PS3「二ノ国 白き聖灰の女王」のゲームレビュー。個人の感想、ネタバレあり。
半年くらい前に某ブックオフで200円くらいで買った。
1時間ほどプレイして即合わないと思って放置していたけど、完璧に存在を忘れたころ、思い出したかのように10時間くらい頑張ってプレイしてみたものの、やっぱり合わなかった・・・というだけの話。
ゲーム自体はアニメ映画で有名なスタジオジブリとドラクエなどを手掛けるレベルファイブによるものであり、ゲーム雑誌などでも評価が高いものである。様々な機種に移植されていることからも、世間的な人気の高さを感じさせる。
汚れた大人には楽しめなかったというだけの話
ジブリアニメは昔は好きで、ピュアな心があった子供時代はVHSのビデオテープで『魔女の宅急便』とか『耳をすませば』などをよく観ていた。
だけど、あの手のアニメを今もう一度じっくり観る気がするかというと、途中から吐き気がしてきそうで観れないと思う。・・・というのが、残念ながら正直なところ。
基本的にはピュアな心とワンセットでないと、作品のクオリティなどとは別問題として、あくまでも心の問題の次元でジブリアニメというのは直視できないのである。
なんとも悲しいかな、ジブリアニメをそのままゲーム化したような二ノ国は、必然的にピュアな心が備わっていないとプレイが難しいゲームだと自己分析している。
小学生レベルの漢字にもフリガナが付いているけれど
対象年齢が低い作品だっていうのはフリガナの様子から伺える。
6歳の子供でも支障がないくらいだと思うのだけど、低年齢層向けだと思って舐めてかかると、心がポッキポキに折れることになる。
ゲームの難易度は、そのへんの大人向けゲーム(例えばネプテューヌとか龍が如くとか)より、よっぽど難しくて序盤から心が折れる。
攻略セオリーを間違っているのではないかと疑ったほど
ザコも油断していると負ける。シンボルエンカウントだけど、こっちよりも敵の動きの方が速いため、目を付けられたら戦闘からは逃れられない。結果、ボッコボコにされる始末。
ボスはもっと凶悪だ。それなりに装備を整えたり、小一時間レベル上げもしてきたはずだけど、それでもボッコボコにされる。
根本的に何かの育成や攻略セオリーを間違っているのではないかと疑ったが、おそらく間違ってはいない。
戦闘はコマンド式だけどリアルタイムに時間が流れる。アクション要素もかなり重要なため、戦略を考えている間や、仲間を切り替えたりする操作に手間取っているうちに全滅させられることを多数経験。
ネプテューヌとか龍が如くって、こんなに難しくないよ・・・とか思うと、余計に悲しくなってくる。
プレイヤースキルを試す試練が多数
FFXの試練の間を思い出させるような、ゲーム内のキャラの強さなどとは全く関係なしに、プレイヤーの知能やアクションスキルを試す場合が多数ある。
序盤のダンジョンで短時間に火を灯して回らないと扉が開かないギミックがあったりするのはまだマシな方だが、アクションゲームとかシューティングゲームとかならともかく、RPGでプレイヤーのスキルを試すゲームは嫌いだ。
このゲームはパズル要素とか、左右のキャラを同時に動かすやつとか、プレイヤーを試す要素がてんこ盛りである。
現実のように広すぎるワールドマップ
中盤以降はファストトラベル的な魔法が使えるらしいけど、序盤から中盤にかけては長ったらしい徒歩移動を強要される。
まぁ、実際に世界を冒険するとなると、長ったらしい移動になるのは当然なんだけど、ゲームとして長ったらしい移動に社会的な意味があるのかというと微妙に思えてしまう。ピュアな大人じゃないと楽しめない気がした。
その長ったらしい移動の間も凶悪なザコが襲ってくるし、目を付けられたら逃げ切れないことが多い。下手に逃げると不利な状況で戦闘になってしまうし。
ポケモン的な要素が合わない
プライベートなトラウマもあって、ポケモンやポケモン的要素は嫌い。合わない。
でもこのゲーム、ポケモン的という表現が合っているかわからないが、ポケモン的なモンスターを味方にして、育成したり、戦わせる要素が戦闘や攻略の中心になる。
最初は「ポ〇モンはオマケとかやりこみ要素なんじゃね?」とか思ったけど、数時間でそうではないという確信をするに至った。ポ〇モンがこのゲームの中心的存在なのである。たぶん。
つまり、ポ〇モンをタブーとする人間にはプレイできないと思った。
ダンジョンは長いし、街も必須のミニゲームだらけ
子供が小遣いを貯めてフルプライスで買った場合は、クエストとか長くやり込める要素が沢山あるゲームの方が嬉しいのかもしれない。
でも、人間というのは人生の折り返し地点を超えると考え方が変わる。生物学的に人生を逆算して考えないとならなくなるからだ。
てっとり早く要点だけを提示してくれるような、短めのゲームの方がありがたく思えるわけである。
超個人的な観点で言うと、そもそも200円とかで買ってるゲームだし、ボリュームなんて要求しない。
100時間楽しめるゲームよりも、10時間で全クリできる短いゲームの方がよっぽどありがたいのだ。90時間も得できる。
多少ボリュームがあってもいいけれど、メインストーリーの攻略に大量のミニゲームの攻略が必須になるのだけは勘弁してくれ、という感じ。
大作ゲームなのはわかるが向き不向きがあるゲーム
Googleのサジェストでも「二ノ国 つまらない」というのが表示されるから、つまらないとか合わないと感じる人も、それなりにいるということだろう。
子供時代はともかく、今現在でジブリアニメを直視できない人は、残念ながら二ノ国も世界観がジブリなので合わない可能性が高いと思う。
20時間くらいで終わるゲームだったらまだしも、50~60時間はプレイ時間がかかりそうなボリュームだし、2時間のジブリアニメを直視できないレベルだと、50時間もプレイするのは苦行でしかないと思う。
音楽もジブリアニメそのものだし、グラフィックもPS3とは思えないほどのハイクオリティだけど、ピュアな大人じゃないと直視できないというのが正直な個人の感想である。
後日談 頑張ってクリアしたがクソゲー確定
ここから先は後日談になるのだけど、その後にプレイを再開して計40時間ほどでストーリーをクリアした。
プレイ時間に関してはストーリーだけなら意外と短かった。と言っても、40時間のうち30時間はマップの広さに対して異常なほど遅い徒歩移動と、異常なボスの強さによるレベル上げ作業をしていた時間なので、ゲーム自体としては10時間程度の薄っぺらい内容であった。
ストーリーの短さをカバーするために移動が遅かったり、ボスが異様に強いのかと思うと腹が立ってくるゲームだ。
結論を言うと、ジブリとか関係なしにPS版の二ノ国はクソゲーと言って差し支えない。
ジブリが関わるとゲームがクソゲーになるのか、クソゲーにジブリが関わったというだけなのか、どっちが先なのかはわからないけれど、クソゲーであることは間違いない。
正直、思い出したくないレベルではあるが、以下に二ノ国がクソゲーだと感じた要素を挙げてみよう。
戦闘のAIがクソ過ぎる
PS3番の二ノ国の戦闘はプレイヤーが大まかな指示を出した後は、AIで勝手に戦う方式。FF5もクソゲーだが、戦闘はFF15のの超劣化バージョンみたいなものである。
味方が一人の時はプレイヤーが全部操作できるからいいけど、味方が2人や3人に増えると切り替えてマニュアルはできるものの、リアルタイムに時間が流れるから基本的にはAI任せになる。
だが、このゲームAIは笑ってしまうくらいにクソ過ぎるシロモノだ。
例えば、魔法使いタイプのポケモンなのに、ダメージ1しか与えらない物理攻撃をひたすらやっていたりする。
このゲームはMPが枯渇しがちで回復手段が乏しいのだけど、その貴重なMPをしょうもない魔法で使い果たす主人公のオリバー。SDGs意識がなさすぎる。
最初は敵が強いだけなのかと思っていたけど、しょうもないクソAIのせいで戦闘難易度が上がっている気がする。
レベル上げすれば解決するがレベル上げしないと解決しない
戦闘は中途半端にアクション要素があるが、結局、レベルを上げて物理で正面から殴るのが一番マシな戦法となる。
ご丁寧にもドラクエで言うメタルスライム(だっけ?)みたいな、経験値が法外に高い敵が特定のエリアにいる。
船が使えるようになったら、コートリ島にいるトコトコという敵を倒せば経験値が2000くらい入る。普通のザコが200くらいだから、10回戦闘するのと同じくらいだ。
ただ、船を入手した直後だと海の敵やコートり島の他のザコが強くて、トコトコ狩りするつもりがこっちが狩られるので、結局は地味な格下のザコでレベル上げをある程度はしないとならない。
終盤にクロという飛空艇的な竜に乗れるようになったら、レカの町のあたりのオルディ山岳に出現するトットコは8000くらい経験値がある。他のザコは300くらいだから、レベリングの調整がおかしいんじゃないんだろうか。
ドラクエシリーズはファミコンのドラクエ4までしかマトモにやっていないけど、ドラクエシリーズってこんなにレベリングのバランスおかしかったっけな。
終盤になっても戦闘が地味
オリバーが強い攻撃魔法を使えるようになったりはするけど、全体的には序盤や中盤もちろん、終盤でもなんか地味。他に言いようがないけど、なんか地味。
強いポケモンを仲間にして育成しても、なんかいまいち派手さがない。
おまけに戦闘の操作性にも難があり、キャラやポケモンを切り替える時に誤操作することがよくあった。
序盤の難易度が一番高い
ネプテューヌとかのクソゲーでもよくあることだけど、このゲームは序盤が一番難しい。
序盤はプレイヤーがコツが掴めていない上にキャラクターの能力が低いから、普通のゲームは難易度が優しめになっているものだけど、序盤からボスがクソ強いし、ダンジョンのギミックもクソむかつくのが多い。
中盤になると味方キャラが増えるし、ポケモンが育ってくるから少し攻略しやすくなるけど、やっぱりプレイ時間水増し用に法外に強いボスが出てくる。
ポケモン収集と大量のクエストをやるとバランスが向上するのか不明
ポケモンは400種類くらいいるし、しょうもないクエストも大量にあるから、それらをストーリーに合わせて進行させていくと、ちょうどいいバランスになるのかは不明。
しょうもないクエストなんてやりたくないし、ポケモンの収集癖もないから手を付けていなかったけど、それらに楽しみを見いだせないときつすぎるバランスだ。
一ノ国(現実世界)が狭すぎる
現実世界である一ノ国と、もう一つの世界である二ノ国を行ったり来たりする世界観だが、二ノ国が惑星全部の広さなのに対して、一ノ国は一つの街の町内会1つぶんしかない。
2つの世界で一人の人間の魂を共有しているという面白そうな設定なのに、現実世界が町内会1つぶんというのは興ざめする。
武器屋の配置がなんか適当
ポケモンの装備を整えようと思っても、その時点で滞在している街の武器、防具屋に装備可能な物品が売られていないことが多い。
ファストトラベルの魔法を覚えるのは後半になってからだし、以前の街に気軽に戻れないのも辛すぎる。
後半になると強力な装備が店売りされるが、なぜか店舗すら構えていない露天商が大量に優良な装備を売っているのは笑えた。
とって付けたような棒立ちの露天商だし、店舗のグラフィックを作るのを端折ったのかな。
芸能人起用のセリフが棒読み
映画とかでもプロの声優じゃなくて、あえて声優以外の芸能人とかを起用することがあるけど、重要メンバーでも棒読みが目立つ。
普通の人の日常生活でね。もう少し抑揚付けて話すと思うんだけど、お別れのシーンとか重要な場面でも完全なる棒読みだから、ストーリーを味合う気がなくなる。
冷静に考えるとジブリっぽいのは音楽と一部のキャラくらい
動物っぽい見た目のキャラがいる街とかはジブリっぽいけど、よくよく考えたら、砂漠の街とか、城下町とか、雪と氷の街とか、昔からRPGで散々使いまわされているレベルの街ばっかりである。
乗り物も船と竜で、RPGでは定番の乗り物だし。ジブリっぽさはキャラクターと音楽、声優が芸能人というくらいのような気がする。
雰囲気だけでゲームとしての快適さや面白さが欠けているゲームなのは間違いない。