自転車旅行

Sixth Stage 沖縄やんばる Special Touring Style

11日目 沖縄本島一周、完走へ

沖縄本島にベースキャンプを確保した私は、沖縄本島一周を完了させることにした。

約半年前に走行した区間を合わせると、本島一周ルートにおいて、まだ走っていない場所は『沖縄市~東村』の区間だけだ。また東村に行くのは億劫に感じたが、完走のためにはやるしかないだろう。

この日の朝、本島一周を目指して出発。まずは沖縄市方面へ向かう。

このあたりは西海岸と東海岸の中間地点くらいで、中部地方の各都市を結ぶ交通の要衝でもある。観光客はほとんどいないが、地元の人達の車が多い。それに目をつけたのか、ライカム交差点のあたりに県内最大規模の新しいイオンができるようだった。何もこんなところにイオンを作らなくても・・・と素人考えでは思うが。

沖縄市に入り、北上していく。途中、作業員の方が集まっている弁当屋を見つけたので、適当な弁当を買う。近所の公園のようなところで食べる。

あまり知られていないが、沖縄本島の国道は場所によるが北海道と同等程度に歩道や路側帯が広くて自転車にとって走りやすい。

但し、車のマナーは北海道よりだいぶ危険。まず、自転車が普段あまり走っていない地域なので、自転車の動きを予測できていないドライバーが多い。自転車がいるなんて思わず左折したり、自転車の方が停まってくれるだろう、よけてくれるだろう・・・というような状況に何度か遭遇した。あと、これは北海道の田舎と同じだが、歩道=駐車場という思想の人が多い。

弁当を食べ終わり、さらに北上していくと、途中雨がパラついてきた。今日は失敗だったかな、と思ったが、少ししたら雨は止んで晴れてきた。

金武町に入る。金武町に来るのは初めてだった。でかければいいというものでもないが、この街は巨大タコライスの世界一の記録を持っているという。金武町を過ぎると西海岸とそれほど変わらない、綺麗な東海岸の海を右手に走ることになる。沖縄本島を北に向かって走っているのに、海が右手にあるっておかしいわ・・・。

やがて名護市に入る。名護は広くて、西側にも海があるし、東側にも海がある。沖縄本島は西海岸にビーチリゾートが多いが、このあたりもカヌチャリゾートというリゾート地帯だ。海は綺麗だけど、国頭村よりはマシだが、アクセスがあまりよくないので、恩納村に比べると穴場っぽい。恩納村のホテルに予約が取れなかった人か、コアな沖縄リゾートマニアみたいな人しか来ないんじゃないだろうか。

このあたりの道の駅で沖縄そばを食べた。このへんは中南部より物価が安い。中南部でまともな沖縄そばを食べたら最低550円~600円くらいするが、この店では500円。まともな味だったから、絶対的な観光客数が少ないこのへんの方が那覇あたりより物価が安いのだろう。

再び、やんばるの森っぽい雰囲気のところに差し掛かった私は、東村に向けて本島一周のラストスパートへ突入。しかし、やんばるの森はラストスパートを拒む。最後の抵抗をしているかのような、いじわるなアップダウンが続く。

一般の観光客にドライブコースとして東海岸があまり選ばれないのは、道が悪いからというのが大きな要因だろう。東海岸の北部には、自転車で走った感じ、地図には載らない20~30くらいの峠がある。セミがミンミンうるさいし、自転車には関係ないがガソリンスタンドも滅多にない。敬遠されても仕方がないだろう。

ツーリングマップルに急勾配注意みたいなことが書かれている場所など、峠を何度か登り下りする。基本的にツーリングマップルはバイク用に編集されているので、バイク向けにでも急勾配注意と書かれている場合は、自転車にとっては地獄の急勾配ということになる。実際、アホみたいな登りだった。峠でもないのに、こうしたアホみたいな登りとセミのうるささは、やんばるの東海岸名物と言っても良い。

アホみたいなアップダウンが落ち着くと、いかにも修学旅行生が集まっているエリアに差し掛かる。人の集団を見るのは珍しい。こいつらは沖縄屈指、すなわち国内屈指のマングローブ地帯を見学しに来たやつらだ。

そこは水場があって、カヌー体験などができるようだった。北海道の人間なので北海道を贔屓するわけではないが、釧路湿原とかの方がずっと雰囲気があるように思えた。もしカヌーデビューするんだったら、私は釧路湿原の方がいい。

駐車場には高輪中学校と書かれた観光バスが3台くらい止まっていた。アホなくらいに色白な東京の中学生どもが、同じ日本人とは思えない真っ黒に日焼けした沖縄の中学生から『水分補給を必ずするように』とレクチャーを受けている。高輪は泣く子も黙る東京の高級住宅街だ。

こうやって沖縄と東京の中学生を同時に並べられると、東京の金持ちボンボンの中学生どもは、まさしく『もやし』にしか見えなかったのである。沖縄の灼熱の太陽を浴びて、今にもよれよれになって萎れてしまいそうだった。

マングローブの公園を2分だけ見学した後、東村へと再び走る。

あの平良の交差点をゴールにしようと思った。軽いアップダウンの道を数キロ走ると、右手にそれほど整備されていないけど、そこそこ綺麗な東村のビーチが見えてくる。やがて平良の交差点に辿り着く。

初めて沖縄に来たのが9年前、来沖10数回、今ここに沖縄本島1周が完了した。

なんというか、虚しいな・・・。人生の根本的な価値観が180度変わるとか、そこまでのことは期待していなかったが、もう少し達成感があるものだと思っていた。きっと、日本一周したり、世界一周したりしても、こんなふうに虚しい感じなのかもしれないと思うと、自分が今まで何度か自転車旅行してきた経験のほとんどが、なんだか虚しいものに感じられた。失望したと言ってもいい。

例の道の駅の少し手前に個人商店があったが、高いし買いたいと思うものがなかった。仕方ないので、しょぼい道の駅でカットパインと島バナナとメロンクリームソーダを買った。

外の妙にチクチクした芝生に座り、カットパインと島バナナを食べる。が、私は島バナナというものを初めて買ったが、緑の状態では粉っぽくて苦いだけで、とてもフルーツとしては食べらないのであった。体力を回復させるためにバナナが食べたいと思って買ったのだが、熟して黄色くなるまで、このバナナは食べられないのであった。

ちなみに、この場末の道の駅では島バナナが100円で売られていたが、豊見城のメジャーな道の駅では800円で売られていた。

さて、島一周も終わったのでベースキャンプに戻らなくてはならない。

初めは来た道を戻るつもりだったが、あのアホなアップダウンをまた走るのは体力&精神的に不可能だった。名護経由で西海岸を通って戻ることにした。西海岸を通った方が5倍は楽だ。

国道331号線の山道を走っていると、あまり見ないような案内板があった。『恥うすい碑』・・・なんだろう。体力や精神が消耗しているので、一旦は通り過ぎたが、気になって50mほど戻って立ち寄ってみることにした。

純白で純粋な大人の愛・・・と書かれている。石碑には『野山越える道や 幾里隔みても 闇にただひとり 忍び行ちゅん』と書かれてる。全然わからんが、なにやら訳アリだ。全国によくある地元のアマチュア作家みたいな人とかが作ったやつだろうと思ったが、後で調べると、ある伝説に基づくものだった。

昔の沖縄では違う村の異性との恋愛や結婚はタブー。この場所は、違う村に住む、ある男女がお忍びで会っていた場所なのだという。しかし、ある日、女は約束の時間になっても相手の男が来ないので、男の住む村に様子を見に行ったら、村の女達といちゃついているところを発見。ショックで女はこの場所で自殺してしまう。男が村の女達と遊んでいたのは、村人に対する一種のカモフラージュだったのだが、後に男もこの場所で自殺してしまう・・・という話だ。(参考 やんばる国道物語)

さて、名護市内に無事に戻る。名護の国道58号線沿いには上等なJAの農産物直売所がある。ここで惣菜類をいくつか調達した。直売所の惣菜は付近の飲食店や農家などか作ったもので、スーパーで売られているものより種類も多いし、安くて美味しい。沖縄で惣菜を買うなら、街の個人経営の弁当屋か、JAの直売所がおすすめだ。

惣菜を買って名護のビーチで食べていると、ここはジョギングなどの人が多いのだが、40代くらいの男性に「ツールド沖縄頑張ってください! ちばりよー!」と激励される。

はい? と思ったが、もうすぐツールド沖縄という自転車レースが開催されるらしいので、ツールド沖縄に出る人だと勘違いされたのだろう。ここ名護が拠点なので、勘違いされても無理はない。

ツールド沖縄のことはよく知らなかったが、レース部門とサイクリング部門があるが、レース部門は本当にガチ。たぶん競輪選手とかガチの人達が出て、使用できる自転車や服装にも規定がある。公道を封鎖して行うガチの自転車レースなので、フラットバーハンドルのクロスバイクやママチャリは出場不可。

コースを調べると、1泊2日で沖縄本島を一周するようなものから、伊江島などの離島に行くもの、あのクソアップダウンのやんばる北東部を通るものなど、特にレース部門はガチな内容だ。

確かに、やんばる方面を走っていたときに、ロードバイクのクソ早い選手っぽい人達を何度か見かけた。ああいう人達はきっと真のツールド沖縄の人達だ。

夕食が済んだら名護の海岸を散策して、南に向かう。この名護の海岸は捨て猫が多い。少なく見積もっても海岸だけで200匹くらいはいるだろう。それもアメリカンショートヘアーやチンチラなど、ペットショップで買ったら10万円くらいするような外国の猫が多い。

22時過ぎ、割りと疲れ果てて北中城へと帰ってくる。

あやかりの杜は、受付時の説明では夜間も歩行者&自転車用の通路は開いているとのことだったが、門は閉ざされていた。図書館は20時、カルチャーセンターやカフェも22時にはクローズするので、22時で門が閉まる。

調べると、歩行者用の通用口は鍵がかかっていなかったので、開けて入ってみる。守衛のおじさんにギョッとされるが、キャンプ場利用者であることを説明して通して貰う。平日にここのキャンプ場を利用する人は滅多にいないのだろう。

キャンプ場利用者は今日も私一人で、静かな夜だった。

しかし、この場所は小さな山の所の頂上付近にあるのだが、近くに沖縄自動車道があるので、車の走行音が割りと昼夜問わず聞こえる。そして、あのクソうるさいセミの一族がテントのそばで鳴き出しやがった。小石を投げてみたりしたが、クソセミは鳴き止まず。

2時間くらいしたら、やっとセミは静かになった。

Sixth Stage 沖縄やんばる Special Touring Style

10日目 新しいベースキャンプ

午前6時、ネットカフェを出て北谷公園に行く。午前7時にちゅらー湯の朝風呂がオープンするので風呂に入って、そのあとにあやかりの杜に行こう。

ちゅらー湯は以前の旅行記にも書いたが、朝の時間帯だけは500円で利用することができる。沖縄本島で稀少な天然温泉だ。といっても、近くにあるデカいリゾートホテルの関連施設なので、内地の会社が観光客向けに作ったものと思われる。そのホテルに泊まっている人は無料でちゅらー湯が利用できるので、『外来』よりも、そこの連中の方が多い。

「沖縄には温泉がない」と思っている人もいるが、そんなことはない。基本的に沖縄の人は温泉に入る習慣はない。だが、年間600万人もの観光客の何人かは温泉に入りたがる。今でこそビーチリゾートとして有名な恩納村も、最初は温泉がウリだったとか。那覇空港近くで、歓楽街の辻町近くにあるリゾートホテルは現役で温泉がウリ。

「意志あるところに道は開ける(リンカーンほか)」とはよく言ったものだ。

温泉を探す人には沖縄にも温泉があるのだ。銭湯も探せばあるし、スーパー銭湯や健康ランド的なものも探せばある。だが、内地の住宅街みたいにブラブラしてるだけで見つかったりはしないし、北海道みたいに国道沿いにどかーんと温泉街が現れたりはしないだけだ。

午前10時頃、あやかりの杜の受付でキャンプしたい旨を伝える。あまり利用者がいないのか、「○○さんですね?」と名前を言わずとも話が通っているようだった。所定の用紙に記入し、5泊分で500円の利用料を払う。

顔パスで話が通るのは案外気持ちがいい。

キャンプ場の設備はとても上等だった。1泊2千円のキャンプ場を使用したことはないが、同等以上ではないだろうか?

しかも、ここは那覇から20Kmくらいの所で、坂を西側に下りていけば北谷やハンビーリゾート、東に進めば沖縄市という絶好のロケーションだ。Wifiが利用でき、沖縄関係の資料が揃った上等な図書館もあって情報収集も便利。他に利用者がいないのが不思議なくらいだった。

テントを建てて、不要な荷物を外して身軽になった自転車で、再び街へと出かける。

食事がまだだったので宜野湾のジミーのバイキングでたらふく食べた。6年くらい前は沖縄=バイキング天国というくらい色々な店がバイキングをやってたように思うが、値上げしたり、バイキングを終了したりしてて、今ではバイキング=ジミーだ。ジミーは観光客は皆無で、地元の家族などで賑わっている。ジミーに行けば間違いない。

この日は改めて那覇方面をゆっくり見て歩いたりして過ごした。

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9日目 ターニングポイント

渡嘉敷島に行くかどうかは直前まで悩んだ。

昨日、港のとまりんで渡嘉敷島を紹介する冊子を貰ってきて、ホテルの部屋で眺めていた。冊子にはダイビング、ホエールウォッチング、海水浴・・・マリンレジャーを楽しむ色黒の人達が沢山写っていた。那覇から近いこともあって、日帰りでそういったものを楽しむ人達が多いのだろう。

曲がりなりにも遠足や修学旅行生が多くて、勉強目的でやってくる人が多い伊江島とは、だいぶ雰囲気が違うのかもしれない。いや、きっとそうに違いない。渡嘉敷島はイケイケでハッピーな人達が集まる島なのだろう。

とても今のボロボロな精神状態では、行っても惨めな気持ちになるだけだろうという結論に達した。船代も自転車代込みで往復5千円近くかかるし、キャンプ場は1泊500円だから、2泊したとすれば1泊あたり3千円か・・・。

それだけ払えば、那覇のホテルに泊まれる。那覇のホテルで湯船に浸かってベッドで寝たとしても、お釣りが貰えるほどの大金だ。

予約済みの埼玉に帰る飛行機は30日に那覇を経つ。沖縄で過ごすのは、あと3泊だけだ。渡嘉敷島に行っても元が取れるように思わなかった。やっぱ、渡嘉敷島に行くのは辞めよう・・・。

ホテルの部屋のWifiを使ってスマホで情報収集すると、ほったらかしにしていた自分のメールボックスに北中城のあやかりの杜さんからメールが届いていた。

あやかりの杜は公立図書館を核とした生涯学習施設のような所だが、沖縄本島で稀少なキャンプ場もある。ただし、サイトの雰囲気を見る限りでは、小学生とかの野外学習みたいな目的じゃないと使えないような感じがした。

それでも、駄目元で『私はアマチュアの沖縄研究家だ』というよくわからん触れ込みで、出発前にメールでしばらく宿泊させて貰えないかと問い合わせていたのだ。

1週間経っても返信を貰えなかったので、やっぱりな、アマチュアじゃ相手されるわけないか、という気持ちで諦めていた。しかし、あやかりさんのメールには休館日以外は連泊して頂くことも可能というような趣旨のことが書かれていた。

あやかりの杜さんは1泊100円。他に行くアテがない私は当然あやかりさんにあやかることにした。ただ、この日はちょうど休館日だったので、今夜だけは北谷のネットカフェで過ごし、明日以降に利用することにした。

うーん。

しかし、そうなると、帰りの飛行機の都合があるので、たった2泊しかできない。まだ沖縄に来てからテントを張ったのは伊江島の2泊だけで、かなりの不完全燃焼だ。『沖縄=自転車ツーリングキャンプ不能な地』というイメージで、彩の国さいたまへ戻るのは、どうかなと思った。

もっと、色々な可能性を探ってみたくなった。

この日の日中、中部地方の東部まで行き、映画のロケなどでもよく使われる海中道路を通って、いくつかの島を渡り、伊計ビーチという所まで走った。

途中、通った平安座島という島は、石油基地の島だ。

車社会、沖縄にとって、すごく重要な島である。ああ、あれだな、東京にとっての福島みたいなものだなと思った。東京の人たちは電気がないと通勤電車も走らせられなくて会社にも行けないけれど、その大事な電気を作る原子力発電所は、万一事故が起こると大変危険。

東京の人間は危険は欲しくないけど、都合よく電気だけが欲しいわけ。こんな都合のいいことがまかり通ってはおかしいが、金と権力で大抵のことは解決できる。

きっと、これの沖縄版だな。ガソリンは大事だけど、事故が起こると危険だから、那覇から遠い所に石油基地を作ったのだろう。知らないけど。

次に通った宮城島はサトウキビ畑ばかりで、静かな島だった。沖縄には沢山の離島があるが、このへんは観光とは無縁のような所なのだろう。

伊計ビーチは、このある意味で楽園のような沖縄にあって、楽園中の楽園のようなイメージだった。

可愛いギャルが裸で寝そべり、愛に満ち溢れている。というほどではないだろうが、少なくとも、そこには素敵な民間キャンプ場があり、1500円と高いのを我慢すれば、サーファー風のスタッフがようこそと暖かく迎えてくれる。そう、ほんわりと希望が見え隠れしていたのだ。

本島と橋で繋がっているとは言っても離島だし、どっかの県営キャンプ場と違って門番払いなんてあるわけがない。うっすらとだが希望を抱いていた。

全力で漕がなければ、2秒で5mは押し戻されてしまうくらいの強い向かい風だった。私は苦労して向かい風に立ち向かった。そして、向かい風に勝った。

だが、現場で私が見たものは想像とは大きく違うものだった。キャンプ場はビーチもろとも閉鎖されていたのだ。レンタカーが3台停まっており、近くに韓国人のイケてない感じのグループがいた。

連中もビーチが閉鎖されているとは知らずに来たようで、付近の水溜りみたいなところで寂しく遊んでいた。

彼らのレンタカー3台を見送ってから、私も来た道をひたすら戻った。日が沈み、あたりは薄暗くなった。今にも消え入りそうな自分の影を見て、うっすらと涙が滲んだ。

本島側へ戻り、お腹が空いたため食事をしようと思った。

うるま市内でタコライス発祥とされる店(諸説あり)、キングタコスに初めて行った。タコライスは沖縄に昔からある料理と思っていたが、意外に歴史は浅く、まだ30年くらいしか歴史がないという。30年も、と言った方がいいのかもしれないが。

ある書籍によると、沖縄の人が沖縄をしばらく離れて沖縄に帰ってきた時、食べたいものと言えばまずは沖縄そば、次にタコライス、3番目が島豆腐らしい。私はむしろ沖縄そばよりもタコライスの方が沖縄料理では好きなくらいで、スーパーの惣菜としてよく購入する。しかし、こういった専門店的なところで本場のタコライスを食べるのは初めてなので、注文してから出てくるまでが楽しみだった。

しかし、本場では、私がこれまで食べてきたタコライスとは違うということを知る。タコライスというのは、ライス、挽肉、野菜、チーズが揃った状態が当たり前と思っていたが、本場では野菜やチーズはオプション(?)扱い。400円の最もベーシックなタコライスはライスに挽肉が乗っただけ。500円だとチーズが、600円払うとやっと私が思い描いていたタコライスになる。

スーパーではタコライスはフルスペックで300円程度なので、600円とは割高な感じがした。ライスに挽肉だけではイメージ的に美味しそうではないので、せめてチーズだけでもオプション(?)をつけた。本当に個人の感想だし、地元の人は600円のフルスペックのものしか食べないのかもしれないけど、はっきり言うと、美味しくなかった。1/3食べるだけでも苦労した。スーパーのタコライスの方がずっと美味しいと思ったのである。

複数のことに同時期に失望し、この日は北谷のネットカフェに行った。

飛行機は変更できないだろうか。そもそも、来た時の飛行機も台風の影響で1週間ずらしたのだし、本来の計画よりも旅行自体が1週間短くなっている。帰りの飛行機も1週間くらいずらして、本来の旅行期間にしようと思った。

ジェットスターのサイトで変更する料金を調べると、ちょうど1週間後に変更した場合、追加料金が8千円弱かかるが変更できそうだった。不完全燃焼なまま埼玉に戻り、また最初からやり直して沖縄に再訪することを考えると、8千円払ってでも延長したほうが、全体としては安上がりな気がした。

もうどうにでもなれ、という気持ちで延長した。これでやっと、沖縄本島で私にとって史上初のまともなキャンプができるだろう。