PS1「アンシャントロマン 〜Power of Dark Side〜」のゲームレビュー。個人の感想、ネタバレあり。
クソゲーとして紹介されることが近年は多くて、日本人特有の同調圧力のようなものすら感じるほどだけど、あえて言うほどクソゲーではないという視点でレビューしてみる。
目次
FF7発売の翌年に出たムービーライクRPG
アンシャントロマンは1998年発売のRPG。ゲームジャンルはムービーライクRPGとなっていて、映画的演出を取り入れたRPGということだろう。
FF7やゼノギアスなどの当時における超大作RPGと同じような時代の裏で発売された。ある意味、裏FF7や裏ゼノギアスと言ってもいいかもしれない。
1998年に生まれた人は2025年の現在において、もう30歳手前の立派な大人になっていることを考えると相当昔のゲームと言えるけれど、数年前に某YouTubeでネタとして取り上げられてからは、プレミア価格として流通しているという不思議なタイトルである。
ちなみに、プレミア価格になる前は、普通に100円とか1円+送料とかで売られているマイナーゲーの一つに過ぎなかった。
FF7と同じような作りを意識したゲーム
自分はFF7を発売当時にプレイした時はリアル中学生だったが、何もできない子供ながらに、FF7の3DでプリレンダリングされたCGとリアルタイムの3DCGのキャラクターが組み合わされた圧倒的な画面構成や、イベントなど要所要所で流れるプリレンダリングのCGムービーには衝撃を受けた。
まじめな話でフリーソフトやRPGツクールなどのツールを駆使して、似たような「3DでプリレンダリングされたCGとリアルタイムの3DCGのキャラクターが組み合わされた」ゲームを作れないかと考えたし、ゲーム画面のラフイメージまで作ったくらいである。
今だったらUnityなどのツールを使えば、プログラミングの技能があればという前提になるけれど、中学生でも3Dのゲームが作れるかもしれないが、90年代後半においてはそのようなツールはなかったから、残念ながら構想だけで終わってしまった。
30代になってから仕事で知り合った同世代のある人は、自分と同じころにFF7をプレイして衝撃を受けて、その後にCGクリエーターの道を志したというから、FF7が世間や一般プレイヤーに与えた影響というのは物凄く大きかったのである。
そんな中で生まれたゲームが「アンシャントロマン」だと思う。
このゲームは、まさしく「3DでプリレンダリングされたCGとリアルタイムの3DCGのキャラクターが組み合わされた」構成で、FF7をリスペクトして制作されたと思う。
アンシャントロマンをプレイすると、技術や方法がなくてFFっぽいゲームを構想したけれど作れなかった当時中学生だった私の代わりに制作されたゲームのような気がしてしまうのだった。
動画でネタにされるほどクソゲーでもない気がする
そりゃ、超大手メーカーが数百人や数千人規模で何億円もかけて制作されたゲームと比べると、ゲーム性やストーリー、音楽、グラフィックなど、すべてにおいてクオリティが劣るのは確かなこと。
でも、PS1時代においてはゲーム業界に参入したばかりの無名メーカーによる低クオリティなゲームは少なくなかったという事実もある。その頃に参入した無名メーカーは今は会社自体が存在しないことが多いが、アンシャントロマンも同じくである。
時代性を考えれば、当時は大手メーカー以外のゲームはクオリティが低いのが一般的とも言えたので、そこをネタとして取り上げるのも微妙かなと個人的には少し思ったりもする。
音楽がおかしいのは一説ではプログラム側の不具合らしい
音楽性もネタにされやすいが、一部の音楽はゲームに組み込む際のプログラム側の不具合で不協和音のような状態になっているとも言われている。
ちなみに、不協和音は必ずしも問題があるわけではなくて、今どきの音楽ジャンルや電子音楽などでは、音楽理論的にはNGとされる組み合わせが意図的に使われたりもする。
音楽ジャンル等によっては不協和音が意図的に使われることもあるのだから、アンシャントロマンの音楽に人によってはある種の快感や中毒性を感じるわけである。
街の音楽なんかは、海外のオシャレ系なジャズにみられるような旋律だし、音楽を多少は知っている人間からすると、絶望的に悪いというほどではないのではないとも思ってしまう。
アンシャントロマンのタイトル表記を考える
タイトルのアンシャントロマン(Ancient roman)は、古代のロマン、古代ローマ人という意味だが、Final Fantasyなんかもゲーム内容を表しているとは言えないので、タイトルとゲーム内容はあまり関係ないという、超大作ゲームの風習をリスペクトしたものであろうと想像する。
アンシャントの発音表記についてもエンシャントが正しいのではとネタにされやすいが、そもそも日本語における英語のカタカナ表記は英語ネイティブの国では全く通じないことも多いので、個人的にはアンシャントでもエンシャントでもどっちでもいい。
カタカナ語で言うところのライブラリー(library、図書館)なんかも、英語ネイティブの国では500回言っても絶対通じないし(イギリスで経験した)、カタカナ英語は昔の日本人のクソ耳が元になっているだろうから、英語本来の発音とかけ離れたものが定着していることも多い。
そもそもカタカナで英語の発音を正確に表記するのは不可能である。英語は英語自体の発音を身に着けた方が自分のためになる。
アンシャントロマンのストーリーをざっくり
理不尽な状況に置かれた主人公が氾濫を起こして、エルフなど人間以外の種族を含む仲間を集めつつ、自分の出生の秘密を探って旅をして、世の中を悪くしている悪玉を倒してハッピーエンドを迎えるという、どこにでもある王道RPG的なファンタジーストーリー。
ハリウッド映画のような、典型的なテンプレ通りの正統派ストーリー。意表を突いた展開と言えば、ダム崩壊により水浸しになる村の住民を避難させるのかと思ったものの、避難させる代わりに、水中でも呼吸ができる木の実を渡して生き延びさせるという箇所くらいなもの。
説明書のキャラクター設定などがゲーム内容にあまり生かされていないのは残念な部分だけど、ファミコン時代とかだとストーリーや人物描写は説明書内だけで行って、ゲーム内では描写されないということも多かったから、昔のゲームをリスペクトしているとも言えるかもしれない。
それでも所々にギャグ描写などもあるので、ゲームはゲームで楽しむことはできると思う。
説明書のイラストとゲーム内のキャラの見た目が違うのは、PS1時代のゲームでは技術的理由などで、まぁよくあることではある。
謎の病など回収されない伏線があるのは、本来は続編が複数作られる予定だったからという説がある。ドラマCDが存在していることからも、メディアミックス展開しているうちの一つの場面だけがゲームになっているとも言えるだろう。
同じようなダンジョンが多い
主人公たちは実質的に行き先を選択するだけのワールドマップで世界各地を旅する。
悪玉を倒すために、最強の装備や最強の力を求めて各地のダンジョンを訪れることになるが、だいたいは3~4マップ程度の一本道かY字路程度のシンプルな内容。ギミックなどもないので、どこのダンジョンに向かえばいいのかわからなくなることがあっても、ダンジョン内で迷子になることは少ないだろう。
ラストダンジョンも使いまわしのように見えるけど、PS3のネプテューヌのRPGなんかも最初から最後までダンジョン使いまわしだったり、ローディングが半端なかったりするから、大作RPG以外の低予算で作られたゲームではありがちな仕様の範囲ではないかと思う。
PS3やPS4の「英雄伝説 閃の軌跡」シリーズなんかでも、何回もコピペダンジョンが出てきたりするから、老舗メーカーの有名人気シリーズでさえも、コストを抑えて制作するためにダンジョンが手抜きされるというのはありがちなことではないかと思う。
戦闘バランスはレベルを上げて物理で殴ればOK
戦闘はどこにでもあるシンプルなコマンド式。攻撃以外には魔法やアイテムなど、一般的なRPGと同じような構成。
リアルタイム要素とか、なんたらポイントやら、なんとかゲージを貯めて必殺技を繰り出すとかの戦略性はないので、攻略に詰まったら装備を強化したり、レベルを上げれば解決できる。
まとめ アンシャントロマンはFF15よりよっぽど遊べる王道RPG
数億円規模で作られる超大作RPGと比較すると、グラフィックや音楽、ゲーム性などのクオリティはどうしても低いようにみられがちだけど、個人的には数億円の予算で作られたFF15なんかより、よっぽどゲームとして楽しいと思うのがアンシャントロマン。
業界トップクラスのCGや最先端のAIバトルが導入されても、FF5はゲームとして面白いとは微塵も感じなかった。
コマンド式バトルで自分のペースで遊べるし、FF7ライクに要所要所でムービーが流れたりと、90年代にゲームで遊んでいた世代には懐かしさを感じるのではないかと思う。
これぞまさしく古代のロマンではないかと思ったりもする。
ゲームの本質を見失った人たちに、ゲームの本質を考えさせるゲームであるのは確かだと思う。







