自転車

Sixth Stage 沖縄やんばる Special Touring Style

-7日目 台風19号が沖縄本島直撃

台風シーズンの真っ只中、ここ数年でも超巨大とされる台風19号が沖縄本島に迫っていた。

JALやANAなどの大手航空会社は10月10日~12日頃までの沖縄発着便を欠航の可能性があるとして、無料でキャンセル対応をサイト上で受け付けていた。飛ぶか飛ばないかわからん・・・という状態は人にストレスを与えるので、不要不急の人、要するに遊びに行くだけの観光客とかは無料でキャンセルさせてあげるよ、という大手ならではの配慮なのだ。沖縄では那覇空港が閉鎖され、ローカルスーパーのユニオンですら臨時休業する事態になっている。

ジェットスターはLCCと呼ばれる格安航空会社なので、一般的にはキャンセル対応などができないと世間では思われている。しかし、実際は天候や機材不良による欠航については、返金や変更対応が行われる。それどころか、直前の欠航決定で空港まで来ちゃっている場合はホテル代や食事券なども手配してくれるという。

私は台風が100年に1回しか来ない北海道東部で生まれ育ったので、台風や飛行機欠航についての知識、経験がない。埼玉にいても、なぜかそれほど台風で本当に困ったような経験がない。

どの程度の台風なら飛行機が飛べるのか? そういったものの予測ができず、30分ごとにジェットスターや気象庁のサイトなどを確認して状況を見守った。

ジェットスターは10月11日~12日の沖縄発着全便の欠航を発表。まだ、私が搭乗予定の13日早朝便は欠航が発表されない・・・。どうやら、台風が近くにあっても雨が降っていない場合は風速25m以下なら飛行機は飛ぶらしかった。

成田空港までは今まで通り自走で10時間近くかけて向かうので、空港についた段階で欠航が発表されると精神的ダメージが大きい。早朝なのでホテル代なども出ないし、ただ成田空港まで往復200Kmのサイクリング(決して楽しくない道のり)をするだけになってしまう。

ジェットスターは一般的には変更ができないと思われているが、3500円くらいの手数料と差額が発生する場合は差額を払うことで便の変更ができる。身の回りの準備なども遅れていたので、欠航発表を待つのに痺れを切らして、3500円くらいの手数料を払って出発を1週間後に変更した。

後日談。13日の早朝便は問題なく飛んだようだった。

Sixth Stage 沖縄やんばる Special Touring Style

プロローグ ヒトは夢を持ってはいけませんか?


孤独を感じたり自分を見失った時、よく夜空の星を見上げる。

地球に巨大隕石が衝突したり、核ミサイルが発射されたり、日本列島に巨大地震が連鎖発生したりしなくても、ちょっとしたことで人間はあっけなく死んでしまうものだ。

死ぬ前にどうしてもやりたいことの一つ。それが沖縄本島一周サイクリングだ。遡ること約半年前、沖縄本島一周を目指して旅立ったものの、膝の故障でとてもそれどころではなくなってしまい、一周を諦めて半泣きで帰ってきた過去がある。

しかし、サイクリスト&元沖縄中毒患者としては、なんとしてもリベンジを果たしたい。一周約430Kmとサイクリストにとってはそれほどの距離ではないが、やんばると呼ばれる本島北部はジャングルで未開の地。地図の上では沖縄に峠は存在しないことになっているが・・・。

ジェットスターの特売で往復分の復路が1980円でチケットが取れた(実際には支払い手数料、預け荷物料金が別途かかる)ので、急遽、この旅行に旅立つことにした。

以下に今作の舞台となる沖縄本島周辺の地図を示す。

※この旅行記には沖縄本島や周辺の島々の地名が数多く登場します。位置関係を把握してからお読みになると臨場感が増しますので、まず位置関係を頭に焼き付けることをお勧めします。

Fifth Stage ひがし北海道 ホタテフライ夢ロード編

16~20日目 エピローグ

16日目~20日目までは札幌市内で過ごした。

16日目。午前4時過ぎ、30組くらいのテントが寝静まっている頃、私は札幌市内へ向かった。江別からは2時間くらいかかった。ある人に会ったが、ある人は私のことをあまり覚えていなかった。なんでそう思うのか自分でもわからないが、人に忘れられるというのは心地よい。

法華クラブの朝食バイキングでは、久しぶりに食べたまともな食事だっただけに、美味しすぎて食べ過ぎてしまい、しばらく動けないくらいだった。色白で可愛い女性店員がいた。

夜はキャンプ場のおじさんと晩酌できればと思っていたが、帰りが遅くなってしまい、キャンプ場に着いた時はおじさんのテントは消灯していた。家族連れはさらに増加していて、そこらじゅうでバーベキューをしている。おじさんはこんな家族連ればかりのキャンプ場に一人で泊まって嫌ではないのだろうか。ふてくされて、酒飲んで寝てしまったのかもしれない。私も酒を飲んでから寝た。

17日目。早朝にテントを畳んで出発する。もうここに戻ることはない。おじさんはテントの中でコーヒーを沸かしているようだったので、別れの挨拶をする。今度、九州にも来て下さい、と言われる。九州の峠は北海道と違って1本道ではなく色々な道があるという。ただ道路は走りにくいのだとか。

それから、帰りの飛行機がある3日後までは札幌市内のホテルやネットカフェに宿泊した。9月も中旬にもなると、本格的な防寒具がないとキャンプするのは難しい。自転車に大きなトラブルはなかったが、左のペダルがカチカチ変な音がするようになっていた。ペダルが駄目になったのだろうと思って、新しいペダルを買った。しかし、古いペダルをはずそうとしてもネジ山がおかしくなっていて、簡単には外れなかった。

旅の最初の頃、旭川に向かうときに走行中にペダルが緩み、閉め直したことを思い出す。後で調べると、自転車のペダルは基本的には走行中に緩まない構造になっているが、古くなってくると『緩まない構造』が正常に働かず、緩んでくるのだという。緩んだ状態で走行すると、ねじ山に支障をきたすことがある。

強引にレンチで付け替えることはできたので、とりあえず走行はできるだろう。網走でこの自転車も総距離が1万キロになった。ペダル周りはママチャリと同じパーツのようなので、もし駄目になっても変わりの部品はおそらく手に入るだろう。

もし自転車ごと買い換えることになったら・・・今度は安いロードバイクが欲しいかもしれない。

これで、20日間に渡る一夏のロングストーリーは終わり。

最後に言いたこと。

自転車旅をする理由は、面白くて、そして美味しいからだ。たぶん、それ以上の理由はない。

札幌の豊平川河川敷にて。

END