくわからなかったが、あとで説明書きをじっくり読むと、ディーゼル機関車の後ろ側にはSLの下部(台車?)らしきものも展示されている。

SLの煙突や運転席などは取り外されているので、貨物列車的にコンテナとかを載せるやつかと思ったが、これはSLの下部なのだと思う。

那覇から与那原に向かう

那覇バスターミナルから「沖縄バス [39]南城線 南城市役所行」に乗ると30分くらいで与那原に着く。片道440円で30分間隔くらいでバスが出ている。沖縄のバスは慣れていないと首都圏の電車より乗るのが難しいので、バスで行くならバスターミナルから乗るのが比較的わかりやすい。

だが、10Kmくらいだし個人的には歩いて行った。男なら、いや女でも、健康な脚があるなら歩いて向かってみよう。雨風が厳しい時や熱中症の危険がある時はオススメしないけど。

沖縄本島の東西の行き来は基本的に山越えがあるので大変だけど、昔の人は歩いて旅をしたのだし、風景や街並みをじっくり見るなら徒歩に勝る交通手段はない。長距離を歩いてばかりいると、靴底とインソールと靴下がすり減ってしまうのが難点だが。すり減らない方法があるなら知りたい。

那覇と行っても広いので、那覇のどこから与那原に向かうかで難易度はかなり違う。

牧志や安里付近のホテルに泊まっているなら、首里に向かうと見せかけて首里の少し南あたりの道を東に進んでいくとよい。

途中に石畳みの道を左手に、右手に金城ダムが見える道だ。その道をしばらくいくと大胆なカーブやアップダウンがある分かれ道が目の前に出てくる。スマホの地図を見ながら間違わないように与那原に向かおう。とりあえずイオン南風原を目印にするとよいし、イオンでいったん休憩するのもよい。

イオンからさらに東に進むとまもなく与那原に到着だ。

与那原の軽便与那原駅舎

与那原には人生で3回か4回くらいは行ったことがあるが、軽便与那原駅舎に行ったのは今回が初めてだった。

2014年に駅舎を復元する形で誕生した。ミニ博物館のような施設になっている。屋外部分は無料だが、内部の資料を見るのは旅行者の大人は100円かかる。

本土には鉄道系の博物館は多いが沖縄では珍しい

博物館と言っても内部はコンビニくらいの広さ。しかし、ここでしか見れないような当時の時刻表などもあって、沖縄の歴史に興味がある人や鉄道好きなら楽しい空想が広がっていく展示物がいっぱいある。

この博物館はあくまで復元したものだが、建物の奥には実際の駅舎で使われていた構造物の残骸がある。

戦争というものは何もかもぶっ壊してしまうものだと考えさせられることが多かった。戦争のせいで沖縄から鉄道が失われてしまい、沖縄で鉄道旅行することができなくなり、レンタカーを運転したくない人などは複雑怪奇な沖縄の路線バスを乗りこなすか、足と魂をすり減らして長距離を歩かないとならなくなってしまったのだ。

与那原は鉄道の街の面影が残る

与那原の旧「駅前通り」

前述のように沖縄は鉄道文化が戦争で破壊し尽されてしまったので、街並みから鉄道の面影を見れることは少ない。

だが、かつてはケイビンの始発着駅があり、駅舎を復元した博物館があるほどケイビンへの愛着が強い与那覇の街には、駅を中心に街が栄えた様子を今でも感じることができる。

ちょうど北海道の鉄道駅がある田舎町と似たような、駅を起点とした「駅前通り」のような街並みがあるのだ。北海道の田舎町はみんなこんな感じなので、北海道出身の拙者としてたは昔から知っているような街並みに感じてしまう。

駅から少し歩くと飲み屋街があって、川があって橋があって、少し郊外に行くと大きいショッピングセンターがあったりするのも、北海道の田舎町とすごく似ている。

那覇の与儀公園で「デゴイチ」蒸気機関車を見る

ヤシの木と桜が並ぶのは沖縄ならでは。観光客はゼロで、地元のオジサン中心の公園

初めて沖縄に行ってから20年近く気付かなかったけど、実は那覇中心部にも「デゴイチ」として知られるD51型蒸気機関車を見れる場所がある。沖縄には鉄道らしきものがないと思い込んでいるとスルーしてしまいがちだが、意外と存在しているのである。

本土のデゴイチ展示はフェンスで囲まれていない気がする

ゆいレールの駅で言うと「安里」あたりが近いと思うが、国際通りの東側あたりの壺屋近くにある与儀公園に展示されている。と言っても、これは沖縄で走っていたものではなく、九州の国鉄で走っていたものだ。沖縄の子供たちへのプレゼントという形で運ばれてきたのだという。

素晴らしいエピソードなのに説明版もフェンス越し

デゴイチはフェンスで囲まれていて、説明版までフェンスの中。読みにくいし写真も撮りにくい。ケイビンの車両を見てからだと大きさの違いを感じてしまうが、沖縄で鉄道観察をしたい人は寄ってみよう。

ケイビン的なことを言うと今は線路や駅の面影は全くないものの、与儀公園の近くを走る「ひめゆり通り」という大きい道路はケイビン嘉手納線の跡地である。ケイビン与儀駅の跡地ということで、ここにデゴイチが設置されたのだろう。

ケイビンに関する参考書籍など

今回は沖縄で「なんちゃって鉄道旅」をしてみた。

時間と体力とバイタリティーがある人は、他の駅の跡地巡りをしてみるのも楽しいと思うが、多くは跡形もなくなっていたり、米軍基地の中にあったりする跡地もあるので、十分に研究してから望んだ方がよいと思う。

参考書籍は下記など。

グルメ

沖縄最強の牛丼チェーン「どん亭」に何度も通いたくなる理由

那覇の牧志などに3店舗ある(2021年現在)

沖縄かつ『どん亭』というキーワードでピンと来る人は、沖縄の人か沖縄通の人かだと思う。あとはもの凄く牛丼チェーンに詳しい人。

どん亭は牛丼チェーンとしては3店舗しかないのでマイナーだけど、ここ1年間で最もよく利用した牛丼チェーンでもある。

那覇で20年以上も愛されている

筆者が初めて沖縄に行ったのが16年くらい前だから、その時にも確かにあった。20年が長いのか短いのかわからないが、沖縄で長く愛されているのは間違いない。

沖縄に行ったら何となく立ち寄ることは多かったけど、強く意識したのは1年ほど前のこと。どん亭のことを何となくネットで調べていたら、沖縄の地元チェーンだと思っていたものの、実は神奈川県の株式会社富士達という、全国で焼肉屋チェーン『安安』を運営している企業がやっていた。

『安安』は沖縄にも沢山あるが、どん亭と繋がりがあったとは意外だった。そもそも、どん亭の店舗は神奈川県の川崎にもあるらしいが、これについても意外だった。どっちにしてもマイナーなチェーンであることは間違いない。

つまり、現代に存在する貴重な牛丼チェーンなのである。

牛丼並みは味噌汁付きで税込み390円

沖縄にも吉野家やすき屋など大手牛丼チェーンも存在するが、沖縄で牛丼を食べる時は決まってどん亭である。値段はみそ汁付きで390円と普通の値段。

ゆし豆腐や沖縄そばなど沖縄料理とのセットメニューがあったり、カツカレーもある。本土の牛丼屋チェーンというと、どちらかというと若い男性の一人客が多いイメージがあるが、沖縄では高齢の夫婦とかも訪れているのをよく見る。

名物は食べたことはないが、どん亭スペシャルというスペシャルなメニュー。どんなものかは頼んでからのお楽しみ。

牛丼は肉多めで濃い目の味付け

味付けは関東と関西など地域によって異なるが、本部が神奈川県ということもあってか味付けは関東風の濃い目。

牛丼の味に関東や関西が関係するかわからないが、沖縄では『緑のたぬき』や『赤いきつね』は関西風の出汁のものが売られているので、基本的に濃い醤油というより出汁風味が好まれる土地柄でありながら、関東風の濃い口醤油の味である。

肉は硬めだけど、味付けがしっかりされていて、紅ショウガを多めに乗せるとこれが旨い。大手牛丼チェーンのは全部薄味に思えてしまうかもしれないくらいに、しっかり味付けされた牛肉とご飯とのバランスが最強なのだ。

沖縄料理も食べられるので、どん亭未経験の人は那覇でご飯に困ったら行ってみると良いだろう。

グルメ

【那覇】赤嶺駅近くの「たこマックス」のたこ焼き(6個入り360円~)

那覇のゆいレール赤嶺駅近くにある「たこマックス」のたこ焼きレビュー。

場所はこのへん。地域名で言うと小禄の方が通りが良いと思う。沖縄あるあるだが、駅やバス停の名前と地域名は一致しない場合も多い。

夕方~夜にかけて営業しているっぽい。何日か眺めていたが時間帯によっては割と先客がいる。

6個入り360円~でソースが選べる

もっともベーシックな6個入りのたこ焼きのビジュアルはこんな感じ。持ち帰り専門店なので近所に住んでない人は近所の公園などで食べる。

私は関西人じゃないので、正直、たこ焼きの優劣を語るには限界があるが、関西の人だとたこ焼きにマヨネーズをかけるのは邪道と考える人もいるらしい。たこマックスもマヨネーズをかけたい場合は1ランク上の値段になるのでオプション扱いだ。

中身のタコはたこ焼き自体のサイズに比べ大き目。全体的には、東京風というか銀ダコ的な大粒のカリカリタイプではないし、どっちかというと小粒タイプでふんわりした関西風になるのではないかと思う。

ソースに関しては特筆しないとならない。

普通のソースから始まり4種類くらいの辛さ団塊がある。なんとなく「カレーで言う中辛程度」と書かれた辛口のソースを頼んだのだが、これが意外と本当に辛かった。韓国料理や激辛ラーメンが好きな辛党の筆者でも、「これは・・・」と思うような辛口ソースだった。コンビニ冷食とかの普通のたこ焼きは、どちらかというと甘口ソースなのだ。

このソースが本当に辛いというのは、店の看板がヒントだったのだ。たこが吹き出しているのはスミではなくて、辛くて吹き出している・・・のかもしれない。

マンガ倉庫の出店たこ焼きもオススメ

曜日限定だが、近隣のマンガ倉庫に火曜と木曜の日中~19時くらいに駐車場に出店のたこ焼き屋が現れる場合がある。

こちらも小粒タイプのシンプルなたこ焼きだが、8個で300円、マヨネーズありで美味しい。タイミングが合う時だけだが、何回か買って食べたことがあってお気に入り。

沖縄は関西からの移住者が多い印象だし、沖縄のたこ焼きは小粒の関西風が主流なのかもしれない。沖縄の地場スーパー「ユニオン」のたこ焼きも小粒タイプだ。

ちなみに、沖縄のイオン総菜コーナーでは九州の八ちゃん堂コラボのたこ焼きが売っている。