
地面と水と空気があれば俺は十分(画像はイメージ)
近年はキャンプブーム。
キャンプを題材にした漫画やアニメが人気になったり、コロナ禍だけどアウトドアだったら比較的安全と思った人も多かったというのが背景にあるだろう。
もっとも、屋外でコロナに感染した私に言わせれば、アウトドアだから安全というのは全くの誤解なのだけど、それまでキャンプに興味がなかったインドア派の人間を中心に初心者キャンパーが急増殖したのは間違いないと言える。
都心からアクセスしやすい“ホテル型キャンプ場”が増えている
キャンプというのは本来は文明社会からはみ出るための試みである。
面倒臭い人や社会とのしがらみや、文明全般から離れ、解放するための時間である。
ところが、近年増えている初心者キャンパーは文明を捨てることをしないのが特徴だ。
ゆとり世代、Z世代、なんたら世代・・・という区分けが世間ではよく使われるけど、人前でこういった区分けをすると間違いなく昭和のオジサン扱いされるから気を付けないとならないものの、現代の初心者キャンパーは文明を捨てないのが特徴だ。
そして、そうした文明を捨てない初心者キャンパーを主要ターゲットにして誕生しているのが、近年多い都心からアクセスしやすいことをウリにしたホテル並みの設備を備えた都市型キャンプ場である。
JR秋葉原駅近くの山手線の高架下だったり、ホントの都心にキャンプ場が出現していたりするのはもちろん、政令指定都市級の街の河川敷なんかにもポツポツとキャンプ場が誕生しているのが近年の傾向だ。
もちろん、その多くはブームの終焉や初心者キャンパーが文明キャンプに飽きたタイミングで閉鎖されるものと思われる。
WiFiにヘアドライヤー、キャンプにそんなもん必要か
初心者キャンパーの受け皿として誕生したホテル仕様のキャンプ場では、電源やWiFiはもちろん、ヘアドライヤーまで用意されている。
ベテランキャンパーであるスタッフのサポートも受けられるので、何をどうしたらいいかわからないという初心者でも安心、というのが売り込み文句だ。
すげえ、至れり尽くせりだ。
これではまるで「おしっこしたいけどどうしたらいいかわからない」と言ってる小さな子供の飼育係ではないか。
もちろん、利用者は子供じゃなくて成人した大の大人である。
ちなみに、料金は1泊5千円前後が相場であり、料金的にもホテルと同じだ。
それでも“キャンプごっこ”という遊びができるのだから、少なくとも数か月程度では廃業しないところをみると、キャンプごっこがしたい初心者からは一定の人気があるようだ。
まずは野宿から始めてみよう
至れり尽くせりが求められているのは、何も初めてキャンプをする初心者からだけではない。
車で乗り付けられるオートキャンプ場の類は大体が電源などの設備が整っているし、グランピングなどという豪華仕様のキャンプもジャンルとして確立されている。
ホームセンターのアウトドアコーナーに行けば、キャンプギアと呼ばれるよりキャンプを充実させるためのグッズが沢山売られているし、キャンプは企業からしたらビジネスであるから、その延長線上にキャンプごっこができるキャンプ場が出来上がるのであろう。そう考えるのが自然だ。
でも、筆者は思う。
ぶっちゃけキャンプは野宿なんだから、野宿らしく質素に過ごせないものかと。
キャンプをする時くらいスマホの電源は落とすべきだし、キャンプギア自慢に花を咲かせるのはやめようぜ、と。
タワマン住まいで犬コミュニレーションをしている富裕層じゃあるまいし、って思ってしまうのだ。
というようなことを、自宅近辺の河川敷に最近出来たキャンプ場が“キャンプごっこ用”のキャンプ場だったことに落胆しつつ、思うがままに綴ってみた。
俺は地面と水と空気(あとできればトイレも)があれば、キャンプ場としては完璧だと思うよ。