PS4「リディー&スールのアトリエ」のゲームレビュー。
ノーマルEDクリアの感想、ネタばれあり、個人の感想。
リディー&スールのアトリエの概要
アトリエシリーズの中の「不思議シリーズ」と呼ばれる作品群で、「フィリスのアトリエ」の4年後という設定。
主人公こそリディー&スールという新規キャラだけど、世界観やキャラクターはフィリスのアトリエや、その前作にあたるソフィーのアトリエと共通するので、内輪ネタ的なものが結構ある。
通常版と有料DLCを含めたDX版がある。師匠という設定で前作にも登場したイルメリアが有料DLCなしだとパーティーに参加しなかったりと、通常版はDLC商法的でやや不自然な点があるのでDXの方がオススメな気がする。
前作の不満点(?)を大きく改善させたけど
前作にあたる「フィリスのアトリエ」で大抵の一般フレイヤーが不満、あるいは不便に感じる部分が大きくテコ入れされたような印象。
街中や拠点の移動はファストトラベル前提。魔法のホウキはたぶんないけど、ホウキがいらないくらいのサイズ感になっている。
街中はネプテューヌシリーズ的にイベントの起こる場所がアイコンで表示されるので一発アクセスできる反面、ちゃんと3Dで街中も散策しようと思えばできるけど、前作と違って自分で散策する必要性が感じられなくなった。
フィールドは現実世界と絵画世界がある
フィールドは前作がやや広すぎた印象があったからか、全体的に少しこぢんまりとしたサイズにまとめられている。
散策できる場所は現実世界と絵画世界という2タイプがある。絵画世界はそれぞれの章ごとで攻略するダンジョンのような位置付けだけど、普通に素材探しに出かけたりもすねので、少しどっちがどっちだかわからなくもある。
絵画世界の方が非現実的な雰囲気があるけど、そこまでぶっ飛んだ雰囲気の場所はあまりない、前作でも海底を散策したり、雪原を溶かしたりしてたし。
章ごとにやることが明確になっている
前作フィリスのアトリエは、広大な世界を冒険する一方で、その時その時に何をやるべきかはっきりしない状況も多かったけども、リディー&スールは全12章にわかれていて、それぞれの章ごとにやることが明確に示されている。
主人公のリディー&スールという双子の女の子は、錬金術があまり流行っていない(需要がない?)国に住んでいて、国一番の錬金術師になるのがそもそもの目標。
基本的に各章ごとに国から提示される課題をクリアしてランクアップしていく方式。
課題に挑戦するためには、アトリエ自体の評判を上げるための「野望ノート」というもので、「〇〇を調合しよう」とか細かくやるべきことが示されている。
細かく指示されるのでやるべきことがわからないという状況にはなりにくい一方、現実の学校だとか、こと細かく指示してくれるタイプの会社とか、マニュアル仕事的な状況に置かれるので、期限内に公認錬金術師に合格すればよかった自由な冒険ができるフィリスのアトリエとは、ゲームの進め方自体がかなり異なる。
やるべきことが書かれている「野望ノート」は、それぞれの章ごとに20種類くらい項目が挙げられるけど、半分くらいクリアすると評判が上がったということになって、ランクアップ試験に挑戦することができる。
ランクアップ試験でも「〇〇を調合しよう」の課題が出されるので、こらもやはりやらされている感は強い。
ランクアップ試験に提出した課題の出来栄えで評価が変わり、エンディングのルート分けに影響するというけど、トゥルーエンドを目指す場合は結構苦労するのが基本。とりあえずストーリーを先に進めたい程度の場合は、それほど苦労することは少ない。
味方パーティーは6人固定(通常版の場合)
DX版や有料DLC導入で味方パーティーは増えるそうだけど、通常版だと中盤くらいでエンディングまで運命共同体になる6人が揃う。
前作にも登場したソフィー、フィリス、主人公のリディー&スール、もう一人錬金術師と、唯一の錬金術師じゃない剣士的な人の計6人。
バトルは前衛3人と、前衛と組み合わせて補助技的なものを繰り出す後衛の3人体制となる。前衛がとった行動をトリガーにして後衛が追撃したり、回復行動を取ったりするのでキャラの組み合わせ次第でバトルが楽しくもなれば、どんよりしたりもする。
主人公の双子だとリディーは回復、補助タイプキャラで、スールが攻撃特化キャラになっているけど、組み合わせは好きに色々変えてみるのがいい。AIで判断して行動を決めるとかじゃなくて、前衛がスキル攻撃を使ったら後衛が何とかの技を使うとか、事前に決められている通りにロボットのように行動するっぽい。
補助技的なものと書いたけど、やり込みによっては補助技的なものの方が強力になったりもするらしいので、前衛と後衛の組み合わせでバトルの難易度は大きく変わる。
基本的にはそこまで高難易度に感じる状況はあまりなくて、やり込んでもよし、ライトに楽しむのも可能、といった感じ。
調合のシステムは結構変わっている
前作と世界観が共通な一方、ゲームプレイ時間の1/3くらいやることになるであろう調合のシステムは、前作とはかなり変わっている。
前作だと作成する品ごとに調合しまくってレベルを上げたりしないとならなかったけど、その作業が必要なくなったり、基本的にやりやすくなっている。
パズル的要素も一つのゲームとして楽しみやすくなっているので、前作で苦痛に感じた部分がかなり軽減されているように感じる。こちらね、やり込んでもよし、適当にやってもよしのゲームバランス。
前作で仕組みを覚えた人も、こっちはこっちで一から覚えないといけない面倒さはある。
発想はフィリスのアトリエより楽になったけど
調合するアイテムはフィリスのアトリエと同じく、発想というシステムが採用されている。
フィリスのアトリエだとノーヒントで手当たり次第(と言っても何千~何万パターン?)で色々やらないと発想しなかったけど、今作ではレシピノートを見て近隣の関連したアイテムを発想すれば、連鎖的に発想できるようなシステムになっている。
逆に言うと、近隣のアイテムを発想していないと目的のアイテムが発想できなかったりするので、手順通りやらないとならない不便さはある。
バトルは普通のRPGに近くなった
前作フィリスと違って爆弾系のアイテムを作り込んだりするより、普通に戦ってレベルを上げてスキルで戦ったりした方がダメージを出しやすくなっている気がする。
このあたりはやりこみで変わると思うけど、普通のRPGのバトルに近い印象。
前作フィリスだと本当にゲームクリアするだけならバトルがほとんど必要なかったりしたけど、ストーリー中で戦う中ボスも多いし、昔のドラクエとかFFほどではないけど、前作に比べるとバトルしている時間がすごく増えた。
このあたりは普通に戦ったりするオーソドックスなRPGがやりたい人には好ましいことかと思う。
フィリスは成長してやや別人に思えなくもない
前作フィリスのアトリエの時のフィリスは、田舎の洞窟から出たばっかりで田舎娘風で自由奔放な感じだったが、さすがに4年後の姿なので都会のお姉さん風になっている。
リア姉の影響か、なぜか今作では弓矢を使うようになっているし、技もリア姉の時に見たようなものが多い(使いまわし?)。
ちなみに今作でもリアーネは登場するものの、ショップの店員になっていてパーティーには加入しない。せっかく前衛と後衛で組み合わるバトルシステムなだけに、フィリスラブなリア姉とフィリスのコンビ技が見たかった気もするけれど残念。
フィリスの見た目は都会風に変わっているものの、リア姉は設定か使いまわしなだけか、見た目は特に変わっていない気がする。
主人公の双子でゲームの評価は分かれる
ソフィーとフィリスという先輩の錬金術師が早い段階でパーティーに参加することもあって、主人公であるはずのリディーとスールは、個人的には少なくともバトルでは存在感が薄いように感じてしまった。
ストーリーこそリディーとスールが中心だけど、どっちもかなりアクが強いキャラなので、キャラに愛着が沸くかどうかでゲームの評価や好みが分かれる気がする。
バトル面ではリディーは回復や補助タイプで、スールは銃を使う攻撃タイプのキャラ。
攻略には影響しないがフィールドでの操作キャラは好みで変更できて、デフォルトのバトル曲などが変わったりする。スールの方が人気があるらしいけど、個人的にはアクが強すぎるのでリディーを操作キャラにした。
やり込みは今作も拷問レベル
とりあえずノーマルEDクリアくらいなら少し長めのRPGくらいにライトに楽しめる一方、トゥルーEDを目指したり、高難易度の依頼をクリアしようとすると途端に拷問級のやり込みが必要になる。
敵のHPが桁違いに高いわ、ガードが固くて攻撃が通らないわで、やり込み根性がないと投げ出してしまいたくなる。
前作フィリスのアトリエではアイテム補充は店売りのミルクを与えるだけでラクちんだったけど、今作は金がかかるようになって金策も苦労する。かといって、毎回自分で作るのもルーチン作業過ぎて、圧倒言う間に飽きてくる。
終盤の特殊依頼(掲示板の赤い色のついたやつ)で金策に困らない特製が付いたアイテムが貰えるらしいが、強敵討伐を含む30個もの依頼をこなさないとならず、モチベーションがわかない欠点がある。
そんなモチベーションがあるなら、個人的には色々忙しいし、(現実の)他のことにエネルギーや時間を使いたくなるのが今作で感じた問題点かな。
アプリケーションエラーは付き物
素人目にもかなり複雑なプログラムなのだと思うけど、フィリスのアトリエほどではないけど、調合窯の前で調合しようとするとアプリケーションエラーで落ちてしまうことがあった。
素材集めてきて、いざ調合しようと思って落ちると二度と起動したくなくなる。ガスト製ゲームではよくあることらしいので、慣れている人は無意識にセーブするんだとか。
自分も割とすぐセーブするタイプだけど、何かする前と何かした後はセーブした方がいいみたい。
まとめ やり込み派もライト派も楽しめるバランス
前作フィリスのアトリエは、錬金術士合格後のキャラごとのストーリー攻略や、育成やり込みがゲームの中心にあったと思うし、広い世界を自由に旅している雰囲気がよかったけど、リディー&スールは章ごとにやることがキッチリ決められてるタイプのゲーム。
あれこれ細かく指示されるのは嫌だという人にはフィリスのアトリエの方が楽しめると思うけど、決められた課題をクリアすることに楽しみを見出すのが好きな人や、普通にバトルができるRPGが好きな人など、多くの人にオススメできるゲームな気がする。
調合もフィリスのアトリエよりは遊びやすくなっているというか、苦痛が少なくなっている気がする。
バトルの難易度なんかは、フィリスのアトリエの方が「やるかやられるか」みたいな白熱したバトルが多かったけど、今作では普通に店売りの武器、防具を買ったりしている程度で、特に強力な調合アイテムを作ったりしなくても苦労することはあまりなかった。
本編のストーリーは長めで、ベストエンディングやトゥルーエンドを目指そうとすれば結構なプレイ時間(100時間くらい?)がかかると思うし、前作とは根本的なシステムが色々変わってしまっている部分が多いけど、これはこれで楽しめるゲームにはなっていると思う。