青森

旅モノ

開業から7年経ってもガラガラな北海道新幹線で北海道と東北(青森、秋田、仙台)旅行をして来たぞ

新函館北斗駅に停車中のはやぶさ号

北海道新幹線は2016年3月26日に新青森駅~新函館北斗駅間が開業した日本最北を走る夢の超特急である。

そんな誰もが待ちわびたはずの夢の超特急に、実に開業から7年以上も経って初めて乗車してみた。

拙者は北海道が地元だけど、北海道新幹線が開業したら北海道が近くなる・・・というのは幻想であり、現実は北海道新幹線が開業したことで北海道や東北は拙者からすると逆に遠ざかったのだ。

少なくとも、そんなに近くはなっていないのは間違いない。

今回はそのあたりの切実な現状も踏まえた旅行記を後世の小鳥ちゃん達のために書き残したいと思う。

北海道新幹線の乗車率はたったの5%(?)

最近は鉄道関係の解説動画を作ってYouTubeにわざわざ上げるような方々もいるが、人様の限りある人生の時間の使い方は知ったことではないものの、以前に動画関係の仕事をしていた経験から言えることは、動画を作るのは時間と労力を考えると、大手企業の会社員並みの安定と収入が約束されていないと割に合わないということだ。

だから、拙者は無償(YouTubeで収益が得られる資格があるのは限られたごく一部のユーザーのみ)で動画を作ったり投稿する趣味なんてものは持っていないのだけど、かいつまんで言うと、北海道新幹線は現状では100円稼ぐのに300円もかかる赤字新幹線らしいということ。

走らせれば走らせるほど赤字になるという。もちろん、全国の新幹線で赤字を垂れ流しているのは北海道新幹線くらいなものだろう。

それでも昭和バブル以前からの構想だし、青函トンネルも元々は新幹線を走らせる前提で作られているから、赤字以外は予定通りというところなのだろう。

7年間も北海道新幹線に乗らなかった理由

北海道新幹線が開通したのは今から7年以上も前である。

北海道新幹線で本州と北海道がより近くなるかというと、全然そんなことはなかった。少なくとも拙者にとっては。

2012年くらいの段階でバブル時代の構想では描かれなかったジェットスターなどのLCCという格安航空が東京~北海道を結ぶようになり、北海道新幹線は割高の移動手段でしかなかったのである。

しかも、北海道新幹線は東京から4時間も乗っても新函館北斗停まりだから、現在の北海道の中心地である札幌まで移動するとなると、さらに在来線特急に乗り継いで3時間半くらい余分にかかってしまう。

かかる時間の時点で普通の人間は選択肢から除外するが、料金的にも新幹線+在来線特急だと片道2万7千円くらいかかってしまう。

LCCの飛行機だと東京~札幌は年末年始やGWなどを除けば、片道5千円~1万円くらいで安定的に乗れるので新幹線はかなり割高なのである。

LCCは貧乏臭いから嫌だという人でも、MCCのAIR DOやスカイマークでも片道1万5千円くらいで乗れることが多いので、当日予約でJALやANAに乗るよりは若干安いとはいえ、計画的な旅行においては、北海道新幹線はやっぱり高くて不便と言わざるを得ない。

北海道新幹線開通で東北の各都市にも行かなくなった

北海道新幹線が開通する以前は、青函トンネル経由で急行はまなすという夜行列車が走っていた。

この急行はまなすの素晴らしいところは、北海道&東日本パスなどの格安フリー切符で乗ることができたことだ。

急行はまなすは何度も乗ったことがあるが、青森と札幌を結ぶ夜行列車であり、格安旅行をする鉄道旅行者には人気が高かったのである。

末期には人気があり過ぎて、4時間も前から自由席に座るために長蛇の列ができたため、指定席が導入されたという懐かしい思い出もある。

それでも指定席券の510円追加だけで利用できるので、旅情もあって素晴らしい列車であったと思う。

急行はまなすを利用しない場合でも蟹田~木古内は特急スーパー白鳥を特例で無料で乗車できたが、北海道新幹線の開業に伴って在来線特急は廃止されてしまった。

オプション券を使えば新青森から当日中に釧路や網走まで行くことが可能

北海道新幹線には在来線特急みたいに無料で乗れる特例はないため、「北海道&東日本パス北海道線特急オプション券」という北海道新幹線部分と北海道内の在来線特急が1日乗れる大人6110円もするオプション切符か、新青森~新函館北斗だけを乗れる4000円する立席特急券を別途買わないとならない。

ちなみに、立席特急券とは全車指定席の列車において空いている指定席に座ることが許されているので、ずっと立ちっぱなしというわけではない。北海道新幹線なんて基本的にガラガラなので、座れないことはまずないだろう。

追加料金が結構な金額であることから、北海道&東日本パスで鉄道を使って北海道に行くことに料金的なメリットは薄く、熱烈な鉄道趣味がない場合は、東北各都市はパスされてしまいがちとなるのである。

結局のところ、LCCで東北各県はすっ飛ばすことになるわけである。

50%オフのえきねっとトクだ値を頑張ってゲットするまでの苦労話

JR東日本の新幹線が50%オフや30%オフなどで乗れる「えきねっとトクだ値」という割引制度がある。

在来線特急やJR北海道の列車にもあるが、つまりLCC各社や航空会社が日常的に当たり前にやっているセールみたいなものである。

但し、あくまで期間限定かつ列車限定のセールなので、通年で好きな区間をいつでも買えるようなものではなく、1か月前の午前10時に売り出されて早い者勝ちというシステムなのだ。

大物アーティストのチケットを買うような感覚に近いだろう。って、大物アーティストのチケットなんて買ったことがないが笑。

ところが、出発候補日の1か月+1週間くらい前から「事前申し込み」という、最も買えそうな方法で買おうとしたところ、ことごとく「申し込み不成立」になってしまった。

俺以外にも1か月以上も前から北海道新幹線にわざわざ乗ろうと考える人がいるとは思わなかった。

えきねっとトクだ値は全然買えないじゃん(涙)

結論を言うと、北海道新幹線の首都圏の駅(東京、上野、大宮)から新函館北斗までの区間においては、日付を変えたり、希望列車の前後を狙ったり、色々やっても、どの列車においても50%オフのトクだ値は買えなかった。くっそー。

どっかで聞いた噂によると、50%オフなのは各列車に1席しかないとかなんとかで、さすがに1席ってことはないようにも思うけど、かなり運が良くないと買えないようであった。

1席もないのはさすがに法律に触れるので、誰かしらは買えていると思うが、どう頑張っても自分は買うことができなかったのである。

事前申し込みだと機械抽選になるのでダメなのかなと思って、午前10時きっかりに手動で予約を試みたりもしたが、それでもダメだった。

北海道新幹線には自由席はなく全車指定席なのである

東北新幹線の盛岡~新青森、北海道新幹線の新青森~新函館北斗の区間には自由席は存在しない。

なぜ指定席が存在しないかというと、某鉄道関係の専門サイトによると収益性確保のために少しでも料金を多めに取りたいからだそうである。

いやいや、指定席って予約するの面倒臭いし、料金高くなったら余計に乗る人が減ると思うんだけど。

最近のJR北海道の在来線特急も自由席車両がオマケくらいしかなかったりするけど、鉄道の思い立ったときに飛び乗れる利点をなくしちゃいけないと思う。

だけど仙台~新函館北斗で検索したら50%オフで買えたどー

苦し紛れに何とか買った仙台~新函館北斗の50%OFF切符

首都圏から新函館北斗の区間では簡単には買えないという結論が出たため、諦めて飛行機を予約しようと思った時、ふと思いつきで仙台~新函館北斗で検索したら50%オフの欄が「△(残席わずか)」の表示になっとるでないか!

仙台まで別の方法で行かないとならないけど、細かいことを考える時間的な余裕はないのですぐに購入した。

北海道新幹線はやぶさ号は東京~仙台までの利用者が大多数のため、50%オフのえきねっとトクだ値は冬季用~仙台までの利用者に買われてしまうのだと思う。

拙者の勝手な推測だけど、1列車あたり1席程度しか50&オフの座席がないとしたら、東京~仙台で購入した人間がいたとしても、そいつが仙台で降りれば後任として別の人間が仙台~新函館北斗の50%オフ席に座ることができるのである。

トクだ値の割引席の仕組みがなくとなくわかった気がした。

東京~新函館北斗の50%トクだ値が買えない人は、苦し紛れに仙台から乗ることも検討してみよう。

仙台までは別の方法で行かないとならないけどね。ちなみに、普通列車を乗り継いでも首都圏から半日くらいで仙台まで行ける。

10年ぶりに降り立った仙台の街

見覚えのある「カニトップ」の看板とアーケード街

首都圏~仙台には東北本線の普通列車を乗り継いで行った。

10年くらい前まではこの乗り継ぎの仕方で青森まで行ったものである。首都圏から始発で出たら、夜には各駅停車でも青森に着くのだから、日本という国は小さいのである。

がっかりするほどに小さい。戦前の日本人が領土を広げようと躍起になっていたのもわかる気もしないでもない。

栃木や福島は特に言うことはないけど、新白河(福島県)や白石(宮城県)での乗り換えがデフォルトになった気がする。昔より乗り換えが多くなって面倒になった。

福島~仙台に走っていた快速電車の仙台シティラビットもコロナの時期に廃止されたらしい。元は高速バスに対抗する列車だったそうで、コロナ外出自粛の影響だね。

首都圏以北の本州では最大都市の仙台だが、実に10年ぶりにくらい足を運ぶことがなかった。

これと言って観光したい場所やお気に入りの場所があるわけでもなく、牛タンが特に好きでないとなると、仙台に足を運ぶ理由がなかったからである。

久しぶりに見る仙台の街並みでは「カニトップ」の看板が懐かしかった。カニトップが何なのか知らなかったが、調べたらマ〇チ商法の健康食品らしい。仙台では有名なのかな。

仙台の街を制圧したイオン

仙台の中心部と思われる場所にダイエーが昔あったが、すでに仙台はイオンの制圧下にあるようだった。他の場所に移動しても、通りを歩けばまた別のイオンがあった。

写真に写るイオンのビルは時間潰しで何度か入ったが、昼時には地下のそんなに広くない何てことないテナントばかりのフードコートが賑わっていた。

周辺に手軽に食事できる場所がない職場に勤めている人が多いと、この手のフードコートに人が集まりがちになることは、自分も過去に経験しているからよくわかる。

どんだけ鳩おんねん

そして、仙台の街で特筆すべきことは鳩が異様に多かったことだ。

以前の職場関係で鳩を異様に嫌がる「鳩恐怖症」とでも言うべき人を見かけたことがあるが、これだけ鳩が多いと鳩嫌いの人は生活しづらいのではと思う。

鳩は平和の象徴だし、基本的には人間に危害を与えないし、人間に対する殺傷能力もないからそこまで怖がらなくてもいいと思うが、集団だと確かに少し怖いかもしれない。

仙台のアーケード街は立派だけど

仙台の中心市街の特長としては、アーケード街の領域が広いことだろう。

ただ歩いた感じ、首都圏や全国の地方都市のどこにでもあるようなチェーン店が多くて、仙台独自の店というのは少ないように感じた。

札幌や新潟と違って、仙台は仙台駅から気軽に歩ける場所に観光名所もあまり見かけないので、半日程度でもノープランだと時間を潰すのが難しかったりする。

実は地域クーポン利用で安く泊まれるからと前泊も検討したけど、拙者には仙台での観光プランを立てるのが難しかったから前泊は辞めたのである。

まぁ、仙台は新幹線だと東京から近いし、東北随一のビジネス都市として発展しているので、同規模の他都市に比べると観光に力を入れまくる必要性が薄いというのもあるのかもしれない。

見た目ほどは美味しくない天ぷらそば

新幹線に乗る時間が近づき、乗る前に軽く夕食を済ませたかったので、仙台発祥の大衆食堂の半田屋に行った。

半田屋は味というよりは安いのが目玉の店なので期待はしていなかったが、それでもがっかりな味の天ぷらそばを食べた。

出汁の効いていない汁と、ピンとしているだけのあまり美味しくない麺だった。緑の狸とか、カップ麺の天ぷらそばの方が美味しく思えたりもした。

あと、前に並んでいた若い女の子が券売機に1万円札を詰まらせて大変なことになっていた。小銭払う時ほどキャッシュレス使おうよ。ポイント溜まるし、小銭がじゃらじゃらしなくて便利だと思うけど。

ついに仙台駅から東北・北海道新幹線に乗車

お待たせの本記事のメインイベントである。

冬の冷風が吹きすさぶ仙台で6時間もの時間をノープラン潰すのは、正直、結構辛かった。6時間のはずが3日くらい過ごした感じさえした。

仙台駅では北海道フェアをやっていて、北海道の土産品などが売られていた。いや、そこは仙台銘菓を売る場所ではないか? と強く思ったが、東北の人って北海道への憧れも相当にあるということだろう。

新幹線に乗る前に普通列車の乗り継ぎと、無益な仙台散策で疲れているし、新函館北斗に着いたら着いたで「はこだてライナー」という、要は普通列車を乗り継いで宿のある函館駅に向かわないとならないと考えると相当ダルい。

東京方面からやってきた新幹線はやぶさ号

写真は仙台駅の新幹線ホームに入線した東北・北海道新幹線のはやぶさ号。

到着した時点での乗車率は40%くらいかなという思うけど、仙台で降りる人が多い。時間的に東京出張の仙台の人が帰ってきたイメージかな。

仙台で乗る人もそこそこ多いけど、全車指定席なのでホームはまったり。仙台発車時の乗車率は25%~30%くらいだった。

特急時代は案内板がこっていた記憶があるけど

夜間だし。景色もほとんど楽しめないので、車窓は飛行機に乗っているのとそんなに変わらないかな。

むしろ、飛行機で窓側だと上空からの夜景が楽しめたりするから、景色は飛行機の方が勝ってる。

座席は2人掛けの左一番前の席をゲットしていたけど、隣に座っていた若い出張サラリーマンがずっと足を組んでいて、さすがにLCCよりはずっと広いけど隣人次第では無条件に快適ってワケではなかった。

新青森から先が北海道新幹線の区間になるけれど、仙台や盛岡で乗った人も、その多くは八戸か新青森で下車するようだった。

やはり、津軽海峡が人間やビジネスの交流を拒んでいるのだろう。

新青森で乗車する人は時間帯にもよると思うが、ほとんどいなくて新青森出発時点で乗っているのは自分の車両だと、たったの5人だけだった。

座席は100席あるから乗車率は5%ってことか。他の車両に沢山乗っている感じもなかったから、列車全体でも乗車率は5%くらいだと思う。

ビジネス客は皆無で、Japan Rail Passなのかな、外人向けの格安切符を使って乗っているような外人ファミリーだった。

こりゃ、赤字になるわけである。

50%オフで売り出されるのも当然と言えば当然だけど、こんなに空席だらけなら、LCCや最近の大手航空会社、または最近の高速バスみたいに、もっと徹底的に安く売りさばけばいいのにと思う。

競合交通機関から学んだり、工夫すべき部分は色々あると思うけど、俺にはどう見てもJR北海道が必死で頑張っているようには見えなかった。

あっけなかった青函トンネル通過

新青森を出発すると青函トンネルに向かうわけだが、青函トンネルの突入時にも特に案内放送はなかった。

帰りにもオプション券を使って北海道新幹線に乗ったが、その時には放送があったので、上り、下りや車両にもよるのかもしれない。

スマホの騒音測定アプリで測ったら青函トンネル通過時は他の部分の通行と同じで70~80dBくらいだった。航空機に比べてめちゃくちゃ静かという感じではない。常にゴォーというような騒音。

時間にしたら青函トンネル部分は15~20分くらいなのかな。あっと言う間の通過であった。

青函トンネルは安全上の都合で世界の海底トンネルの例にならって160Kmくらいまで速度を落としているそうだけど、この年末年始には210Kmの営業運転をするらしい。

航空機に対抗するためだろうけど、数分程度の時間短縮よりは安全重視した方がよいと思うが。青函トンネルで事故ったら通常の鉄道事故のレベルでは済まないわけだし。

青函トンネルは旅客よりも貨物列車の方が多く走っているので、不通になったら日本の物流に大きな問題が生ずることになる。

そんなこんなで大きな感動はなく新函館北斗に到着。

新函館北斗駅の在来線乗り換え改札付近

新函館北斗駅は函館市内ではないので、ほぼほぼ大抵の人は在来線に乗り継いで函館方面の列車か、札幌方面行きの特急に乗り換えることになる。

普通列車の函館ライナーという列車が待ち構えているが、函館駅までは20分くらいかかってダルい。

基本的には新幹線の発着に合わせているが、そこまで乗り継ぎ時間がタイトではなくて、乗り継ぎ時間もいれたらもっと時間がかかる。

北海道新幹線で津軽海峡を渡った感想まとめ

本文中でも綴ったけど、航空機に対抗するなら、時間もそうだけど、価格で対抗することを必死で頑張った方がいいと思う。

JR北海道が現状でも「必死に頑張っている」と言う人もいるけど、「必死」という字は読んでの通り「必ず死ぬ」という意味である。

JR北海道の社員が赤字を改善できなかったとしたら、必ず死ぬのだろうか? そんなことはないだろう。それでは必死とは言えないのである。

トクだ値50%を適用してもLCCの2~3倍の値段がするし、そもそも買える確率が相当低い。

航空業界や高速バスを見習って、せっかく全車指定席にしているなら料金を需要に応じて変動させればよいのにと思う。

走らせれば乗ってくれるというような思考で国鉄時代には路線を拡大しまくって、令和の現代まで大赤字を引きずっているのだし、考え方を根本から変えないとならないと思った。

「札幌まで開通すれば状況が変わる」という意見もあると思うけど、拙者にはそうは思わない。

札幌まで開通した頃の日本人が今より貧しいか豊かかというと、貧しい可能性の方が高いが、飛行機より時間がかかるのに5倍も料金が高い北海道新幹線に好んで乗る首都圏の人間は限られているからである。

そもそも、函館にしたって北海道では3本の指に入る大都市であって、観光地としても道内トップクラスの街である。

函館まで開通して7年経った時点で乗車率5&程度の列車があるのでは、将来性が危ういとしか言えないのではと思ってしまった。

北海道を一回りして8年ぶりの青森に帰ってきた

無事に新幹線で北海道に渡って北海道を一回りしてきたあと、8年ぶりの青森駅に帰ってきた。

北海道部分の話は胸のうちに秘めておきたいので割愛させて頂く。(割愛していいのかよ笑)

しかし、青森も実に8年ぶりという奇跡。

もう一生来ることがないと思っていたので、ある意味、感慨深いものであった。

終わっているようで終わってなかった青森

半端な首都圏の駅より立派に見える建て替えられた青森駅

8年ぶりに青森に降り立ったが、ちょっとした浦島太郎状態であった。

最後に来たのは2015年の北海道新幹線が開通する1年前の頃であった。

一般的に新幹線が開通すると大きい方の街に養分が吸い取られる「ストロー現象」というのが起きる。

新函館北斗まで開通すると、より観光地としての人気が高いと思われる函館にストローされてしまうと思っていたが、青森は持ち堪えていたのだ。

駅ビルも拙者が知っている青森駅とは違っていて、近代風に建て替えられていたのである。

まだ建て替え途中という感じもしたが、金があるんだな~と思った。そりゃ、JR東日本のエリアだから駅を建て替えるくらいの金はあって当然か。

函館なんかよりも、ずっと“街”って感じのする青森駅前

青森駅前の大きな通りは8年前に来た時と大体同じだ。写真では見切れているが、手前にファミリーマートがあって隣に吉野家があるのも全く同じ。

8年前どころか、20年前に来た時と同じような気がする。

本州最北端ということもあって、北海道方面の列車の乗り継ぎで時間潰しすることが多かったから、このへんの街並みは結構印象に残っているのである。

かつてはオシャレファッションビルだった気がするアウガ

そして「アウガ」である。

かつてアウガは青森での渋谷109みたいな存在で、8年前に訪れた時はファッション系のテナントやカフェ、レストランなどがぎっしり入っていた記憶しかない。

しかし今は昔。なんと下から上まで市役所になっていたのである。上の方に図書館があるのは昔からだと記憶しているが、地下の市場みたいのを別にすれば、完全に公共施設に様変わりしていた。

北見にしろ新潟にしろ、中心部の潰れた商業ビルが公共施設に様変わりする例は全国でも多いと思うが、アウガが市役所になっていたのは驚いた。

青森に“わざわざ”立ち寄った理由とは・・・

言及するのを忘れかけていたけど、今回、素通りしてもよかった青森にわざわざ立ち寄ったのは、某旅行ムックで知った青森のっけ丼というものの存在であった。

アウガの先に少し奥まった場所にある「青森魚菜センター」という市場的な建物で売られている釧路の和商市場にある勝手丼のようなものである。

市場内でご飯を買って、それぞれの店舗で海鮮丼の具材を好きなような買って載せていくというスタイルの海鮮丼だ。

どっちが元祖なのか知らないが、勝手丼は10年以上前から知っているものの、のっけ丼を知ったのはつい2か月前のこと。もしかすると、知らないだけで全国で同じようなスタイルの海鮮丼が存在するのかもしれない。

ただ、勝手丼とのっけ丼の違いはかなりある。

勝手丼は基本的に現金払い(店によっては電子決済もあり)だけど、のっけ丼は1枚170円のチケット制だということ。口コミによると2000円のセット券を半ば強制的に買わされることもあるという。

勝手丼は貧乏ライダーがルーツにあるので安く仕上げられるのがウリだけど、2000円もする本格的な海鮮丼はちょっと食べたくないなぁ。個人的には。

ざっと市場内を見学したけど、訪れた時間帯のせいか、のっけ丼の客は誰もいなかったし、具もほとんど売られていなかったので、そんなに広くない市場を一回りして退散した。

青森駅前の街並みは対岸の函館とは対照的に地元住民に根差した街って感じがするけど、いかんせん、歩ける場所に良いスーパーがないのが辛い。

夏場なら頑張れば歩ける距離にユニバースだっけな、青森のローカルチェーンのスーパーがあるのは知っているが、夏用のスニーカーで雪道を歩くのが相当しんどいから、さくら野という地元デパートのデパ地下を漁ったりしたけど、青森で手軽に夕食にありつくなら吉野家なんだよな~。

逆に青森以外では吉野家で夕食を済ますなんてことはしなかったりするけど、津軽三味線の音色も聞こえてこないし、こればっかりはしゃーないな。

しっかし、今年の北海道や東北は、どこぞの気象予報士の予測とはまるで違って暖冬でもないし雪深い。

8年ぶりに秋田に秋田犬を見に行く

鉄道で言うと青森から盛岡の区間は第3セクターなので、北海道&東日本パスなら乗れるけど青春18きっぷでは乗れないという厄介な区間。

この手の厄介な区間は新幹線が開通した他の区間でも増えているけど、北海道&東日本パスはすでに使い切っているため、青春18きっぷでも乗れる方のルートとして、青森から先は秋田を目指す。

青森始発が5時半過ぎくらいで、弘前で快速電車に乗り継いだら9時前には秋田に着く。北海道内の距離感覚からすると、青森と秋田はすごく近いのだ。

秋田駅構内にある秋田犬のモニュメント(?)

8年ぶりに降り立った秋田駅は、ほとんど変わっていなかった。

秋田駅構内にはデカい秋田犬のモニュメントがあったが、地元の人はあまり関心がないのかいつも見ているからなのか、写真を撮っているような人は誰もいなかったのが印象的だった。

まさかの8年越しの秋田の牛丼

秋田駅に隣接してフォンテという商業ビルがある。

以前はイトーヨーカドーが入っていたという思うが、そこのフードコートで食べられる牛丼の味が印象的だったのである。

コロナもあったし、さすがに8年も経ったら存在してるわけないな~と思ったら、あったのである。

イトーヨーカードーは別のスーパーに置き換えられていたが、フードコートはそのままだった。

よく煮込まれた牛肉と柔らかめのごはん。これこそ、拙者の理想の牛丼である。って、そんなに牛丼に拘りはないのだけど、チェーン店とかの牛丼では味わえない牛丼だ。

なんせ8年も忘れられなかった味なのだから。

そんなこんなで北海道新幹線の初乗車での煮え切らない気持ちと東北の数都市を綴った旅行記モドキの話はおしまい。

お土産は秋田の土産屋ではどこでも売っているくらい有名な秋田土産の定番(らしい)、パンプキンパイをどうぞ。

まぁ、北海道新幹線は空港に行く手間と飛行機独特の閉塞感やストレスがないという利点はあるものの、50%オフと言わず、LCCみたいに80%オフくらいから売り出すくらいの施策はあってもいいと思ってしまう。価格で対抗しないと飛行機には勝てないからね。

Second Stage 埼玉~東北~北海道編

6日目 激走! 本州最北端から北海道へ

出発の段階では盛岡くらいまで来るイメージはあったが、そこから先をどうするか決めていなかった。なぜなら、それは単純だ。実際に盛岡まで来れるとは思っていなかったからだ。途中で、疲労や怪我、その他のトラブルで、盛岡くらいから新幹線で泣きながら帰る可能性の方が高いのでは? と思っていたからだ。

幸運なことに、大きなトラブルもなく、健康なまま盛岡を出発することができた。そのため、そこから先をどうするか決めなければならない。

盛岡から北海道へ進むルートで思いついたのは、次の3コース。

1、盛岡市~青森市~(フェリー)~函館市
2、盛岡市~青森市~(列車)~函館市
3、盛岡市~八戸市~(フェリー)~苫小牧市

東北を全部走り切って、北海道も道南から全部走るとなると、1か2のコースとなる。しかし、天気予報をみると、そのコースだと悪天候が重なってしまう可能性が高い。函館から札幌までの間は距離が相当長く、最速の特急列車でも3時間かかる。自転車だと1日では辿りつけないだろう。列車で何度も旅したことがある区間なことに加え、函館などの道南はどうも北海道の中でも色々な意味で本州的だからパスしても良いのでは?という、偏見とも言える意見を採用しようと思った。現実的には、安い宿泊先の確保が難しいという問題もあった。

そのため、旅行期間と費用をセーブできる八戸市から苫小牧に渡るルートを選んだ。

盛岡市のホテルを午前6時に出発。早朝の盛岡市は心地よい。盛岡市も広くて、山道に入って進んでも進んでも盛岡市のままだった。岩手県と青森県の間には国道4号線で最も標高が高い部分がある。奥中山峠だ。

国道17号線の旅の時に見事に輪行で峠をスルーしたので、もしかしたら初の本格的な峠になるかもしれない。そんな不安もあったが、割と快調に登って行く。

このあたりは普通列車乗り継ぎの旅でもゲンナリする区間だが、自転車でもやっぱり距離が 長くてゲンナリする。八戸までの間にも、三戸や二戸などと言った「○戸」という地名が続く。昔の偉い人が街の名前を考えるのが面倒臭かったからそういう風 にしたのかなぁ、などと考えながら進んで行く。そういえば、新潟にも六日町とか十日町とかあるなぁ、あれもそうなのかなぁ、とか。人間って、本質的には楽がしたい生き物なのだろうか、とか。

埼玉からずっと走ってきた国道4号線とも、ここでお別れする。ずっと4号線を走ると青森市方面に行くので、途中で東に分岐する。こんな山中で道を間違っては大変なので、慎重に何度も確認して道を選ぶ。

自衛隊の車が沢山走っている。青森くらいまで来ると、もはや北海道みたいな光景だ。

八戸は港町なので下りとなる。東北新幹線の八戸駅はルートの都合でかなり街外れにある。八戸駅周辺は港町という雰囲気は全くしない。八戸市街は普通列車を何駅か乗り継いだ場所となる。

今回の目的の場所はフェリーターミナルだ。一日に何便もあるから、適当に行けば乗れるだろうと思って、街中の案内板を参考に乗り場に辿りつく。だが、ちょうどいい時間のフェリーは点検のために「今日は出航しない」という。事前の情報では、割と近所にスーパー銭湯があるので、4時間ほど時間を潰す。

疲れが蓄積しているのか、スーパー銭湯ではダラダラしていると一瞬のうちに数時間が流れた気がする。八戸も例に漏れず、中心部よりも郊外型のショッピングセンター群が栄えている。

八戸のフェリーターミナル付近は、家畜の飼料工場があって、慣れていないと独特の匂いで息が苦しい。家の近所にあんなものがあったら絶対に住めないな、などと思いながら、マスクをして口で小さく息をしながら、スーパー銭湯からフェリーターミナルへと再び向かう。

苫小牧まではザコ寝の2等船室で、人間が4500円、自転車が2000円だった。受付で「バイクの人達と同じタイミングで乗船してください」と言われたが、はじめてで並ぶタイミングがよくわからず、とりあえず付近を散歩して過ごす。・・・そもそもバイクの人達がいなかったので、かなりタイミングを逃す。2等船室は早い者勝ちで場所取りされるが、私が乗り込んだころには、良さそうな場所がほとんど占領されていた。なんということだ。残念。

飛行機全盛の時代でも、八戸~苫小牧のフェリーは需要がある。平日なのにかなり込み合っている。高速道路もあるし、岩手県や青森県からだと北日本最大の都市・札幌へ車でアクセスするのには最も都合がいい港だ。家畜や貨物を乗せたトラックが多いし、乗用車の旅行者と思われる人達も多い。

2等船室の様子はというと、定年退職者と思われる団体旅行客が多い。いわゆる団塊の世代と言われる人達で、仕事中心で生きてきた人たちが、いざ仕事がなくなってしまうと旅行くらいしかやることがなくなってしまうという。年金が沢山貰える世代だから、お金もある。それでも、年中旅行ばかりしていると、やがて飽きてしまうという。この人達は、まだ飽きる前なのだろうか。沖縄の宮古島に行ったときも、真冬のオフシーズンだというのに、空港には定年退職者のグループが大勢いた。

2等船室はあまり居心地がよくないが、8時間後には念願の北海道へ上陸する。旅を振り返る余韻もなく、あっという間に夢の中へ。おやすみなさい。