Sixth Stage 沖縄やんばる Special Touring Style

9日目 ターニングポイント

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渡嘉敷島に行くかどうかは直前まで悩んだ。

昨日、港のとまりんで渡嘉敷島を紹介する冊子を貰ってきて、ホテルの部屋で眺めていた。冊子にはダイビング、ホエールウォッチング、海水浴・・・マリンレジャーを楽しむ色黒の人達が沢山写っていた。那覇から近いこともあって、日帰りでそういったものを楽しむ人達が多いのだろう。

曲がりなりにも遠足や修学旅行生が多くて、勉強目的でやってくる人が多い伊江島とは、だいぶ雰囲気が違うのかもしれない。いや、きっとそうに違いない。渡嘉敷島はイケイケでハッピーな人達が集まる島なのだろう。

とても今のボロボロな精神状態では、行っても惨めな気持ちになるだけだろうという結論に達した。船代も自転車代込みで往復5千円近くかかるし、キャンプ場は1泊500円だから、2泊したとすれば1泊あたり3千円か・・・。

それだけ払えば、那覇のホテルに泊まれる。那覇のホテルで湯船に浸かってベッドで寝たとしても、お釣りが貰えるほどの大金だ。

予約済みの埼玉に帰る飛行機は30日に那覇を経つ。沖縄で過ごすのは、あと3泊だけだ。渡嘉敷島に行っても元が取れるように思わなかった。やっぱ、渡嘉敷島に行くのは辞めよう・・・。

ホテルの部屋のWifiを使ってスマホで情報収集すると、ほったらかしにしていた自分のメールボックスに北中城のあやかりの杜さんからメールが届いていた。

あやかりの杜は公立図書館を核とした生涯学習施設のような所だが、沖縄本島で稀少なキャンプ場もある。ただし、サイトの雰囲気を見る限りでは、小学生とかの野外学習みたいな目的じゃないと使えないような感じがした。

それでも、駄目元で『私はアマチュアの沖縄研究家だ』というよくわからん触れ込みで、出発前にメールでしばらく宿泊させて貰えないかと問い合わせていたのだ。

1週間経っても返信を貰えなかったので、やっぱりな、アマチュアじゃ相手されるわけないか、という気持ちで諦めていた。しかし、あやかりさんのメールには休館日以外は連泊して頂くことも可能というような趣旨のことが書かれていた。

あやかりの杜さんは1泊100円。他に行くアテがない私は当然あやかりさんにあやかることにした。ただ、この日はちょうど休館日だったので、今夜だけは北谷のネットカフェで過ごし、明日以降に利用することにした。

うーん。

しかし、そうなると、帰りの飛行機の都合があるので、たった2泊しかできない。まだ沖縄に来てからテントを張ったのは伊江島の2泊だけで、かなりの不完全燃焼だ。『沖縄=自転車ツーリングキャンプ不能な地』というイメージで、彩の国さいたまへ戻るのは、どうかなと思った。

もっと、色々な可能性を探ってみたくなった。

この日の日中、中部地方の東部まで行き、映画のロケなどでもよく使われる海中道路を通って、いくつかの島を渡り、伊計ビーチという所まで走った。

途中、通った平安座島という島は、石油基地の島だ。

車社会、沖縄にとって、すごく重要な島である。ああ、あれだな、東京にとっての福島みたいなものだなと思った。東京の人たちは電気がないと通勤電車も走らせられなくて会社にも行けないけれど、その大事な電気を作る原子力発電所は、万一事故が起こると大変危険。

東京の人間は危険は欲しくないけど、都合よく電気だけが欲しいわけ。こんな都合のいいことがまかり通ってはおかしいが、金と権力で大抵のことは解決できる。

きっと、これの沖縄版だな。ガソリンは大事だけど、事故が起こると危険だから、那覇から遠い所に石油基地を作ったのだろう。知らないけど。

次に通った宮城島はサトウキビ畑ばかりで、静かな島だった。沖縄には沢山の離島があるが、このへんは観光とは無縁のような所なのだろう。

伊計ビーチは、このある意味で楽園のような沖縄にあって、楽園中の楽園のようなイメージだった。

可愛いギャルが裸で寝そべり、愛に満ち溢れている。というほどではないだろうが、少なくとも、そこには素敵な民間キャンプ場があり、1500円と高いのを我慢すれば、サーファー風のスタッフがようこそと暖かく迎えてくれる。そう、ほんわりと希望が見え隠れしていたのだ。

本島と橋で繋がっているとは言っても離島だし、どっかの県営キャンプ場と違って門番払いなんてあるわけがない。うっすらとだが希望を抱いていた。

全力で漕がなければ、2秒で5mは押し戻されてしまうくらいの強い向かい風だった。私は苦労して向かい風に立ち向かった。そして、向かい風に勝った。

だが、現場で私が見たものは想像とは大きく違うものだった。キャンプ場はビーチもろとも閉鎖されていたのだ。レンタカーが3台停まっており、近くに韓国人のイケてない感じのグループがいた。

連中もビーチが閉鎖されているとは知らずに来たようで、付近の水溜りみたいなところで寂しく遊んでいた。

彼らのレンタカー3台を見送ってから、私も来た道をひたすら戻った。日が沈み、あたりは薄暗くなった。今にも消え入りそうな自分の影を見て、うっすらと涙が滲んだ。

本島側へ戻り、お腹が空いたため食事をしようと思った。

うるま市内でタコライス発祥とされる店(諸説あり)、キングタコスに初めて行った。タコライスは沖縄に昔からある料理と思っていたが、意外に歴史は浅く、まだ30年くらいしか歴史がないという。30年も、と言った方がいいのかもしれないが。

ある書籍によると、沖縄の人が沖縄をしばらく離れて沖縄に帰ってきた時、食べたいものと言えばまずは沖縄そば、次にタコライス、3番目が島豆腐らしい。私はむしろ沖縄そばよりもタコライスの方が沖縄料理では好きなくらいで、スーパーの惣菜としてよく購入する。しかし、こういった専門店的なところで本場のタコライスを食べるのは初めてなので、注文してから出てくるまでが楽しみだった。

しかし、本場では、私がこれまで食べてきたタコライスとは違うということを知る。タコライスというのは、ライス、挽肉、野菜、チーズが揃った状態が当たり前と思っていたが、本場では野菜やチーズはオプション(?)扱い。400円の最もベーシックなタコライスはライスに挽肉が乗っただけ。500円だとチーズが、600円払うとやっと私が思い描いていたタコライスになる。

スーパーではタコライスはフルスペックで300円程度なので、600円とは割高な感じがした。ライスに挽肉だけではイメージ的に美味しそうではないので、せめてチーズだけでもオプション(?)をつけた。本当に個人の感想だし、地元の人は600円のフルスペックのものしか食べないのかもしれないけど、はっきり言うと、美味しくなかった。1/3食べるだけでも苦労した。スーパーのタコライスの方がずっと美味しいと思ったのである。

複数のことに同時期に失望し、この日は北谷のネットカフェに行った。

飛行機は変更できないだろうか。そもそも、来た時の飛行機も台風の影響で1週間ずらしたのだし、本来の計画よりも旅行自体が1週間短くなっている。帰りの飛行機も1週間くらいずらして、本来の旅行期間にしようと思った。

ジェットスターのサイトで変更する料金を調べると、ちょうど1週間後に変更した場合、追加料金が8千円弱かかるが変更できそうだった。不完全燃焼なまま埼玉に戻り、また最初からやり直して沖縄に再訪することを考えると、8千円払ってでも延長したほうが、全体としては安上がりな気がした。

もうどうにでもなれ、という気持ちで延長した。これでやっと、沖縄本島で私にとって史上初のまともなキャンプができるだろう。

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