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「一筆書き」の片道乗車券で北東パスや18きっぷ未発売期間の北海道での鉄道旅行を乗り切る方法

北海道のローカル線の新顔DECMO

旅行は計画中が一番楽しいってことで、北海道&東日本パスや18きっぷが発売されない期間の北海道における格安な鉄道旅行について考えてみるコーナー。

「一筆書き」とはなんぞやという話

鉄道好きには知られていると思うが、鉄道における一筆書きとは、同じ駅からどこかを経由して片道乗車券で同じ駅に帰ってくるルートである。

あくまで片道乗車券なので、同じ場所は通れないから一筆書きである必要性が生まれる。

首都圏発のルートで言えば、例えば大宮駅から東北本線や東北新幹線を使って青森方面に向かい、日本海側を通って秋田や新潟を経由して再び大宮駅に帰ってくるような「片道乗車券」が該当する。

“その手の旅行”を指南しているようなサイトでは、主要都市を発着とした多数のモデルルートが掲載していることだろう。

フリー切符と違って、どこかの街を拠点にして行ったり来たりするような旅行はできないという考慮事項がある。

実は「一筆書き」で北東パスと同じくらい安く鉄道旅行ができる

なぜ往復乗車券などではなくて、一筆書きの片道乗車券なのかというと、この方がだいぶ運賃が安くなる場合があるからである。

北東パスの値段は前回の2025年春季で言えば7日間連続で11,330円だ。

北海道内で北東パスを使った個人的なモデルルートとしては、新千歳空港から帯広、釧路、網走を経由して札幌に戻ってきて、新千歳空港から羽田とか成田とか道外の空港に戻るパターン。

これと同じような旅行を一筆書きの片道乗車券でやると運賃がいくらになるかというと、13,000円ちょっとで可能。

800Km以上だから6日間有効の片道乗車券が誕生するのだ。

細かく言うと新千歳空港~南千歳の間は一筆書きにできないから別途乗車券が必要。歩ける距離ではあるから歩いてもいいし、土日祝日限定だが南千歳のアウトレットモール「レラ」行きの無料シャトルバスがあれば乗ればタダで移動できる。

広大な北海道を旅するにはJRの運賃が高くて北東パスがない時期はどうにもならないかというと、一筆書きを使えば絶望するほどでもないということがわかるだろう。

往復割引はダメなのかという話

JRの往復割引は片道の営業キロが601キロ以上あれば、「ゆき」、「かえり」の運賃がそれぞれ1割引になるというもの。

だが、札幌から釧路は片道7,150円で348.5kmだから対象外だし、札幌から網走は片道7,700円で374.5kmだから、どっちも往復割引には届かない。

ちょこまか戻れないという不便はあるけれど、一筆書きの方がだいぶ安いということがわかる。

北東パスや18きっぷにはないメリット

普通乗車券だから状況や気分に応じて特急に乗れる。

石北本線は快速や特別快速が充実するという、思いもよらない進化を遂げたが、石勝線や根室本線は状況によっては特急を通しで乗った方がよい場合も多いと思う。

一筆書きルートには採用できないと思うが、今日日、函館方面は普通列車が壊滅的に少ないので特急に乗る必要が出てくるかもしれない。

新千歳~旭川空港の半一筆書きっぽい切符も有用

新千歳空港発で釧路や網走を経由して、旭川空港の最寄り駅である千代ヶ岡駅を着にする切符も有用だと思う。

このルートは12,120円で5日間有効な切符となる。

一筆書きの乗車券を買う方法

絶滅危惧種のみどりの窓口で買うのが基本。

ルートが複雑だから紙に書いて渡すとかの方が楽チンだと思う。

北海道内の駅は札幌や旭川、釧路などの大きいターミナル以外は話せる券売機が主流なので、道外在住の場合は北海道に行く前の余裕のある時に予め買っておくのがよいだろう。

ただ、普通乗車券のみの場合は購入日が利用開始日となるので、どこでいつ買うのかは計画を立てておいた方がいいだろう。特急券と組み合わせる場合は開始日を選べるようだ。

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【備忘録】人生で2度目の網走監獄に雪が舞う中、網走駅から歩いて行ってきたぞ

備忘録と書いているのは、なんと恐ろしいことに俺は網走監獄に初めて訪れるつもりでウキウキしながら行ったというのに、なんかデジャヴというか既視感があるな~とか思って、昔の写真フォルダを確認したら、やっぱり5年前に行ったことがあるという、脳の劣化対策のためである。

ちなみに、網走監獄というのは普通の一般観光客が見学できる博物館施設であり、矯正施設として稼働している網走刑務所とは別物である。

網走駅から網走監獄への道のり

冬の網走川の光景

網走駅を出て左に向かい、網走川や石北本線の線路沿いに左折、途中に看板らしきものが出てきたら、車道をヨイショと渡って山道の方に入っていく。

網走川に浮かぶ白鳥たち

この網走川には白鳥がたくさん浮かんでいる。

よくある白鳥のイメージとは違って優雅に過ごしているわけではなく、網走の白鳥さんたちは全員で長い首を水中に突っ込んでいるのが印象的だった。

とにかく長い首を全力で突っ込む

体の大きい鳥だし、冬場も栄養を取らないと越せないのだろうと思うけど、見た感じ、魚が泳いでいるようには思えないし、首を突っ込むことで食事事情が解決できるのかなと思った。

白鳥は水草とか昆虫を食べているらしいけど、こんなクソ寒い時期に水草とか昆虫なんて見つかるんだろうか。

魚みたいに微生物をかすめ取って栄養補給ってわけでもないだろうし、人間に限らず、生きていくのは大変なことだと改めて思ったりした。

このへんは観光施設が集まるエリア。徒歩移動だとそれぞれは遠いが

このへんは網走監獄に加え、いくつかの観光施設がある。

網走は戦後の昭和時代から観光に力を入れている都市だというのを今さらながらに知ったが、同じオホーツク地方の街でも、外人の観光客なんて年間5人未満しか来ない所もあれば、網走みたいに観光バスで中国人が大量に押し寄せる場所もあったりと様々。

網走監獄に到着

網走監獄のゲート。料金所とかはもっと奥で単なるゲート

ジャンジャジャーン♪ 網走監獄のゲートに到着。

この時点では初めて来たとまだウキウキしていたんだけどね。5年前だし、そんなに大昔じゃないのに何で覚えていないのか不思議。

駐車場を横切ったり橋を渡るとチケット売り場がある。どこぞのテーマパークとかと同じような感じ。

入場料は大人1,500円と、めちゃんこ高い!

訪れた時点では割引クーポンなども存在せず、ハードボイルドな価格設定にドスも凍るぜ(高倉健)。

どこぞのテーマパークとかに比べたら安いし、維持、管理費などを考えたら、この値段になるのかもしれない。

でも、教育や文化的な施設であると考えると、正直、めちゃんこ高いと思う。遠くからわざわざ来て初めて入館するならまだしも、2回目のデジャヴだしね(苦笑)。

いきなり、入り口近くには刑務所と同じメニューが食べられる(本当?)ことがウリの食堂がある。来た瞬間にいきなり飯食うか? って感じだけど。

遠目から見たら営業してる雰囲気が皆無だったけど、近づいたら営業しているふうだった。もちろん、食事は別料金でチケット代には含まれていない。味は食べていないから知らないが、定食は1千円くらいが目安。

網走監獄のマップ。

屋外型テーマパークみたいなもので、メインの建物は3つか4つくらいしかないものの、小屋とか細かい施設が点在している。

RPGだと後半に訪れる重要な街や、中盤で拠点になる王国とかと同じくらいに広い。

ここは雑居房や独居房が沢山ある場所で、最もメインとなる観光施設。この段階で既視感を覚えた。

通路が広くて観光客も多めなのだけど、関西弁を喋るグループがいたせいで、終始落ち着いて見学できなかった。

なぜ関西弁を喋るグループはあんなに鬱陶しいのだろうか・・・。この手の施設は見て回る順番は大体みんな似たり寄ったりになるけれど、行く先、行く先に常に関西人のグループがいて、かなり鬱陶しかった。

聞いた話では、関西人は普通の会話でもボケとツッコミが役割分担されているらしく、会話には必ずオチが必要なのだという。オチがない会話は関西では許されないとも聞く。

だから、6人くらいのグループだと、ボケが3人、ツッコミが3人とかで、関西人以外からしたらコントや漫才のような会話が繰り広げられるため、その理屈が正しいとしたら、鬱陶しくなるのも当然かもしれない。

中国人グループも鬱陶しいけど、基本的に中国人は声が大きいだけで内容がわからないからまだいいけれど、関西人の場合は声が大きい上にコントが繰り広げられているから、余計に鬱陶しく思うのかもしれない。

静かに見学したい人もいるし、博物館などの施設においては、静かに見学したい人が大半だと思うから、ボケとツッコミが重視される文化的背景は尊重するとしても、マナーや教養の問題とも言えるかもしれない。デ〇ズニーランドやU〇Jとは違うよね、という話である。

雑居房の様子。場所によっては蝋人形が配置されている。

既視感ありまくりな浴室の光景。水族館とか動物園と違って、リピートするような施設じゃない気がした。

5年前に来たことを忘れてもう1回来る脳みそが劣化した人間を別にすれば、通常はリピートが期待できないために、内容の割に入場料が高めなのかもと思うと納得したりもする。年間パスポートとかも確かなかったしね。

網走監獄のベストシーズンは冬

北朝鮮の脱北者のようにも見えるが、ただの観光客である

網走監獄に来るベストシーズンは冬のような気がする。

網走は北海道の中でも特に冬の気候が厳しい所だし、ぽかぽか穏やかな気候の時よりも、より網走らしい過酷な環境を体験できるからである。頭がイカれていない正常な一般人が、金を払ってまで過酷な体験をしたいと思うかどうかは別問題だけど。

網走は映画『網走番外地』や高倉健を推奨している割に、網走監獄については高倉健のポスターを見かけなかった。

出口付近には土産物屋がある。監獄内にも1か所あったが、こちらの方が規模は大きい。

別記事でニポポ人形に言及したが、ここにはニポポ人形はありそうでなかった。

在庫次第で置いてあるかどうかは不明だけど、土産物商社のの営業マンっぽい人が店員と商品ラインナップなどの営業戦略を練っていたので、アグレッシブに取扱商品を変えている店なのかもしれない。

網走の土産物屋はいつも同じ商品を扱っているわけではなくて、定番の菓子類などを別にすれば、キーホルダーとかグッズ系は半年くらいで結構入れ替わっているみたい。肌感覚だけど。

網走監獄を2回も訪れた感想

全体の感想としては、資料館的な屋内展示物は5年前と変わっている部分もあると思うけど、来たことを忘れていなければ2回も来なくていい施設だなと思った。入場料が高いしね。

また、欧米人の観光客たちが除雪機で通路の除雪をしている作業員をじぃーっと観察していた。もちろんアトラクションとか展示物ではないけど、雪の降らない地域の人からしたら珍しい光景なのだろう。

それとも、そんなに展示物がつまらなかったのかな。

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【2025年春】新幹線とフェリーで旅する北海道7泊8日の周遊夢日記 -後篇-

3分割でお届けする『【2025年春季】新幹線とフェリーで旅する北海道7泊8日の周遊夢日記』の3つ目にあたる後篇。

・序章
・前篇
・後篇 (←今見ているページ)

5日目 釧路→網走→遠軽→旭川、復路の旅

釧路駅ホームの湿原の鐘。釧路は旅の終わりの場所であり、始まりの場所でもある。

こういう周遊旅行だと、どこまでが往路でどこからが復路かわからないと思われるかもしれないけど、今日からは復路、つまり折り返し地点になる。

北東パスの7日の使用期間を有効活用するには、旅行5日目(北東パスで言うと4日目)にあたる今日から折り返すのがよいという判断であった。もし北東パスがもう1日分多かったら、釧路に2泊滞在して根室にも行くのだけど、スケジュールに余裕がない場合は省略する形をとることが多い。

往路については列車に乗る2時間前まで経路は悩んでいた。元来た経路で謎の流氷をもう一度見ながら戻るか、石勝線経由で一回りして戻るかである。

帯広経由で石勝線で特急特例を使いつつ札幌方面に向かうと、移動時間としては最短になる。5時半くらいの釧路発の普通列車に乗ると、面倒な特急乗り継ぎを我慢すれば、なんと15時くらいには札幌に着けるという。

このルートは急行はまなすがあった時代には何度か使ったことがあるけれど、その頃は新得~親友張りの特急特例区間は特急の自由席が使えたものの、今のは指定席しかなくなった関係で指定席の空席を利用する方式になっている。あのへんは外人観光客で乗降が多そうだから、気分的に面倒になったと思う。

札幌に早く着いたら着いたでやることを考えないとならないし、どっちみちフェリーは明後日なので、あと1泊を北海道のどこか、正確にいうと小樽のフェリーターミナルに余裕を持って15時くらいまでに辿り着ける場所で1泊しないとならない。

それだったら、もう今シーズンは見られないだろうから流氷を見つつ、網走経由で帰った方が楽しいのではと思った。ただ、この場合は現在のダイヤでは遠軽での乗り継ぎ時間が1時間の買い出しレベルしかないし、札幌まで戻るのはしんどいため、バリエーションを付けるためにも、近年は素通り連発の旭川で宿泊するのも楽しいのではないかと思った。

同じくらいの費用感や苦痛があるなら、楽しそうな方を選ぶというのが最近のモットー。人生全般において、すごく大事な気がする。

ちなみに、新日本海フェリーは予約購入済みだが、1回だけなら予約の変更ができるという認識だったものの、よくよく調べると乗船3日以内に入ると変更できないようだった。延泊することも考えたけど、変更ができなかったので当初の予定通りに明後日の便に乗船できるように復路を考えないとならない。

釧網本線の復路ではミステリーアイスこと流氷が間近に迫っていた

流氷というのは日によって漂っている場所が違うものらしい。

網走から南下した時よりも、知床らへんではより多くの流氷らしきものを見ることができた。この時期に釧網本線に乗っている旅行者、特に網走から知床斜里あたりの旅行者は流氷目的であることが多いようで、車両の各所でスマホの疑似的なシャッター音が鳴り響く。

ちゃんとしたカメラの方が撮影しやすいと思うし、機種にもよるけど画質が安定するから、多くの人がスマホ撮影な現状は悲しいと思うけれど、旅行用の小さくて使い勝手が良くて安いデジカメが商品ラインナップ的に壊滅状態にあるのはもっと悲しい。

私にしたって、数か月前に買ったEOS Mの個人的な意味での2代目が故障したら、さすがに次使うカメラを選ぶのが難しくなると思うし。

そんなことを思いつつ、身近すぎて気にしたことのなかった流氷というものに関心を持ったのであった。身近すぎるあまり、気に留めることができないものというのは日常において多いのではないだろうか。

遠軽で乗り換えて旭川へ

遠軽13:41発の旭川行きの普通列車は、昔からそうだったと思うけど、上川で1時間ほどの運転停車がある。荷物を持って一旦外に出る人もいれば、1時間待っている人もいるけども、席の都合があるから1時間停車されても気軽には出歩けない。

キハ40からDECMOになって、性能アップにより石北本線の普通列車の所要時間が少し短くなった気がするし、2025年3月15日だかのJR北海道のダイヤ改正でオホーツク方面のアクセスがよくなるのかわからないけど、アクセス事情は結構変わるっぽい。

快速きたみが網走まで運転したり、特急大雪の運用が変わったりすると駅のチラシでチラっと見た。この変化が吉と出るのか凶と出るのかはわからない。札幌近辺の快速エアポートからして、特別快速とか走ってて首都圏みたいに停車駅のパターンが以前より複雑になっているから少しびっくりしたし。

旭川駅前に広がる買物公園。ショッピングに普通の飲食や居酒屋、ホテルなど、旭川は札幌をコンパクトにしたような作りの街。鉄道旅においては駅を降りたらすぐにコンパクトな領域に主要な施設があるから、実は利便性は高いのでは。たまに駅前っぽく見えても結構違うエリアもホテルもあるから、マップで確認して予約した方がいいと思うけど。

北海道内の札幌を除く主要都市では、釧路が中心部へのイオン進出を拒んだばかりに廃墟ビルだらけになったのとは対称的に、旭川は駅直結のビルがイオンモールという暴挙に出たけれど、結果的には駅周辺の賑わいが保たれている。札幌からのアクセスがいいのと、イオンに乗っかったことでコバンザメ的な恩恵を受けている。

この日は連日の氷点下を行ったり来たりする低温と、旅の疲れで体調があまりよくないので、少しばかりよい値段の朝食付きホテルを列車で移動しながら予約した。旭川で有名なサンロク街と呼ばれる居酒屋街(たぶん)の近くにあるシティホテル・・・と思いきや、クチコミを読むと元ラブホテルなのだという。

シティホテルがいくら当日ディスカウントでも朝食付き5千円は安いものね。でも、沖縄で北谷の某タワーホテルが朝食付き5千円で当日予約できたことがあるから、判断ができない場合もあるのだ。

愚痴をいっぱい書くことになるのかと思いつつ現地に行くと、確かに元ラブホテルだけどBBHチェーンだし、夜食でセルフサービスでお茶漬けが食べられるし、至って普通によい所だった。元ラブホテルなので浴室などの設備や部屋の広さ、防音対策や空調なんかも不満は全くなかった。

6日目 あっという間にやってきた北海道最後の日

朝食バイキングもBBHチェーンのは微妙なところもあるけど、ここは普通にかなり美味しかったでござる。炊き立てのご飯とか、普通にご飯が食べられるのは幸せだと思う。

開始時間が6時30分なのも嬉しい。鉄道旅だと、この30分の差で朝食を取れるかどうかが変わってくる場合がある。

今日は旭川からフェリーターミナルのある小樽築港まで15時くらいまでに移動すればよいだけなので楽チン。ちなみにダイヤはかなり調べたけど、旭川より遠いと普通列車では間に合わないけど、旭川だと全然余裕なのだ。

釧路に行った時に本当は旧パコの日帰り温泉に行こうとしたけれど、ネットの情報より値上げしていて700円くらいだったのが1千円になっていたので入浴を断念したため、札幌では懐かしの場所で日帰り温泉に入ろうと思った。

8時台に旭川から岩見沢行きの普通列車に乗って、さらに札幌方面の普通列車に乗り継いだ。首都圏だったらこの時間帯はコミッコミもいい所だけど、旭川近辺の普通列車は通勤や通学でほとんど使われていないためか、乗っている人が数人くらいしかいなかった。公共交通の通勤通学ははバスが主流なんだろうか。

向かった先は20年以上前から結構行っている厚別にある「森林公園温泉きよら」である。ちょうど開館時間の少し前位に列車が森林公園駅に到着するし、ここに来るのも5~6年ぶりくらいなのかな。少なくともコロナ以降に来たのは初めて。

温泉というけど公衆浴場扱いで銭湯料金の500円で入れる。しかも、以前はシャンプーとかボディソープなどを持ち込みしないといけなかったけど、今は備え付けられているという素晴らしい変化があった。タオルだけ持っていけば大丈夫なのだ。

早めに小樽に着きたいし、新札幌駅まで少し歩くから、あんまり長居できなかったけれど、露天風呂は地元の高齢者の常連で結構コミッコミだった。家の近所にこういう施設があればいいんだけどね。

小樽築港駅の近くにある田中酒造を見学

13時前頃にフェリーターミナル最寄りの小樽築港駅に着いたが、今回の旅のメインディッシュ(?)となるフェリーは17時に小樽を出港する。

最初は小樽築港のイオンとかの商業施設とフェリーターミナルで時間を潰すのもいいかと思ったものの、それはそれでせっかくの機会なのに時間の使い方が勿体ない。何か付近に観光できるものはないかと思っていたら、去年新潟で手に入れて出発前に読んだ新日本海フェリーが出している夢旅人という船内誌で紹介されていた田中酒造という小樽の地酒メーカーの見学ができるみたいだった。

公式サイトを見てみると特に見学の事前予約などもなくて、行けばいい感じのようだった。酒蔵見学と言えば試飲が付きものだけど、健康上の理由で酒を断っている身としては試飲はしたくないものの、「お酒が飲めない方のために甘酒を用意」しているらしい。これは行くしかない。

イオンが入っているウイングベイ小樽を突っ切って少し歩くと、田中酒造の亀甲蔵が見えてきた。

ただ、問題点としては大きな観光バスが停まっている。個人旅行者からしたら団体観光客ほど物理的、精神的に鬱陶しいものはない。嫌だなぁと思いつつ近づいていくと、どうやら団体はちょうど撤退するところらしかった。例によって、中国か韓国の団体のようだった。

中に入ると1階が店舗で2Fが見学ブースのようだった。特に見学の受付などもなくて、自由というか、勝手に見ていく方式。

去年行った新潟の某酒蔵は説明員が常に引率して、個人行動や自由を認めない方式だったので、この勝手に見て回る方式でセキャリティや衛生面などに問題が出ないのかと少し不安になった。一応、クリティカルな所は立ち入り禁止となっているけれど、食品を製造している場所だけに、消毒とか服装とか、衛生管理を何もしていない通りすがりの観光客を自由に歩き回らせていいものなのかなと疑問に思った。

見学中はほとんど機材とか見ているだけで解説パネルみたいのはあまりないから正直、詳しくはわからない。新潟では素人には理解できないほどの難しい専門用語を1時間くらいまくし立てて解説してくれたから、かなり温度感が違う。まぁ、細かく説明されてもわからないし、どうせ個人で日本酒は造れないからね。

たまに酒の雑学クイズみたいなパネルはある。甘酒って飲む点滴なんだって。あれ~、点滴はスポーツドリンクと同じって聞いて今まで生きてきたんだけど。甘酒とスポーツドリンクの成分は同じってこと?

見学が終わって1Fに戻って甘酒の試飲をしようかなと思ったら、甘酒っぽいラインナップがない。

これはどういうことだと思い、暇そう(見た目)にしているスタッフに甘酒の試飲ができるか聞いてみると、「甘酒の試飲はやっていない」という。あれ~、公式サイトにドライバーとか酒が飲めない人向けに甘酒を用意しているって書いてあったじゃんか。じゃあ、せめて何かノンアルコールの飲み物はないかと聞くと、酒を飲んだ後の口直しで飲むような水しかないという。

これにはかなりがっかりした。新日本海フェリーの冊子に紹介されていた感じとはスタッフの雰囲気が違うし、これだから小樽の観光施設は嫌だと思った。んもう。歴史と伝統を大切にしているような街や施設は私には合わない。京都とかも全然合わないし。

憧れの新日本海フェリーの小樽ターミナルへ

田中酒造を後にした私はフェリーターミナルへと向かう。

妙にトラックだらけの場所を通るのは、雪が舞ったりして寒いからスマホで地図を細かく確認しなかったからだろう。小樽築港駅から直行すれば、もう少しまともな道で行けたような気がする。右のフランスのラ・デファンスみたいなコの字型のは小樽のターミナル。20年以上前にも一度降り立ったことがあるけど、さすがに当時の記憶はないわ。

フェリーターミナルの中はこんな感じ。1Fが受付で2Fが待合スペースと売店、レストランなど。時間になったら船の乗り場に続く3Fへと案内される。売店は飲食物も一応売っているけど、やきそば弁当300円とかべらぼうに高い。全然まだ地ベタなんだけど・・・。これは素直に、ここに来る前に飲食物はイオンで全部買った方がいいね。

ネットで予約していればスマホに乗船券をそのまま表示できるので、人間だけの場合は特に手続きが不要となっていた。ただ、記念にもなるし、紙の方がスマホ不調時などには安心だから紙で貰った。30秒でちゃちゃっと紙の乗船券を発行して貰えた。

夏の繁忙期はどうだか知らないけど、手続きもあんまり並ばないし、のほほんとした雰囲気。空港とか大きい駅とかに比べて、ビジネスマンとか、普通の2泊3日とかのせっかちな旅行者がいないのも特徴的で、落ち着いた旅慣れたふうの人たちが多かった。小さい子供を連れた家族連れとかも見なかった気がする。あとは車を輸送するのか制服を着た自衛官の人たちがいた。

事前に大体把握していたけれど、船の中での夕食メニューが張り出されていた。クルージングディナー(合ってる?)ほど、楽しみ過ぎるものはないでごわす!!

だけど、おすすめメニューの縞ホッケ定食が1600円って高すぎはしないか? ホッケ以外にはライスと味噌汁と漬物しかないし、もはや宇宙船価格ではないか。ホッケは家の近所のイオンだと2匹で298円とかだし高すぎるわい。

ジンギスカン定食2000円とか、お刺身定食2000円とかも魅力的だけど、値段が全てを台無しにしている。高いのを見せられて平均的な人は1000円前後のメニューに落ち着くのだろうけど、北海道に旅行に行って3千円とか4千円とかするウニ丼とかを食べる観光客もいるのだから、自分以外の旅行者の頭ん中なんてわかったものではない。高い方が満足感があるってことなのかしらん。

徒歩客の乗船は出航45分前の16時15分から始まった。2階のエスカレーター前で間隔を開けて登らされて、3階でQRコードを携帯端末でピッとやる。なんかピーチ航空みたいな感じで少し安っぽい。そうしたらフェリーターミナルに来た時に見た長ったらしい通路を延々と進んで乗船する。新潟港側は普通だったけど、小樽港側はちょっと設計がアレなのでは。トラックの駐車場を優先したら、フェリーターミナルを作る場所が遠くなっちゃったのだろうか。これの意味はわからんかった。

この船は全席指定というか、1等の個室的な人も2等以下のカプセルルームや半個室的な人も場所が予約時に割り当てられているから、特に急いで乗る要素はないけれど、我先に乗り込む人もいれば、私みたいに最後の方でいいやって人の2タイプがいた。

私が最後の方に乗り込んだ頃には旅慣れている風な人や、高校生くらいの部活の大会で往復した人達ったぽい子らは、すでに半袖半ズボンみたいなラフな格好になってたり、イオンで買ったふうの弁当を食べたりしていた。ドライバーっぽい人とかは真っ先に風呂に直行してたり、それぞれのスタイルで過ごしていた。長距離フェリーあるあるかもしれないけど、常連のドライバー客がインフォメーションの顔見知り女性をナンパしてたりするのも微笑ましい。

この日に乗船した「らべんだあ」は小樽~新潟を16時間で結ぶ。長時間だからインフォメーションや売店、ゲームコーナー、カフェ、レストラン、露天風呂もある大浴場などがある。でもタイタニック(乗ったことはないけど)みたいのを想像していると、エンタメ関係は最低限のものしかない印象。ゲームコーナーとかも3時間くらいの佐渡汽船の方が充実しているくらいな印象。カプセルルーム的な2等客が食事したりはしていたが、まったりする公共スペースとかもそんなにない。

売店やレストランは結構シビアに営業時間が決められていて、オープン開始の放送は流れるけども、時間限定なので注意。航海中はずっとやってるのはタイタニックとか豪華客船の話なのかしらん。豪華客船は乗ったことないけど。

私が向かうのはステートAツインアウトサイドという個室。18,000円。2名定員で繁忙期は貸切料金で2倍になるけど、冬の閑散期は貸し切り料金がかからない。

部屋の中の様子はこんな感じで、動くビジネスホテルというか、下手な安ホテルより設備が良いくらい。ないのはバスタブだけで、シャワーやトイレ、ポットとかドライヤーとか冷蔵庫、暖房能力は低めだけど個別エアコンも完備している。

冬場は貸し切り料金もいらないし、小樽17時発で翌朝9時くらいに新潟に着くという、夜行列車的なベストな時間だし、こんなに良さげだったらもっと注目されて良さそうだけど、混みあっている印象はなかった。JALとかANAの追加料金を払う何とかクラスみたいなシートより、ずっと快適だよ~ん。多少、ゆらゆらと揺れるというのはあるけどね。

さて、お待ちかねのクルージングディナー。繁忙期は混んでいるのかもしれないけど、そこまでは混んでいない。

夕食会場の雰囲気はこんな感じ。一番混みあっている時間帯だけど、こんな感じ。気持ち、トラックドライバー風の人が多いのかな。2等室の人とかはエントランスとかでカップ麺とかイオン弁当を食べているし、混みあってない感じからすると、個室で持ち込みして食べている人も多いと思う。

タブレットオーダー式で、すき家を彷彿とする。便利なようだけど、あまり高級感はない。散々迷った挙句、栃尾の油揚げという600円のアラカルトメニューを発見したので注文。ここでがっちり食べてしまうと、持ち込みのツマミやお菓子などを自宅出発時から持ち歩いていて、いい加減、そろそろ消費しないと自宅に持ち帰るハメになりそうだった。国内の公共交通の旅では、そんなに携帯食を持ち歩く必要はなかったのである。

栃尾の油揚げは以前、新潟のウオロクで買ったものを美味しく食べたけど、ボリュームはあるけどちょっとポソポソしてるかも。出汁で煮込んだやつが美味しいと思うけど、醤油をかけて食べた。

周りを見渡す(と言っても周りにあまり客はいないが)と、他の人は何を食べているのだろうと思ったけど、ラーメンかソバをすすっている音が聞こえていたので、値段が安い麺類を頼む人が多いのかもしれない。2千円の刺身定食とか食ってられないしね。メニューの内容と値段がよくない。トラックドライバーの仲間同士でミニ宴会をやっている人たちもいたけど、結構ゆらゆらするから移動するのは大変。

この船で最もエンタメっぽいのは大浴場。空いている時期だからというのもあるけど、時間帯をうまく調整すればノビノビできるかも。スーパー銭湯的な設備で、強風で決死隊みたいな感じになるけど露天風呂もある。想い出作りに良いと思う。刺青している人がいっぱいいてアレだったけど、平和な雰囲気だった。

飯食って風呂に入ったら、やることもないし、やれることもないから、あとは各自お部屋に帰ってお寝んねするだけ~。

人間っていいな、生きているって素晴らしいな、人間らしいな、と久々に思える瞬間(とき)であった。争いも心配事も不安も何にもない。毎日こうだったらどんなにいいだろう。

7日目~8日目は新潟紀行

朝になったら、あっと言う間に新潟に到着。レストランは朝食営業もやっているけど、値段の割にショボいのでパス(笑)。持ち込みで簡単なものを食べてもいいし、大都会の新潟だし、着いてからブランチも食べてもいいんじゃないかしらん。

出航時は海が荒れているから若干遅れる見込みとか言っていたけど、巻き返してむしろ10分くらい早く着いた。新潟に戻ったらいつもの新潟定番観光だけど、北海道の寒さと疲労で風邪気味みたいな症状なのが辛かった。

18,000円でこんな素敵な船旅が出来るならまた乗りたいけど、北海道帰りだと新潟を観光するモチベーションは結構小さくなる。新潟単独だと良いんだけど、そのへんのバランスを取るのが難しいかもしれない。

夏場の繁忙期は予約を取るのも大変なのは知っているけど、冬場は2名個室の貸し切り料金がいらないから新日本海フェリーは一人旅の人にもオススメ。北東を1日分残して旅程を組めば東京方面までその日のうちに帰ることもできるだろう。

END