今はネット時代だからというのもあるけれど、もう何十年も雑誌を発売日に待ちわびるように買ったり、定期行動の如く毎号買うという行為をしない。
ただ、話を90年代に戻すと毎号楽しみに発売日を待ちわびるように買っていたCD-ROM付きのPC雑誌があった。
それはTECH Win(テックウィン)という雑誌である。
一言では語れないほどの世界観があった
TECH Winが何なのかというと、それは一言で語りのが到底無理なほどの深さと広さがあるPC雑誌ということになる。
時はWindows95の時代である。画像や音楽、動画などをPCで複合的に扱えるという、マルチメディア時代の幕開けである。
細~いアナログ電話回線を使った1分いくらという課金体制のインターネットは存在したが、PCスペック的にも回線速度的にも金額的にも、動画や音楽などをネット経由で楽しむのは無理で、大量の画像やデータを転送するのも困難な時代であった。
そんな時代背景の中、大量の画像や音声データ、ゲームの体験版、フリーソフト、はたまたオリジンコンテンツてんこ盛りのCD-ROMが付属しているPC雑誌として人気があったのがTECH Winなのだった。
ちなみにCD-ROM付きのPC雑誌は当時は多かったが、オリジナルコンテンツてんこ盛りという面でTECH Winはひときわ輝いていたのである。
CD-ROMは現代のPC環境ではほぼ起動できない
手に入れたはいいが、これはほんの少し盲点だった。
なにしろWindows95時代の仕様である。動作環境をみるとWindows95以上とあるけれど、せいぜいWindows98やWindowsMEくらいまでの気がする。
付属のCD-ROMにはオリジナルのランチャーソフトや、オリジナルのプログラムが収録されているが、その多くはWindows10などの現代のOSで起動できない。「なんとかのファイルが見つかりませんでした」などのエラーが表示されてしまう。
Macほどではないけど、さすがに30年近く前のWindows環境を想定しているので互換性がないのである。
苦肉の策で仮想のXP環境を導入してみた

エラーが表示されるのも多いけど仮想XP環境でいくつかは起動できた
現代で手元にWindows95や98の実機がある人はかなり特殊な趣味や仕事の人のような気がするが、長寿だったXPくらいなら環境を用意できる人もそれなりの多いかもしれない。
さすがに95や98の環境は容易に用意できないが、XPならば何とかなりそう。最初はメインPCのパーティションを分けてXP環境を普通に作ろうかと思ったけど、古いOSだし面倒が起こりそうなのでやめておいた。使っていないサブPCとかがあれば、普通にぶち込んでもいいと思うけど、今回は無料で構築できるOracle VM VirtualBoxの仮想環境を使って、まさかのXP環境を構築してTech Winを実行してみた。
仮想環境はそれなりのPCスキルが必要。Tech Winを実行するには色々なやり方がありそうだけど、手っ取り早くCD-ROMをISO化して読み込ませてみた。
わかったのは、当時もそうだったと思うがVisual Basicのランタイムが必要なので、ベクターとかで探してsystem32のフォルダにぶち込んだら、いくつかのコンテンツは起動できた。
それでも足りないランタイムか何かがあるようで、起動できるものと起動できないものがあった。VBのランタイムをぶち込んだ時点で2~3割くらい起動できたが、本格的にぶち込む情熱があればもっと起動できる気がする。
XP環境が先進的すぎるというのもあるかも知れないので、95環境とかの方が完璧な気はする。
あとはGIFアニメのような「虫ケラの様に愛して」というコンテンツも印象に残っている。
懐かしのコンテンツにもアクセスできた
Tech Winで思い入れが深いのは、個人的にはデジタルアイアンマンというクリエイター向けの投稿コーナー。
今だったら、有り余るほど存在するネットの投稿サイトやSNSなどにぶち込むのだろうけど、イラストや音楽、動画などの創作物を発表する場として機能していた。
イラストは当時流行っていたフリーのツールで作った3DCGが主流で、音楽はMIDIデータである。
毎号のように投稿している常連も多くて、当時の常連さんたちし今どうしているのだろう~とか思ってたりもする。
画像や音声ファイルなどは普通に閲覧できる
基本的には普通のデータが入ったCD-ROMなので、プログラムは実行できなかったとしても、汎用的な画像や音声などのファイルは普通に開ける。
あんまり詳しくないけど声優のWindows起動音とかのボイスデータとか、小中学生も買ってた買ってた雑誌だけど大人向けの画像や美少女ゲームの体験版などが収録されている。
Tech Windの入手方法
当時はかなり人気があった雑誌だけど、ネットで探してピンポイントで出玉を狙うような感じ。数百円で手に入る場合もあれば1千円くらいする場合もあるものの、超プレミアが付いているのはないみたい。
ただ、まとめてバックナンバーを入手するできるほどの出玉がない。まとまった出品が見つかれば運がいいということだけど、上記のように現代のPC環境では制限付きでの閲覧となるので注意。
20年くらい前までは手元に大量にCD-ROMだけ保有していたけれど、引っ越しか何かのタイミングで全部処分してしまった。
蛇足 PCingはもっと入手難易度が高い
当時に他に思い入れのあるCD-ROM付きPC雑誌と言えば、学研のPCingというのがある。
こっちもTech Winほどではないけどオリジナルコンテンツなどが多かった。マルチメディア時代の黎明期だったから、今ではプレミアが付いている赤松英弘さんとかのマルチメディアコンテンツとかが収録されていた覚えがある。
ノスタルジーに浸りすぎだけど、30年くらい前のマルチメディアは本当に楽しかったなぁ・・・。