Final Stage 真・北海道編 Excellent Hokkaido Native

Final Stage 真・北海道編 Excellent Hokkaido Native

プロローグ ローリンサイクリストは明日もきっと転がり続ける

2015年夏。当初、この旅行記はラフスタイル自転車旅行の第7弾として公開する予定だったが、旅行中に考えたあんなこと、こんなことなど、様々な事情にて、やはりここで一旦、終止符を打ちたいと思い、とりあえずの最終章として記述することとした。

遠回しに言っているが、補足すると少々現実的な話で恐縮だが、自転車で飯を食っているわけじゃないから、なんつーか自転車旅行ばかりもしていられないのだ。

ただ、心変わりは人の常。これが永久的な最終章であることを意味するわけではないだろう。誰かに頼まれてやってるわけじゃないし、またやりたいと思った時が来たら、きまぐれで再開すればいいのである。旅行同様、なんという適当!

人生は旅。そんなフレーズをテーマにする旅行会社かホテルチェーンがあった気がするが、私は人生は旅ではないと思う。旅というのは、わりかし、出発点や終着点がはっきりしていて、目的も基本的にはっきりしているのが普通。

旅が人生の一部であっても、人生自体が旅ってことはない。目的や終着点がはっきりしている人生なんて、あってはいけない気がする。

さて、今回の行き先は北海道。いろいろ折り合いをつけて、なんとか10日程度の期間が確保できたので、沖縄に行くか非常に迷ったが、北海道は夏場しか自転車旅行ができないので、北海道に行くことにした。4回目の北海道自転車旅行である。今までの旅行については、過去の旅行記を参照頂きたい。

ちなみに、細かく言うと私は生まれが北海道なので、子供の頃とか学校に行ったふりとかして、家の近所や隣町、いや北海道は平均的に隣町が遠いんだが、そういうレベルの自転車旅行は沢山しているから、通算500回目くらいと言った方が良いのかも知れない。

それと今回はウィークポイント的なものがあって、生活(≒仕事)上の都合で、まともに長距離を走るのは実に半年以上ぶり。キャンペーンで価格的に安かったので、行きは茨城県の大洗から苫小牧のフェリーに乗り、帰りは新千歳空港から成田空港へのジェットスターとした。

北海道についてからのコースは・・・どうだろう。私は一般的な“北海道に行くサイクリスト”ではなくて、地元が北海道だからか、最北端の稚内を目指すとか、一周したいとか、全く思わないし、そういう趣味がない。

1年近くキャンプツーリングのブランクがあると、それがどういうものだったか思い出せない。自分の旅行記(このサイト)なんかを少し読み直してみると、“なんかすげー大変そう、この人アホじゃないの・・・(自分だけどナ)”くらい、普通の生活とのギャップがある。

まずは自宅から大洗港への150Kmの旅が控えている。これが、まず厄介だ。雨でも困るし、炎天下でも困るし、中間くらいだといいのだけどな。

Final Stage 真・北海道編 Excellent Hokkaido Native

1日目 大洗へレッツゴー

今回はわけあって大洗のフェリーで北海道へ行く。茨城県の大洗から北海道の苫小牧までのフェリーがあって、夕方に出発するやつと、深夜に出発する便が運行している。どちらも19時間くらいかかるが、深夜便は夜中の1時半頃出発するもので、こちらだけ半額キャンペーンをやっていた。自転車込みで8千円くらい。今までの経験から言うと、ほぼほぼ最安値で、価格的にはボッタクリ感はない。

自宅の埼玉某所から大洗までは遠い。水戸の少し先というイメージだが、地図で見ると、成田空港から50Km以上も先なので、地図を見ないことにする。うんざりするから。

ルート的には国道16号と6号線を通るのと、国道4号と50号線を通るのがあるが、以前、6号線は洗濯坂とほどよく住宅街を通るのでうんざりした記憶から、後者を選択。4号線は2nd Stage以来で、なんだかなつかしい。4号線までのアプローチは成田行きと同じで16号を通る。

1週間くらい前から少しずつ準備を進めていた。今回はテーマが“エクセレント”なので、装備品が自分的にかなりグレードアップしている。

・2千円台のレインスーツ(一応、透湿素材)
・キャプテンスタッグの小型キャンプガスコンロ 4千円くらい

エクセレントなのはいいが、そのぶん荷物は増える。夏の北海道でも朝夕は冷える場合があるから、衣類も多めに必要だし、荷物がかさばるのでテントや寝袋などをダンボールにつめて、ヤマトで別送することにした。自分で受け取るので、札幌のヤマトの配送所に送る。

こうして見ると衣類は重いしかさばるものの代表格。荷造りをするとき、衣類の見積もりは甘く見てはいけない。

自転車は3年目に入って、さすがに陳腐化してきてる気がする。大きな故障はないが、ペダルのねじ込み部分は去年の旅行中にネジ山を削ってしまったので、不安感がある。タイヤはこの旅行のために前輪もリブモSに変えたし、グリップもコンフォートタイプにしているが、もうこれ以上やれるアップグレードがない気がする。

午前5時頃、自宅出発。フェリーの受付は22時くらいからだから、時間的には急がなくていい。しかし、久しぶりの長距離だし、トラブルがあった場合を考えると、ぎりぎりの時間にも思えた。

特に問題なく、時速15-18キロくらいで向かう。8時頃、休憩ポイントの古河のイオンに到着。たっぷりと水分補給したり、粉のスポーツドリンクを買う。補給食も買いたかったが、よいのが思いつかず、何も買わない。でも、この先の道は比較的コンビニなども点在しているから大丈夫だろう。

次は小山市内で休憩。このころから、左側のペダルがカチカチ泣くのが気になる。カチカチ異音がするのは大体は締め付けが悪いからなので、レンチで締め付けなおす。グリスも付け直したかったが、これは高いものはではないが、家にしかないのでグリスはつけなかった。

国道50号線に入り、海へと東に向かう。国道50号線は比較的走りやすい道路で、小山付近は都会的だが、段々と山道になってくる。途中から30Kmくらい続く山道のような場所になったりと、割と北海道のような雰囲気になる。コンビニも減ってきて、たまにセイコーマートがある程度。茨城と埼玉にセイコーマートがあるのは、きっと物流の問題で、大洗港を使っているからなのだろう。

途中のスーパー、KASUMIで398円の九州の鳥からあげ丼のようなものを食べる。1Lや2L単位で水分補給をする。急に音楽が聞きたくなって、休憩しながら音楽プレーヤーで曲を聴いたりする。暑いし、疲れるし、妙に退屈な感じがする。

14時頃、水戸の外れにあるでかいイオンに到着。ここまで来れば、あとはどうにでもなるだろう。アメリカン系の料理のバイキングを食べる。数年前はカーニバルブッフェという郊外型の格安バイキング店を運営していたニラックスという会社の店だった。

イオンにもよく入居しているが、店名からはニラックスだとわからなかった。まぁ、ニラックスは値段相当くらいの味は提供しているので、割高感はない。でも、レジのときに「クーポンはないですか」と聞かれるのは嫌な気分。えっ、ホットペッパーとか探せばクーポンがあるの? と損した気分になる。たぶん、ドリンクバー無料とかそんなレベルだろう。疲れてるしどうでもいいか。

17時過ぎまで休んで出発しようとしたら、少し雨が降った。西に台風が来ているようで、天気が安定しない。港までまだ30Km(!?)あるようなので、水戸の街中まで移動する。

水戸駅の南側、仙波湖で休憩する。ここはブラックスワンもいるし、ジョギングの人とかもいる。水戸は関東の比較的大きい都市としては、東京から時間的に遠いから、遠くに来た感がほどよい感じ。

18時過ぎ、大洗の港に向かう。

水戸から大洗に向かう道はなんだか寂しい。比較的立派な道だけど、人や車があまりいないからだ。海も見えないし、不安になる。千葉から木更津に向かっている時みたいだ。

港に着く。意外にも最後は非常に遠く感じた。深夜便のフェリーはレストラン営業しておらず、冷凍食品の自販機グルメくらいしか食べ物がないので、大洗にあったセイコーマートで3食分くらいのパンとラーメンなどを買う。港の近くにはどうせロクな店はないからな。

フェリーターミナルへ。港の近くの公園で休もうとしたが「この公園は事件が多発しているから気をつけてください」という看板があった。この港の近くは治安が悪いのだろう。

受付前だからというのもあるが、実に質素でさみしいフェリーターミナル。夜だからか売店とか食堂もやってないし、やる気がないように思えた。ガールズパンツァーという大洗を舞台にしたアニメ(多分)のポスターみたいのが大量に貼ってあったり、なめんなよ茨城という、ローカル番組のポスターが貼ってあった。

大洗発のさんふらわあ だいせつは21時から受付開始。少しずつ旅行者っぽい人や自衛隊の人などがチラホラやってくる。それでもターミナルに人はまばら。主要客のトラックドライバーはターミナルに寄らず、直接乗り込むのだろう。

飛行機と違って、この手の長距離フェリーは出航の2~3時間くらい前から乗船開始になる。今回はカジュアルルームという名の個室を予約してあるが、自由席とか大部屋の場合はぎりぎりに乗り込むと良い場所が確保できないので気をつけた方が良い。

22時半過ぎ、アナウンスに従って自転車ごと乗り込む。北海道ツーリングライダーのバイクが7~8台と、ツーリング自転車の人が自分以外にもう1人いた。定年退職者で割りとガチな感じ。

フェリーに乗り込んで、自分の部屋に行く。カジュアルルームというのは、言葉的に個室のようなイメージを持つだろうが、実態は4人の相部屋で小さいベッドがカーテンで仕切られているだけ。グループだと良いが、基本的に相部屋なので案外、居心地が悪く、変な緊張感がある。プライバシー保護はカーテンだけで、いびきが煩い人とか、はーとかうーとか溜め息ばっかりつく人とか、よっこいしょとか、ういーとか何をするにも言葉を発する人が同室だと、結構、嫌な空間かも。これは自分の体験談だが。

19時間のフェリーの旅は基本的に退屈。寝るのと食べることしかしないが、かなり年代もののフェリーなので設備はショボい。バブルの感じ満載のゲームコーナーとか、着替える所が狭い大浴場とか、鍵が壊れたままのトイレの個室とか、なんだかなという感じ。飛行機と違って、旅客フェリーはマイナーな乗り物だから仕方ない。それでも数年後に新造船が就航するらしいが。

パンとカップ麺だけの船上生活に飽きてしまい、しかたなくニチレイの冷凍食品のフライドポテトとフライドチキンを食べた。自販機グルメだから仕方ないが、パッケージよりショボいし400円は割高。

ちなみに、苫小牧発の夕方便に乗ったことがあるが、あっちの方がマシで、朝食バイキングとか結構いけていた記憶がある。やっぱ、19時間もフェリーに乗ってたら、1度くらいはまともな食事がしたいもんなー。もう乗らないと思うけど、今度は頑張ってもっとマシな食べ物を調達したいな。ほんと、朝だけでもオニギリとかスクランブルエッグとかソーセージレベルの安ビジネスホテルみたいな、軽朝食でも出れば全然違うのにな・・・。

大洗発のさんふらわあ だいせつは翌日の20時頃という、どうしようもない時間に苫小牧港に到着する。

【追記】
この時に私が乗船した『さんふらわあ だいせつ』は約2週間後、航行中に車両甲板から火災が発生。乗員らによる懸命な消火活動が行われたが、消火不能と判断した船長は船の放棄を決定し、総員退船命令を出した。結果的に乗員1名が亡くなる大惨事となった。

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2日目 苫小牧に到着

3回目の入浴を済ませ、下船時間までダラダラと過ごす。

しかし、カジュアルルームという名の相部屋は居心地が悪く、ロビーは明らかに飛行機に乗ってる客層とは違う人達ばかり。

夕方、遠くに北海道が見えてきた。あれは北海道だ。

19時半頃、苫小牧港に着岸。しかし、色々な準備のために降りられるのは20時頃。案内に従って、自転車と下船する。自転車の人は自分以外にあと2人いた。30代後半くらいの人で、ガチなキャンプ用品などを積んでいた。あれだけの自転車やキャンプ用品等を揃えるのに、20万円くらいはかかっているんだろうな・・・。ガチな自転車ツーリングは割とお金のかかる、金持ちの趣味だ。

着いたはいいが、もう20時だし、とりあえず“まともな”食事がしたいと思って、街に出る。港の近くにセイコーマートや山岡屋などがあるが、駅前の方にも行ってみる。ところが、苫小牧は比較的、北海道では大きな街だが、駅前は寂れているのでロクな飲食店がない。駅の反対側に行けばドンキホーテがあるが、しょうがないから港のほうに戻る。

結局、セイコーマートでカツカレーを買って、そのへんで食べた。

夜中だけど札幌に向かうプランも考えたが、安全を考えて港近くの自由空間で夜明けを待つ。