自転車

Final Stage 真・北海道編 Excellent Hokkaido Native

エピローグ One Dream

私にとって自転車旅行とは何だったのか?

・自己満足
・遊び
・単なる旅行の足
・暇つぶし
・お金と時間の浪費
・ちょっとしたアスリート気分
・放浪

すごくシンプルに言うと、上のような感じだろう。

思うに、自転車旅行には“旬”というものがある。それは、季節や年齢はあまり関係ない。できれば、あまり寒くない季節がいいが。自転車旅行に行きたいと思った時が、その人の旬だ。旬の期間がどれくらいあるのかは人それぞれだが、旬なので、いずれ終わりが来る。

自転車旅行は比較的、他の種類の旅行に比べれば、時間はかかるがお金はかからないので、そういう状態の時、つまり社会人だと求職中の時に向いた旅行だと思う。嫌でも自分と向き合えるし、地域によるが田舎の素朴な風景に触れることで気持ちがリセットされる。運がよければ、素敵な出会いがあるかもしれない。

今回、自転車旅行をあまり楽しめなかったのは、曲がりなりにも自分の居場所、自分がやるべき仕事(世間で言う定職のようなもの)を持っていたからだと思う。

そして、今回の自転車旅行でわかったことが色々あった。ある意味で反省点だ。

まずテント。3500円のテントは晴天時以外は快適に過ごせない。雨が降ると水がどんどん染みてくる。これは今後ツーリングをする上で、最も解決しなければならない部分と認識している。

次に自転車と体力。やはり、人間は数ヶ月まともに自転車に乗っていないと、自転車に関連した筋肉が衰える。2キロ程度体重が増えただけで、相当重たく感じる。

最後にストーブ(ガスバーナー)。これはキャンプ生活で非常に便利なものだが、かえってこの便利さがストイックな自転車旅行を定住生活に近い、堕落したものに変えさせるくらいの魔力がある。お茶を飲んだり、ラーメンを作るのに非常に便利だが、なかった方が良かったような気が・・・しないでもないのだ。

またいつか、気持ちの変化や生活の変化があれば、自転車旅行がしたいかなとは思う。

そして最後に記述したいのが成田空港第3ターミナルの出現。帰りはジェットスターを利用したが、LCC専用として最近オープンした第3ターミナルは、私の確立しかかっていたラフスタイル自転車旅行のスタイルを、根本から覆すほどに酷いものであった。

電車乗り場のある第2ターミナルからは屋根があるだけの屋外通路を1Km近く移動しなければならない。これまでが快適だったとは言えないが、自転車やサーフボードなどの大型荷物のある人は、この狭い通路を延々荷物と移動する必要がある。自転車で空港に乗り付ける際も不便になったのは確実で、成田空港を利用して自転車旅行をしようという気持ちを萎えさせるほどのものだ。

第3ターミナルの出来栄えは、日本を代表する国際空港なだけに、日本人として本当にがっかりしたのは紛れもない事実である。

END

Final Stage 真・北海道編 Excellent Hokkaido Native

8日目 夜明け

何度か目を覚ましながら迎えた朝。空はまだ厚い雲に覆われていたが、雨はなんとか止んでいた。買い置きしていたジンギスカンを作り、テントを片付け、自転車に荷物を積載する。

6時頃、キャンプ場を出発する。調理場で寝させて貰ったので、管理人さんが起きているかわからないから、最悪、メモ書きでお礼を伝えようと思ったが、キャンプ場を出る時にプレハブから管理人さんが出てきてくれた。最初の受付の時に対応してくれた方だ。

「炊事場で寝た? なんか可愛そうだからさぁ、テントを移動するように(昨日担当だった同僚に)言ったんだよ~(笑)」

どうもありがとうございます。おかげで大変助かりました。

その後、新札幌駅に向かい、うまくダンボールを探して不要なキャンプ用品などをコンビニから自宅に送った。もう江別に来ることはないし、キャンプすることもない。

某ホテルで無難な朝食バイキングを食べ、この日は街で過ごした。

Final Stage 真・北海道編 Excellent Hokkaido Native

7日目 雷雨

キャンプ場4泊目となるこの日、午前中から江別市内に出かけた。

大都市近郊のベッドタウンという埼玉と同じようなポジションだから、埼玉と同じくらい観光客が少ないと思われる江別にも、色々な魅力があるのではと思った。

私が江別でまず魅力的だと思ったのは、北のたまゆらという440円の温泉である。ここはほとんどスーパー銭湯のようなところで、色々な風呂があり、休憩所があったり、400円台くらいで各種定食を食べることができる。

ここはキャンプ場の受付で「4泊もするなら温泉くらい行った方がいい」みたいなことを言われてリーフレット渡されて知ったのだが、札幌の江別に隣接した地域、厚別区にある森林公園温泉きよらと比較すると、同じ値段なのにとても豪華に思える。たまゆらはボディソープとシャンプーが備え付けだし、ヘアトニックやアフターシェーブローションも備え付けだ。

それらは、きよらにはない。きよらも好きな所で100回くらい行ったことがあるが、たまゆらの前ではとても色あせて見える。エリアが近いから温泉の質もほとんど同じで、真っ黒いタイプ。ドライヤーこそ3分10円のタイプだが、江別のキャンプ場を利用するなら、ここはお世話になった方がいいだろう。

住宅街の外れにあって、江別も五番の目の感じで始めての人は探しづらいだろうが、3番道りだかというところまで行くと、交差点のところにある。最寄り駅から歩くのは大変だが、足がある人は訪れる価値が大アリ。

江別はレンガや陶芸の街としても有名で、そういう博物館があるが定休日で訪れることができなかった。

また、情報図書館という名の図書館(アニメのDVDとかCDが充実している)は、この街の規模にしてはなかなか良い所だ。でも、北広島の図書館の方がガチで良いので、まぁ、普通レベルだ。ラーメン屋は味の時計台がある。

基本的な町並みは、埼玉の高崎線沿線の国道17号線のロードサイドショップ密集地帯みたいな感じに近い。

今回のキャンプではガスコンロを使えるので、料理に熱が入る。ジンギスカンを作ったり、イカを焼いたり、ソーセージをボイルしたりした。

ところが、最終宿泊日のこの日、夕方から天気が悪くなって、なかなか強い雨となった。翌日が平日のため、家族連れとかは皆帰って、宿泊者は私だけ。雷よけの避雷針があるとは言え、雷のときのキャンプは危険とされている。雷に打たれると7割か8割くらいは死亡するという。

18時ころ、テントで食事を終えて、覚悟を決めた。雨に備えてどうやったら浸水せずに夜を明かせるか、ビニール袋や折り畳み傘でテントの浸水しやすい部分を補強したりした。

それでも、3500円の安物テントは地面や、フライシートとインナーが密着すると、内部に水が滴ってくる・・・。高級テントや普通のテントは使ったことがないが、雨が止まない限り、この安物テントで浸水せずに過ごすことは無理だろう。特に寝る時に頭になる部分に小さな物入れの袋があるが、ここから特に水が滴るので、ハサミで物入れのポケットを切り落とした。

腹をくくったあと、外から呼び声がしてくる。

「今日は雨も強いし、雷注意報が出て危険だから、調理場か東屋で寝たらどうですか」的な、管理人さんからのドクターストップが出た。

ありがたいですが大丈夫、と言えばカッコいいと思ったが、私が事故に巻き込まれて迷惑するのは、このキャンプ場を管理している江別市。迷惑はかけたくないと思い、いや、こんな雨の中、キャンプなんかしたくないと思ったのも本当のことで、10往復くらいして、小分けして荷物を運び、キャンプ場の端から調理場にテントを移動した。

キャンパーたるもの、屋根の下にテントを張るなんてみっともない!と0.5秒だけ思ったが、テント内に雨がしたたることもないし、実に快適だった。心底ありがたい気持ちだった。

雨の中、安物テントでキャンプなんてできないことを思い知った。前言撤回するが、これからキャンプツーリングをする方は、お金に余裕があれば、それなりに雨に強いテントを買った方がいいと思う。安物は晴れの日しか使えないから。

深夜も風が強かった。夜が明けたら、キャンプ場を出る。