自転車

Third Stage 北海道内陸一周編

2日目 北海道メインストリート

午前4時頃、札幌市から旭川市に向けて国道12号線を東に走行する。

いきなりだが、少しわかってしまった気がする。内地(本州)のサイクリストが北海道に憧れる理由の一部が。

確かに内地のそれより、走りやすくて爽快な道路だ。ロードバイクに乗ったサイクリストに一度抜かれたが、彼の後姿も爽快なものだった。

北海道開拓の歴史について少しおさらいする。北海道開拓は、海経由で船でアクセスできる沿岸部の都市と、原生林を掻き分けて線路や道路を作りながら開拓し た内陸部の都市とに分けて考える必要があると思う。北海道の色々な街を回っていると、沿岸部の街と内陸部の街で、街の作りがかなり違うことに気付く。

札幌市や旭川市や帯広市のような内陸部の街は、都市計画がきちんとされていて、中心部が碁盤の目になっていて人工的な感じがする。函館市や釧路市などのように沿岸部の街は、本州の都市と変わらないような、地形や人間の実生活の都合に合わせて街ができている感じがする。

基本的に沿岸部の街の方が歴史は古く、内陸部の街は歴史が浅いように思う。私は内陸部の街で生まれ育ったので、今回の旅のテーマも内陸部一周である。

国道12号線は北海道の中でも大動脈とされる。北海道の2大都市を結んでいて、間にそこそこ人口の多い街が点在している。旭川市は北海道2位と言っても、 190万人の札幌と比較すると、たった30万人程度の街だが、昔から特急や高速バスがバンバン行きかっている。一時は北海道新幹線の終着駅としても検討されていたようだが、今は札幌が終点となって工事が進んでいる。

国道12号線沿い。たぶん滝川か深川らへん。

実は、北海道は米どころである。本州の一般家庭では新潟の米が人気あると思うが、北海道米も本州の意外なところで大量に消費されている。それは外食産業だ。全国チェーンのファーストフードやファミリーレストランでは北海道米を使用していることが多いという。

10年ぶりくらいに訪れた、道の駅ライスランドふかがわ。10年前はここで炊き立ての米を食べさせてもらったが、残念ながら営業時間外だったので今回は食べられなかった。代わりに北海道産のトマトを6玉ほど買ってその場で食べる。寒暖の差がトマトを美味しくするので、トマトは日本では北海道産が一番美味しい。

旭川市街まで17Km。北海道の道路が一見無駄に広いように見えるのは、冬季の積雪のためだと思われる。1晩で1mくらい積もる時もある。

昔からの難所、神居古潭(かむいこたん)。札幌~旭川間は列車で旅したことは何度もあるが、神居古潭は初めて。

熊が出そうだし、行く余裕はなかったが、サイクリングロードもある。

「熊出没につき注意願います」

案の条、熊出没の警告看板。国道12号線の旭川手前からは、車道と自転車&歩行者は別道路となる。

旭川市に着いたら、何回も来たことある場所だし、観光もそこそこにスーパー銭湯→ネットカフェへ。

旭川市観光ガイド

旭川市は札幌市よりも標高が高く、周囲が山に囲まれており、冬は北海道内でも特に寒い所である。札幌などよりも10度くらい寒いこともある。夏場は普通に暑いが、夜になるとひんやり涼しくなることが多い。市街地が碁盤の目なのは札幌市と同じで、駅から街へ向かって歩くと、みんなで同じ所をひたすら歩くのも同じ。

ちなみに、札幌駅から旭川駅までは特急列車で1時間20分程度。JR北海道の特急車内誌の自転車旅特集には、『札幌~旭川の間は輪行ですっ飛ばして、
旭川からスタートするのも良い』みたいなことが書かれていたが、北海道を語る上でとても重要な区間なので、すっ飛ばすなんてとんでもない。

買物公園

駅北側の大きい道路。公園というよりは、歩行者天国の商店街。札幌以東では希少なデパートや、コンビニ、スーパー、ハンバーガーチェーン、喫茶店などがある。近年、牛丼屋の松屋が開店して新聞に載った。牛丼屋が開店しただけで新聞記事になるのは、たぶん北海道くらいだろう。夏場は地元のイベントなどが行われていることがある。

旭橋

買物公園を突っ切った先にある。北海道3大名橋の一つ。昔は路面電車が走っていた。北海道で路面電車があるのは、今は札幌と函館のみ。

梅光軒

ラーメン屋。札幌にもあるが、ここ旭川に本店がある。買物公園。旭川ラーメンと言えば醤油味が知られているが、みそバターコーンがお勧め。

山頭火

ラーメン屋。国内の色々な所や海外にもあるが、ここ旭川に本店がある。セブンイレブンのカップ麺にもなった。一度だけ行ったことがあるが、味も接客も好みではなかったので、再訪はしていない。

ピーコック

ラーメン屋。駅近くの昭和っぽい怪しい(?)雑居ビルにある。北海道では少ないアジアっぽい感じのビル。醤油ラーメンならピーコックがお勧め。

旭山動物園

数年前にブームになった。ブームが収まると、フラミンゴを逃がして(?)道内各地を転々とさせ、新聞を賑わした。街から遠いので、自転車で行くのがお勧め。

JR旭川駅

旭山動物園の観光輸送で儲けた金(?)で高架化された。木材の街なので、内部は木材っぽい感じ。札幌駅と違って商業施設は少なく、無駄に広い。駅裏にイオンができるらしいが・・・。

JR南永山駅

ウエスタンパワーズというショッピングセンターがある。旭川ラーメン村というラーメン施設がある。

Third Stage 北海道内陸一周編

1日目 その3 辿り着いたスタートライン

新千歳空港を出発する。初夏の北海道ほど気持ちの良いものはない。ベストシーズンの北海道を堪能する。

※写真はイメージです(お酒を飲んでの自転車乗車はNGです)

成田空港までの道のりが物凄く大変で、よく考えたら徹夜だったため、新千歳空港からも程近い恵庭の公園でしばし休憩。

恵庭は新千歳空港と札幌市の間にあるが、2泊3日くらいの北海道ツアーでは、まず行く人がいない。しかし、とても美しいところで、英国かどこかの美しい所を彷彿とさせる。綺麗にガーデニングされた個人宅の庭を観光要素として見学できるようにしているらしい。(実際に訪れる場合は恵庭の観光協会等で詳細をお調べください)

お昼寝してから出発。平和で、なんて良い世界だろう。世界は美しかった。北広島市方面へ向かう。

北広島市は札幌市の南東にあって、ベッドタウンとしての性格が強いと思われるが、自然豊かで、ここも美しい所だ。駅周辺にスーパーなどがあるので、ザンギ (本州で言うところの唐揚げに近い北海道独特の料理)などを買う。ザンギは色々試したが、コープさっぽろのものが一番美味しい。

ザンギ。唐揚げではない。北海道ではザンギにこだわりを持っている人が多い。

北広島でもしばらく休憩してから、札幌方面へ向かう。北広島から札幌市街までは素晴らしいサイクリングロード(後述)があるが、一般道を通って厚別区方面へ行く。

厚別区は札幌市の東側で、新札幌と言われる副都心などがある。こちらも2泊3日の観光ツアーではあまり訪れない(開拓の村があるから、一部の人は訪れるのかな)と思われる。都心の猥雑な雰囲気がないので、私の好きな場所と言える。

なにかで「新札幌駅を新幹線の停まる“新大阪駅”などと間違えて、新幹線に乗り換えようする本州からの出張サラリーマンがいる」などと聞いたことがあるが、私はそんなバカな人いるわけがないと思う。少なくとも、遠方に出張を任される程度の能力がある人が、そこまでバカなはずがない。旭川にも新旭川という小さい駅がある。

北海道新幹線が開業すると、新函館や新小樽(仮)という新幹線駅ができるので、ややこしくなる予定。札幌市内では新幹線は札幌駅に乗り入れる。

厚別で某温泉に入り、行きつけのネットカフェへ。

新札幌周辺ガイド

新札幌駅

JR、地下鉄、バスが集結するターミナル。急行はまなすや、函館や釧路方面の特急が止まるが、自由席は札幌駅で満員になっている場合が多いので注意。急行はまなすとかは、新札幌で自由席に座れるなんて思うなかれ。駅ビルには飲食店やスーパー、ファッション関係の店など集結。都心より、こちらの方が落ち着いていて好きという人もいる。

国道12号線

北海道を代表するような国道。ホームセンターのホーマック、ラーメン屋などロードサイド型店舗が集結。

JR厚別駅

函館本線の駅。新札幌駅から歩ける距離ではあるが、付近が住宅街で観光客向きではないが、そういう駅があると覚えておくと役に立つかも。

JR森林公園駅

同じく函館本線の駅。新札幌駅から歩ける距離。森林公園温泉や開拓記念館、開拓村などの最寄駅。高層マンションが目印。

Third Stage 北海道内陸一周編

1日目 その2 軽い気持ちで

成田空港のターミナル入口付近で輪行の準備をする。今回は自転車にワンタッチで付けるキャリアを装備した。これが安物なのであまりよくなく、9Kgまで耐 えられるはずが、実際は2~3Kgじゃないと全く安定しない。使い物にならないので空港で捨てようかと思ったけども、整備用品とか輪行袋とかちょっとした ものを括り付けるのには利用できるだろうと思って、荷物になるが北海道に持っていくことにした。重たい荷物をすべてリュックに入れていると、とても肩が凝る。少しでも軽減したい。

自転車を預ける。午前4時台からご苦労様という感じで(自分も)、自転車をX線の機械に通す。あとは野となれ山となれという気持ちで、係員に自転車を託 す。あとはひたすら、出発時間まで待つ。しかし、みんな午前4時とか空港にいるものなんだなぁ。若い人の観光旅行風の人が多いが、なんていうか、朝から大変だな(自分も)。

飛行機の中は至って快適。ジェットスターは前も乗ったことがあるが、ちょっと狭いくらいで1時間半くらい乗るにはなんでもない。

定刻の7時半頃、新千歳空港に到着。スカイマークなどと違って、現地の天候や気温の案内がないので、少し寂しい。私の自転車は真っ先に職員が手荷物引き渡し部屋の壁に立てかけておいてくれたようで、すぐに手にすることができた。

特に故障等もなく、ターミナルの外で組み立てる。北海道のさわやかな空気を吸い込んで、徐々に前回の北海道旅行の記憶が蘇って来る。

その3に続く