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Windows Phoneの現存する最新機種を3千円で買って巨大企業の失敗から生存戦略を考える

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左がiPhone7、右がWindows PhoneであるLenovo 503LV

この世にはかつてWindows Phone、iPhone、Androidという3種類のスマホが存在していた。

しかし、iPhoneとAndroidにあっと言う間に市場を奪われてWindows Phoneは撤退してしまった。

Windows Phoneという名前だけは聞いたことがあっても実物を触ったことがなかったが、ふとした気の迷いから未使用品がネットで3千円ほどで売られているのを見て衝動買いしてしまったのである。

実はiPhoneよりも歴史が長いWindows Phone

歴史的にはスマホ以前の時代からPDA端末としてWindows Mobileという、Windows Phoneの先祖が存在していた。

Windows Mobileはタッチパネル式ではあるものの、PCのような小さなアイコンをタッチするUI設計のため、付属のペンで操作しないとならない。

PC用のOSとしては圧倒的シェアを誇るWindowsなのに、どうしてスマホ用OSとしてはこうも全く流行らなかったのか。

以前から個人的な興味はあったのだが、約3千円で学べるなら安いもんだと思って実機を買ってみたのである。

なお、本記事の記述は個人的な感想、推測、思想によるもので、技術的、歴史的な事実とは異なる可能性もあることをお断りしておく。

Windows Phoneが残した足跡

ビジネス向けだったWindows Mobileの後継として、2010年に個人向けのスマホOSとしてWindows Phone7が発表された。

iPhoneの初代機は2007年に海外で発売されていて、日本でも2008年に発売されているから、この時点で2~3年も遅れをとっていることになる。

ちなみにAndroid搭載のスマホが日本で最初に発売されたのは2009年7月1日のこと。

先に普及したものからシェアを奪還するのは相当に難しいということだろうか。

ただ、イギリスをはじめとして、ヨーロッパの数か国ではWindows Phoneが10%くらいのシェアがあった時期もあるという。

2013年頃のピーク期にはWindows Phoneを手掛けていたノキアの本社があるフィンランドでは39%ものシェアだったらしく、世界24ヶ国においてiPhoneよりもシェアが高かったという。

そんなWindows Phoneも2017年にはシェアが0.1%にまで下落。ビル・ゲイツすらもAndroidを使用するようになり、2019年12月10日には最終OSであるWindows 10 Mobileのサポートが終了した。

実機を触ってみると言うほど悪くない気がする

筆者が手にしたLenovo 503LVという機種は2016年に発売されたソフトバンクのキャリアスマホである。SoftBank 503LVという名称でもある。

調べると日本国内で最後に登場したWindows Phoneらしい。個人向けに販売された機種ではなくて、本来は法人向けモデルだという。

ソフトバンクのSIMを入れれば普通に携帯電話としても使えるのかもしれないが、手元にソフトバンクのSIMはないので試してはいない。

Windows Phoneのメイン画面

最後のWindowsとされたPC向けのWindows10のスタートメニューと同じようなメイン画面。

Windows10が最後のWindowsではなくなったのもWindows Phoneの失敗が関係しているのかもしれない。

iPhoneやAndroid、PCのデスクトップのような、自由にアイコンを配置できるようなスペースはなく、このスタートメニューのような画面がすべて。

アイコンの位置やアプリのピン留めがカスタマイズできるのはWindows10と同じ。

「電話」もアプリアイコンとして並ぶ形なのは、電話機としての機能を重要視していないような気がする。

「個人設定」からカスタマイズするとタイルの背景やロック画面の画像を好きなものに変更できる。

スクリーンショットすら撮れないという噂を聞いたことがあるが、このバージョンでは電源ボタンと音量を上げるボタンの同時押しで撮ることができた。

OSサポート終了のため動くアプリは数種類のみ

「アプリと機能」なんかは最後のWindows(笑)とされたPC向けWindows10と同じなんだけど、全体的なUIがWindows10と同じ。

むしろ、Windows10のエディションの一つなのだというが、オシャレな若い子が街中でWindows Phoneいじってる姿は想像しにくい。

アプリはPlayストア的なところで配布しているはずだけれど、開発者からそっぽ向かれていたのでアプリが少なかったというあるだろうけども、ExcelとかMicrosoftの純正アプリですらサポート終了のため使うことができなかった。

Webブラウザは古いEdgeを搭載。他にブラウザの選択肢はない。

PC向けはすでに新しい「メディアプレイヤー」に置き換えられて存在しないが、Grooveミュージックは付属の音楽プレイヤー。

意外と使い勝手がよくて、2024年現在のWindows Phoneでもっとも実用的。

純正なので広告も出ないし、iOSやAndroidに最初から入っているような音楽プレイヤーよりも使いやすい。

Microsoft製なのでwmaの再生もできるが、VBRでエンコードされていると再生時間の表示がバグってしまうなど不完全な部分もあった。

コンパクトデジカメとして使えるかな~と期待していたカメラ機能は、2016年のスマホだと考えてもいくらなんでも動作がモッサリしすぎ。iPhone7と同い年なんだし。

作例みたいに順光の屋外だと奇跡の一枚的にキレイに映る時もあるけれど、室内や逆光など条件が悪くなるとゴミすぎる写りになる。

PC向けの普通のWindowsアプリは動くわけがない

Windows10のエディションの一つで、見た目もWindows10そっくりだけど、中身は(2016年当時の)スマホ向けのショボいハードウェア。

ユニバーサルWindowsプラットフォームという、モバイルでもPCでもXboxとかのゲーム機でも、全く同じアプリが動くという仕組みで開発された特殊なアプリを除けば、普段使っている普通のWindowsのアプリは動くわけがない。

Windows Phoneは現在ではアプリの配布自体が死んでいて、ストアには繋がるものの海外の怪しそうなアプリしか配布されていないような状況で、ちゃんと使えるアプリを探すのは素人では難しいだろう。

聞いた話によるとWindows PhoneはiOSやAndroidと違って、ストアで配布が終了するとスマホ本体にインストールされていたローカルのアプリが消去される仕組みなのだとか。

実際にそれを経験したことはないが、何かのアプリで保存していたデータとか遊んでいたゲームとかも、配布が終了したら自動的に抹消されるとは切な過ぎる・・・。

iPhoneやAndoroidに敗北した理由の考察

おそらく、世の中にスマホがWindows Phoneしかなかったら普及していたと思う。

iPhoneもAndroidも存在しない並行世界では、誰しもがWindows Phoneを使っているのかもしれない。

スタートメニュー風のメイン画面は閉塞感はあるものの、これだけで使えないスマホと認定するほどの使いづらさではない。

こっちの方が使いやすかったら人々は乗り換えるだろうけれど、家庭用ゲーム機みたいにシェアの低い機種でアプリをリリースしたいと考える開発者が少ないため、魅力的なアプリが出てこなかったというのが大きいだろう。

初期の頃は出遅れているくせに、開発登録するのに先行して普及している競合よりも高額な料金がかかるということで、サードパーティーの開発者を取り込むことができなかったという話も聞いた。

スマホもハードである以上、ソフトが魅力的でなかったら魅力的にはならないのであろう。

まとめ Windows Phoneの実機をいじって学んだこと

PC用OSとしては大成功しているWindowsが、こうもスマホ向けになるとダメダメになって撤退する羽目になるのかを自分なりに考えてみる。

高い能力があっても全ての場所で生かせるとは限らない

それはそれ、これはこれ、みたいな。

何らかの分野で高い能力などがあっても、全ての状況下においてそれを発揮できるわけではない。アウェイの地では打ちのめされることもあるのだろう。

タイミングを間違ってはいけない

時は取り戻せないってやつ。

iPhoneより先にWindows10ベースのWindows Phoneが出ていたら、もうちょっと違った世界になっていたと思う。

スマホはそれなりにオシャレな必要がある

Windows10は機能的なOSだと思うけれど、オシャレだと思って使っている人はそうはいないと思う。

だけど、スマホは身に着けるものでもあるから、内面も少しはオシャレに気を使わないとダメなんじゃないかなと思う。

あまり実用にはならないけれど、業者が新品未使用品を安く放出していることがあるから、見かけたら買ってみるのもオススメかも。何かしら感じるものはあると思う。

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