
長崎県にある西九州新幹線の新大村駅
九州は温泉、歴史的な街並み、美しい自然、そして多彩な食文化など、観光資源に恵まれた地域である。
しかし、鉄道旅行という観点から見ると、その魅力を十分に活かせていない。交通の不便さが観光体験を制限し、せっかくの資源を足を引っ張る要因になっているのだ。
目次
主要都市間の移動がままならない

九州の中心的なターミナル駅である博多から、南九州地域の中心駅である鹿児島中央へ、九州の東側経由で青春18きっぷなどの普通列車乗り継ぎで移動しようとすると、一日で到達できないほど接続が悪い。始発から乗っても鹿児島に着くのは翌日の夕方になってしまう。
より短時間で到着できる隈本方面経由だと、JRから経営分離した肥薩おれんじ鉄道の別料金がかかるため割高感があるし、JRだけで行こうとすると途中で宿泊を余儀なくされる。
JRの普通列車乗り継ぎにおいては九州は都市間移動を前提としたダイヤが組まれていないため、普通列車乗り継ぎ派の観光客は移動の不便さを覚えてしまうことだろう。これは鉄道で九州を一周しようとした時には特に大きなネックとなる。
北海道の広さと鉄道網の合理性
北海道は九州よりも広大であるにもかかわらず、鉄道旅行はむしろ快適だ。
中心ターミナルである札幌駅から函館、稚内、網走、釧路といった各方面の主要都市へは、青春18きっぷよりも割安感のある「北海道&東日本パス」を使うこともできるし、普通列車と特急料金不要の特急を使えば、いずれの街にも当日中に到達可能である。
石北本線においては特急と所要時間と停車駅がほぼ変わらない特別快速列車もあり、広域移動を前提にした鉄道網が整備されている。広さに対応した運行形態なのが北海道の鉄道の特徴である。
西九州新幹線の中途半端さ
北海道新幹線は10年か20年後かの札幌延伸に向けて工事中だが、九州には南北に走る新幹線がすでに完成していて、博多から長崎方面に走る西九州新幹線も整備中で部分的に開業している。
西九州新幹線が整備されれば便利になるはずだが、西九州新幹線は現状では武雄温泉から長崎までの部分開業にとどまり、博多から直通できない。乗り換えが必要で、所要時間もそこまで大きく短縮されていない。新幹線という名前に期待した観光客にとっては、むしろ失望を招く存在になっている。
九州新幹線の料金の高さもネック
博多から鹿児島中央までの九州新幹線が走っているが、料金は東京から新潟までの上越新幹線よりも高い。
博多から鹿児島中央までの距離は288.9kmで、指定席を利用した場合は12,000円以上もかかる。観光客にとっては「気軽に乗れる代物ではない」という印象が強まり、移動コストが観光体験のハードルを高めている。
ちなみに、東京~新潟は333.9km、指定席で10,960円であり、本州の感覚からすると割高感を感じてしまう。
高速バスに頼らざるを得ない現実
17年前に九州各地を旅行した際、鉄道の不便さから仕方なく利用したのが高速バスのSUNQパスだった。
九州全域の高速バスが乗り放題になるこのパスは、普通列車乗り継ぎでは不便な都市間移動の利便性が高かった。鉄道が不便だから、バスに頼らざるを得ない状況が生まれていたのである。
交通が足を引っ張る構造
九州は観光資源に恵まれた地域であるにもかかわらず、青春18きっぷなどの普通列車乗り継ぎでは主要都市間の移動が難しく、鉄道旅行の不便さがその魅力を十分に活かせていない。移動そのものがストレスになる地域では、観光の楽しみも半減してしまう。
俺が九州旅行に出かける気があまり起きない理由の一つは、まさにこの「交通が足を引っ張る構造」にある。観光資源を輝かせるためには、鉄道網の利便性と料金体系の改善が不可欠だと感じている。








