私は成田空港の第3ターミナルが出来る以前の成田空港が好きだった。北海道や沖縄に安く行けるようになったのは、完全にLCCのおかげ。スカイマークが潰れそうになってミニスカ路線に走ったのもLCC絡み。北海道新幹線が出来ても、安いLCCの方が支持されそうなのは間違いない。
第3ターミナルが出来たのと時を同じくして、ナリタニストという言葉が出来た。成田空港は首都の国際空港の座をアッサリと羽田に譲り、チーバ県および北関東のローカル空港として再出発したのだ。
成田→魅惑の千歳へ☆
出発の日、午前9時30分発のバニラエアJW905便に搭乗するため、成田空港に向かう。
今回はわりと目的がしっかりした旅のため、荷造りとかも完璧なので、最寄り駅から始発電車で向かう。まぁ、アラスカよりも寒いらしい真冬の北海道に行くのだから、当然、厚着ではあるが、しかし、この日の埼玉県、いや関東地方はとても寒かった。
あとで調べると最低気温は0度。早朝はもっと寒かったように思うが、乗換駅である東松戸駅では待ち時間が寒くて凍えそうだった。これからアラスカよりも寒い所に行くのに、関東の段階で凍えているようでどうするのだろう。靴も普通に夏用のスニーカーだし、準備不足だったかもしれない。とても先が不安だ。
エアアジアやジェットスターと行った国内LCCの老舗が運行を始めた3年くらい前から、東松戸駅という、JRと北総線の乗り換えのためだけに存在するように思う駅を利用するになった。
3年位前は東京都心から程近いのに本当に駅付近に何もなかったが、さすがにコンビニとかファーストフードとか、マンションとかビルとかが・・・微増してたように思う。それでも私はあんな殺風景な、人を運ぶためだけの駅みたいなところには住みたくないけど。
成田空港への道のりは自転車でも何往復かしたけども、ほぼ自転車も鉄道と同じルートなため、鉄道ですっ飛ばしていくのは多少自己嫌悪はある。北総線は都営地下鉄への直通とか、色々と物々しいので、都心方面に向かうサラリーマンらは当然多いのだが、意外に成田空港方面に向かう人も多かった。それも旅行者というよりは、通勤的な格好なので、空港で働いている人たちだと思った。
成田空港到着
電車なので難なく成田空港に到着。
朝の通勤時間帯に電車で成田空港に来たのは初めてだが、なんと通勤時間帯は身分証明書の提示をすることなく入れるらしい。朝は空港の職員とかを含め、利用者が多いから省略しているのだろうか。それとも、面倒だからもう辞めたのだろうか。
バニラエアは第3ターミナルなのだが、貧乏第3ターミナルには電車が乗り入れないので、最寄の第2ターミナルから歩く。その距離はなんとチェックインカウンターまで徒歩20~25分。これはバニラエア公式サイトでの説明だが、実際、普通に歩くとそのくらいかかる。チェックインカウンターは30分前に締め切りになるので、列車みたいに駆け込み乗車はできない。
LCCの場合は自分の都合(電車の遅延を含む)で乗り遅れた場合は、料金も返ってこないし、次の便に振り替えたりとかもなくて一切救済されないから、空港にはなるだけ早くたどり着くのが安全だ。
今、北海道ではもうすぐ北海道新幹線が函館まで開通するということで盛り上がっている(多分)のだが、LCCと所要時間を比較してみよう。
■北海道新幹線(全線開業時)
東京駅~札幌駅(3時間59分=239分を目指しているらしい)
■LCC
東京駅~成田空港(60分くらい)+第3ターミナルへの移動(25分)+カウンター締め切り(30分)+飛行時間+a(100分)+新千歳空港~札幌駅(ホームまでの徒歩移動60分くらい)=275分以上
羽田の場合はもうちょっとマシだが、成田のLCCだったら北海道新幹線の余裕勝ちか。
成田空港第3ターミナル
前回の自転車旅行の帰りに1度利用したが、あの時は写真を撮る気力が残っていなかったので、改めて紹介する。
これは第2ターミナルから第3ターミナルへ移動する経路。時間ぎりぎりの人はキャリーケースやカートありで猛ダッシュする。だから、デザインが陸上競技のレーンみたいなか・・・。千葉県の人のセンスはよくわからないが、距離が長いので途中に休憩所や自販機が設けられている。風除け程度の半端な壁のようなものと、天井のようなものは一応あるが、実用性も微妙だし、高級感は微塵も感じさせない。
所々、ナリタニスト(成田空港を利用する人のこと)がどうのこうのというポスターが掲げられている。札幌の地下鉄東豊線にも似たような標語みたいなのがあった気がするが、それを参考のしたのだろうか。
最近、地方の空港は宮崎ブーゲンビリア空港みたいにセンスが微妙な所が増えてきているが、成田空港もその方向に向かいつつある。
成田空港は羽田空港が国際化したせいで、元々の『東京の国際空港』というアイデンティティを無くし、千葉県や北関東の地方空港として再出発しようとしているのだろう。
外観。安っぽい建材で作ると安っぽくなるという見本のような。世界には建築デザイン的な価値のある空港も沢山あるので、地方空港だからと言って、安っぽいだけの国際空港はどうかと思うけど。
チェックインカウンターなどのフロア。
イオンとかのフードコートみたいな、街中のスーパーとかでよく見る感じのフードコートがあった。土産物屋などが入居。
バニラエア搭乗
バニラエアはジェットスターと同じ要領で、WEBチェックインして航空券を印刷しておけば、預ける荷物がない場合はそのまま保安検査、搭乗となる。ジェットスターと違って、WEBチェックイン時に無料では座席の選択はできず、自動的に割り振られる。それでも窓際とかが優先されるようなプログラムなのか、窓際が割り当てられた。
バニラエアは2012年8月からエアアジアとして就航していた会社だが、1年2ヶ月後に一旦運行停止。元々は全日空とマレーシアのエアアジア社が共同出資していたが、エアアジアと決裂して全日空単独で運営しているのが、今現存しているバニラエアである。
ちなみに、その後エアアジアはエアアジアで、日本国内路線に中部国際空港を拠点に再参入するそうだし、成田~海外への路線も存在するからややこしい。
全日空とエアアジアが決裂した原因がそれぞれの国の文化の違いだとしているが、バニラエアに機内やスタッフはエアアジア時代の面影は全くない。むしろ正反対。
エアアジアは制服は真っ赤でミニスカートとキツめのメイクと派手派手だった。しかし、バニラエアは北朝鮮の航空会社かと思うくらいで、エアアジアと比べると、本当に地味でメイクとか制服とかも田舎の中学校くらいの感じだ。
ただ、機内誌だけは異様な雰囲気を放っている。イメージキャラクターなのか、スポンジだと言うが、アメリカの漫画キャラみたいな、チーズケーキ風の怪物みたいなキャラが異彩を放っている・・・。日本らしさや、全日空が言うリゾートっぽさはどこにも感じない。
元スカイマークの常連としては、現状スカイマークが現存してるのかどうかもわからないくらいボロボロっぽいのは残念なことだが、全盛期の頃のスカイマークの機内誌はかなりしっかりした作りだったのだ。就航路線のレポートとか旅のエッセイ、スタッフのインタビューなど、スカイマークの機内誌の方が、バニラエアの何倍もリゾートっぽさがあった。
今思えば、スカイマークをミニスカ路線に走らせるくらいにまでボロボロにした張本人が、エアアジア(バニラエア)とかジェットスターなのだから、皮肉なものである。
機内で飴とかお菓子を配ってた頃の全盛期のスカイマークは『海外に路線を広げたい』などと機内誌とかで言っていたので、現存してるのかどうかもわからない今となっては、本当に、運命というのは外部的要因でいくらでもめちゃくちゃになってしまう・・・というのを思い知らされている気がする。