Part.3 Last Exit

Part.3 Last Exit

序章1 バニラエアで成田~新千歳空港

昨年末に酷い痔を患った私は、年始の用事を埼玉で済ますために北海道から帰ってきた。

この用事が済んだらまた北海道に行くので、北海道にいるうちにバニラエアの成田-新千歳のチケット、総額5,800円を予約。

痔が悪化する以前に予約したこのチケットのせいで、5日間、悶々と過ごすことになる。歩行が困難になるほど悪化するとは思っていなかったのだ。

正月、病院はやっていないし、正月からやっている某ショッピングセンターで痔の薬を買う。寝ているのがせいいっぱいなので、買いに行くのが大変だった。

痔は何タイプか市販薬があるが、塗り薬や座薬が主流。飲み薬もあるが、この時は飲み薬なんか効くかよ、と思い、素人判断で塗り薬を購入。

2~3日使ってみるも、回復に向かっているのが全然不明。以前、寝ている以外のあらゆる動作をすると痛もが酷く、このまま寝たきりになるのではと不安になった。

なにげなく、全国の事故物件(自殺や事件などで死者が出たりした賃貸物件)を調べられるサイトで家の近所を表示してみる。

意外や意外、この平和そうな我が家の半径数キロ圏内には、孤独死の物件が多数・・・。ベッドタウンで家賃そこそこで、地方から出てきたような周りに身内がいない一人暮らしの人間が多いからだろうか。

自分もこのままではそのリストに加わるのでは、と不安に思った。痔が死因とは、もう少し格好いい死因になってみたかった。

明日控えている用事はなんとかなりそうだが、2日後のバニラエアでの北海道旅行はさすがにキャンセルするしかないと思った。

一応バニラエアのサイトでキャンセル規定を調べる。

期待していなかったが、キャンセルしても返金は行われない。変更するのも4,000円もの手数料がかかる。

どっちもバニラエアが儲かるが、特にキャンセルした場合はバニラエアがボロ儲けするのだ。オークションなどの転売も禁止されているので、痔で旅行をキャンセルする場合は、金をドブに捨てたことになる。

散々LCCを乗ってきたが、金をドブに捨てるのは嫌だ。痔さえ回復すれば、キャンセルせず済むのに・・・。

少しでも回復が早まるように飲み薬を買ってみた。

あの物理現象である痔がが飲み薬で治るとは思わなかったので半信半疑だったが、一番安い1,800円する生薬の飲み薬を買ってみた。

今までの壮絶な(自分的に)闘病生活を考えると、こんな飲み薬ごときで治っては溜まらんと思った。

ところが、意外や意外。

飲んで半日くらいから、明らかに痛みや腫れが小さくなったのである。いや、たまたま今まで使っていた塗り薬が効果を発揮してきたのかもしれないが、生薬を飲んで数時間後のことだった。

バニラエアをキャンセルするかどうかは当日の朝まで悩んだ。

生薬のおかげで、ゆっくりとなら歩行可能なくらいにまで回復したので、悩んだ挙句、えいや、行くことにしたのである。もちろん、塗り薬と生薬持参で。

頼むから悪化しないでくれ。

Part.3 Last Exit

序章2 新千歳空港~札幌に無事到着

無事に新千歳空港に着いた。

新千歳空港から予約した中島公園付近のホテルまでは、もっとも便利と思われた高速バスで向かう。

痔も酷いものだが、実は同じタイミングで酷い風邪もひいていた。人間の体は、どこか悪くなると連鎖的に病気が起こるのだろう。熱もあるし、痔だし、普通なら部屋で安静にしてないとならんのだが。チケットの返金がないから無理やり来てしまったのだ。専属のドクターがいたら、間違いなく止められていただろう。

列車よりバスならば、この氷点下の街を歩く距離が少ないだろうと踏んだ。

新千歳空港から札幌市内に向かうのは鉄道が一般的。最速37分で札幌駅まで行ける。大抵の観光客やビジネス客は鉄道で向かうのが普通。

バスはどちらかというと地元の人向けだ。

一応、市内のホテルを回るようなコースになっているが、札幌市内でも南西というか、千歳寄りに済んでいる人が利用しているっぽい。

昔は鉄道よりも格安の900円で「鉄道よりも低価格」という方向性だったと思うが、今は鉄道と大差ない値段。売り出し方も変わり、「鉄道は駅での階段上り下りがうざいけど、バスは目的に直通する」というアピールへ。

実際に乗ってみると、勘違い中国人家族が国際線ターミナルで1組乗り込んできた以外は、多分全員が地元の人間っぽかった。

しかし、このバス、一部は高速を通るものの、ものすごく時間がかかる。鉄道だったら札幌駅まで37分だが、中島公園までで1時間半もかかった。成田に帰れるくらいの時間だ。

札幌駅までだとホテルを巡回するから、2時間はかかるのではないだろうか。特に渋滞にはまっている様子でもなかったから、時間的な覚悟が必要だ。

中島公園で下車すると、歩けど歩けど、予約したビジネスインノルテが見つからない。午後7時台とそんなに遅い時間ではないが、200万都市の割りに歩いている人は全然いないし、寒くて死にそうだ。テカテカ道路と氷点下の気温は、痔と風邪を患った体には堪える。

ビジネスインノルテは大手予約サイトで予約したが、なんとラブホテルと表裏一体のホテルなのだ。入り口の片方がノルテで、もう片方がラブホ。内部は一応、フロアやエレベーターが別れているので、鉢合わせすることはないが・・・。

地図の場所に行っても見つからないのは、ラブホサイドを見ていたからだったのだ。

~お詫びとお知らせ~
この旅行記もどき『Part.3 Last Exit』は執筆者の記憶喪失とデータ消失により、この先の物語が現存していません。

終始ケツが痛かったとかの話だった気がするけど、硬い椅子に座り続けたりするのはケツによくないことは確か。読者諸君も気を付けたまえ。

END