Part.2 The After (痔アフター) 新潟~東北~函館~札幌

4日目 函館→札幌への鈍行列車の旅は長いゾ

埼玉と東京を合わせた地域を埼京、青森と函館を合わせた地域を青函と呼ぶ。

北海道の人は函館と青森を比較して、「さすが本州だけあって青森の方が函館より都会」と思う場合があるらしい。いや、そんなことはないと思う。景色も人も、函館の方が都会的だ。本州と言っても、首都圏の若い人は北海道に遊びに行ったことがあっても、青森みたいなところに行ったことある人は少ないんじゃないだろうか。

さて、今日は函館本線である。

本州で言えば東海道本線くらい重要な路線だ。なにしろ、函館、札幌、旭川という北海道の3大都市を結んでいる。と言っても、国鉄時代は3大都市を走破する列車があったかもしれないが、今は函館~札幌、札幌~旭川に分割されている。北海道の鉄道ターミナルが函館から札幌に移転しているからだ。

前述の「函館~札幌」を直通する列車は、函館本線だけを走るのではなく、室蘭本線、千歳線などを走る。函館~札幌間のいわゆる函館本線は、ニセコなどの山間部を通り小樽経由で札幌向かうのだ。ガチな函館本線は、非電化単線の箇所も多いし、ローカルな雰囲気だ。

しかし、特急だと3時間程度だけど、その3倍もの時間をかけて、このローカル線を使って札幌に向かう人は意外に多い。帰省客、旅行者で割りと年間通して他のローカル線よりずっと混んでいる。

石北本線の30倍くらい、根室本線の3倍くらいは乗客がいるのではないか。

北海道のローカル線(と言っても本線)としては人気の函館本線だが、この旅の肝は長万部だ。乗り継ぎの良い列車パターンは少なく、乗り継ぎが悪いパターンだと2~3時間くらい空き時間ができる。

長万部での乗り継ぎが良い列車ほど混み合う。18切符や北東パスのシーズンでボックス席が貸切で使えたら、なかなか運が良いだろう。

函館を朝8時に出る。札幌に着くのは夕方4時頃なので、長旅の部類に入る。

このへんの車両は座席配置が微妙で、中央通路挟んで片側が通常の4人ボックスで、もう片方が1席×1席のペアシート(?)になっている。

ボックスシートだけ他人同士でもそれほど違和感がないけど、このペアシートは人によっては微妙に感じるかもしれない。

それでも長旅で立席はきついので、ペアシートでも知らない人同士が相席で座る。

自転車旅行なんかに比べると200倍くらいは出会いがありそうなのが、鉄道旅行、特にローカル線の旅ではないだろうか。

ちなみに、自転車旅行は女性が現状ものすごく少なく、工業高校とか工業大学よりも女性の比率が少ない。ロードバイクブームで自転車をやってる女性は多いはずだが、土日の近場のサイクリングで終わってしまっている。自転車の本当の面白さが、その向こう側あるのにも関わらず。

長万部着。

ペアシートで足を伸ばせないが、海沿いの進行方向側の席を確保できたので、上出来な方の席。

乗り継ぎが最良の列車なので、間髪いれず、長万部駅で待機していた列車に乗り換える。長万部では多少の時間はあるものの、食事用のパンやコーヒーも初めから複数買ってあるので、特にお出かけせず。

長万部から小樽へ向かう列車。また同じタイプの座席構成の列車だが、ペアシートは窮屈でエコノミー症候群になるので、今度は4人掛けを確保。

この区間は世界的(たぶん)なスキーリゾートであるニセコを通るので、外国人旅行者や明らかに道外からの旅行者っぽい人達なども乗り込む。季節運行のリゾート特急を別にすれば、普通列車がメインの交通だからだ。

ニセコ付近に通りかかる。10日ほど前まで札幌は記録的に積雪ゼロだったが、さすがに雪が降ったようで、このあたりはだいぶ札幌に近いが、普通に雪景色だった。

小樽に到着。

小樽からの鉄道網は完全に札幌圏だ。2両編成程度の気動車だったのが長大編成の電車となり、Uシート(グリーン車のようなもの)車両連結の通勤列車が15~30分おきくらいくらいに走る。

電車は30分もしないうちに札幌駅に到着する。

Part.2 The After (痔アフター) 新潟~東北~函館~札幌

3日目 青函トンネルで海を渡って青森→函館へ

昔、急行はまなすは腐るほど乗った。青森と札幌を繋ぐ夜行急行列車だ。気付けば、日本で最後の夜行列車なんだとか。だが、北海道新幹線開業でもう時期、廃止される。

北東パスも10年くらいの間に何度か条件が変わったが、以前は自由席オンリーなら追加料金なしではまなすに乗れた。自由席を確保するために、寒空の中、ホームではまなすを長時間待ったことが何度あっただろか。.

旅行シーズンだと発車の5時間も前から札幌駅のホームに行列が出来たり、ホームでコーヒーを沸かしたりする人も出たりしたことから、JRが問題視したのだろう。やがて北東パスの条件が変わって、自由席は追加料金必要、指定席は指定券を変えば北東パスでも乗れるようになった。

指定席客が増えたことで、5時間も並ぶ人はほとんどいなくなった。

LCCなんてものがなかった時代では、はまなすに乗る経済的メリットは大きかった。今だったら並ぶ気はしないが、はまなすの廃止は北海道新幹線開業が直接の原因だが、自分がはまなすに乗らなくなったのはLCCによる影響だ。

しかし、はまなすなんてオンボロ車両だし、混み合って相席だったりすると全く楽しくないので、お別れ乗車はしない。はまなす、さようならありがとう。

はまなすに乗らない場合、特急列車と普通列車の乗り継ぎとなる。

青森から蟹田までは普通列車で移動。蟹田は何もなくてホームがヤケに狭い駅だ。ここからは特急しか走っていないため、特例で自由席に乗れる。

北海道新幹線開業後はまた難儀だが、津軽海峡を渡る手段は現在でも特例だらけだ。新青森、青森駅間の移動も条件がややこしい。北東パスの場合、特急券を買えば青森、函館の移動は全編特急にすることもできる。

だが、安上がりだから、普通、特急と乗り継ぐ、面倒な移動をしている輩も多いことは多い。

特急列車に乗るといわゆる普通の旅行をしている人達が多く、貧乏旅行の人も混じるという妙な面子となる。

青函トンネルを通り北海道に渡ると木古内で下車。函館まで乗ってしまうと全額料金が請求されるので、降りないと細かい努力が台無しになる。

そもそも今でそ北海道新幹線などと一部で騒ぎ立てているが、本州から北海道の行き来が青函連絡船だった時代の洞爺丸が起こした大事故のことを考えないとならない。

青函トンネルはもっと以前から構想だけはあったというが、洞爺丸が引き起こした死者千名を越える転覆事故によって、さっさと青函トンネルを作ろうと、国が本気になったという。

洞爺丸の事故は原因が軍国主義だとか色々言われているが、興味があれば下記の本をおすすめする。

さて、もうすぐ北海道新幹線の駅ができる木古内は、ひそかに盛り上がっている。

新幹線の駅があるのに寂れまくっている田舎は全国に沢山あるが、木古内もその中に加わるだけである可能性が高いのだが、それでもルート的に新幹線駅が開業するので、駅中のポスターなどから町が沸いていることが伺える。

特に印象的だったのが、町役場とか町の人が何人も乗っていて、それぞれ「木古内は良い所だから遊びに来てください」的なアピールをしているポスター。

木古内には乗り継ぎの都合で何度か来ているが、元々、木古内に住んでいるとか縁がある人はともかく、新幹線の駅が出来ても、普通の旅行者には99.9%素通りされてしまうのではないだろうか。

岩手県とか青森県とかの東北新幹線の寂れた小さなローカル新幹線駅で、観光客が大勢来ているのは想像できない。

この青森~函館の普通列車、特急列車乗り継ぎの旅は鬼畜で、この何もない木古内とか蟹田の両方またはどちらかで2~3時間程度の待ち時間ができる。

蟹田には何もなくて蟹飯だけあるが、木古内は駅徒歩圏にスーパーやドラッグストアーがある。夏場だとぶらぶらすると比較的楽しいが、冬場は気候が厳しいところなので、出歩くのが大変だろう。

列車の時間になり、函館に向かう。ここから先はキハ40のいわゆる北海道の鉄道旅だ。

北海道仕様のキハ40は暖房は強力。夏場は冷房が付いてなくてツライい場合があるが、冬場は快適なのだ。普通列車の移動需要が多い路線なので、時期によっては混む。車窓は函館に向かって右側が良い。

函館に到着。

港町だが、釧路と違って冬場の函館は気候が厳しい。私が冬場に函館に行くと、寒くて雪深くて猛吹雪の場合が多い。道南と言っても津軽海峡付近の冬場は気候が厳しい。

函館は北海道新幹線で沸いているし、北海道の中でもかなりの観光都市だ。

しかし、吹雪いていてベイエリアまで行くのも一苦労。前が見えないくらいの吹雪で向かうも、函館も他の道内と同じで、韓国人、中国、台湾人が多いようだ。

ベイエリアのレンガの店は、ほとんど土産物ばかりで、あまり良い思い出はない。お土産を買っても鞄にスペースがない。

函館の名物はラッキーピエロのハンバーガーと、ハセガワストアのやきとり弁当。

ホテル近くのローカルデパートの地価にもハセガワストアの売店があったが、夜に買いに行こうとしたらデパートの営業時間より早く閉店していた。ここのデパチカも青森のさくらやのようにデパチカ的ではない。なにしろ惣菜がデイリーヤマザキのカツ丼とか、有り得ないぞ。

仕方ないので、やきそば弁当とセイコーマートのフライドポテトで晩酌。ホテルは窓のない部屋で、断熱能力が高く、今まで一番暖かい。

Part.2 The After (痔アフター) 新潟~東北~函館~札幌

2日目 新潟→秋田→青森への鉄道の旅

2日目の早4時台に新潟駅に向かう。

新潟は本州日本海側の交通の要衝だ。北陸新幹線が出来て情勢は変わるかもしれないが、新潟の始発電車は午前4時台と早い。

残念ながら廃止となってしまったが、以前は新宿発のムーンライトえちごという夜行列車があり、新潟発の始発快速列車に乗れば東京方面から最速で青森まで到達できたのだ。

始発が早いのは健在で、ガチで乗り継げば青森には日が出ているうちに到達できる。

新潟から日本海に沿って来たに向かう列車に乗り込む。

前日の日記のように、新潟は駅前が飲み屋街のため、一晩中飲んでたような若者が多数始発列車に乗り込んでくる。通勤通学の人達と、酔客が交じり合う車両だ。静かに乗りたいので車両を移動する。

この列車は最近新しくなったのだろうか、首都圏のものと見間違うほど綺麗で新しそうな車両だった。

途中、山形県の海側の街、酒田に寄る。乗り換え時間が1時間くらいあるので、全日食のスーパーに行く。

余計なお世話だが、酒田は駅前には何もない。駅の中に売店はあるが、乗り換え時間に街で買い物できる場所は、徒歩15分くらいの全日食だけだ。運がよければ惣菜やデザートなどを安く買える。

酒田から秋田は長時間の旅だが、ロングシート車両。東北地方の太平洋側ではロングシートが当たり前だから、我慢するしかない。少しでも快適に座れるように、端っこの席を確保しよう。ロングシートで快適に過ごすというのは、かなり限界があるが。

車両が概して空いているが、盛岡のそれと近く、秋田に近づくと立ち客が出るくらい混む。

秋田は秋田新幹線というものがあるけど、お金も時間もかかり東京方面からアクセスが悪い。しかし、アクセスの悪さを考えても、秋田には独特の良さがある。

駅東側に直結の施設ではテーブルでWifiが使える。ネットカフェもある。夏はB級グルメ大会などか行われる。

秋田駅の西側にはショッピングセンターが直結している。地下にフードコートがあり、ここのたこ焼きは大粒でトロっとしていて、大阪で食べるたこ焼き並みに旨い。他に牛丼がおすすめ。

秋田から再び列車に乗り、青森を目指す。

最初は秋田に宿泊することも考えたが、交通の要衝である新潟や青森に比べると、秋田のビジネスホテルの相場は高い。駅から徒歩20分のホテルでさえ税込4.000円くらいしてしまうと、駅近で3,000円以下のホテルがゴロゴロな青森に惹かれてしまう。

交通網的に新潟や青森に比べると、秋田は移動の都合で何となく来る人よりも、秋田に明確な目的があって来る人が多い気がするから、ホテルは強きの価格設定なのだろう。

秋田から青森の移動は、青春18きっぷや北東パスでも指定席料金追加で乗れる五能線のリゾート列車という選択もある。

景色が良いことを売りにした列車だが、元々遠回りなルートのうえ、わざとゆっくり走ったりするので、なるべくさっさと移動したい人には向かない。快速列車だが早く着かない。

弘前で乗り換えて午後6時ころに青森に着く。

札幌は積雪ゼロだったが、青森はしっかり雪が積もっていた。街も雪が舞っていて寒い。雪国出身の自分が言うのもあれだが、やっぱり雪国の暮らしというのは大変だと思った。

青森駅前はアーケード街になっている。徒歩3分くらいのところの交差点に市役所や図書館が入った大きなビルがあり、青森では渋谷的なおしゃれビルとなっている。

だが、ここの100円ショップはちょっとせこい。

青森駅前にめぼしい食べ物屋を知らないので、ホテルにチェックインしてから食べようとカップ麺を買おうとしたのだが、ここは割り箸の配布をしていないのだ。業務用の割り箸だったら大したコストじゃないのに、「当店はカップ麺を買っても割り箸の配布はしていません」とわざわざ書いてある。

私は旅行中はこういう時のためにバッグに割り箸の1膳や2膳を忍ばせていることが通常多いのだが、この時だけは切らしており、あーやられたなー、と思った。

普段100円ショップでカップ麺を買わないから、全国的にはどうなんだろうな。ダイソーとか大手はどうなんだろう。いずれにしても旅行中は割り箸くらい持ってた方がいい。

上記のため、カップ麺作戦はやめて、近隣の「さくらや」のデパチカに行く。

さくらやは仙台など東北地方に展開するデパートだが、青森のさくらやのデパチカはまるでデパチカ感がない。都市部のおしゃれスーパーとかの方がよっぽどデパチカ感がある。

100円ショップで少しイラっとしたので、反動でか、少し予算が上がってしまった。この味噌と牛乳とカレー味のラーメンは青森名物で、実際にそういう味のラーメンを出すラーメン屋もあるが、味は他の地域に普及しない現状から想像してくれればと思う。味噌系好きだが、これは何回食べても美味しく感じない。

青森のホテルにチェックイン。

ここも3,000円でお釣りが来るくらいだが、シティホテル的なビジネスホテル。冬場はホテルが安くていい。雪深いし寒くて、街の散策など出来たものではないが。ここも暖房が少し寒い。