
Web制作という仕事自体がブラック寄りだが、ECサイトのWeb制作は特にブラックである。
ECサイトは作って終わりではない。更新と修正と差し替えが延々と続き、さらにモールと自社EC、SNS告知で負荷は3倍になる。なぜECサイトの現場は疲弊するのか。
今回はデザインやコーディングなどの制作実務に限定して、その労働環境の構造的な崩壊を分析する。
目次
ECサイトのWeb制作は永久に更新する仕事
ECサイトはコーポレートサイトのように一度作って終わる世界ではない。
商品は無限に増え続け、価格は動き、キャンペーンは途切れない。そのたびにページを更新し、バナーを差し替え、細かい修正が積み上がる。しかもAmazonや楽天などのモールと自社ECの両方を同時に回すケースでは、作業は単純に二重化、三重化する。
ECサイトの業務はクリエイティブというより、永遠に終わらない更新ルーチンである。
自社ECは意外と儲からないという現実
自社ECは利益率が高いと言われがちだが、実際には広告費や運用コストが重くのしかかる。システム構築や保守費用も大きく、人件費などの制作リソースも継続的に必要になり、固定費が増え続ける。
リアル店舗の片隅で、赤字のままEC運用が続く歪んだ構造のことも珍しくない。撤退判断が遅れやすい領域でもあり、「やめるにやめられないEC」が静かにコストを食い続ける。
デザインの寿命が極端に短い
セールやキャンペーンごとにビジュアルは作り直し。数日で役目を終えることも珍しくない。
時間をかけて整えたデザインも、次の施策であっさり消える。積み上げるより回転させることが求められ、クオリティよりスピードが優先される。
バナー量産による消耗戦
サイズ違い、商品画像違い、文言違い、媒体違い。
同じようなビジュアルをひたすら作り続けることになる。しかも、モールと自社ECで微妙にサイズ仕様が違うため、流用も完全にはできない。成果検証も曖昧なまま量だけが増え、制作はひたすら消耗する。
緊急対応と即日反映が当たり前
モール側の仕様変更やセール開始タイミング、自社ECのトラブル対応など、突発的な作業が常に割り込む。
しかも優先度は最優先扱い。計画していた制作タスクは簡単に吹き飛び、スケジュールは常に後ろ倒しになる。
見た目を作る側と、モール管理画面やカートシステムを扱う側の間に溝があることも多く、仕様の制約により実装できない表現が多く、理想と現実の差が広がる。結果として「できる範囲で妥協する」判断が積み重なる。
ECサイトの独自CMSはクセが強すぎる
基本的に自社ECサイトというのは儲かっていないケースが多い。10年以上前の古い仕組みのCMSで運用していて、客が目にする見た目だけを整えているケースがある。
今どきのCMSは最終的な画面を表示しながらコーディングやデザインするのが一般的で、ノーコード、ローコードが当たり前。
だが、古いCMSにはそんな発想はなく、システムの奥深い所で複雑な設定やコードを仕組まないとならない。小さな変更でも大きな工数がかかることが多く、学習コストが異常に高いうえに、独自システムゆえに、他の現場では覚えても全く1ミリも役に立たないという究極のジレンマまで実装されている。
常駐制作会社が頻繁に入れ替わる
根本的に儲かっていない自社ECサイトでは、コスト見直しのたびに制作会社が入れ替わる。
引き継ぎは不十分で、過去の経緯は共有されない。新しいチームは既存の問題を一から踏み直し、同じミスが繰り返される。改善どころかリセットが周期的に発生する構造になっているのだ。
ECサイトの現場がブラックである理由まとめ
モールと自社ECの両方を少人数で回している時点で作業負荷は高い。
自社ECサイトは使用システムが時代遅れで学習コストが高く、キャリアに繋がらない。
短納期と大量制作、そして頻繁な修正が重なる構造を持つのもブラックな要因。市場としては成長しているように見えても、現場の負荷が高いのが通常。制作スタッフとしては、作り続けても報われない状態が続く。







