サイクリストの朝は早い。まだ暗い午前4時前、前橋市を出発。国道17号線を北へ向かう。何度も走ったことがある17号線も、ここから先は知らない道だ。前橋市街はとても広い道だが、段々と狭い道になってくる。埼玉から前橋までは平坦な道だったのが、少しずつ上り坂になっていく。
渋川市内へと入る。渋川には伊香保温泉がある。『渋川』より『伊香保』の方が全国的な知名度は上かもしれない。電車だと渋川駅から分岐するJR吾妻線で草津温泉方面にもアクセスできる。一方、自転車だと渋川を抜けるとさらに登りはきつくなる。JR上越線と併走する形となる。自転車旅行では何かあった時のためにエスケープルートを確保することが大事だ。距離が長くなればなるほど、エスケープの手段を沢山用意するのが望ましい。
スケジュール的なものもあるし、この先の道がどれほど大変なものなのかまだわからないので、無理だと判断したら輪行する予定である。
とりあえず、行けるところまで行こう。
時間も体力も共に限られたものだから、それが現実的なやり方なのである。しかし、今はこの道を進んでいくとする。
群馬県北部。関東平野ももうすぐ終わり。
完全な登りである。片側一車線で、歩道はあったりなかったりである。一般の自動車よりも、大型トラックがバンバン走る道路だ。この旅行の計画段階からずっと引っかかっていたのが、群馬と新潟の県境にある三国トンネルである。設計が古くて幅が狭くて危険なため、現場判断でその付近は輪行する予定であった。
みなかみまで5Kmの地点。沼田市内の美しい景色。
輪行するならば、在来線では水上、新幹線では上毛高原が最適な乗車駅だろう。できればずっと自転車で新潟まで行ければ良いが、帰りのスケジュールや安全を考えると、輪行するのが最良だろう。在来線で水上から新潟方面は何時間も列車がない時間帯があるので、本数の多い新幹線を利用することにする。